翌日、鵺野たちは早速玉藻の車でそのマンションへと向かった。 「想像以上だな・・・・」 鵺野は車を降り、目の前の廃墟のようなマンションを見た。 いや、誰も住んでいないのだから廃墟だろう。 「恐ろしい程の霊力ですね・・・」 玉藻は車を降りるなり、、珍しく弱気なことを言う。 鵺野は身をこわばらせながら頷く。 おそらく、いや絶対今まであった妖怪や神以上だ。おそらく自分たちとそれらと力を合わせてもとうていかなわないであろう。 恐ろしいほどの霊力だ。 「本当に乗り込むんですね・・・?」 玉藻は念を押すように聞いた。 「ああ。このまま放っておく分けにはいかない。」 雪女も車を降りた。 3人は廃墟を睨みつけた。 「さて、まずは昨日の監視カメラの映像でも確認しますか?」 「ああ」 玉藻は昨日早朝、玉藻が管理会社を丸め込み監視カメラと自家発電機をつけさせていたのだ。 3人は管理室に行った。 古い、部屋には真新しいモニターが8つと、それぞれどこのことを映しているのかのアパートの見取り図がおいてあった。 玉藻は端にあったコンピューターをいじったすると、モニターにそれぞれ画像が映った。 「昨日の夜8時からのものです。」 下には時間が出ている。少しはやめてあるらしくどんどん進んでいく。 鵺野たちは必死に前モニターを見ていたが、何も変化がない。暗い廊下。暗いエレベーター。 昨日は出なかったのか。ここには姿を・・・ と、思っていたときいきなり電気がついた。 <深夜2時> おかしい。自家発電機はこれを動かすのがやっとである。全ての電気をつけるなど不可能だ。 注意深く見ていると、最上階7階のエレベーター前に金色の髪の少女が現れそれと同時にエレベーターが付いた。少女は当たり 前のようにそれに乗り1階へ。管理人センターを通り外へ。 「こいつですね」 「ああ」 と答えていると、また帰ってきた。今度は連れがいる。幼稚園の制服を着た子だ。バックを持っているところから帰ってはいまい。 泣いているのか、下を向いていた。少女はその幼稚園生に言葉をかけながらまた来たようにエレベーターを呼び、最上階にその子を連れ消えていった。少女が消え5分ほどしてまた電気が消えた。 今まで一応見たがこれ以外変化はなかった。 玉藻がまた機会をいじると少女の写真がプリントアウトされてきた。 「拡大映像ですよ。」 鵺野と雪女は渡された写真を見ながら、 玉藻に似ている。 と思った。しかしそんな感想はすぐ忘れ、さっきの幼稚園児との映像を思い出していた。 本当の兄弟のようだった。 姉が妹を慰めているようだった。 とても惑わせているようには見えなかった。 その子たちは帰りたいのか・・・ 鵺野は玉藻のその意見を思い出した。 鵺野をわれにかえしたのはのは、 「予定通り行い始めますか?」 という雪女の問であった。 「あ、ああ」 と答えた。 玉藻は頷いて、立ち上がった。 作戦と言うほどの物ではないが・・・、簡単なことだ。ここにしばらく住んで決めた行動をし、子供をおびき寄せるという物であった。 監視カメラの映像はそれぞれのテレビでも見られるようになっていた。いざとなればそれぞれ仲間が来るまで時間稼ぎくらいはできると 思っていた。 鵺野は7階、玉藻は4階、雪女は1階というようにお互い部屋へ、持ち場に着いた。 お母さん、どうして私おいていくの。 おむかえ早く来て・・・ うん、仕事か・・・仕方ないんだよね。 どうして、私捨てるの? 子供たちの悲痛な叫びが鬼の手を通し伝わってくる。 鵺野は平静を装い屋上に来ていた。 ここに何かある。 これは全員一致した意見だ。多分これの出来たことがこの事件の始まりなのだ。 同じ頃、雪女は周囲を探索していた。何か不審な物はないか。 社や封印や・・・しかし、何も見つからずため息をついて戻っていた。 玉藻は各階の巡回と、誘拐事件に何か他に共通点はないかと調べていたが・・・何もなかった。 3人はそれぞれ疲れて、寝床で横になりテレビをつけた。 深夜。昨日、子供の出た時間に・・・ やはり、いきなり廊下やエレベーターの電気が付いた。しかし、昨日の通り少女が出たとたん変わった。少女の 周りを白衣観音が巻き付こうとした瞬間、経文はただの紙と化し地面に落ちた。 そう、これは鵺野の罠だ。 しかし少女はまったく罠とも思っていないようだった。多分道に落ちている小石程度しか思っていないようだった。 少女は紙を見たが経文が読めないらしく首をひねってポケットに入れた。 エレベーターに乗り少ししたとき、今度はエレベーターに雷電が走った。玉藻の境域メキドだが・・・やはり何の変化もなくすぐ破られた。受付前の霊気も同じ・・・。格が違い過ぎることを見せてけられた気分だった。 今日はこれで変化無し明日・・・。 と思っていたとき、異変が起きた。少女がエレベーターであがっていく途中、急にエレベーターを通常より、ゆっくり動かさせた。 階で言うと3階から5階。玉藻のいる4階を通るときであった。目を閉じて何かを必死に探るような顔をしていた。 あの子は玉藻の気配に反応したのか。 鵺野と雪女はそんな感想を持った。玉藻には気配を隠すよう言っておいたからその残りをかいでいるのだろうか・・・ 子供が最上階でエレベーターを降りていった。しかし、しばらくしても電気が消えない。 鵺野は試しに、スイッチを押すと部屋の電気が付いた。水道をひねれば水もでる。 あの子が妖力を電気代わりにしている。水もどこからか持ってきて貯水槽をいっぱいにしたのだ。 何故そんなこととを? 多分、玉藻だろう。 ・・・彼のためだろう。 これは早くけりが付きそうだ。 明日・・・ そう、明日だ。 明日には終わるであろう。 |