闇の中でこそ輝けるもの
用語設定(Ver1.01)
○魔法
自然摂理や物理作用をプログラム化し、それを任意に書き換え、書き加えたり消去したりすることで、作用に変える技法の事。
作用させる為に必要になるエネルギーは術者の魔力であり、命持つ者であれば、誰しも魔力を持つ為、魔法は誰にでも行使可能な技術である。
ただ魔力の質、量によって効率が左右されるだけの話なのだ。
魔法をプログラムする能力は、パーソナルコンピューターのアプリケーションを作る事に近い。
プログラムに対応する術式の他、こちらの世界でいうところの理系の知識が必要になる。
一応感覚的に魔法を組み上げる事も可能であるが、センスが高い人でないと、暴走する魔法を作るだけである。
尚、フェイトやアリサは理論に則って魔法を組むが、なのはは感覚で組み上げ、本人ですら意図しない絶大な効果を持つ魔法を完成させる事がある。
因みにこちらの世界にある退魔の術やHGS能力、夜の一族も使う幻術などもミッドチルダ的に言わせれば『魔法』に分類される。
単に術式の形態が違うだけで、根本的には全て同じものだ。
物語の中では、ミッドチルダ及びベルカの技術によるものを『魔法』と呼び、この世界の技術は各系統の呼び方で表記する。
○魔力
魔法を使う為の力の源。
術者の体内に存在し、魔法を使用する際に消費される。
ほぼどんな場所でも普遍的に存在する目に見えない『魔力素』と呼ばれる存在をリンカーコアから吸収し、己のものとすることで魔力となる。
肉体的に言えば、空気中の酸素を吸って動けるのと同じ様なものである。
基本的に術者の体内(肉体の内側)に存在し、一度身体の外に放出されると、リンカーコアからの再吸収という手段でしか戻す事はできず、結果等量を取り戻す事はできない。
魔力は力の大きさ(質)と、蓄えられる総量でその強さを分ける事が一般的である。
大きさとは圧縮率とも言われ、空間的に言えば単位体積あたりでどれ程の量を持ち、それによって爆発的な力を持てるかどうかである。
また、基本的に自分の身体という体積の内に蓄えられる魔力の総量はその圧縮率でも変わってくる。
基本的に圧縮率が高ければ高い程、蓄えれられる魔力総量も多くなる。
ただし、稀に圧縮率は高いのに総量を持てないという特殊な体質も存在する。
魔力は、各個人で特徴があり、圧縮効率の他に特性が付与される。
例えば、炎に変化されるのに効率の良い魔力や、剣の形に形成するのに向いている魔力、などである。
基本的にこの特徴は生来もので固定され、変化する事がない。
圧縮効率と総量に関しては、訓練や肉体の成長などで伸ばす事はできるが、個人によって限界が存在し、それを突破する事はできないと言われている。
そこれ等により、同じ魔力は2つとなく、魔力を調べると個人を特定できる。
ただし、個人を特定できるほどの高精度の魔力探知装置と、特定する為のデータは早々揃わないので、事実上魔法を使ったからといって個人特定するのは難しい。
現場では、恐らく前回の現れた者と同一人物、と言う感じで使われる事がある。
魔力の回復には精神的休息が不可欠で、主に睡眠時に回復する。
回復効率も術者の強さの内であり、基本的に圧縮力が強く総量が多い人は回復速度も早い。
また、他者から魔力を分けてもらって回復する事も可能といえば可能だが、魔力は各個人のものになる為、リンカーコアを通さないと自分のものにできない。
相手に魔力を与えると言う場合、魔法に変化させていない素状態の魔力を放出し、相手がリンカーコアで吸収するという形になる。
他者の魔力からリンカーコアを通して自分の魔力に変換するという作業は、例えるなら、本来水しか通していけない水道管にオレンジジュースを流す様なもので、リンカーコアにも多大な負担を掛ける。
更に良くてもせいぜい70%くらい変換効率になり、最悪後遺症が残るので普通は使わない。
特定の魔法に変化させる為の魔力というのであれば、デバイス間でやり取りが可能である。
ただし、その場合はその場で使ってしまう事が前提である。
因みに、なのはのスターライトブレイカーは、特定の形を持って、外で収集、構築している為、問題にはならない。
また、魔力は魔法などの現象の起こす為だけでなく、単純に生きる為にも必要なものである。
ミッドチルダでもまだ完全に解明されている訳ではないが、生命活動のどこかで魔法の様な力が関わっているのではないかと言われている。
実際、魔力が完全に枯渇してしまうと、他に外傷が一切なくともその生物は生命活動を停止し、死に至る。
