緊急声明 ノー・ウォー美術家の集い横浜 事務局通信/2020年1月10日

米国よ、戦争するな!
日本政府は憲法を堅持して平和に尽くせ!

1月3日、米国がトランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をドローン(無人 機)で殺害したことに対し、イランは1月6日、報復として米軍が駐留するイラクの2カ所の基地に 対して弾道ミサイル数十発を撃ち込んだ。これによって中東情勢は一気に緊張を高め、国連事 務総長が「新たな湾岸戦争」と懸念するほどの事態に至っている。トランプ大統領・米国防総省 はイランのソレイマニ司令官の殺害を「米軍や国民の安全を守る為の先制攻撃」と説明している ことに、米国をはじめ世界各国・各地から「国連憲章をはじめ国際法に反した暴挙」とした厳しい 批判が巻き起こっている。

想起しなくてはならないのは2003年3月にイラクの大量破壊兵器保持を口実に、アメリカ主導の 有志連合で繰り広げられた対イラク戦争である。世界に広がった反戦の声を押し切って開戦され たが、口実となった大量破壊兵器は発見されず、中東を代表する国の一つイラクの崩壊、100万 人を超えると言われる民間人の犠牲、残されたのは中東全域で今も続く凄惨な武力衝突と混乱 である。今回の事態に各国が戦闘の拡大を懸念し、アメリカの軍事力を正面に掲げた覇権的姿 勢に批判を繰り返しているのは、この悲惨なイラク戦争(古くは朝鮮戦争、ベトナム、アフガンも) を見てきたからである。

顧みて問題なのは日本政府の姿勢。安倍首相は「緊張緩和に向けて外交努力を尽くす」と述べ るものの、この問題の原因である、世界が評価したイラン核合意からのトランプ政権の一方的離 脱とその上でのイランへの「最大圧力」、対イラン「有志連合」結成の呼びかけには一切触れず、 アメリカのソレイマニイラン司令官殺害への批判もしない姿勢である。

2003年に始まったアメリカ主導のイラク戦争に向き合った私たち「ノー・ウォー美術家の集い横 浜」は、アピール=@(国際紛争は)国連による平和解決を強く望む A日本政府は平和憲法の精 神を発揮し、国際社会において戦争に頼らない問題解決に全力をあげることを求める B国民の 権利を奪い戦争に引きずりこむ有事法制、メディア規制などに反対する―の3つを掲げてきた。

アメリカの覇権的暴挙によって生み出された今日の新たな戦争の危機を前に、再びこの3つを 高く掲げなくてはならないと強く思う。世界、日本各地でわき起こっている、中東での戦争を許し てはならない!日本政府は憲法の精神を堅持して全力をーの声を大きく広げよう。
美術・文化は戦争と両立できないことをしっかり心に刻んで。
2020年1月10日 ノー・ウォー美術家の集い横浜__