便秘や痔にかかと歩き

便秘や痔にかかと歩き

はじめに
 便秘に悩む方はとても多く、頑固な便秘ですと一週間近くも出ない方もいます。便秘の原因には、大きく分けて症候性便秘と機能性便秘の二つがあります。症候性便秘は胃や腸、或いは婦人科系の疾患があって、腸内の大便の通過を妨げるもので、原因となる疾患を治さなければなりません。機能性便秘は器質的な疾患がなく、生活習慣やストレス、老化などによって腸の働きに変動が起きて便秘になります。機能性便秘は、大きく分けて直腸性便秘、痙攣性便秘、弛緩(しかん)性便秘の三つに分類されます。踵歩きはこの機能性の便秘に効果があります。
①直腸性便秘…通常、大便が直腸に到達すると便意を催します。しかし、朝のあわただしさや仕事の忙しさで我慢し続  けると腸の働きが悪くなり、次第に便意を感じなくなって便秘になります。
②痙攣性便秘…腸の働き(蠕動運動)は自律神経によってコントロールされています。ストレスが続くと自律神経の働きが乱れ、腸の蠕動運動が強くなり過ぎて過緊張状態を起こすために、腸が痙攣収縮して大便が通過できなくなります。
③弛緩性便秘…逆に老化などで自律神経の働きが鈍くなると、腸の蠕動運動が弱まり大便を直腸に送り込む力が弱くなります。また、直腸に大便が溜まっても直腸の収縮力が弱いので、排便しずらくなります。

1.足の反射区
踵歩き 2(わたしの健康H1,2).jpg足の反射区
 東洋医学の特色の一つに、部分は全身の縮図という考え方があります。手や耳、そして足にも全身の内臓や器官を配当して、診断や治療に用いています。足の裏の中央から踵までは大腸の反射点になります。踵は肛門の反射点で、直腸から肛門にかけての診断治療点になります。弛緩性の便秘ですと踵はしまりがなく踵の筋肉が弱い感じになります。直腸性の便秘ですと踵の筋肉が堅く感じます。痙攣性便秘は踵を触ったりすると敏感な感じがします。また痔などで肛門部が鬱血している場合は、踵の筋肉がブヨブヨしています。反射区を刺激することで健康な便通になってきます。

2.踵歩きの方法
かかと歩き.jpgかかと歩き
 直腸から肛門までの反射区を刺激するのは踵歩きが簡単で効果があります。
①立った姿勢で、つま先を上げ歩幅は小さく、まるでペンギンのようにチョコチョコと歩きます。バランスが取れない方は何かにつかまって、その場で足踏みするだけで充分効果があります。踵が痛い方は、靴下をはくかジュウタンやカーペットの上でなさってください。
②1日1回、5分間行います。便通は朝にあるのが良いので、夜寝る前に行うのが最適ですが、いつでもどこでも、1~2分に分けて何回でも行っても構いません。ただ、やり過ぎて踵が痛くならないようにご注意ください。

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院長執筆誌:「安心」昭和62年3月号、昭和62年6月号、昭和62年10月号、昭和62年12月号、平成元年4月号(マキノ出版)、「壮快」昭和62年4月号(マキノ出版)、「わたしの健康」平成元年6月号(主婦の友社)など。

腰痛・下肢の痛み痺れに背伸び歩き

腰痛・下肢の痛み痺れに背伸び歩き

はじめに
腰部への荷重.JPG腰への荷重
 人間は二本足で歩きますが、骨格は四つ足動物となんら変わりがありません。四つ足動物の骨格は、脊椎~骨盤~下肢が90度の角度になっています。それが直立することになって180度に伸ばされたのですから、腰椎や骨盤はきしみ、腰痛や骨盤の歪みを起こすのは当然なことなのです。
 また、直立したことによって上半身の荷重が腰にのしかかり、筋筋膜性腰痛(ギックリ腰)、変形性腰椎症、腰椎椎間関節症、腰椎椎間板症、腰椎椎間板ヘルニヤ、腰部脊柱管狭窄症などを起こす原因になっていきます。このように、腰痛は人間の宿命の病気といって過言ではありません。
背骨と骨盤を家に例えると、背骨は大黒柱に、骨盤は基礎である土台に相当します。このように、上半身の荷重は、仙腸関節部(骨盤と仙骨の間)、腰仙関節部(第五腰椎と仙骨の間)、第四・第五椎間関節部にかかってきます。
 また、第四・第五腰椎間と、第五腰椎・仙骨間は椎間板ヘルニヤの好発部位になります。

