3−4.水とみどり
3−4−1.現状と課題
(1)水とみどりの役割

 都市における身近な水やみどりは、都市に季節感を与え、そこに住む者の生活にうるおいややすらぎを与える。また都市の公園は、利用者が水やみどりを享受できる空間として、スポーツ・レクリエーション等の余暇活動の場として、あるいは災害時の避難場所としてなど、区民の生活と健康を守るための場として欠かせない空間である。


(2)水辺空間

 品川区は目黒川・立会川等の河川や運河、東京湾に接し、多くの水辺空間が存在しているが、産業・埠頭機能に特化し、区民が直接水に親しめるような空間はたいへん少ないのが現状である。また内陸部と臨海部のつながりが比較的希薄なため、区内に豊富な水際空間が存在することを区民として実感できないのが現状である。

 このため、区民と水のふれあいを回復させるような水辺の整備を進めていくことが、うるおいのある生活を実現するための課題となっている。


(3)みどり

 近年、ほぼ横ばい状態だった品川区の緑被率は、平成6年に「品川区みどりの条例」を制定し様々な緑化施策を実施した結果、顕著な増加を見せるようになってきている。

 今後も「みどりの条例」に基づいて緑化を一層推進し、公園の新設や公共施設の緑化も積極的に進めるとともに、民有地のみどりの保全・育成を図ることによって、貴重なみどりを次の世代に引き継いでいかなけれはならない。

 また区民が直接みどりに触れる機会を設けたり、啓蒙活動を進めることにより、区民のみどりに対する意識を高め、区民の協力のもとに地域緑化を推進していくことができるようなしくみ作りも今後の重要な課題となっている。


(4)公園緑地

 現在、品川区の区民一人当たりの公園面積は、ほぼ23区平均の水準にあるが、大規模な公園が臨海部に偏在しているため、内陸部と臨海部の地域的格差が大きく、内陸部を中心とした公園の整備が求められている。

 さらに今後は、区民の新たなニーズや時代時代の要請を踏まえて、既存の公園の質の向上を図ることや、公園・緑地・水辺を快適な歩行者空間で結ぶことによって、一層魅力的な空間として区民に活用されるようにすることも重要な課題である。

拡大図(91KB)

3−4−2.整備方針

市街地整備基本方針における位置づけ

水と親しむ

みどりを育む

みどりとのふれあい

 品川は海とのつながりが実感できないため、区民が水と親しめる施策を展開する。水と緑の観点で市街地整備と拠点整備を進める。

 区民が身近な生活環境の中で、水と親しみ、みどりを育み、みどりとふれあう都市空間づくりの考え方を明らかにすると同時に、まちづくりを推進していく中で水とみどりのネットワーク化を推進する方策について位置づけるとともに、区民が身近な生活空間の中でやすらぎと憩いを味わうことの出来る「いこいのゾーン」を位置づける。


(1)水と親しむ
1)水とみどりのネットワーク化の推進

 目黒川沿いの緑道、京浜運河沿いの緑道、立会川緑道等をネットワークの軸線として、区民が水辺に憩い、みどりに親しめるような緑道や親水公園の整備を図り、区民が身近に親しめるやすらぎや憩いの空間の拡大を図る。

 また、ネットワークの結節点として、目黒川河口部に位置する「東品川海上公園」を、親水機能を備えた公園として整備する。

2)「水のみち」の整備

 鮫洲入江公有水面の埋め立て事業や天王洲運河周辺整備により、区民が水辺に憩い、

親しめるような緑道や親水公園の整備をはかる。

 また、目黒川を利用した新たな水上バスルートの可能性や、しながわ水族館と天王洲、臨海部副都心等、水際の拠点と既存の水上バスルートとを結ぶ「水のみち」の整備について検討していく。

3)水辺空間の環境改善
 魅力ある水辺空間を形成するため、目黒川や立会川河口部、勝島運河等について浄化対策を進めるとともに、区民が水辺に親しめるような施設を整備するなど、関係機関との連携を図りながら水辺空間の環境改善をはかり、身近に利用できる様な空間整備を行う。
水とみどりのネットワーク方針図

(2)みどりを育む
1)緑化の計画的推進
 学校や道路等公共施設のみどりの量的・質的向上を計画的に図り、区が緑ゆたかな街づくりの先導的な役割を果たしていく。また、一定規模以上の建築行為に対しての緑化の義務づけ等を通して、民間事業者による緑化についても推進していく。
2)「みどりのみち」の整備

 鉄道の連続立体化事業によりオープンスペースとなる空間や幹線道路等に連続的な緑化を行い、「みどりのみち」として整備することにより、快適な歩行者空間の確保を図っていく。

 また、水とみどりのネットワークや「水のみち」との連携の可能性や方策についても検討していく。

3)公園の新設等

 臨海部と比較して整備が十分でない内陸部を重点的に公園の新設に努める。また、密集した市街地内での緑地の拡充を進める。特に、(仮称)品川中央公園及び東品川海上公園の整備を促進する。

 さらに、市街地再開発等の際に積極的にオープンスペースを創出し、緑地を最大限確保することにより、より一層の緑被率の向上を図る。

 また、区民のやすらぎの場となる大規模な緑地・公園についても「いこいのゾーン」として今後も整備を促進していく。

4)住民の自主的緑化活動への支援

(3)みどりとのふれあい
1)既設公園の改修

 誰もが身近なみどりにふれることができるように、公園のバリアフリー化を進めるなど、時代の要請に沿うように、逐次、公園機能の見直しを図る。

 また、一定規模の地域単位で公園ごとの役割分担を図り、区民の多様な要望に応えるとともに、地域特性を活かした個性的な公園づくりを目指していく。

2)みどりを体感できる体験型花壇(ふれあい花壇)の設置

 区民が直接土に触れ、緑を育てる喜びを体験できるよう、公園や道路等に地域住民が参加して花の育成や維持管理を行えるような花壇を設置していく。