事務局通信(2005年6月7日)

「 九 条 の 会 」 っ て ?/幾つかの質問と意見

■「九条の会」についての質問や意見が事務局にも寄せられています。幾人かの呼びかけ人や参加者から聞いた ことを事務局でまとめてみました。


「九条の会」ってなに?という質問/
憲法九条(戦争放棄条項)を変えようとする政府・与党、それに「野党と呼ばれたくない」野党 第一党の動きが具体化してきた昨年6月、それを止めようと井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、 奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子の9氏が呼びかけ人になって アピールを発表しました。
九条は世界に誇れる素晴らしい内容であり、その価値を人々の間にもっと広め、国民の過半数が これの「改悪」に反対の意思を表すようになれば、戦争放棄、平和主義が守れると。
*以来約1年間、各地で呼びかけ人の講演会が開かれ、多くの人たちが集まりましたがTV・新聞はこれを全く無視、 自主規制して報道しないため、今も一人前の大人から「クジョウって何?」と訊き返されます。

九条だけ守ればいいの?
アピールでは他の条項に触れていませんが、呼びかけ人9氏は「九条」以外では色々な考えをお持 ちのようです。「10人目の呼びかけ人」を自称する岡野加穂留さんは、「1条から103条まで全て 今のまま」が良いと話しています。1〜8条の天皇に関しても、でしょうね。

押し付けられた、翻訳調で難しい文章は変えたほうがいいという意見/
草案がアメリカから出されたことから、「押し付けられた」という人がいますが、国会で議論 して決まったもので、当時の世論調査でも多くの国民が喜んで賛成した、一部の人たちを除けば 決して嫌々押し付けられた憲法ではありません。また「難しい文章」とはどの条項ですか?と訊 くと、その人から返事はありませんでした。
 
自衛隊は必要だから「九条の会」に反対だという意見/
(1)小泉内閣になって国内でも自衛隊を「軍隊」と呼ぶようになりました。軍隊が憲法九条に違反し ているのは子どもでも解ること。しかし現実に巨大な軍隊が存在するのだから、それに合わせて 憲法を変えようというのが政府の改憲論で、国会で5年間論議した「憲法調査会」の委員の一人も そう言いました。これはヘンです。人が法律に違反すれば罰せられる。それを、犯した違反 は咎めず、法律のほうを変えろという乱暴は法治国家では認められません。

(2)北朝鮮が日本を武力攻撃するかも?論は、学識者たちの間では99%あり得ないと問題に されません。しかしアメリカが「悪の枢軸・テロ国家」と呼び、日本政府は拉致問題も放置したまま 「北の脅威」を利用して「いつでも戦争できる国」に変えようとしています。戦争は、たとえ勝 っても多くの人に不幸をもたらします。あの太平洋戦争での日本国民300万人の死者と、今も原爆 症に苦しむ多くの人々、日本が侵略した多くのアジアの国々の人々のことを思えば、少数者の利益 のために愚かな戦争は決してしてはならない。困難があっても平和外交に知恵を絞るのが日本の 責務であると思います。

ある提言/戦争より平和がいいのは当たり前、「いいものはいい」と言うだけではじり貧になる。 ガンジーを凌ぐ「哲学」が具体策を伴って語られるべきだ、という意味の提言が参加者の「一言メッセ ージ」の中にあります。(中村錦平さんの原文をお読みください) ガンジーは暴力を否定して 「無抵抗主義」を唱えましたが、彼の生まれたインドでは後の政府が核兵器を備えてしまったという 皮肉な現実があります。

「九条の会」の呼びかけ人のひとりで哲学者の鶴見俊輔さんは、「人を殺したくない、殺されたく ない思想は、自分の生命の始まりからある。そこから考えてゆきたい」と言います。しかし「アピ ール」には哲学の必要性などは無論書かかれていません。いま国民に課せられているのは、「九条を 持つ日本国憲法を、国民一人ひとりが行使してゆくことが義務」であり、今その人がもっている 力に応じて「一人ひとりができることを」と、訴えています。

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