1.背伸び歩きの仕方
 背伸び歩きは、上半身の体重を腰にかけない歩き方です。背伸び歩きをすると重心が上に挙がり、負担がかかっていた腰椎部や腰仙部、仙腸関節部の緊張が取れて腰が軽くなります。やり方は次の通りです。
背伸び歩き1.jpg背伸び歩き
①まず、手の平を上にして両手を組みながら丁度背伸びをするように上に上にと両手を挙げてください。その時に、背筋を伸ばしながらお腹を心持ち引っ込ませるようにします。
②そして、両手で背伸びをしたままで歩きます。そうすると、腰の筋肉の緊張や重さが取れて軽くなっているのがわかります。歩く時間は1分でも5分でも構いません。やり過ぎてやりすぎることはありませんので、家の中でも散歩の途中でも、一日何回やって構いません。背伸び歩きは腰の荷重や緊張を解消するだけでなく、腰椎の間隔を開きながら歩きますので、椎間板ヘルニヤや脊柱管狭窄症の歩行時の下肢症状も少し軽減できます。また、背伸び歩きを習慣づけると、背伸び歩きをしなくても腰に荷重をかけない歩行が身につくようになり姿勢も正しくなります。

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院長執筆誌:「安心」昭和62年6月号、昭和62年12月号(マキノ出版)など。

ブレスレット・ネックレスのつけ方

ブレスレット・ネックレスのつけ方

はじめに
 最近、いろいろな健康ブレスレットやネックレスを着ける方が多くなりました。材質も、チタン・ゲルマニュウム・パワーストーン、或いは数珠などいろいろです。
 ブレスレットをつけている方のほとんど何気なく付けているだけなようですが、実は右手に付けた方が良い場合と、左手に付けた方が良い場合があります。また、付ける向きもそのまま付けた方が良い場合とひっくり返して付けた方が良い場合があります。さらに、留め具や繋ぎ目などがある場合は、留め具や繋ぎ目を手首の外側にしたり、内側にすると良い場合があります。

(1)テストの方法
 ①まず両足を伸ばして仰向けに寝ます。次に、足を伸ばした状態でゆっくりと左右交互に30度くらいまで上げ下げをします。3回くらい繰り返してどちらの足が重いかを確認します。足が重いというのは、血液の循環が悪く鬱血傾向があったり、
筋肉の張りがあることを示しています。
 ②重い方の足と反対側の手の平の中央にブレスレットを置き、もう一度足を上げて重さを比べます。次に、ブレスレットをひっくり返してもう一度足を持ち上げて重さを比べます。手首への付け方は、足が軽くなった向きで付けます。これは、手の平は手首の横断面と考えているからです。また、重い方の足と反対側の手にブレスレットを付けるのは、人間の手足のバランスは左右交叉、つまり左手と右足、右手と左足で交叉してバランスを取っているからです。
 ③ブレスレットの付け方のテストは、仰臥位だけでなく、腰掛け位でもできます。
その場合は、腿を上げて左右の脚の重さを比べます。
 ④ネックレスの付け方のテストは、ネックレスを実際に首に付けてテストしても良いですし、王冠のように頭の上に置いてテストしてもできます。
 ⑤ブレスレットに留め具や繋ぎ目があるものは、テストするときに留め具を手の平の手首向きに置いたり、中指向きに置いてテストすると良いでしょう。手首向きに置いた方が足が軽くなるようでしたら、留め具が手首の内側にくるようにブレスレットを付けます。中指向きに置いた方が足が軽くなるようでしたら、留め具が手首の外側にくるようにブレスレットを付けます。これも、手の平は手首の横断面という考え方からきています。
 ⑥健康ブレスレットやネックレスには、生体電流を調整する何らかの作用があると考えています。疲労によって生体電流の流れが滞り、肩凝りや腰の張り、下肢の突っ張りや重さだるさだけでなく、全身の不調を覚えやすくなります。ブレスレットやネックレスを漫然とつけているだけでなく、お身体の違和感を覚えるようなときには、テストをして装着しなおすと良いと思います。
詳しくは、「艸寿堂ホームペイジ、著述→健康ブレスレット・ネックレスの付け方、使い方」をご覧ください。
足を持ち上げる(仰臥位).JPGブレスレットのテスト(仰臥位)ブレスレットテスト(腰掛け)20%.JPGブレスレットのテスト(腰掛け位)

