毎月分配型投資信託

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最近はやりの投資信託のひとつで、毎月分配型投資信託というものがある。
毎月分配を受けることが出来るということから、ちょっとした小遣いになるというのがウリである。
が、本来は、元本が膨らみつつ、その超過分から分配して美味しいのだが、どうも元本を切り崩して分配するものも多いようだ。
これは、「毎月分配型」をうたう為の措置ではあるが、一部支払いをしているのと同じことで、実際問題、たいしたありがたさは感じない。
僅かずつ貰っても、埃のように飛んでゆくだろう。
この元本切り崩しによる分配の結果、基準価格が当初額面に対して大幅に割っているのも少なくない。
ただ、単純に損をしているかというと、必ずしもそうではないようだ。

例えば、当初10000円であったものが、現在8000円に落ちていたとする。
2000円も元本割れしていることになる。
が、毎月分配が、40円x12ヶ月x5年とすれば、通算2400円の分配があったことになる。
この場合、資産通算とすれば、(8000 + 2400) - 10000 で、400円のプラスになっていることになる。
すなわち、損とはなっていない。

ここで注意が必要なのだが、毎月分配の額から税金が差し引かれるという点である。
基本的に、約20%(国税15%、地方税5%)が差し引かれる。
したがって、上記2400円は、実際は480円の税金が引かれ、1920円の手取りになっているということである。
その為、(8000 + 2400 - 480) - 10000 で、80円のマイナスが発生していることになる。
が、更に計算が複雑になるのだが。
「元本が目減りしてまで税金を取られるのか」という問題があるわけで、最近、課税方法が改正された。
すなわち、分配時の基準価格が、原価割れをしている場合、非課税となるのである。
したがって、上記の例で、常に下降曲線であったとすれば、課税はされずに済むということ手背ある。
例えば、自分の基準価格が9960円で、市場価格が9990のときに、40円の分配があれば、9990 - 9960 = 30 で、30円に対して課税され、元本切り崩しとなる10円について非課税になる。

ここで注意が必要なのだが、分配に対する課税評価のための基準価格は、各顧客毎にかつ売買、分配ごとに変動するのである。
買付により、既存の残高と合算し、総数量で按分する移動平均が取られる。
例) 10000 x 10 + 8000 x 10 = 9000 x 20 となる。
分配により、分配額が減じられる。
例) 10000 - 40 = 9960 が分配後の基準価格となる。
この基準価格は、分配金計算のためであって、売買時の基準価格とも、売買差益のための基準価格とも異なる。
売買時の基準価格は、市場価格である。
売買差益のための基準価格は、当初買付価格である。ただし複数売買時は移動平均が取られる。

また、空論に近い仮想ケースだが、毎回元本を削るように分配を続け、結果分配金に課税がなく、売却時期に運良く原価に戻っていれば、課税上極めて美味しい状態になる。
逆に、毎回元本超過を繰り返して分配していれば、毎回課税が発生し、この後売却時に元本を割れば、踏んだり蹴ったりでもある。



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新規作成日:2005年5月16日/最終更新日:2005年5月16日