余談だが、魔力は魔法を使う為の力の源、と定義したが、実際には霊力や妖力、HGS能力の力の源などと全く同じものである。
退魔師の霊力は『浄化』に殆ど特化した魔力、HGSは物に干渉し『移動させる』事に特化した魔力、という見方もできる。
○魔力素
生命がリンカーコアから取り込み、魔力の源とするもの。
殆どあらゆる場所に存在する物で、地上における空気と同じ様な感覚になる。
場所によって濃度が違い、魔力素が無い場所では生命は活動できない。
リンカーコアに取り込まれ、その人の魔力となった後、魔力として消費されるとまた魔力素に戻る。
○リンカーコア
命あるものならば誰しも体内に持つ機関。
魔力素を吸収し魔力に変えるものである。
その存在を知らずとも、誰しも使っている機関であり、殆ど呼吸に等しい無意識のレベルで働いている。
またどんなに鍛えても制御しきる事は不可能と言われている。
リンカーコアは普通の方法では見る事も触れる事も出来ない。
物理的に肉体を解体しても出てこないものである。
しかし、特殊な方法で体外に目に見える形で出現させる事ができる。
更に特殊な方法でリンカーコアに干渉する事も可能であるが、現在リンカーコアを治療する手段はほとんど確立されていない。
リンカーコアに障害があると魔法を使う事だけではなく、生きる事にも支障が生じる事がある。
特殊な技術で他者の魔力を奪う時、リンカーコアから吸い出す様な形になる事がある。
吸収の際は、リンカーコアを露出させる必要がある。
また、吸収すると、魔力を無理やり逆流させる為、場合によってはリンカーコアが破壊され、死に至る事もある。
余談だが、リンカーコアは魂に近い位置に在る、または魂と結合していると言われる事がある。
そして、命あるものならばリンカーコアを持つのではなく、魂を持つものがリンカーコアを持っているのだ、とも。
ただし、ミッドチルダでも魂の概念は理論的に説明できない部分が多々あり、ただの仮説に過ぎない。
更に余談だが、こと『魂』や『霊』に関しては退魔師達の方がミッドチルダより真実に近い位置にいるらしい。
ただし、特化された能力に頼る部分が多く、更に他者への伝達も能力がある事が前提になっており、技術としては未成熟と言える。
○魔法の資質
魔力とは別の能力。
魔力を制御したり、何かに変換して行使する能力の事を言う。
どんなに大きな魔力を持っていても、制御されなけば意味は無い。
この資質に関しても『天才』と呼ばれる者は存在するが、生まれついての魔力と特徴と違い、努力次第で変化させる事ができる。
生まれもった魔力を、資質を磨いてどう使うかが、魔導師としての優秀さになる。
○攻撃魔法
呼んで字のごとく、攻撃する為の魔法の事。
二分して射撃魔法、近接魔法があり、射撃魔法の中には集束、直射、誘導などのタイプに分かれ、威力や射程によっては砲撃魔法とも言われる。
近接魔法は打撃、斬撃に分かれ、更に物理タイプと魔力タイプに分かれる。
また、タイプには更に広域タイプと言うもの存在したり、本来防御魔法分類される魔法を攻撃に使ったり、攻撃型の結界もあり、完全に分類する事は難しい。
余談だが、一般的に射撃魔法の方が近接魔法よりも消費が大きい。
これは完全に放出し、更に届くまでに減衰してしまう攻撃と、手元に固定して直接叩き込む攻撃の差によるものである。
○防御魔法
身を護る為の魔法の事。
タイプは3タイプに分類され、シールド、バリア、フィールドが存在する。
シールドは硬い魔力の盾を展開して防御する魔法の事でり、攻撃を『弾く』という形で護る。
シールドは展開が速く、防御力も高いが、基本的に展開した方向一面しか防御できない。
また、シールドタイプは壊れる時割れる様にして砕けることが多い。
バリアタイプは自分の周囲に魔力で包み、攻撃を『受け止める』という形で護る。
バリアは基本的に自分を中心に全方位を護れるが、シールドよりも展開に時間が掛かり、消費魔力に対する防御力は低い。
一応全面展開型のシールドがあるが、それだとバリアタイプを展開した方が性能的にも効率的にも良い。
フィールドタイプ自分の周囲より更に内側、自分の身体に纏う形で護る。
他の2つと違い、攻撃に対する防御よりも環境に対する適応という意味での防御が優秀で、バリアジャケットもフィールドタイプに分類する防御魔法である。
○移動魔法
物体を移動させる為の魔法の事。
タイプとしては物体を加速させて移動するものと、空間的に位置情報を置き換えるというものがある。