院長執筆誌:「壮快」平成6年6月号(マキノ出版)。「医道の日本」平成8年10月号(医道の日本社)など。

逆子が三陰交と至陰のツボで治る原理

逆子が三陰交と至陰のツボで治る原理

はじめに
 お腹の中で赤ちゃんは、体を動かしながら大きくなっていきます。36週位になると頭が大きく重くなってくるので、重力の関係で頭が下に、お尻が上になって落ち着いてきます。ところが、赤ちゃんの動きが少なかったり、足の位置が悪かったり、場合によっては臍の緒が絡んでいたり、いろいろな理由で逆子のままになってしまうことがあります。
 逆子治療に三陰交と至陰のツボを用いることは良く知られていますが、なぜ、三陰交を用いるのか、なぜ、至陰を用いるのか、三陰交と至陰との作用はどう違うのか、お灸をすえる順序はどうしたら良いのかなどについては、あまり知られていないようです。
 三陰交は子宮内部の血行を促進して胎児の動きを活発にします。至陰は「陰に至る」と書いて、先天の腎気(父母から受ける先天的な元気)を充足させて出産に備える働きがあります。
 また、逆子の場合赤ちゃんを回転させなければなりません。 赤ちゃんの回転方向は後方回転はせず、必ず前方回転になります。下図を例にとると、この場合はお母さんの右側に赤ちゃんの背中があります。治療は前方回転を促すように上昇作用を持つ脾経の三陰交穴を右足に取り、下降作用を持つ膀胱経の至陰穴を左足に取ります。つまり赤ちゃんを右三陰交で持ち上げて回転の体勢を整え、至陰で回転下降させるという方式になります。
自然回転方向と三陰交・至陰の反対側取穴自然回転方向と三陰交・至陰の反対側取穴
 従って、施灸は必ず右三陰交を先に行い、胎児の上昇を確認してから左至陰に施灸します。右三陰交だけで胎児が上昇しない場合は、左三陰交も加えると上昇し易くなります。施灸前の触診で胎児が下がっている場合は、最初から左右の三陰交に施灸することもあります。ただ、下図の場合の施灸の順序は右→左→右→左の順序になります。もちろん、胎向が逆になっていれば、配穴も逆になります。
 三陰交のツボは逆子だけでなく、正常な胎位でも赤ちゃんが下がっていたり、切迫流産の傾向があったり、子宮口が開きぎみの場合でも有効で、子宮内部を温め血行を促進して赤ちゃんを上げることもできます。この場合は左右の三陰交にお灸をします。
 至陰のツボは逆に、予定日を超過している場合に出産を促進するために胎児を下降させたり、陣痛が弱い場合に陣痛を促進することもできます。この場合も左右の至陰にお灸をします。
 三陰交と至陰の施灸側を決定するためには、触診によって胎位胎向と、ドップラー聴診器によって心音の位置を確認しなければなりません。また、施灸中や治療後にも胎位胎向や胎児の位置の上下、心音の位置の変動を確認します。
詳しくは、「艸寿堂ホームペイジ→著述→逆子(骨盤位)の鍼灸治療」をご覧ください。

院長執筆誌:「日本・中国両方式による骨盤位の鍼灸治療」共著、疾患別治療大百科シリーズ7 産科婦人科疾患、医道の日本社、2002年発行。

胃の痛みに手首の列穴・内関・通里のツボ

胃の痛みに手首の列穴・内関・通里のツボ

胃の不調40%.JPG胃の痛みのツボ
胃の不調には,食欲不振、痛み、吐き気、膨満感、もたれ感など多くの症状があります。また原因もいろいろあります。ここでは、冷えからきたもの、食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎからきたもの、神経性の痛みについて簡単な判別法と治療法をお教えします。


(1)胃が冷えて痛む場合・・冷たいものを飲食し過ぎたり、寝冷えをしたた胃が冷えて痛むことがあります。このときにお腹を触ってみると冷たくなっています。また舌を見ると白い苔が付いていることがあります。このような時には、胃の冷えを解消する「列欠(れっけつ)」というツボを用います。
①列欠の部位:手首の手のひら側の親指側で、手首を曲げるとできる横じわから人差し指の幅一本半分ほど肘に寄ったところで、触れると動脈の拍動を感じます。
②治療法:左右の列欠をそれぞれ反対の手の平で交互に素早く摩擦します。5回位摩擦したら反対の手を摩擦します。摩擦することで列欠部が熱くなり、その摩擦熱が胃の冷えを解消します。また、冷えだけでなく、元来痩せて胃腸虚弱タイプの方も、列欠の摩擦で胃腸の働きが改善します。治療は1日2~3回、食間空腹時になさってください。

