Within Temptation

Mother Earth



Within Temptationの第2作目。
オランダ発。日本では未発売の「Mother Earth」が素晴らしい!
1作目は、ゴシックメタルのデス声の曲があり、メロディにも魅力がないらしいけれど、彼らは変貌を遂げたようです。

作風は、一言で言うと、ちょっぴりメタルがかったルネッサンス!!
ボーカルのシャロン嬢の声と歌い方が、アニー・ハスラムを彷彿させるのです。
高音よりも低音でよりそれを感じます。
曲はごく普通のメタル調で始まったりしますが、途中で必ず変化し、静かにスローになり、クラシカルなクワイアや、天からの啓示のような神々しいシャロンの声をフューチャーした、陽だまりにいるような幸福な異次元空間を表現したりします。
そうかと思うと、コーラスで広がりを出したり、声を張り上げたりします。
高音は、アニーほど澄んで力強くはないけれど、清楚で儚げで、それがまたいいんです。

演奏は、ギターだけを聴くとメタルちっくです。が、根底にキーボードというかオーケストラが導入されていて、とってもシンフォニック。
ギターが入らない部分では、とってもルネッサンスっぽい。ぴんと張り詰めたピアノの格調高さ、旋律の美しさは、見事にルネッサンスの流れを汲んでいます。
そこに、アイリッシュ(ケルティック?)風味が入ります。
リズムは、ドラムが「バウロン」のように、軽やかに繰り返し同じリズムを叩いたりして、アイリッシュを感じさせます。
リズム隊は、むしろIONAに似ています。
ヴァイオリン(フィドル?)が弦を指で弾いてリズムを刻むさまは、ENYAにも似ているのかも知れません。

こう書いてしまうと、メタリックでクラシカルでシンフォニックでアイリッシュになってしまいますが、その通りなのです!!
いろんな要素があり、一言でくくれません。バラバラな要素を壮大なスケールでまとめあげてしまう彼らの力量もさることながら、それをちょっとずつ表情を変えて歌ってしまうシャロンの個性が強くて、まったく違和感を感じないのです。彼女にかかると、すべてを彼女の歌声で包んでしまうため、曲が穏やかでありながら緊張感があるという、相反する要素が共存するのでしょう。

今までにない新しいカテゴリーでしょう。
まったく飽きることがないし、冗漫さもない。
静と動の対比(ここでも登場〜♪)が見事になされています。
私なんか、静かな曲調から一転してメタルが入る曲に狂喜したりしています。しかも、メタリックと言っても、かなりシンフォがかっているのだからうれしい〜♪

1曲目の「Mother Earth」は、叙情的なホイッスルの出だしが一転してヘヴィーになります。ココがカッコいいんだなぁ〜。、途中でクワイアが入り、荘厳さと格調の高さとクラシカルなムードを漂わせます。彼らの中では一番緊張感のある曲です。
2曲目の「Ice Queen」はキャッチーですが、これも途中で曲風が変化し、聴きやすいだけでは終わりません。中間部の広がりのある曲調の美しさったら。。
3曲目の「Our Ferewell」は、これこそルネのいい部分を取って凝縮したと言える名曲です。
一転してピアノで始まり、シャロンの声が乗るあたりは、ルネが現代に蘇ったと涙してしまいました。
いえ、私の陳腐な表現ではこの曲を殺してしまいます。ルネファンなら一度聴いてみてください。

ラストの10曲目は、私が一番好きな「Perfect Harmony」
シャロンの声の美しさを最大限生かしています。
私の中の「アニーの好きな部分」が次から次へと飛び出し、心地いいことこの上なし。まるでアニーが乗り移ったかのようです。
高音に伸びがあり、ルネで言うと、Opening Outとリヨンの洪水を足した感じ(2で割らない)だと思うのですが、どうでしょう?
それが、鳥のさえずりに乗って、とっても幸福な気持ちに誘ってくれます。天にも昇る気分と言うか。。(*^^*)
他の曲には、花まで凍る氷に閉ざされた冬の平原を感じますが、この曲では雪解け後の“春”を感じるのです。
ちなみに、ルネは晩秋の大地。

ジャケにあるように、天使を思わせるシャロン嬢の声は一聴の価値があります。
現代にこのようなアルバムが生れたことを感謝しつつ、今夜もまた聴いてしまうでしょう。

2004.1.31                   
Thanks:まいるどさん