なのはが使うフラッシュムーブ、フェイトのブリッツアクションは物体を加速させるタイプの移動魔法である。
アリサ達が使う空間転移は空間的に置き換える移動魔法にあたる。
物体を加速させて移動させる魔法は自分だけではなく、他者、他の物質にも掛ける事ができ、この魔法の応用攻撃魔法は多い。
空間移動魔法は同じ移動魔法で非常に高度な魔法で、高い知識と魔力を持った者にしか扱う事はできない。
○飛行魔法
人間が本来行けぬ地上とは離れた場所を移動する魔法の事。
移動魔法に分類される魔法であるが、特別に別項目に分類される。
やり方はいろいろあるが、主に自分に加速力を持たせ、飛ばすというやり方が一般的である。
高速で飛ぶ場合には、空気抵抗などに対して自分を護る防御魔法も平行して使われる。
浮遊だけならば重力加速と等量の斥力を逆方向に向けて自分に掛ける事で浮く事ができる。
飛行魔法は移動魔法の中でも『下の上』程度の難易度であり、魔法の初級の最後くらいに位置する。
基本的に魔導師と名乗る限り、飛行は誰でも可能である。(ただし先天的に飛行不能という場合が存在し、種族によっては不可能な場合もある)
しかし、『飛行』が可能であるのと、『飛行して戦闘』というのは別も問題であり、空戦が可能な魔導師は意外にも少ない。
また、空戦には特殊な訓練が必要で、なのはの様に魔法そのものの存在を知ってから僅か数日で空戦を可能にしたのは『異常』の一言に尽きる。
尚、アリサも天才の部類で、空戦の習得にはさして苦労した覚えが無いので、なのはを見ても驚きが薄かったが、普通の教官が見れば自信を損失し再起不能になる可能性もある。
因みに、恭也が空戦を行っている魔法はあくまで『空中歩行魔法』であり、本来は移動魔法ですらなく、『飛行』とは意味が違う。
その為、地上戦の能力をほとんどそのまま空戦技術に応用できた為、なのはとは別問題である。
尤も、それができてしまう事自体かなり異常なことであったりもする。
更に言えば、本来戦闘には使い様が無い筈の空中歩行魔法で空戦を行う恭也は、ミッドチルダ的に言わせれば『異常』なのである。
○次元転送魔法
空間を渡る魔法の事。
移動魔法に分類されるが、その中でも別物といえる魔法。
移動魔法の項目にもあるが、この魔法は空間的な位置情報を書き換えるとう風な表現ができる魔法である。
機械を使って中継を重ねる事で長距離を瞬時に移動する事も可能。
ただし、完全な瞬間移動ではなく、距離によってある程度移動には時間が掛かる。
といっても、異世界間クラスの距離でも数秒であるが。
時空管理局だけでなく、魔導師の長距離移動の手段として広く使われている。
ただ、単独でこの魔法を扱える魔導師は少なく、基本的に機械を使った移動になる。
転送用の機会は転移装置と呼ばれている。
○結界魔法
空間をコントロールする魔法の事。
言ってしまうと、自分の都合の良い世界を作り出す魔法。
その用途は多岐にわたるが、敵を閉じ込めたり、訓練用の世界を作るなどが一般的になる。
アリサやアルフが使っている封時結界はその場の空間の情報をコピーしてその場とは少し違う、位相空間を作り出す魔法で、結界魔法としては初級といえる魔法で、単純な構造。
これはミッドチルダでは敵対する目標を被害を出してはならない場所から隔離する為によく使われている魔法である。
ジュエルシードが展開した闇の世界も結界魔法の分類され、こちらは世界そのものを作り出したというアリサ達のものよりも遥かに高レベルな魔法である。
結界魔法の究極系は自分だけの世界を表に展開する事で、ジュエルシードが展開した世界もその一つのあり方。
ある意味で、結界魔法こそ『魔法』の究極奥義と言われている。
魔法を分解してしまうアンチマジックフィールドも結界魔法に分類される。
○補助魔法
それ単体では意味はなく、他の魔法、または術者そのものを補助する魔法の事。
主にブースト系と呼ばれる能力を底上げするもの(魔法の攻撃力、術者のスピードなど)や、属性を付与するプラス系と呼ばれる魔法。
ただ、属性変化のプラス系も威力増加を含む場合が殆どで、広い意味では全てブースト系魔法。
一応補助専門の魔導師もいるくらい1つの分野として発展している魔法であり、専門家でなくとも1つ2つの補助魔法を覚えている魔導師は多い。
ただ、普通に戦闘ができる魔導師が補助魔法を使う事はあまりない。
何故なら専門家クラスの精度がない補助魔法の効力は補助魔法を掛けるくらいなら、2人で同時に攻撃した方が強いという事になりがちだからだ。
