「色盲検査表の仕事で試みていることは、機能、目的を徹底させ明確化することにある。作品をできる限り美しい色彩で彩るのも、それは一つの誘蛾灯みたいな役割を与えたいためだ。見るものを、僕の企てた企みの中に引き入れてしまいたいためだ。そしてその企みは、明快かつ具体的に行う。現代社会機構のおとし子に潜む、個人意識を反映しただけの、コンプレックス、ニヒル、告白、反逆などのイメージ、また、その逆に舞い上がったイメージを、現代人があみだし発見することの可能なユーモラスで冷たい知恵と工夫にすりかえてしまいたい。利用されることは、利用することであることを証明する新しい武器を常に発見していくこと。このシリーズではそれをおしすすめたいと思っている。
「ぴ・い・ぷ・る・秋の美術展受賞者たち」「芸術新潮」1963年11月号