(2)過食や飲酒過多の場合・・・食べ過ぎやアルコールを飲みすぎて、胃が張ったり、痛むことがあります。また舌には黄色ががった苔が現れます。黄色い苔は過食によって食べ物が胃の中で発酵し熱を持っていることを示しますし、アルコールで胃が熱を持っていることを示しています。冷えたビールや水割りなどを飲み続けている場合は、胃の冷えもあるために黄色い苔の下に白い苔が付いていることもあります。このような時には、胃の熱を取り、膨満感を解消する「内関(ないかん)」というツボを用います。それほど食べ過ぎても飲みすぎてもいないのに、胃が重く張っていたり、もたれたり、胸やけやげっぷなどが出る時にも「内関」を用います。
①内関の部位:手首の手のひら側で、手首の横じわの中央から指幅二本分ほど肘に寄ったところで、こぶしを握ると一本の太い筋(長掌筋)がはっきり出ます。また手で探ると太い筋のすぐ親指側にもうひとつ筋(橈側手根屈筋)を触れます。「内関」はこの二本の筋の間にあって、指で少し強く押すと中指にジーンと響きます。
②治療法:(1)過食や飲酒過多の場合・・食べ過ぎやアルコールを飲みすぎて、胃が張ったり、痛む場合は、「実証」と想定します。実証性の痛みの時は、鼻から息を吸いながら反対側の親指で「内関」を押圧して、押圧しながら手首を反らします。そうすると「内関」部が浮き上がってきて強く押圧しなくても十分な効果をあげることができます。次に口から息を吐きながら親指の圧を緩めると同時に手首を反らしている力を抜きます。治療は1日3回、1回に7~8呼吸、食間空腹時になさってください。一般的に飲みすぎの場合には右手の「内関」に圧痛が強く現れますし、食べ過ぎの場合は左手の「内関」に圧痛が現れますが、左右の「内関」の圧痛に差がある場合は、圧痛の強い方の手を11~13回の少し多めになさっても良いでしょう。(2)それほど食べ過ぎても飲みすぎてもいないのに、胃が重く張っていたり、もたれたり、胸やけやげっぷなどが出る場合・・このような時は胃の消化力が弱っていますので、「虚証」と想定します。虚証性の痛みの時は、鼻から息を吸うときには押さずに、口から息を吐く時に反対側の親指で「内関」を押圧しながら手首を反らします。そして、鼻から息を吸うときには「内関」を押す力を緩めながら、手首を反らしている力も抜きます。治療は1日3回、1回に7~8呼吸、食間空腹時に左右均等になさってください。

(3)神経性の痛みの場合・・・いわゆる神経性胃炎といわれるもので、心配事や悩み事で胃が動かなくなり痛むことがあります。性格的には心配事や悩み事を発散できずに抱え込んでしまう内攻性の方が多く、胃の粘膜が弱くちょっとした香辛料でも胃が荒れやすく、また、舌も潤いが無く、舌の先が荒れ気味になっています。このような方には神経的な緊張を緩める「通里(つうり)」というツボを用います。
①通里の部位:手首の手のひら側で、手を軽く握って手首を反らすと、小指側に縦に筋肉のくぼみが現れます。通里のツボは、その筋肉のくぼみで手首の横じわから指幅一本半位のところです。ここも反対側の親指で押すと小指にジーンと響きます。
②治療法:神経性胃炎は「虚証」ですので、前述の(2)ー②-(2)ように、鼻から息を吸うときには押さずに、口から息を吐く時に反対側の親指で「通里」を押圧しながら手首を反らします。そして、鼻から息を吸うときには「通里」を押す力を緩めながら、手首を反らしている力も抜きます。治療は1日3回、1回に7~8呼吸、食間空腹時に左右均等になさってください。

(4)混合型の痛みの場合・・・胃の痛みを、胃の冷え・過食や飲酒過多・神経性の3つに分類しましたが、実際には混合している場合が少なくありません。例えば、胃の冷えがあって神経を使って神経性胃炎になった場合もありますし、過食過飲が続いて実証から虚証になる場合もあります。
 また、ストレスが溜まって神経性胃炎になったということを耳にしますが、ストレスの場合は逆に胃の機能が亢進して、いわゆるやけ食い、やけ酒になります。ストレスが溜まってやけ食いややけ酒に走る方は飲食することでストレスを発散していることになります。このストレスの場合は、過食過飲の実証になります。しかし、過食過飲が続くと、さすがの胃も疲れて弱ってきますので、虚証になってきます。このように、胃の状態も混合型になったり、変動しますので「列欠・内関・通里」のそれぞれのツボを比較しながら押して判別されると良いと思います。

院長執筆誌:「壮快」昭和59年10月号(マキノ出版)。「わたしの健康」昭和62年4月号、昭和63年4月号、平成3年6月号(主婦の友社)など。