〜あかん、私の性に合わんわ……〜
神尾晴子、マリオネットB型を行動不能にして


〜………………進呈〜
遠野美凪、工場のシステムの殆どをダウンさせて


〜女は度胸にハッタリと、少しの勢いだ〜
霧島聖、エリアKの軍人に詰問されて





  
 
神の居ないこの世界で


→戦うお姉さんは好きですか? 晴子、お前さんは年齢を考えた方が良い。






 祐一たちが突入をしてから少しした位の同じ位置。

 4機のHドールがその場を歩いていた。

 もちろん、侵入してきた外敵を排除すべく既にマリオネットのB型が動き始めている。



「あかん、重たすぎる」

『お、お母さん。それは由紀子さんに失礼だと思うよ?』



 何故かONEの由紀子から送られてきたショットガンをぶっ放しながら晴子は不機嫌そうに呟く。

 大型の武装が無かったのでしょうがなく使っているという感じの晴子。

 観鈴は慌てて、フォローの言葉を述べる。

 しかし、それでも晴子の表情は優れなかった。



「でもな、観鈴。銃身が長すぎる」

『でも、つめちゃうと威力落ちるよ……』

「確かに、威力はありすぎや。合格点、うん、ええやん」



 どこか馬鹿にしたような言葉でもう一度、銃をぶっ放す。

 直撃を喰らったマリオネットB型の下半身が綺麗に吹き飛んだ。

 それでも、動きを止めないマリオネットに往人が止めを刺す。



「それでも、機体が振り回されとる。排莢が遅い。あかん、これは……好きになれへん」

『目的地に到着します。観鈴さん、爆破の準備を』



 美凪の落ち着いた声が晴子の愚痴の合間に入り込む。

 晴子は愚痴を一旦やめて、試験に集中すべく意識を切り換える。



『さて、もう一頑張りか?』

『……まだです』



 美凪は機体を真横にスライドさせて、B型の銃撃を避ける。

 銃弾を放ったB型は黒い煙を機体から吐き出していた。

 右肩辺りに銃弾の後が見える。



「なんや、祐一がちょっかい出した奴かいな」

『なんだか不満そうだな』

「祐一も素直や無いねー」

『でも、楽な事は確かだ』



 往人の烏が持つスタンレイピアの細い刃先が装甲と装甲の隙間に滑り込む。

 その細い刃先は機体の隙間から内部に入り込んだ。

 バチンと言う音がして、敵機の動きが止まる。

 そして、事が済むと素早く移動を開始。

 次の獲物を探して動き回る。

 動きの止まった敵機に晴子が近い距離から機関部を狙って例のショットガンをぶっ放した。



『さすがに、装甲の内側までは絶縁処理をしてないからな』



 絶縁処理の想定は装甲の上からしかしていない。

 だから、比較的少ない電流ですぐに相手の機体の動きを封じ込める事が出来た。

 動きが止まり動かない敵機を無視しながら先へと進む。

 往人が動きを止めて、晴子が止めを刺す。

 もしくは晴子が仕損じた敵機を往人が行動不能に追い込むという形が出来ていた。

 支援型の2機は戦闘には未だに参加していない。

 しかし、敵機の攻撃は器用に避けて回っていた。

 その、4機の目の前には大きな建物の壁が見えてきた。



『お母さん、往人さん、目的地に着いたよ』

「周りは任せとき。しっかり守ったるわ」

『あぁ、作業に集中しろ』

『手伝います』

『ありがとう、遠野さん』



 美凪の星の砂と観鈴の恐竜さんが壁の一部が突っ張り、通信ケーブルを一括で纏めている場所に水素爆弾を仕掛け始めた。

 恐竜さんのバックパック部分から水素燃料のカプセルが取り出されていく。

 2機が手分けをして、それを丁寧にそして、綿密に仕掛ける。

 彰雄の資料にあった建物の概要図で、一番通信関係の重要度の高い場所を選んできた結果である。

 祐一と舞が先に乗り込むその途中に有る通信施設。