それに専門家でもないと、補助魔法は基本的に術者かデバイスに接する必要があり、戦闘中にそんな行動に出るリスクを冒さなければならない。
更に、補助魔法によって威力や属性が変化すると反動なども変わってしまう為、事前の訓練が不可欠だ。
そんな訳で、倒すのに特殊な条件が必要な敵が相手でもなければ、補助専門の魔導師以外は滅多に補助魔法を使う事はない。
それでも、ブースト魔法ができる魔導師は、兼業でも1人はいると、状況の変化に対応しやすくなり、覚えておいて損はない魔法でもある。
因みに、なのはと久遠は訓練をしていたし、フェイトもアルフの補助魔法を受ける訓練をしていた。
アリサの場合は、アースラの武装局員の中に補助専門が居る為、補助魔法を受けると言う事に慣れていた。
○幻影魔法
幻を作り出し、相手を惑わす魔法の事。
魔力を変化させ、外見または見た目上のエネルギー量を誤魔化す事のできる魔法である。
攻撃、防御と並び魔法の基本形態の1つといえる魔法だが、実際には使い手は少ない。
簡単な幻影はアリサも使っている様にほぼどんな魔導師でも可能だが実用レベルかと言われるとアリサも実用レベルではない。
専門家になれば全く見分けのつかない分身を作り出す事もできるが、それが動き、攻撃行動をとるとなるとまた別の技術が必要になり、実践で使うには難しい魔法の1つだ。
ステルス系の魔法もこの魔法に分類されている。
リンディやアリサ、フェイト達が一般人に見られない様にする為に使っていた。
魔法技術の無い世界で見つからない様にする為であり、戦闘中までは継続はできないので、あまり高いレベルの魔法ではなかった。
ミッドチルダでも隠れられるほどのステルスは実際の所特殊能力扱いを受けるくらいのもので、恭也のステルスもそれに数えられている。
○儀式魔法
通常の魔法とは違い、デバイスをもっていても術者が詠唱、魔方陣の構築などを行い、長時間かけて完成させる必要のある大きな魔法の事。
複数人数で行う事もあり、地域レベルの天候操作や隕石の召喚などに用いられる形式である。
尚、なのはのスターライトブレイカーや、フェイトのフォトンランサーファランクスシフトは儀式魔法一歩手前の大魔法である。
○AMF(アンチ・マジック・フィールド)
魔力の結合を解除する空間の事。
魔力同士が結合できなくなり、あらゆる魔法が無力化される。
ただ、魔力そのものが消滅する訳ではない。
高濃度、というよりも高密度のAMFになると人が生きる事すらできなくなると言われている。
ただし、このAMFを展開するのも魔法技術であり、濃度には限界がある。
人が生きれない程の密度は理論的にも不可能とされている。
因みに、バリアジャケットも魔法なのでAMFの濃度によっては分解される。
しかし、よっぽどの濃度でなければ術者が直接見につけているフィールドタイプの魔法を完全解除するには至らない。
尚、現在のミッドチルダの技術では、そんな高濃度のAMFは展開、維持する事はできない。
ただ、術者がある程度弱体化していると話は別になる。
また、使い魔を始めとする魔導生命体、つまりは魔力で存在する者達もAMFの内ではダメージを受ける。
尤も、それも相当弱った状態でもない限りダメージとして自覚するレベルになる事はなく、現在のミッドチルダの技術では、使い魔を殺せる程の濃度のAMFを発生させる事はできない。
※原作では『アンチマギリンクフィールド(Anti Magilink-Field)』ですが、この物語では『アンチマジックフィールド』としています。
○魔力光
魔力の発する光の事。
強い魔法を使おうとするとどうしてもでしまう余剰魔力が術者の身体を輝かせるように光る事がある。
また、その余剰魔力を上手く再利用する方法があり、リンディなどは光の翼、HGS能力でいうところのリアーフィンの様に展開し、姿勢制御などに使っている。
この光は各人の魔力によって個別の色を持っており、魔力同様に同じ色が無いと言われている。
理論上は魔力光の色によって個人の特定が可能だが、周囲の光の干渉によって正確な光の色を識別できない為、参考程度のものにしかならない。
○バリアジャケット
魔導師が身を護る為に身に着ける防護服の事。
基本的に自分の魔力で編む服で、フィールド系の防御魔法に属す魔法である。
中にはデバイスの中に素材を格納し、装着時に展開、結合する場合もある。
このバリアジャケットは防御力を高くすると、それに比例して周囲空間への干渉力が強くなり、動き辛くなる。
これを『重い』と表現する事があり、あまりに重いバリアジャケットを着ていると回避運動などに支障をきたす事になる。
