結論から言えば、題名の通りです。 本当にストレートなお話です。 年老いた男(アルヴァン・ストレイト)が、十年来仲違いしていた兄が病気で倒れたと聞き、自力で560Kmはなれた兄のところへ向かうという話です。 だが彼は車の免許を持っていないため、トラクターで向かうことになると言うのです。 ちなみにこの映画は、実話を基にしているそうです。

the Straight Storyでは、アルヴァンが兄の所へ行く模様を、淡々と語ります。 当然、いろいろな人々との出会い、様々なことが起こるわけです。 それらの出会いはシンプルで、いかにもありそうなことです。 でもそれがこの話の魅力です。 実話を基にしたのであると言うことを、この淡々とした描写がもっともらしく表現しているという感じでしょうか。

私が最も気に入っているのは、映画のラストです。 映画の間、私は「一体どういうラストなんだろう」と、ついいつものクセで考えてしまいました。 が、見ている間はわかりませんでした。 兄弟が仲良く話し合うのかとも思ったのですが、それは何となくしっくりきません。 一体どんな...?

本当のラストはこうでした。 トラクターに乗ったアルヴァンがつぶれそうな家の前にたどり着きます。 そして、兄の名を呼ぶと、年老いた男が出てきます。 そこで、おしまい。 何も兄弟の語りはありません。 驚きました。 何も語らないと言うのは、この場合確かに最もうまい方法だと思います。 静かに興奮し、それが冷めやらぬまま、私は映画館を後にしたのでした。

全体的に見ると、本当に「シンプル」です。 人によっては、「つまらない」と思うかもしれません。 映画予告にも「感動のストーリー」とか書いてありましたが、はっきり言ってこの映画より、私個人が泣ける話はたくさんあります。 が、こういう素直な話もとてもいいと思います。 特に、殺伐とした現代には。

最後にどうしても言いたいことがあります。 それは、映画の中で、けっこう重要なシーンであると思われる、「星空」のシーンについてです。 映画を見れば一目でわかるのですが、これが何故かCGなのです。 「単なる星空」が、何故かCGなのです。 実写の方が、はるかによいと思うのは私だけではないはずです。 the Straight Storyで気に入らなかったのは、この点だけと言っても良いです。

ちなみに、監督はデヴィット=リンチ氏です。 悔やまれることに、私は彼の他の作品を見たことがありません。

関連サイト

straightstory.com (最近なんでもドットコムだなぁ...) が、結局こちらのサイトに来ます。 Disney Home Video の一部