 流石に1箇所を爆破しただけではどうにもならない。

 ここが重要なのには訳が有った。

 まず、衛星通信の出来る施設が有る。

 そして、他には旧式のケーブルが集中していた。

 旧式と侮る事は出来ない。なぜなら単純な物ほど妨害や破壊等に強いからだ。

 逆を言えば、内側のソフトを破壊してこの場所を物理的に破壊してしまえば通信はほぼ遮断できる。

 確かに他にも衛星通信の出来る施設は2箇所ほど有る。

 しかし、衛星通信をするには通信のソフトが万全で有る必要が有るからだ。

 通信のソフトが万全でなくでも旧式の物ならば通信が出来る可能性が残る。

 だから、ここを選んでいたのだ。

 一箇所を爆破する事で効果的に相手の耳を破壊するために。

 流石に、ドールについている無線にまでは影響は出来ないがそこまで望むのは酷と言う物だろう。



『さっきから来るのはどこかに銃弾を受けた奴らばかりだな』

「祐一、もしくは舞のどっちかやろ?」



 ショットガンの長い銃身を棒に見立てて晴子はそれを振り回していた。

 まるで刃の付いていない槍を扱うように、遠心力を付けて近づいてきたドールを殴る。

 銃よりも使いやすいと言った感じのそれは往人を呆れさせた。



「お!? ええ事、思いついた」



 晴子はおもむろにショットガンに弾丸を装填する。

 弾丸を装填した後に同じようにそれを振り回す。

 そうすると、装填された弾丸は銃身がマリオネットに当たった拍子に暴発した。

 後ろに居た往人が慌てて避けの動作に入ることでどうにかそれを避けきれた。



『ア、危ないからやめろぉ!』

「ごめん、標的間違えたわ」



 かなり慌てた声の往人に晴子はあっけらかんな声を返すのみ。

 往人は少し泣きが入っている。



「おふざけはここまでにして、真剣にやろか」



 晴子の声の質が変わった。

 本気のスイッチが入ったと往人は少し安心する。

 もし、この場に由紀子がいたのなら間違いなく言い争いになるのは目に見えていた。

 もっとも、この場には由紀子がいないので言い争いにはなるはずもないのだが。

 藁藁と寄ってるドールを相手に晴子と往人は奮戦するのだった。



『うん! 出来たよ!』

『後は遠野だけか?』

『はい、後は私が内部をクラッキングしてお終いです』

「よっしゃ! ちゃっちゃと終わらせよか!」



 美凪の星の砂が近くの人用の端末の前で膝まづき、両手の内側を端末に向けた。

 手の内側から人の手サイズの隠し腕がでてきて、端末のキーボードをものすごい速さで叩き始める。

 観鈴は空になったバックパックユニットを切り離し、水素爆弾の付近に設置する。

 これで、爆破に巻き込まれて証拠になりえなくなると考えての事だった。

 最も、バックパックユニットは切り離す予定だったので、それ単独があっても証拠に成り得ない様に注意は払ってあった。

 念には念を押してというのが正確なところかもしれない。

 ちなみに、晴子用の水素燃料はまだ、機体の空きスペースに十二分に確保して有る。



『……10分、いえ、7分猶予をください』

「了解やで。では7分間の戦闘や。しっかりやろか!」



 星の砂を守るように2機が前に布陣する。

 観鈴はその2機に隠れるように、星の砂の前に布陣した。

 周りにはスクラップになっているドールがそれなりの数が有るがそれでも落ち着ける要因にはならなかった。










▲▽  ▲▽  ▲▽  ▲▽  ▲▽