尚、バリアジャケットは一応デバイス無しでも展開、装着可能だが、デザインを記憶したり、ダメージを受けたあと修復するのは面倒なので、普通はデバイスに記憶させておく。
複雑なバリアジャケットになるとデバイスがないと作れない場合があり、制御、管理もデバイス任せな場合もある。
因みにアリサのバリアジャケットはミッドチルダでも相当複雑なバリアジャケットで、専用デバイスがないと作れない程。
しかし、それを操り使いこなしているのはアリサ自身の実力である。
○デバイス
いろいろな目的で能力をもった機器の事。
戦闘に使われるものから、日常に使われるものも含めて全てデバイスと言われる。
魔導師がデバイスと言ったら戦闘用デバイスの事で、それ以外は通信用デバイス、などと○○用デバイスと言われる。
ここでは主に戦闘用のデバイスを説明する。
戦闘に使うデバイスの場合、それは魔導師にとって魔法の杖であり、相棒である。
基本的に魔法の術式が内臓され、詠唱や魔方陣の展開を行う魔法を使用する為の補助機関だ。
戦闘用デバイスは大きく分けてストレージデバイスとインテリジェントデバイスが存在する。
ストレージデバイスは単純に魔法を記憶しておく記憶媒体である。
パーソナルコンピューターでいうなら記録と再生だけができるハードディスクだけという感じになる。
単純な構造であるが故、処理速度が速く、安定した運用ができる。
ミッドチルダの武装局員が使っているのは基本的にこちら。
というより、基本的に使われているのはこちらのデバイスである。
インテリジェントデバイスは会話が可能なレベルの高性能AIが搭載されたタイプを言う。
単純に魔法を記憶するだけでなく、ある程度は自分で考え魔法を使う事もできる。
もちろん術者が手に持っている状態で、魔力があればの話だ。
この、魔力さえあれば単独でもある程度の魔法を行使できてしまうという部分が強みであり、緊急防御、緊急回避の魔法などをセットすると生還率が跳ね上がる。
ただし、あまりあまり高度な魔法はデバイス単独では使用できない。
術者との連携がちゃんととれれば詠唱補助も非常に強力で、複雑な魔法も簡単に使う事ができる。
魔法の同時行使や、誘導操作、多重生成などに強い。
ストレージデバイスがハードディスクと例えるなら、こちらはOSの入ったパーソナルコンピューターフルセットというところだ。
単純な計算では導き出せない高いパフォーマンスが期待できる。
しかし、インテリジェントデバイスは優秀なものになればなるほど使い手との連携が取れるか否か、使い手が使いこなせるかが問題となる。
場合によっては互いの能力を殺し合うどころか、道具たる杖に持ち手が振り回されて自滅する事もありえる。
因みに、なのははインテリジェントデバイスを手にした事で、無知の状態から魔法を使う事ができたが、インテリジェントデバイスは決して初心者には向かないデバイスである。
むしろ、初心者は決してインテリジェントデバイスに手を出してはいけないと言われている。
なのはが無知の状態からインテリジェントデバイスを使う事ができたのは、きちんと設定されたデバイスで、能力も制限され、アリサが傍に居て、更になのはが高い才能を秘めていたからである。
いくら良い道具があろうと、僅か数日で魔法を実戦でつかうなど、本来であれば恭也とリンディがとった方法くらいの事でもしなければ不可能なのだ。
インテリジェントデバイスはレベルの低い者を補助できそうなシステムに聞こえるが、実は上級者限定の物だ。
尚、それぞれのデバイスの価値はピンキリであるが、こちらの世界のパーソナルコンピューターを買う程度の感覚で購入する事ができる。
インテリジェントデバイスとストレージデバイスの価値の差は多少あるが、設定調整も自分でやるならばソフトウェアを買う分が上乗せされるくらいである。
ただし、なのはやフェイトが使っているクラスのデバイスは特製で完全なワンオフ機、一品物である為高価だ。(ただ、当然ながら交換部品はちゃんとある)
それでもこちらの世界における戦闘機の値段よりは安く、恭也ならば購入可能という感覚になる。
処理速度に関しては、同じレベルのストレージとインテリジェントを比べた場合、インテリジェントデバイスと術者がどんなに協調していてもストレージの方が処理速度は速い。
AIによる詠唱補助があったとしても、AIがAIとして稼動するだけのリソースが取られている事が大きく、単純な処理速度ではどうしても勝てないのである。
