海運株

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海運株、船株(ふなかぶ)とも呼ばれる。
字のごとく、船を持ち、或いは海運を営む業種である。

私は船が好きなので、一般の投資家とは若干思い入れが異なるわけだが・・・。

大手は日本郵船、商船三井、川崎汽船の、世界的ネットワークを持ち、ライナーから不定期船を扱う、総合海運会社。
新和海運、その他の、不定期船を扱う、外航海運会社。
国内航路を扱う、内航海運会社。
フェリーや旅客船を扱う会社。
港湾業務を扱う会社、などに大きく分かれる。

島国の日本は、海運依存度は極めて高いのだが、日本人は海への関心も低く、船舶という大きな資産を抱える海運業の経営はなかなか大変だ。

海運集約の後、日本郵船、商船三井(大阪商船+三井船舶)、川崎汽船、ジャパンライン(日東商船+大同海運)、山下新日本汽船(山下汽船+新日本汽船)、昭和海運の6グループとして頑張っていたが。
海運不況の頃を含め、最大手の日本郵船、堅実経営の商船三井を除けば、各社火の車で、ジャパンラインと山下新日本汽船は合併してナビックスライン、やがては商船三井に吸収合併。
昭和海運も、日本郵船に吸収合併。
と、世も末であった。

川崎汽船にいたっては、正直言って、これらに続いていつなくなるのかという状態ですらあった。
が、いつしか配当が復活し、株価も日本郵船、商船三井と肩を並べ、追い越す局面すらある。
躍進著しい中国景気に連動し、中国航路の活況に預かっているらしい。
船舶不足とも言われ、各社船隊拡充に力を入れている。

が、昨今の原油高は燃料費に直撃する。
最近の船舶運行費のうち、燃料費は約3割を占めるという。
これが2倍となれば、負担は大きい。

そしてこの影響をもろに受けているのが、フェリーや旅客船を扱う会社である。
日本の旅客船事情は、空港のない離島など、代替手段がないものを除けば、競合関係にあり、時間がかかったり、船酔いしたりと、デメリットが強調される船はなかなか分が悪い。
旅客低迷は、運賃収入の減少に直結する。
また、モーダルシフトが叫ばれ、燃料効率が重視されるといっても、運送業の使命は「早く」が求められ、高速道路を使った全線トラック輸送はなかなか船の割り込む余地がない。
フェリー料金は、燃料費高騰分を、臨時調整で上乗せしているが、これが利用者の負担として客足を遠のかせる要因ともなっている。

さて、実際の銘柄はどうだろう。
2005秋の局面では、日本郵船700-800、商船三井750-850、川崎汽船650-750前後である。
低迷期を知っている私にとっては、極めてバブリーな値であって、とても手をつけられるものではなかったが、一般論としてみれば、中国景気は始まったばかりだし、輸送手段として他の業界が割り込む余地がないから独断場でもある。
その意味では、まだ上昇の局面があると見てよいらしい。
更には現在の原油高。
高値で落ち着いてしまえば燃料費の負担が減らないのだが、いずれは運賃ベースに転嫁すれば収支は取れてくる。
もちろん、運賃値上げの打撃に対する反発もあるだろうが、こと船舶にいたっては、ごく一部を除き、石油を燃料としたものばかりであるから、どこも条件は同じである。
効率よいエンジンもあるが、船舶は車に比べれば遥かに置き換えが難しく、短期間で環境が変化することはないだろう。
逆に、燃料費が落ち着いてくれば、更に利益にも余裕が出てくるだろう。
その意味では、しばらくは強気の局面でもある。

ただ、中国景気を当て込んだ船舶建造は世界的に起こっており、長いスパンで見て、やがては船舶過剰の日が訪れることは明白である。
船隊の増強は5年単位前後のものであるから、それを超えた先は要注意でもある。
ただ、プラモデルを買い占めて量産するわけではなく、造船所の建造能力は定まっており、船体寿命に対する代替も必要だから、ただちに潜伏過剰が訪れることはない。

そして、中国経済に無関係な、特に国内海運、フェリーについては、厳しさが増すだろう。
現在野放しとなっている、燃料排気についても、規制の動きがある。
現時点では、運搬能力や機関出力比では微々たる物としてテーマに上がっていない船舶動力ではあるが、地球温暖化対策を含め、いずれは対策が必要となるだろう。
この場合、改修や代替船舶の建造は、かなりの費用負担として圧迫する要素だ。
海運会社は幾多の不況を経験しており、リストラの単語がない時代から、驚異的なスリム化を計っており、これ以上の贅肉は残っていない。
景気拡大による需要の増大や、株式市況の活性化に連動する動きを期待する以外は、なかなか厳しい要素があるのではないだろうか。


2007.4ヨーロッパ航路のコンテナ運賃が改定され、コンテナ定期航路をもつ大手海運にとっては活況が見込まれる。
コンテナ運賃の改訂は、世界経済の活況にともない、製品運搬が活況を呈しており、改善が見込まれている。


2007.5バルカー運賃急騰に伴い、大手三社に続いて中堅各社が軒並み急騰。
額面単価が低いとこほど上げ幅がすごかった。
各社、上場来高値を更新。
上昇銘柄業種別一位とあって、海運株なら何でも買われる様になっているが・・・。
あくまで好決算は、外航バルカーであって、内航客船の関西汽船などは、収益体勢がまったく異なるので注意が必要だ。
もちろん、株価は市場が支配するので、少々理屈に合わなくても、関連銘柄として動いてしまうわけだが、市場が冷静さを取り戻した段階で一気に値を下げる。


海運株は今や旬なのだが、海運にもいくつか種類があって、外航海運が旬なのである。
内航、それも旅客は低迷というか、存続すら危ないのも少なくない。
株式市場は流れで動くため、本来の姿とかの正論をひけらかしたところで意味はなく、流れが海運なら何でもになっちまうと、こういった内航旅客船も連れて上がってしまい、かつまた低位であるがゆえに上げ幅も大きい。しかし、株価が一服すると業績を見極める動きが出るから急速に値を失うので注意が必要だ。


日本の海運会社
商船の経済


2005.11の業界での平均 \378.88 PER:14.4 PBR:1.8
日本郵船 中間報告書
26DEC-00.
商船三井 中間報告書
26DEC-01.
川崎汽船 中間報告書
26DEC-02.
新和海運 中間報告書
26DEC-03.
第一中央汽船 中間報告書
26DEC-04.
乾汽船 中間報告書
26DEC-05.
飯野海運 中間報告書
26DEC-06.
明治海運 中間報告書
26DEC-07.
玉井商船 中間報告書
26DEC-08.
太平洋海運 中間報告書
26DEC-09.
共栄タンカー 中間報告書
26DEC-10.
川崎近海汽船 中間報告書
26DEC-11.
栗林商船 中間報告書
26DEC-12.
東栄リーファー 中間報告書
26DEC-13.
東海運 中間報告書
26DEC-14.
東京汽船 中間報告書
26DEC-15.
兵機海運 中間報告書
26DEC-16.

関西汽船 株主通信
01APR-00.
佐渡汽船 株主通信
01APR-01.
東海汽船 株主通信
01APR-02.

SNS
海運/株くらぶ
http://www.sbi-com.jp/?m=pc&a=page_c_home&target_c_commu_id=535
https://sns.104ka.net/communities/show/34
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新規作成日:2005年11月13日/最終更新日:2007年8月10日