 4人に着せた新しいパイロットスーツのデータを得る為。  そして、星の砂から送られてくる情報を解析するために、佳乃、聖、みちるの3人は指揮車で戦場近くまで来ていた。  近くと言っても比較的近くと言ったほうが正しい。  例え敵に補足されても、レーダーの端に映るはずも無い距離であった。 「ふむ、問題なしだな」 「うん。良いデータが取れてるね」 「みちるくんのほうはどうだね?」 「うにゅ、問題無いよ」  突然、軍隊らしき男の声が指揮車のスピーカーを震わせた。  当然、皆がそちらの方向を向く。 『所属不明の不審車両に告ぐ。ここは戦闘地域である』  聖は咄嗟に、皆に声を出さないように合図を出した。  そして、手話で話し始める。 (落ち着け) (お姉ちゃん、どうするの!?) 『警告する。今は戦力に余裕が無い為に見逃すが、すぐにこの場から撤退してもらいたい』  みちるは何をしているのかわからずにとりあえず黙って2人が行なっている動きを見ていた。  佳乃と聖はなおも手話を続ける。 (私に考えが有る、交渉するぞ) (待って! データは十分なはずだから、一旦港に戻ろうよ) (何を馬鹿な事を。晴子さんたちの為でもある) (どういう事?) (まぁ、見てろ)  聖はみちるにまだ黙っていろとと再び合図を出して、マイクを手に取った。  そして、軽く息を吸い、喉の調子を整える。 「エリアKの軍隊の方々。通信の回線を開いて欲しい」  一瞬の静寂がその場を包み込む。  が、すぐに通信の回線は開かれた。 『まずは何者か、明らかにしてもらおう』 「我々は平定者だ」 『平定者? 何だ、その集団は』  相手が自分達に興味を持ったと聖は知って内心ガッツポーズをとる。  そして、気持ちを引き締めて交渉の形に持ち込み始めた。 「そう、非人道的な研究の撲滅を願う集団だ」 『馬鹿な、そんな集団の確認などされていない』 「我々が表に出ることは殆どない。何故なら大抵我々の要求はエリア内で内密に処理されるからだ」  ここで、一旦会話を区切って聖は息を吸い込んだ。  そして、息を詰めて聖を見ている2人に微笑みながら続きを話し始める。 「今回は特別なのだ」 『どういう事かな?』 「あの施設はkanonの施設だが、実際には神々の尖兵の拠点である事は知っているかね?」  口から出た出任せ。  根拠の無い物だがそれでも相手を納得させるだけの勢いを持って聖は続ける。  その声は自信を持った声だった。 『……』 「我々も企業にも内密に接触を持つが今回は相手は指定されているテロリストだ」 『……何が言いたい?』 「察してくれたまえ」 『……』 「我々とて、実力行使であることは本意では無いのでね。ましてや、エリアの軍隊とやりあうつもりは無い」  どうやら言っている事はあながち間違っていないという感じで聖は内心胸を撫で下ろす。  聖としては本当に出任せで襤褸が出たらすぐに撤退するつもりでいた。  話が繋がっていると確認しながら聖はもっとも大切な事を切り出した。 「共同戦線を張ってもらいたい。お互いに目的は一緒なのだ悪くは無いだろう?」 『目的が一緒だと?』 「あぁ。微妙に違ってはいるが、我々は研究成果の消去だ。そして貴方達は彼らの殲滅だろう?」 『目的が一緒では無いな』 「貴方達は彼らの研究に興味が有るのかい?」 『……上官の指示を仰ぐ事になる。少しばかり待ってもらえないか』 「了解した。色よい返事を待っている」  回線を一度切って聖はふぅっと息を吐いた。  佳乃とみちるが尊敬の眼差しで聖を見ている。 「お姉ちゃん。すごいね」 「うん! なんで、攻めてる先が神々の尖兵だと知ってたの?」 「うん? 全部、出任せ嘘八百だ」  面白く無さそうな表情で答える聖。  はぁ? っと言った表情で固まる2人組み。  聖はそのままの表情で続ける。 「駄目なら撤退するつもりだったのさ。でも、言ってたことはあながち間違いが無いみたいだな」 「もしかして……もの凄い綱渡りだったのかな?」 「うにゅ……命知らずがここにいる」 「失礼な……うまく行ったから良いではないか。もっとも、まだ結果は判っていないがな」  相手の返事が帰ってくるまで重苦しい緊張を強いられる。  