映画翻訳

日本で上映される、外国の映画には字幕がつきものだ。
諸外国では、字幕ではなく、基本的に吹き替えだと言う。

字幕であれば、元のままの臨場感が味わえるし、
吹き替えなら、言葉の壁は一切ない。
どちらが良いかは一概に言えない。

しかし、いずれにせよ、元の言葉に対して、翻訳と言うものが入る。

この翻訳と言うものは、実は大変だ。
そもそも言葉が違うと言う事は、生活習慣から、気候風土など、あらゆる物の差が、集大成されている。
正確な翻訳が、必ずしも、明快な訳とは限らない。
時には、前後の雰囲気からの意訳の方が、理解しやすくもある。

日本語の中でも、業界用語、専門用語があるわけで、一般大衆に馴染みのある言葉とのギャップは存在する。
軍艦、戦艦と言うのは、艦艇の代名詞として当然のように言われる。
もちろん、これらのニュアンスは大きく異なり、正確ではない。
しかし、軍艦、戦艦や、艦艇の意味を論ずるより、通常使われている単語で説明する方が、話が早かったりする。

映画翻訳の場合、これが、字幕となるところに、更に苦労が伴う。
その場面毎で、話し言葉と同様の簡潔性で表現されなければならない。
字数が多いと、読み切れないのである。

先日、サンケイ新聞に、字幕翻訳家の戸田奈津子さんの記事が出ていた。
1本の映画に対して、翻訳の為に映画を見るのは3回限りらしい。
著作権保護(漏洩防止)の為、ビデオ版の供給もないらしい。
試写の際、一時停止は出来ず、そのまま場面は進行するらしい。
「集中力が命の仕事」と言う事だ。

もちろん、もう1回、確認できれば精度は上がるかもしれない。
しかし、各回での真剣さが低下すれば意味はない。

業界には、業界の制約と悩みは付き物だ。



報道・出版 ジャーナリスト

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新規作成日:2002年11月25日/最終更新日:2002年11月25日