ただ、高度で複雑な魔法、儀式魔法レベルの物になるとインテリジェントデバイスの方が有利になる事もある。
因みに、処理速度を同レベルにしようと思ったら、最低でも1桁、普通に考えて2,3桁上の開発費が必要になる。
その為、ストレージ、インテリジェントのどちらが強いとは一概には言えず、魔導師のタイプによって使い分けられている。
○使い魔
ミッドチルダで使われている魔導生命体を使役する方法と、使役している魔導生命体の事。
その歴史は古く、ミッドチルダに残っている歴史の初期から存在する。
ただ、どうやら外部、というよりもロストロギアから得られた技術の様で、長く使ってきている割に解明されていない部分が多い技術であったりする。
この技術は、動物の死の間際ないし死の直後にその動物の魂と契約を交わし、その契約に則った内容の仕事を代行してもらうというものだ。
主は魔力を常時供給する事と引き換えに、意思を持った自分の代行人を得る事ができる。
基本的に契約時に交わした仕事が終わると契約が解除となり、魔導生命体は無へと帰し、魂も返るべき場所に返る。
契約内容が不服な場合は契約時に断られる事もあるし、契約に無く、使い魔の意思を無視すると使い魔側から契約を破棄する事も可能である。
それをされた魔導師は魔導師としてより人として一生のその事を恥として抱えなくてはならないだろう。
使い魔の使われ方は基本的に短期契約である。
ある仕事の間のお手伝いとして契約する事が多いのだ。
長期の契約をしないのは、使い魔に供給する魔力が魔導師にとってとてつもない負担であるからである。
フェイトとアルフの様に曖昧な契約内容で、しかも一生涯での契約など本来成立もしないし、誰もやろうとしない。
ただ、長期契約の場合、自分に代わって護って欲しい人が居る場合、自分は全く戦えないので護って欲しい場合など、一生涯レベルの長期で使い魔を持つ事が無い訳ではない。
しかし、使い魔総数から見ると少数であるし、時空管理局内では滅多と見る事はないタイプである。
契約した使い魔の性能は交わした契約と主の能力、元となった者が持っていた能力によって変わる。
高性能な使い魔にしようと思うとそれだけ多量の魔力が必要になる。
戦闘型となるとかなりの高性能で、アルフなどはその中でも極めて高いスペックを持っている。
これはフェイトの魔力の高さ、アルフ自身の能力の高さ、そして契約内容の曖昧さが良い方向へ変異して起きた奇跡とすら言える結果である。
ただし、その分供給する魔力も多大で、連戦になると持たない可能性がある。
フェイトもアルフも魔力消費が比較的すくない接近戦タイプのバトルスタイルであるのが唯一の救いと言えるだろう。
使い魔との魔力供給は常にどんな時も行われている。
そして、その供給は距離的に離れても、空間的に隔離されても切れる事はない。
それこそ地球とミッドチルダ本星、結界による分断、ジュエルシードクラスのロストロギアが作った世界による隔離でも供給が止まる事はない。
この部分はミッドチルダでもいまだ謎とされており、いかなる手段をもってしても主と使い魔の間を裂く事はできないとすら言われている。
不明な部分が多いと言ったが、ミッドチルダ的には9割以上解析が完了していると考えている。
だが、一部の研究者はそう思いこんでいるだけで、実はまだ半分も解っていないのではないかと言われている。
尚、使い魔は動物の魂と、契約者の魔力で形作られており、生命と言えるかは微妙なところだが、一応リンカーコアが存在する。
しかし、それは契約者からの魔力を受け取って自分の物にする為にしか使われず、使い魔は食事、睡眠による魔力回復はできない。
食事も睡眠も無意味ではなく、むしろ意思を持つ元動物としては無いといろいろと不都合なのだが、無くても一応存在はし続けられる。
因みに、使い魔は主からの魔力供給で生きており、飢えで死ぬ事はないが、それ以外ならば殺せば普通に死に、その場で消滅する。
契約内容に関わらず、最低限自分の生命活動を維持する事は必要なのである。
余談だが、使い魔の技術がロストロギアによってもたらされたという根拠は、何故か異世界にも根本が全く同じと言える技術が数多く存在する為である。
研究者は、同じロストロギアによって多数の世界に同じ技術がもたらされたのではないかと推測している。
○魔導生命体
身体が魔力でできている生命体の事。
ミッドチルダが確認した限りでも極めて数の少ない存在で、生命と呼ぶにしては生殖及び増殖をする事がないものが多い。
こちらの世界で言う所の霊、精霊、妖魔、妖怪などは天然の魔導生命体と言える。
