3−2.交通 | ||
3−2−1.現状と課題 | ||
(1)公共交通機関の現況と課題 | ||
@鉄道 | ||
品川区内における鉄道網は、南北・東西方向ともに充実しており、特に内陸部については、どの場所からも概ね徒歩15分以内で最寄り駅に到達することができる。加えて、臨海副都心線の開通を控え、新駅の設置と併せて大崎、大井町から千葉方面へのアクセスが飛躍的に向上し、区の更なる発展に対して大きなインパクトを与えることとなる。 また、品川駅においては、新幹線の停車駅としての整備も進められ、日本国内の各地 方へのアクセスも一段と向上することとなる。 一方、八潮地区など臨海部では、未だに鉄道へのアクセスが不便であり、この地域の利便性の向上をはかることが、来訪者の利便を促進するばかりでなく、当地区の定住促進の観点からも、重要な課題となっている。 また、駅舎の多くが開業以来長期間経過しているため、路線間での乗り換えが不便な駅や、バリアフリー施設の整備が不十分な駅も多く、こうした観点からの早期の改善が強く求められている。 さらに、鉄道が道路と平面交差しているために生活空間を分断している路線もいくつかあり、これらの路線の立体化が今後の課題として残されている。 |
||
![]() |
||
Aバス | ||
品川区内では、3つの事業者により主要な幹線道路を中心にバスが運行されており、鉄道を補完する身近な交通手段として区民に広く利用されている。特に鉄道へのアクセスが不便な臨海部においては、重要な役割を果たしている。 今後も、整備される都市計画道路を利用した路線の誘致などを通して、より一層の利用者の利便性向上を図っていくことが求められている。 |
||
(2)幹線道路網の現況と課題 | ||
東京都の都心南側地区を担う品川区としての幹線道路網をみると、都心部から川崎・横浜方面へ放射状に第一、第二京浜国道と、新宿副都心と大崎副都心及び臨海部を結ぶ環状線として、山手通り(環状第6号線)が整備されている。この道路は品川区においても、道路網を形成するうえで骨格となる主要幹線道路として、位置付けられている。 しかし、骨格となる主要幹線道路を補う道路の整備が立ち遅れているため、五反田・大崎から大井町へのつながり、区西部の住宅地から東部の臨海部へのつながりがきわめて不十分である。さらに鉄道網が発達している半面、軌道により道路交通が遮断され道路網が分断されている地域もあり、車両の渋滞や生活道路への通過車両の進入などを引き起こしている。 また、主要鉄道駅における駅前広場の整備や臨海副都心方向へ連絡する幹線道路の整備などが課題となっている。 こうしたことから、今後は必要性の高い都市計画道路の整備及び再編を促進し、安全で効率がよく区全体としてまとまりのある道路体系を形成していくとともに、道路と鉄道の連続立体交差事業を推進していく必要がある。 |
||
(3)生活道路の現況と課題 | ||
生活道路については、土地区画整理事業や耕地整理が過去に実施され、ある程度の幅員が確保されている地域もあるが、いまだに多くの地域で幅員が4m未満の狭あいな道路や見通しの悪い交差点が数多く残っている。このため、区民の理解と協力を得ながら、まちづくりと連動しての整備・改修を引き続き着実に推進していくことが必要である。 また、通過交通の抑制と歩行者優先を基調としたコミュニティゾーン(道路)の整備など、人にやさしい道路づくりを推進していく必要がある。 |
||
3−2−2.整備方針 | ||
![]() |
||
市街地整備基本方針における位置づけ | ||
交通網の体系的整備 | ||
→幹線道路網の体系的整備の方向性と交通機関の整備による人・モノの移動の効率化や活力ある都市活動への効果などを明示する。 | ||
公共交通機関の整備 | ||
→臨海副都心線や連続立体交差事業による波及効果と周辺を含めた市街地整備の方向性を示す。 | ||
道路の整備、改修 | ||
→今後整備を推進すべき都市計画道路の優先順位を明示するとともに、生活道路についても、人にやさしい道路づくりを主眼に機能別にあり方や整備の方向性を明示する。 | ||
(1)交通網の体系的整備 | ||
1)骨格的交通網の体系化 | ||
既存の交通基盤を活かしつつ、東京の中の品川としての都内全体を意識した交通体系の整備、および区全体としてまとまりのある交通網の体系的な整備を検討していく。 | ||
2)バス路線網の再編・充実 | ||
鉄道網を補完するためのバス路線網の再編・充実を促進する。具体的には、鉄道新線の開通や大規模開発等により交通需要が増大した地域で、交通環境の変化に適切に対応していくためにバス路線の再配備を行い、きめ細かな交通ネットワークを実現し、交通混雑の解消と区民の利便性の向上を図る。 また、ノンステップバスの導入促進など、人にやさしい交通網の整備に努める。 |
