平成13年 総務委員会


 

2001年9月28日

馬場裕子

一 人権プラザ条例について

一 人権プラザ条例について

◯馬場委員 それでは、今回提案されております人権プラザ条例についてお伺いをいたします。
 社会生活の多様化が進んでおります。それに伴って、人権や差別への問題意識が高まってきていると思います。差別を受けている人、差別を許さない人、差別とは何か、また人権とは何かとかいうふうに考えている人、それらの人々の多くは、人権に関する情報を入手したり、継続して活動ができる場所を確保する、そうしたことに今苦労しているという声を聞いております。今回開設する人権プラザが、そのような活動のよりどころとなる施設として新しく設置されるよう、以下、何点かお伺いをさせていただきます。
 まず、今回の条例案ですが、東京都産業労働会館を改修、整備の上、人権プラザとして設置をするためのものであります。この提案理由の中にも、「東京都における同和対策の推進に当たって東京都産業労働会館の果たしてきた役割等を踏まえ」というふうになっておりますが、まず、これはどういう意味なのかというところからお尋ねをいたします。

◯関人権部長 東京都産業労働会館は、昭和四十七年七月に開設いたしまして以来、東京都の同和対策事業の推進センターとして、同和問題の普及啓発や皮革関連産業の振興などの事業を実施し、同和問題の早期解決に向けて貢献してまいりました。
 産業労働会館が果たしてきた役割等を踏まえるということは、第一に、産業労働会館では、これまで、同和問題を初めとする人権問題に関する普及啓発などの実績がございます。また、さまざまなノウハウや資料等が蓄積されております。
 第二点といたしまして、人権プラザとしての機能を果たすため、既存の産業労働会館の施設を有効に活用できるなどの点を総合的に勘案いたしまして、人権啓発を進めていく上で、産業労働会館の有効活用を図り、かつ利便性を高めて人権プラザを開設するというものでございます。

◯馬場委員 お答えいただきましたように、産業労働会館は、これまで、都の同和対策の推進センターとして大変大きく役割を果たしてきたというふうに思っております。これまでの取り組みにより、同和問題に関する差別意識は着実に解消に向けて進んでいますが─が、というふうにいわせていただきますが、依然としてまだ存在し、各地でまだまだ、この取り組みについて各自治体でも検討が進められている状況にあります。
 平成十三年度末には、国の同和対策の根拠法である地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、長いですね、いわゆる地対財特法といったらいいんでしょうか、が失効しますが、今後、人権プラザでの事業を含め、同和問題についてどのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いをいたします。

◯関人権部長 先生のお話のとおり、平成十三年度末にはいわゆる地対財特法が失効する予定であることを踏まえまして、現在特別対策として実施しております同和対策事業は、原則として終了いたしますが、平成十四年度以降も、同和問題を早期に解決するために、一般対策におきまして、差別意識の解消に向けた教育啓発を主たる課題といたしまして、必要な施策を講ずる考えでございます。
 人権プラザにおきましても、同和問題の早期解決に向けて、普及啓発や情報、資料の収集、提供、相談等の事業を実施してまいりたいと考えております。

◯馬場委員 今お答えいただきましたように、同和問題から、今、大きく人権問題へというふうに転換の時期に来ているというふうに思います。そういう意味で、今回の人権プラザ、大変大きく役割を持つというふうに思っています。
 この人権プラザでは、さまざまな人権問題に取り組んでいく、そういう方向でご検討いただきたいと思っていますが、私のところへも、さまざまな方、人権問題に取り組んでいらっしゃる皆さんが活動をするための場所がなくて困っているという相談を受けております。アイヌの皆さん、また中国残留孤児の皆さん、人数が少ないところほど、やはりこの問題はあるというふうに私も思っておりますので、この人権プラザに活動交流室が新設されると伺っておりますが、その活動交流室はどんな使い方ができるのか、どういう人たちが利用できるのか、その利用方法や申込手続等、わかっていらっしゃったらお知らせください。

◯関人権部長 お話にございますような活動交流室は、人権及び人権問題に関心を持つ都民の方、あるいはその所属する団体の方々が打ち合わせやチラシ等の作成など、さまざまな活動あるいは交流ができる空間として整備するものでございます。
 お話のように、活動する場所の確保が困難な団体を含めまして、できるだけ多くの都民や団体の方々に有効に活用していただけるよう、利用方法、申込手続等の具体的な使用基準につきまして、現在検討しているところでございます。

