2007.9 SBI自社株買いによる株価回復の可能性

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自社株買いによる株価回復の可能性

「株と投資のワンダーランド〜株の長者村」というSBIイートレード証券利用者専用のSNSがあって、ここにSBIのCEO北尾氏のブログがある。
昨今のSBIの株価下落に対して、反発のコメントが増えている。
その中で、「自社株買いをして株価回復を」というコメントが多い。

自社株買いは、企業の財産減少につながるため、従来の商法では債権者保護の立場から原則的に禁止してきた。
が、最近では、株主価値向上策としても認められている。

買った価格を下回ると面白くないのは誰しも同じだが、では自社株買いで株価は回復するのだろうか。
自社株買いをすれば、確かに株主価値が上がるから、株価は上がる。
ただ、それは、自社株買いで圧縮される資本の按分に過ぎない。
もっとも、その株主価値向上によって株価が上がれば、買いを集めて更に上がることも多い。

さて、SBIの場合、2006.1.31の84800円、直近では2007.6.18につけた42200円を頂点に、右肩下がりである。
もちろん、一方的な下落ではないから、日々の上下や若干の上下はあるが。
この場合、平均的に多くの人(というか、ほぼ全員か)が、損失をかぶっていることになる。
また、含み損を抱えたままなのか、泣く泣く損切りしたのかもあるだろう。
さて、自社株買いをして、どこまで株価が回復するのだろうか。
発行済み株式の半数を買い付ければ、単純には株主価値は倍になる。
そこまですれば、需給バランスも大きく変るから、市場の大きな買いも呼ぶだろう。もちろん、それだけの資金はないだろうが。
ただ、株価が倍になったところで、84800円で買った人にはまだ感謝されない。
株価対策としてどこまで対応できるかといえば、個別の投資家に対する補償ではないから、自ずと限界もある。
補償という意味なら、買値で個別に買い戻してもらうしかない。
そうでなければ、市場で株価が上がっても、対応を求めた株主が清算せず、他の投資家が利益を得ては、対策にはなっていない。
また、信用売りをしている投資家にとっては、株価は下がるほどありがたい。

また、自社株を買う場合の資金だが、その資金で自社株を買ったところで、それだけの効果しか生まない。
が、本来の企業活動に振り向ければ、本来、より多くの利益を生むはずである。
その資金を、自社株を買って潰してしまうことのほうが、経営手腕としては問われることになる。
SBIの場合、買うべき株は、自社ではなく、磨けば将来性のある企業である。
仮に全株式を買って会社を清算してしまうとすれば、株式の価値は、PBRに示される値の原価に過ぎない代物である。

こうしてくるとわかることだが、株価そのものを、目先に操作してもたいしたものではなく、経営や収益など、本質的な対策が必要であり、世界経済の中での存在感が求められる。
同時に投資家には、単なる希望的観測による投資とその責任の転嫁ではなく、投資対象の選択眼が求められる。

日本の株主は「株価が下がったどおするんだ」という発言を平気でするが、外国人投資家は、そういう言い方はしない。
「私はそんないい加減な株を買った愚か者なんです」って大声で叫んでいるに他ならないからである。
もちろん、一部には、粉飾決算に騙されたりということがあるが、これは違法行為になる。
それ以外の場合、何も企業側から「買え」と脅迫されたわけでもなく、投資家の思惑で買ったに過ぎない。

株価回復を宗教的に信じるなら、しばらく株価の推移を見ないのも慰めだろう。

そもそも、SBIの株価下がって一番損しているのって、CEO本人だったりして。
176000株持ってらっしゃるようですから、-10000は、-1,760,000,000 -17.6億円です。
酔わせて語らせたら一番吼えそうです^^




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新規作成日:2007年9月11日/最終更新日:2007年9月11日