遺産相続

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遺産相続というと、なにやら莫大な金品や資産を思い浮かべてしまうのだが、たとえそれが1000円でも、はたまた莫大な借金であっても、遺産は遺産であり、相続手続きは発生する。

遺産相続は、亡くなった人のすべての遺産をまとめて処理するため、一部分の処理はできない。
資産 < 負債 の場合、相続してしまうと、借金返済の義務を負うことになる。
この場合、相続放棄という方法もある。

遺産相続は、遺言による場合と、法定相続による場合があるが、遺言による場合でも、法定遺留分が存在するので、必ずしも遺言のとおりに決定されるものではない。

さて、遺産というものは、本人の死亡と同時に、発生する。
預貯金その他の資産は、本来、本人の意思によって処分が可能なものであるから、法的には、死亡と同時に凍結される。
従って、死亡の直後に、勝手に資産の移動を行うことは許されない。
実際問題、死亡届によって、金融機関に通知が回るのか、比較的早期に、凍結されてしまう。
この後は、相続が確定するまで、預貯金の移動ができなくなる。

相続の確定は、相続の権利を有するものが、権利義務を確認して確定される。
従って、単独相続でない場合、一人分のみを確定して処理を進めることはできない。

実は、ここからの手続きはなかなか面倒だ。
本人の、出生時から、婚姻、養子等の移動、死亡に至るまでの、すべての戸籍(除籍)謄本を取り寄せ、相続権を有するものの範囲を確定することから始まる。
ここで、既に皆さん他界されていたり、親族がいない場合は簡単だが、どなたかいらっしゃると、毛細血管のように、奥深くまで手繰ってゆく必要が出てくる。
本人を中心とした家系図に基づく、相続権者が確定した後は、その中での遺産分割手続きとなる。
すべてが現金なら簡単だが、不動産、ましては居宅が混ざってくると大変だ。
資産評価を含め、遺産総額が算定され、負債等を含めて、分割が話し合われる。
1000万円の家と、100万円の現金を二人で分ける場合は面倒だろう。
家の名義を共有にすれば簡単だが、一人が家を相続し、一人が100万円の現金で丸く収まるのはまれだ。
家を相続した者が、450万円をもう一人に渡せば、資産総額としては帳尻が合う。
家を800万円で売って、450万円づつ相続するケースも出てくるし、この場合、住み慣れた家から出てゆく必要がある。

資産分割が確定したら、その分割内容に応じて、相続する。
不動産等であれば、相続による名義変更を行う。
預貯金の場合も、相続による名義変更か、出金の手続きをとることになる。
預貯金、有価証券の場合、約款等で定められており、名義変更によって契約内容を引き継ぐ場合と、解約して清算する場合がある。
この際、手続きには、各種手数料が必要で、また、戸籍謄本等の提出も必要となる。

従って、多数の金融機関に分散していると、手続きがかなり大変ということになる。
その意味では、生前に移動しておくという方法も出てくるのだが、命の順番は、必ずしも保証されているわけでもないから難しい。
もちろん、本人の意思に無関係に、資金を移動してしまうことは、法的問題がないとはいえない。
ただ、病院の清算や葬儀費用に対して、相当と見られる範囲は別だろう。




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新規作成日:2006年9月15日/最終更新日:2006年9月15日