それは胃に悪い感じだった。  重苦しい顔をする佳乃にみちる。  聖だけが何も緊張して居ないような顔だった。  再び、スピーカーを震わせる雑音が入ってくる。 『平定者の代表よ、話しを聞いてもらいたい』 「こちら平定者だ。内容は何かな?」 『はじめまして、エリアK西部基地司令、天野哲雄だ』 「これは丁寧に。こちらは組織の性質上、氏名を明らかに出来ない。ご容赦していただきたい」  聖は顔に薄らと笑みを浮かべて、それに対応している。  佳乃とみちるはそれを胃の痛い思いで見ていた。 『了解した、それと今回の申し受けは受け入れる。これより貴殿らの部隊と共同戦線を取ろうと思う』 「ありがとうございます」 『我々としても神々の尖兵は放っておくわけには行かないのでな』 「しかし、司令。我らの部隊は既に仕掛けているのです」 『そうか、ならばそちらの機体の特徴を教えてもらいたい。こちらからは攻撃しないように徹底させよう』 「判りました、すぐに特徴のデータをそちらに送ります」  聖は佳乃に手話で問題の無い外見データをみちるにチョイスさせろと指示を出す。  佳乃はそれに素直に従った。  みちるに耳打ちをして、データの準備をさせる。 「我々は目的を果たし次第速やかに撤退しますが、共同戦線はそれまででよろしいですか?」 『こちらとしては、敵の数が増えなければ問題ないのだ』 「寛大な処置、感謝します」 『こちらはそちらのデータが届き次第、行動を開始する。以上だ』  そうして通信が途切れた。  それと同時にみちるが問題の無いデータを送り始める。  選ばれた画像データはAir製の4機。  YAタイプ2機に関しては、特徴のみを載せた即席のデータを送っていた。  聖は安心のため息を一息吐いた。 「これで、我々は少なくともエリアKの軍勢からは攻撃されずに済む訳だ……」 「でも、お姉ちゃん。何で今頃エリアKの軍勢が行動を起こしてるんだろうね?」 「わからん」  エリアKの軍勢に通信を送り終えたみちるが、起こった事の顛末を星の砂に送る準備をしている。  聖はそれを見て、送ってやれと言ってから深く備え付けの椅子に座り込んだ。  その表情は疲れているが、それでも満足している表情だ。
▲▽  ▲▽  ▲▽  ▲▽  ▲▽
 その頃、美汐達は不思議な集団と遭遇していた。  やけに赤い塗装の機体が暴れまわっている。  その後ろを飛び跳ねる見たことの無いタイプの機体。  そしてさらに後ろに配置された2機の支援型らしき機体の集団だ。  支援機のうちの一つは壁に向かって何かをしているのがわかる。 「あれはエリアKに配備されている物とは違いますね」 「見たこと無いわよぉ」 「見たところkanon製でも有りませんし……」 「通信してみる?」 「その価値はありますね」  狭苦しいコクピットの中。  美汐と真琴は仲睦まじく会話を成立させる。  ちょっと真琴が体勢的に辛そうな顔をしているが。 「もしかすると、祐一さん達かもしれませんし」 「でも、そうじゃないような気がする……」 「まぁ、声をかけてみても問題は少ないでしょう」  そう言って美汐は通信機のスイッチを入れる。  そして、張りの有る声で声を発した。 「もし貴方達にこの通信が聞こえているなら答えていただきたい。貴方達は何者ですか?」  晴子達は晴子達で、仕掛けてくること無い片腕の機体を持て余していた感があった。  どう対応して良いか解らないと言ったほうが正確であろう。  レーダーには映らないが、視界の端に居る機体。  先ほど聖より通信が入り、エリアKの軍勢が入ってきていることを知ったばかりだ。  もしかすると、エリアKの軍勢かもしれないっと、とりあえず手を出さない事にしていた。 『我々は平定者や、エリアKの軍とは共同作戦という名で好き勝ってやらせてもらっとる』 「私は敵ではありません。