固定された肉体を持たないので、身体の形を自由に変えられるのが特徴で、単純な物理攻撃では殺せない場合もある。
使い魔も魔導生命体であるが、魔力でかりそめの肉体を作り上げているので、人型であれば人とほとんど同じ機構で生きている。
ただ、使い魔の場合、契約主の魔力依存の存在である為、生命と呼ぶ事に関して未だに議論がなされている。
○次元震動
その次元そのものが揺れ動く様な感覚で乱れている状態の事をいう。
特大規模なものになると惑星をも飲み込み、破壊してしまう場合があり、それにともなってその銀河系全体の危機へと繋がる事もある。
いろいろな偶然が重なっておきる自然発生といえるものもあるらしいが、基本的に特定のロストロギアが起こす災害である。
小規模なものならば人間の手で起こす事もでき、逆に止める事もできる。
その次元、空間への干渉、つまり結界魔導師であればそれが可能であり、リンディは小規模ないし、初期段階の次元震動ならば完全に止める事が可能だ。
○ロストロギア
異世界遺失物、古代遺産、要は、既に失われた文明の技術によって作られた物の事である。
ロストテクノロジーの結晶とも言える。
既に失われている文明の、解読が難しい高等技術で作られた物なので、本来安全なものでも最初は全て危険物扱いされる。
中には今でも自律活動しているものもあり、世界に破滅をもたらすものすら存在する。
そう言った危険なものは時空管理局で捜査、封印が行われている。
尚、物によっては、回収、解読され、有用ということで一般にまで普及したものもあるが、大半は封印されっぱなしである。
このロストロギアの回収封印は時空管理局の仕事の一つでもある。
ロストロギア=危険物ではなく、解析が完了したら一般にもその技術は流用される。
また、量産は不可能でも使える物は一般で取引される事もある。
○ジュエルシード
本来エネルギーとしては扱われない心の力を代償として願いを叶えてくれる蒼の宝石。
総数は21個で、統括管理するマスタープログラムが存在する。
本来は強い想いの分だけ、願いを叶える為の力を貸してくれるだけの物で、代償を強制的に周囲から搾取するような物ではなかった。
悠久の時の中で人の堕落した願いによって穢れ、呪われてしまい、願いの叶わなかった者の怨念によって操られ破滅の石になっていた。
製造した文明は不明で、既に失われたと考えられている。
現在、]Vが恭也のセイバーソウルの一部となり、[と]Zがレイジングハートとバルディッシュの中にある。
○ミッドチルダ
この世界とは違う異界の世界の事。
この世界よりも遥かに高い科学技術と魔法技術が平行して存在し、進化した世界。
住んでいるのはこちらの世界の人間に限りなく近い種族で、こちらの世界の人間よりも少し全面において進化した者達である。
宇宙を航行する技術を超え、次元を渡る技術を持ち、多数の世界と共存している。
大昔に一度滅びかけ、多くの技術を失った後、復興したという経緯を持っている。
○時空管理局
ミッドチルダで創設された組織の事。
この世界で言うところの警察や裁判所、更に軍といった多数の意味、権限、力を持った組織で、数多の世界を見守っている。
なのは達との出会いはロストロギアたるジュエルシードが切欠であるが、ロストロギアの探索、回収はその仕事の一つにすぎず、末端ではもっと身近な部分で仕事もしている。
警察にもにた機構もある為、治安活動なども仕事の一つである。
また、構成員全員が魔導師と言う訳でもなく、武装局員という高い武力を持っているアースラは特殊部隊とすら言える。
因みに、ミッドチルダ本星には警察、軍、裁判所にあたる機構は他にも存在するし、ロストロギアの探索などは民間企業でも行う場合があり、時空管理局だけが持っている特権というものは無い。
時空管理局がこれほどの権限と力を持っているのは、次元を渡った先で仕事をする為である。
○アースラ
時空管理局が持つ巡航艦の一つの事。
あらゆる場所、地上でも宇宙でも亜空間でも航行する事ができる艦船。
あくまで移動拠点であり、機銃程度の武装すらない。(オプションで付ける事はできる)
ただし、武装局員を10名と破壊活動に限ればエース級1名、万能エース級1名、将来有望な準エース級1名が搭乗。
極めつけは準エース級の魔法を軽くコピー応用し、結界魔法のスペシャリストである艦長にして提督が指揮を執っている為、武力は極めて高いと言える。
付け加えて言えば、そんなメンバーにもまれているので、武装局員の錬度も高い。
