高野 るり


車椅子の青年とハプニング (エッセーよりい抜粋)
                               高野 るり

とても寒い日、浦和で野外イベントがあった。
そのとき、頭を長髪にして車椅子に乗った青年が、私の歌を聞くために
長い間、寒い中を待っていてくれた。

そこへ、ヤクザらしい男が二人、私が歌いだすと同時にケンカを始めた。
車椅子の青年が「彼女の唄を聞きたいから静かにして」と言いに行った。
するとヤクザ風の男は「カタワはすっこんでろ」と言った。

私はその言葉を言わせたくなかったので、必死になってヤクザ風の男前に
立ちはだかって、小さな闘いは止めて、と歌い続けた。でも彼を傷つける
言葉を相手が吐かないうちに止めることはできなかった。
それでも車椅子を倒されたら困るので、男たちのまん前でマイクを持って
歌い続けた。
やっと誰かが男たちを連れ出してくれた。
友達が「歌で戦っていたね」と言った。
       1970年

美術評論家のヨシダ・ヨシエ氏から  



作品タイトル
 1 新国立美術館で会場パフォーマンス

 2 自作の人形を書かかえて

 3 展覧会場で



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