◯馬場委員 日常的な部屋の確保ということが無理であれば、例えばロッカーを設置して共通な資料とか関係のものを保管し、継続的に人権プラザの部屋を使える、あるグループの皆さんがそこを拠点にして活動ができる、それを専用ではなくてお互いに使い合うという意味で、こんなような取り組みもぜひお願いしたいというふうに、これは要望をしておきます。
 私は、昨日の一般質問で、女性や児童に対する虐待や暴力が犯罪であることを指摘させていただきました。このような深刻な人権侵害が発生している状況の中で、都民の人権意識の高揚と多様な人権問題の解決を図るとされるこの人権プラザの役割は大変大きい、何度も申し上げますが、大きいと思います。
 とりわけ、人権に関する展示は、関心の薄い都民や小中学生などの若年層にとって、人権を考えるきっかけづくりとしての効果も期待されております。人権プラザでの展示に当たっての基本的な考え方をお尋ねします。

◯関人権部長 人権プラザでは、人権に関しますさまざまな資料を常設展示いたしていきたいと考えております。展示に当たりましては、一方的に知識や事実を説明する展示とならないように留意して、来館者が人権についてより身近に感じられ、日常生活の中で人権を考えるきっかけとなるようなものにしたいと考えているところでございます。
 また、若年層が人権についての関心を高めることができますよう、展示内容は、おおむね小学校高学年から理解できる基礎的な内容としたいと考えているところでございます。

◯馬場委員 この展示とともに、さまざまな人権の情報や図書資料などを収集し、提供するということは、人権問題に関心を持つ都民や人権問題に取り組んでいる団体にとって有意義なことであると思います。
 図書資料室が拡張されると伺っておりますが、どのような考えで整備をしていこうとしていらっしゃるのか、伺います。

◯関人権部長 図書資料室は、これまで産業労働会館時代から収集いたしました同和問題に関する資料を提供するとともに、新たに、さまざまな人権や人権問題に関する専門図書、新聞、雑誌のほか、学術論文や人権にかかわるNPO関係の資料などを収集、提供してまいります。都立で唯一の総合的な人権資料室として、人権や人権問題に関心を持つ都民や団体の方々に大いに利用していただきたいと考えております。

◯馬場委員 人権に関する相談や指導者の育成、これは今までもしてこられたというふうに聞いていますが、ここの人権プラザでもさらにこの事業については積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、所在地、場所が少し不便なところではないかと、私はまだお邪魔したことないのですが、聞いております。この人権意識の普及啓発を進めるためには、今お話が出た若年層の方、子どもさんにもここを利用していただきたいと思っております。
 そういう意味では、交通アクセス、行きやすいということ、それからもう一つは、少し不便でも行ってみたいと思わせるような、そんな人権プラザにしなければいけないというふうに思っています。そのためには、行きたいなと思うようなイベントや、さまざまな催しをぜひ考えていただきたい。この広報とイベント等の方法についてお伺いいたします。

◯関人権部長 先生のお話のような点がございます。
 人権プラザの周知につきまして、開館に当たりましては、パンフレットを作成いたしまして、マスメディアや都、区の広報紙等を最大限に活用するなど、さまざまな媒体を使いまして、広く都民の方々にPRしてまいりたいと考えております。
 また、集客力のあるイベント等の開催あるいは展示室、図書資料室の充実等、魅力があるものにしていくということで事業展開を図ってまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

◯馬場委員 人権に関心を持つ都民、団体の方々など大いに有効利用していただきたいと思うんですが、今後都として、今回設置する人権プラザをどのように活用して、この人権問題の解決に取り組んでいこうとしていらっしゃるのか、そのことを伺います。

◯関人権部長 昨年十一月に策定いたしました東京都人権施策推進指針に基づきまして開設いたします人権プラザでは、先ほどお答え申し上げましたような展示室や図書資料室の充実を初めといたしまして、さまざまな啓発等の事業の展開に工夫を凝らし、東京都における人権啓発の拠点施設としての充実を図ってまいります。こうした人権プラザの活動を通しまして、人権意識の高揚及び人権問題の解決に積極的に取り組み、都民の人権が尊重される社会の実現を目指してまいります。

◯馬場委員 たくさんお聞きしました。この人権プラザを東京都人権施策推進指針に基づいて開設し、都民の皆さんにさらに人権意識を高めていただき、さらにここを拠点としてやっていくという方針について、大変期待をしております。
 指針を具体化するに当たりましては、世界人権宣言や人種差別撤廃条約、また女性差別撤廃条約、児童の権利条約などの国際人権条約を踏まえるという大きな世界的な観点から、さらに、日本での、東京での差別の撤廃を重要な課題として、まず差別されている当事者の皆さんの意見を十分に聞くという、このことも大切にしながら、この人権プラザがこれから都民の皆さんに有効に使っていただける、そういう拠点になることを願って、質問を終わります。
 ありがとうございました。
 


 

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