||
3)総合的な都市交通施策の展開 | ||
区民や来訪者などが、業務や商業等の種々の目的をもって、区内の様々な交通機関を活用しているように、区内の交通需要は多様であるとともに、利用者も幅広い層の人々が利用している。 また、今後工場跡地の土地利用転換に伴う住宅や事務所などの建設により高度利用が進めば、区内を行き来する人々はますます増えることが予想される。 よって、道路や公共交通機関の整備と合わせ、活性化拠点整備やまちづくりと連動し、駅施設や駐車場・駐輪場の整備を推進する。 |
||
(2)公共交通機関の整備 | ||
1)臨海副都心線・埼京線の整備にあわせた周辺市街地の整備促進 | ||
臨海副都心線第二期事業および埼京線の大崎延伸、さらに臨海副都心線との相互直通運転を促進し、JR・私鉄各線との接続により効率的かつ広域的な鉄道ネットワークを形成する。整備に際しては、バリアフリー等福祉の観点に十分配慮がなされるよう、誘導していく。 また、臨海副都心線の新駅開業にあわせて、周辺地域の都市基盤整備を促進して交通利便性のさらなる向上を図るとともに、良好な市街地整備を誘導していく。 |
||
2)連続立体交差事業の促進 | ||
過去、池上線ならびに京浜急行線(一部を除く)について連続立体交差事業を実施し所期の目的を達成してきた。現在、目蒲線について事業実施中である。連続立体交差により踏切を解消して交通の利便性の更なる向上を図るとともに交通の安全と円滑化を促進する。 また、立体化により生じる軌道跡地の公共空間については、自転車駐車場、緑地公園等としての有効活用を検討する。 |
||
3)水上バスの活用 | ||
区の東側に広域な臨海部を擁する品川区の特性を考慮し、水上バスの積極的な活用を促進する。 具体的には、災害時における物資の海上輸送ルートとして、またウォータフロントの開発動向に留意しつつ、陸上交通を補完する観点で必要な施設の整備促進を図る。 |
||
公共交通機関整備方針図 |
||
![]() |
||
(3)道路の整備・改修 | ||
1)幹線道路の整備 | ||
重要性の高い都市計画道路の整備を促進し、交通の混雑や渋滞ならびに通過車両の生活道路への進入を軽減・解消していく。 特に、結びつきの弱い内陸部と臨海部を連結するために補助26号の早期整備を促進する。また、都市軸線上にある補助163号線についても早期整備を図っていく。 さらに、臨海部副都心への一般道路によるアクセスが現状では不便なため、早期に都市計画道路の整備を促進する。 道路整備に際しては、バリアフリー等福祉の観点に十分配慮がなされるよう誘導していく。 |
||
幹線道路整備方針図 |
||
![]() |
||
2)駅前広場の整備 | ||
連続立体交差事業の施行に併せて、駅前広場の整備を推進し、鉄道と道路の連携をより円滑なものにする。 | ||
3)生活道路の整備改修 | ||
区民の日常生活に密着した生活道路の整備改修を計画的に実施し、整備された生活道路およびその沿道については適切な維持管理を行う。 また生活道路については、買い物道路や通学路など、道路としての機能別に整備の方向性を検討する。特に、密集住宅市街地整備促進事業等、防災まちづくりが展開されている地域においては、防災性の向上を念頭に置き生活道路の整備を促進する。 |
||
4)私道の整備と細街路の拡幅整備 | ||
私道の舗装や排水施設の設置に対して助成や受託工事を行い、日常生活の利便を図っていく。 4m未満の細街路について、細街路拡幅整備事業により、建築基準法の規定に基づくセットバックを円滑に進め、拡幅整備を図る。 |
||
5)橋梁の改修 | ||
街並みとの調和や周辺の景観に配慮しながら、老朽化した道路橋や横断歩道橋の架け替えや改修を行い、安全性と機能の向上を図る。 |
||
6)自転車歩行者専用道または専用帯等の建設の推進 | ||
急進する高齢化社会にむけて、安全で快適な歩行空間ネットワークとして自転車や歩行者が安心して通行のできる専用道または専用帯等の設置を検討し促進する。また交通施設のバリアフリー化を促進し、人にやさしい快適な道路づくりを進めていく。 7)自転車駐車場の整備促進 駅周辺の放置自転車やバイクなどは、高齢者や障害者等の通行を困難にするだけでなく、消防車、救急車など緊急車両の通行や災害発生時における避難誘導活動の妨げとなり、また、街の景観上の観点からも大きな支障となっている。 市街地再開発事業や道路と鉄道の連続立体交差事業等の推進に併せて、事業者はもとより区民の理解と協力を得ながら、自転車駐車場の確保を図っていく。 |