因みに武装はないが、リンディが艦長である事もあり、バリアシステムは超が付くほどの頑強さで、障害物を破壊しなければならない場合は、バリアを展開して押し通るなどという手段も使われる。
時空管理局でも一目置かれている艦(というよりも搭乗するチームの事)であり、アースラを投入すれば『方法はどうあれ』とりあえず解決はしてくれる、と言われている。
リンディが艦長なので、基本的に穏便で平和的に解決するのだが、どうしようもない時はセレネが全てを消し去って解決してしまう為こう言われている。
○時の庭園
テスタロッサ母娘が最後に過ごした住処の事。
安全が確認されたロストロギアを動力としてもつ移動庭園であり研究所でもある。
高出力で半永久的に使えるロストロギアの動力は市場に出回っていたもので、それをくっつけた庭園で、庭園そのものはミッドチルダの物。
ただし、遺跡レベルの古さで、かなり赴きのある造りになっている。
尚、現在は時空管理局に証拠品として没収された後、また市場に出て、その後の行き先は不明になっている。
○バッテリーシステム
ミッドチルダとはまた違う異世界ベルカにあった魔法技術、カートリッジシステムの下級応用品の事。
単発使い捨てのカートリッジシステムを常時充填、使用を切り替えられるシステムで、ある程度魔力出力を補助する事ができる。
ただし、システムが嵩む割に効果が低く、セレネなどの特殊な理由が無い限り使う事はない物である。
これを使うならカートリッジシステムの方が良いという意味もある。
恭也の場合、ダークネスライダーにおける足場構築と、バリアジャケット維持に使っている。
○異世界調査船団
ミッドチルダではロストロギアとして扱われる謎の飛行物体の群れ。
ロストロギアが暴走するとその姿が確認される事があり、一定期間周囲を観察するように飛び、去っていく事からそう呼ばれている。
一応、その命名の中には、既に滅びたどこかの異世界が作った監視装置ではないかというのが有力な説であるからというのもある。
しかし、現在のところろくな情報がない為、その説を裏付けるものが無い。
何せ、出現するのはロストロギアが暴走を起こした場所であり、殆どの場合、調査船団に構っている暇などないのだ。
そして、捕獲しようとした事もあるが、調査船という名には不釣合いな程の戦力があり、欠片を手に入れるのでせいぜいだった。
尤も、ちゃんとした戦闘準備をして、捕縛作戦を遂行できた事もなかった。
しかし、アースラが大規模な部隊と接触すると共に戦闘までしたことで今までに無い情報を得る事に成功する。
まず、飛行物体は主にどこかの世界の動物をモデルにしているらしいということ。(今まで目撃されたのは遠すぎて影程度だったりしたのでハッキリした事は解っていなかった)
また、アースラと接触した時に存在したタイプの能力の一部も判明した。
大鷲タイプ:その外見通り高速飛行で牽制、攪乱を担当する。
また、その翼を放って攻撃する事もある。
狼タイプ:その形状から陸戦も想定されている思われる主力。
主に突撃と噛み付きといった見た目通りの単純な攻撃しかしてこないが、その単純さ故に強力で、遠距離攻撃で迎撃するくらいしか対処しようがない。
このタイプは集団戦闘を得意とするらしく、囲まれた時は脅威である。
シャチタイプ:空間をもぐって泳ぐ様に移動する奇襲用と思われる個体。
レーダーに映らないのではなく、レーダーを見るものが見落とすという概念の違うステルスを使用する。
特に乱戦となって時には驚異的な性能で、いつの間にか周囲に出現し、奇襲を受ける事になる。
ただ、そのステルス概念のせいか、1度の戦闘では1度しか効果は無い様だ。
しかし、この個体は防御力が高く、攻撃方法は突撃しかないものの倒すのは難しい。
また、特殊移動は体内に他者を入れて一緒に移動する事も可能である事が解っている。
竜タイプ:指揮機と思われる機体。
全体の指揮を執り、更に部隊全体からエネルギーを収集、集束し凶悪な程の射程と威力を誇る砲を放つ事もある。
また、見た目通りの巨大さと強靭さを持ち、他の個体とは全く別物と考えていい。
更に、部隊が全滅しかけた時、味方機が自爆する際に残したエネルギーを利用した砲を放つ。
以上の事が解ったが、自爆などにより得られた情報は少なく、またこれだけという可能性の方が低い。
また、竜が残した最後の言葉により、調査船団としての名はどうやら正しかったという見解が広がったが、まだまだ謎が多い存在である。
現在時空管理局では再び調査船団を見かけた時にどう対応するかを検討しているところである。