古代の船



紀元前1万年ごろ

丸木舟

人間にとってはじめての乗り物、それは、水に浮かぶ1本の木だったかもしれない。
はるか昔、水辺に住んでいる人にとっては、生活のため(漁猟や交易)に、まず水を渡る必要があった。伝えられるところによれば、流れる木片を見て、それが水に浮く性質(浮揚性)を知り、それにつかまって泳ぐことに気づいたのが「船の思いつき」とされています。
おそらく最初の船は、水に浮く丸太や木の幹のようなもので、その後、枝や葦(あし)のたばを並べ、それをしばることによって「いかだ」をつくるようになったのでしょう。  船は、歴史上、もっとも古い乗り物です。

男鹿の丸木舟
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丸木舟
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縄文時代の丸木舟
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皮袋の筏 模型
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アイルランド(獣皮船)コクテル 模型
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南米・チチカカ湖の、バルサ材の舟
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アフリカ・チャド湖の、パピルスの舟
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紀元前7000年ごろ〜紀元前3000年

パピルスの船

紀元前5000年ごろのエジプトの花瓶には、エジプト地方で名高いパピルスを束ねた小さな舟が描かれています。東南アジアの竹が多い地域では、竹籠を編んで、その編み目を家畜の糞やヤシ油でふさいだ独特のかご舟が、その地方の船のはじまりになっています。

Dcim1997/DSC_6358. Dcim1998/DSC_6399. Dcim1998/DSC_6477.

丸木舟

それまでの丸太の乗り物では、よほど上手にのらないとひっくり返ってしまいます。そこで、はじめての本格的な船といえる「丸木舟」が登場します。おそらく、半分に割った木の幹の中を焼くか、または石器を使って木の中をくり抜くかしてつくられたといわれています。丸木舟は、いかだよりも重いものを運ぶことができ、かじを取るのも簡単でした。

日本の千葉県丸山町の遺跡からは、紀元前3000年ごろ(縄文時代)のものと思われる、木の胴をくり抜いてつくった丸木舟が見つかっています。大木の多い地域だったことが伺えます。
日本の船の歴史も、いかだや丸木船から始まります。現在わかっている最古のものは、今から5000年ほど前の縄文時代の遺跡から見つかった丸木船です。その後、丸木船の両側に波よけの板を取り付けて深くした船が生み出され、しだいにしっかりしたつくりの独特の形に発達していきました。

丸木舟
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丸木舟
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アジロ舟
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かご舟

昔から、水をはじくおおいとして使われていた動物の皮。大木のない地方では、この皮を縫い合わせ、木の枝でできたフレームやかごのようなものの上に張り付けた船もつくられました。円形の「クッファ」や「コラクル」と呼ばれる後期のかごの船は、タールから採れる黒いヤニによって水をはじくようになっていました。「クッファ」は、2000年以上も前、バビロンを流れるユーフラテス川で使用されたといわれていますが、現在でも見ることができます。

空気を入れた動物の皮

木の少ない土地では、空気を入れてふくらませた動物の皮も利用されました。一度空気を抜くと、皮は丸太よりはるかに軽く、たくさんの川をわたる長旅には、大きな利点となったのです。

かご船 模型
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古代「伊豆手船」
万葉集に「防人の堀江こぎ出る伊豆手船楫取る間なく恋は繁けむ」という大伴家持の短歌があります。
海上交通の要衝であった伊豆では、当時から高い水準の造船技術を持ち、伊豆手式という独特の船型が生み出されていたと考えられています。
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新規作成日:2002年2月6日/最終更新日:2005年8月30日