美術・九条の会 事務局通信(2006年5月24日)

731部隊のシンボル煙突
悪 魔 の 飽 食 7 3 1 部 隊

もっと広がれ九条の輪!「かながわ県民のつどい」が、
5月20日(土)、九条かながわの会主催、横浜文化体育館で開かれた。 作曲家・池辺晋一郎さんと作家・森村誠一さんの対談は、戦争中に 中国で残虐な生体実験をした「731部隊」の写真を多数見せながら それを告発した。右の写真はその部隊のシンボル、ボイラー室の 巨大煙突(配られた資料より転載)。

そのあと、森村誠一作詞、池辺晋一郎作曲・指揮で、「悪魔の飽食 をうたう合唱団」(約60名)の合唱を聴いた。

続いて森村さん、小山内美江子(脚本家)さんの講演があった。小山内 さんは神奈川県では前にも話されたことがあるが、森村さんが九条の 会で話をされるのは珍しい。要約してお伝えします。


森 村 誠 一 「 憲 法 」 を 語 る

改憲派のキーポイントは3つあります。
(1)今の憲法は時代(あるいは現実)に合わない。
(2)国際貢献のために改憲が必要。
(3)自衛隊を認知させたい。

(1)現実と言えばイラク戦争はブッシュ大統領ひとりで始めたようなもの。国連安保理は元より 世界中の国が開戦に反対し、アメリカ政府内にも反対者がいたのに強引に命令した。アメリ カが戦争し続けるそういう「時代に合わない」から、憲法の方を合わせるというのは良くない。 憲法というのはその国の看板で、国によって違っていい。日本の「九条」の非戦主義は人類の 悲願であり、全人類共通の永遠の理念であると思います。

(2)湾岸戦争のときに「日本は金だけ出して、血も汗も流さない」と後ろ指さされたと、小泉 政府はイラクに自衛隊を派遣した。しかし今度は「汗は流したが血は流さない」と言われ るかもしれない。あの戦費として出した莫大なお金は総理大臣のポケットマネーからでは なく、国民が汗を流して納めた税金。他国から非難されたり、日本の政治家が憲法を曲げて まで自衛隊を海外に派兵しなければならない理由はありません。

(3)自衛隊は英語では“army”、日本語に訳せば「軍隊」。しかしそれでは憲法違反となる ので、小泉首相の前までは「自衛隊は軍隊ではない」というのが政府見解だった。いつまで すっきりしない、後ろめたい身分にしておくのか、と憲法を変えた国民に認知させようと いうのが政府の意図。今や世界の五本の指に入るほどに強大となった自衛隊は、改憲ですっ きりさせるのではなく、このまま「後ろめたい存在」のままがいいのです。

戦争は民主主義の天敵
平和であれば物事は自由に議論し、その経過も公開される。それが戦争となると都合の悪い ことは秘密にされ、思想、表現、髪型、服装までも制約され、好きな歌も歌えなくなったこと を年配者は経験している。人間らしく生活するために必要なものが奪われ、ただ生存するの に必要最低限な生活を強いられたのが「贅沢は敵だ」の合言葉。戦争は自由と民主主義の敵 であります。

最後にベトナム戦争時に作られ歌われた歌を紹介します。
「子どもよ、大きくならないで。お前が大きくなれば戦争に行き、人を殺すだろう。
子どもよ、ずっとそのままでいておくれ」

●要約者より/不慣れなメモの主旨に合わせて、聞き損じ記憶欠如を埋めるためにお話と 違った言葉を使った部分があるかもしれません。ご容赦ください。(加藤義郎)

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