キャビテーション
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通常、水は摂氏100℃で沸騰するが、気圧の低いところでは、更に低温でも沸騰を始める。
スクリューなどの表面は、水に対して高速で移動する為、部分的に圧力が低下し、キャビテーションが発生する。
ちなみに、この翼面に対する圧力低下を利用したものが揚力である。
高速で流れる(水などの)液体の中の圧力の低い部分が気化して、非常に短い時間に蒸気のポケット(気泡)が生まれ、また非常に短時間でつぶれて消滅する現象のことをキャビテーションと呼ぶ。
なおこのポケットをキャビティと呼ぶ。
尚「ポケット」と言っても、このキャビティは、蒸気の大きな層になることもあるし、蒸気の泡がたくさん集まって雲のように見えることもある。
キャビテーションの実害
高速な流体機器のほとんどすべてで、これらのマイナス要因の一部、または全部が問題となる。
- 流体機器の性能低下
舶用プロペラの場合、本来は船を推進させるために使われるべきエネルギーが、水の気化や振動などの仕事で消費されるために、性能が低下してしまう。
- 流体機器の振動
液体が急に気体になるということは、水中で小さな爆発が起こっているのと同じことで振動する。
- 騒音
ノイズが発生する為、艦艇、特に隠密性を重視する潜水艦にとっては致命的。。
特にキャビティが潰れるときは大きい。
- 壊食(壊蝕、エロージョン)
キャビティ崩壊の際に、瞬間的に非常に高い圧力が発生し、これが流体機器の表面にへこみや傷をつけてしまう。
機器の運転中はずっとこれが繰り返えされるので、長時間経つと機器の表面がボロボロになったり、端が欠けたり、ひどい場合は大きな穴が開いたりする。
これを壊食またはエロージョンと呼ぶ。
キャビテーション対策
キャビテーションは、速い流れの中で圧力が下がるために発生する。
従ってキャビテーションを避けるには、圧力低下と、流れが高速になる部分をなくす必要がある。
- プロペラの形状を改良する。
ハイスキュードプロペラのように、形状を改良し、圧力低下になる部分を減らす。
- プロペラやポンプなどをゆっくり回す。
この場合は性能が犠牲になりってしまう。
性能を落とさないためには、プロペラやポンプなどを大きく作って、ゆっくり回す。
- 舶用プロペラの場合には、プロペラを低い位置につける。
水深が深いと水圧が高いので、キャビテーションが出にくくなる。
⇒ 推進器
新規作成日:2004年4月19日/最終更新日:2004年4月19日