何故なら、神々の尖兵ではありませから」  その一言に、少しだが、安心した空気が流れる。  晴子達にも、美汐達にもだ。 「あぅー、祐一じゃなかったの?」  美汐が話そうとする前に、真琴が情けない声を上げた。  もちろん通信をしている最中なので通信機の電源は入ったままだ。  筒抜けのように、晴子達にもその声が届く。 『何だ、祐一の知り合いか?』 『そうみたいやね』 『あれ? でも何で一つ機体に2人も乗ってるんだろう?』 「話すと長くなるので端折りますが、一つの機体が大破したので2人で一つの機体に乗っているのです」  とりあえず敵では無いと知って美汐のファントムを4機の近くに配置させるべく機体を動かす。  そして、近くなってからようやく美汐と真琴は一息をついた。  1機、それも片腕の機体では2機に取り囲まれただけで、逃げるしか選択肢がなくなってしまうからだ。  それも逃げ切れるなら運が良い。  囲まれた時点で決死の覚悟をしないといけない。  それが無くなっただけで美汐と真琴の2人には少しの余裕が戻ってくる。 「祐一さんは今どこに居るのですか?」 『多分、あの中や』 「そうですか……」  先ほどまで中にいた建物を指差されて美汐は少し落胆をする。  真琴はそれを感じつつも次なる疑問を口にした。 「あぅ……祐一は判ったけど舞は? 一緒じゃないの?」 『舞も祐一と一緒にあの中ちゃうんか?』 「そうなんだ! 良かった!」  狭いコクピットの中で喜びを表そうとする真琴。  美汐もつられて口の端が緩む。 「すいませんが、この後はどう行動するのですか?」 『決まってるやん。祐一達を待つんよ』 「それに私たちともう一機を加えてもらえませんか?」 『……ちょっと相談させてもらおか?』  通信の回線が途切れ、美汐と真琴はちょっと不安になる。  退路を確保すると言っても敵の少ないルートを見極めるくらいしか今の機体では出来る事が無かった。  そんな事を考えている2人を差し置いてAirの4人組は相談に入る。 『敵という可能性が棄てきれない』 『うーん、どうなんだろうね? でも祐一さんと舞さんを知っているんだから……』 『たまたま知っているちゅう事も考えられるわけや』 『……みちるに聞きます』  星の砂に搭乗している美凪が、通信文を作ってみちるに送る。  しばらくしてその返事が返ってきた。  舞のプロフィールと舞の居た部隊の簡単な概要と共に。  これは彰雄のデータ(以前、晴子が祐一に手渡した物)の中にあったものを切り抜いて作られたものだった。 『なんかええ考えでもあったんか?』 『川澄さんのプロフィールと居た部隊のを聞けば良いんです』 『それで少しでも不審な点があったらどうするの?』 『申し出拒否だろ』 『途中おかしな行動をしたら、すぐに攻撃すると付け加えれば問題無いと思います』 『そやな。ではそれを聞いて、一人を見張りに付ける、それでええな』  晴子のその言葉が決定打だった。  皆が頷き、意見が纏まる。 『すまんが、あんた達……えーっと?』 「天野美汐です」 『まぁ、ええわ。美汐って呼ばせてもらうさかい』  晴子は素早く、星の砂に向かって合図を送った。  その意味を汲み取った美凪は美汐の言うこととデータのすり合わせを開始する。 『ちょっと、説明して欲しい事が有るんや』 「なんでしょうか? こちらも敵では無いと証明しなくてはいけませんから……不審な事をしたのなら撃って貰っても構いません」 『なんや、なら話が早いわ。これからゆうことにちゃんと答えてもらいたいんや』  晴子は手早くそして、簡潔に複数の質問を真琴と美汐それぞれに質問する。  真琴は少し戸惑いつつもそれに返事して、美汐はそれにちゃんと答えた。  少し思案した時間が開いた後に晴子は言う。 『まぁ、えぇやろ』 「良かった……ではよろしくお願いします」 『こちらこそよろしく頼むで』  そう言って、移動を開始する4機。  