債券と金利

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債券は、国債や社債などの、債券である。
債券には、一般にクーポン(金利)が設定される。

債券を単なる定期預金に準じて考える分には、特に問題がないのだが、債券相場の商品として考えると、いくつかの要素が出てくる。

債券は、発行母体の信用度によって、人気度が変わる。
償還の目処に危機感があるものは、誰も債券を買ってくれない。
従って、一般の水準よりも高いレートをつけて、信用不足による人気度を補うのである。
が、あくまで、リスクに対する金額補正であって、信用度の低いものは、リスクが高い。

また、発行後償還までの期間が長ければ長いほど、多くの変動要因を伴う。
発行母体の信用度の変動により、債券の市場価値も変動する。
当初の格付けは、あくまで設定時のものであり、それが償還まで保証されているわけではない。
業績不振に陥れば、いくらでも格付けは落ちてゆく。
潰れかかった会社の債券は、全額不渡りとなる前に、安くても回収したほうがよいと考えられ、額面を割ってでも流通する。
その後、潰れてしまえば、残存資産との按分で債務清算が行われる。従って、ゼロという場合もありうる。
逆に、持ち直せば、額面で償還もする。

発行母体の信用度の変動のほかに、市場金利の影響もある。
市場金利が上昇すれば、クーポンの固定された債券の市場価値は下がってくる。
逆に、市場金利が下落すれば、債券の市場価値は上がってくる。
ここで、市場価値は、償還までの期間における債券市場の流通価格である。
従って、償還した場合には、契約上、額面で償還する。
もちろん、償還が迫るに従い、額面に近づいてゆくのだが。
但し、債務不履行の場合は、別で、ここではあくまで市場金利の影響のみを言う。
この場合の一般公式は、元本と金利の合計が一致するのである。
例えば、\10000 2% 1年、の債券があったとすれば、償還時は、\10200で帰ってくる。
が、市場金利が3%になった場合、約\9900が、債券の市場価格になってくる。
これは、\9900 の3%が約\300であり、償還時に帰ってくる\10200の逆算になるわけだ。
逆に、市場金利が1%に下がれば、約\10100が、債券の市場価格になってくる。
同様に、\10100 の1%が約\100であり、償還時に帰ってくる\10200の逆算になるわけだ。


期間も要素で、長期債の方が、短期債よりも、市場金利による市場価値の変動を受けやすい。
長期債は、債券として固定期間が長いという観点から安定しているが、長期間固定されるという観点から、市場の変動を受けやすいという側面を持っている。
短期債は、市場の大幅な変動を受ける期間まで待たずに償還するということもある。


金利は市場金利、すなわち、資金需要に連動している。
景気が好調なときは、設備投資や事業拡大に資金が必要で、企業の資金需要が高まることから、高い金利を負担してでも資金確保に動くことになる。
従って、中央銀行としては、経済の引き締めの観点から、公定歩合を引き揚げるなどして、資金需要を抑制しようと図る。
大して、不況下においては、企業の新規展開は抑えられ、資金需要も少ないから、金利は低下してゆく。
中央銀行としては、経済の活性化の観点から、公定歩合を引き下げるなどして、資金需要を活性化させようとする。
現在に日本経済においては、公定歩合が0.1%と超低金利であり、この局面で公定歩合を引き下げても、既に舵取りの能力を失った水準でもある。




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新規作成日:2005年9月16日/最終更新日:2005年12月4日