美汐と真琴はそれを困惑した行動で見ていた。 「あの、どちらに行くのですか?」 『晴子、説明が抜けてるぞ』 『そうやった。今から祐一達との合流ポイントに移動するんや』 「あぁ、そうなのですか」  納得した美汐は機体をAir製の4機に遅れないように走らせる。  そして、その位置から結構外れた場所で話題が変わった。 『そう言えば、天野達から見てあの場所はどんな感じだったんだ?』 「え? 通信施設の集中した所でしたが?」 『そうか……』 『……………ポチッとな』  美凪がそういうと同時に凄まじい爆発音が背後でする。  大きな火柱がその視線の先に立ち上がっていた。 「え?」 「あぅ?」  呆気にとられてそれを見つめる2人。  晴子もちょっと渋そうな表情を作った。 『あかん……エネルギーが切れそうや、補給頼むわ』 『うん』 「あ、あの、あれについて説明をお願いしたいのですが……」 『あぁ、祐一と舞の頼みで通信施設を破壊してたんだ』  恐竜さんが晴子の赤いモンスターに水素燃料を補給している。  そのために進行が止まったのを見計らって美汐は質問を発していた。  それに答えたのは往人だ。 「しかし、あの施設の破壊だけでは多分無理ですよ」 『そんな事は判ってる。だから内面まで手を出してたんだ』 「ソフトの破壊までやってのけたんですか!?」 『あぁ、プロフェッショナルが一人、うちに居るんだ』  あんぐりと開いた口が塞がらないと言った表情の美汐。  真琴も何が凄いのか解らないが、驚いた振りをしていた。 (この言葉、信じるしかありませんね。私たちを騙しても何も良いことありませんし) (あぅ〜、美汐は何に驚いているんだろう?)  未だにトップのONE及びAirに追いつけないこそ、kanonとて一流の企業である。  そう簡単に突破できる構造のデータベースなどを構築はしない。  だから、短時間でデータベースの内に有るソフトの破壊をやってのけたという言葉が凄いと感じられるのだ。 (それに確信的な言い方、嘘だとは思えません) 『補給完了だよ』 『よっしゃ。合流ポイントまで移動しよか』  水素燃料の補給が終わり、晴子はメーターを確認する。  それには燃料が満タンにまで入っている事が表示されていた。  再び、進行を開始する。 「……凄い集団ですね」 『もちろんや、私が自慢する連中やから』  自信の有り溢れる声で言葉を返す晴子。  その言葉を頼もしく感じつつ、美汐と真琴は素直にそれについて行く。  見張りに確かに往人の烏がついているが、それも気にならないくらいにその集団を信用していた。 To the next stage
 あとがき  次こそは……主人公で有る祐一君を描きます。なんだかえらくご無沙汰している気がします。  多分気のせいじゃないと思いますが……頑張りますと言いますか、せめて格好が悪くないように書きたいです。  時間軸が前後しまくっていると思いますが、とりあえず書きやすいところから書いていった結果ですね。  キャラ達でぽんぽん場面を区切って書いていっているせいでも有るんですが……  ともかく、これからも頑張りますのでよろしくお願いしますね。ゆーろでした。

管理人の感想


 ゆーろさんからのSSです。
 晴子さんが方の完勝ですね。  雑兵ごときは物の数ではないという事でしょうか。  出てきた時と比べるといいとこないなぁマリオネット。(笑
 美汐&真琴が合流。  後に佐祐理も来るようですね。  会った時の祐一の反応が気になるところです。  前回の秋子さん含め、徐々にですが祐一の個人的に動かせる面子が集まってきたように感じます。


 感想は次の作品への原動力なので、送っていただけると作者の方も喜ばれると思いますよー。

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