平成12年度 各会計決算特別委員会


 

2001年11月12日

馬場裕子

一 DV対策、一時保護対策について
二 緊急地域雇用特別基金事業について
三 ヒートアイランド現象について
四 行政評価について

 DV対策、一時保護対策について
◯馬場委員 平成十二年度決算特別委員会で、私からは、大きく四点について質問をさせていただきます。
 まず、福祉諸施策ということでございますが、利用者が選択をするために必要なサービスの質と量の確保、また、区市町村との連携と都の役割、このことは大きくこれからの福祉それぞれの施策について、重要な問題になってきております。
 この中で、さらに、私は、本日、児童虐待及びDV防止法における施策間の連携について等の観点から、一時保護について質問をさせていただきます。
 福祉サービスを必要とする女性の状況が複雑化してきております。総合的な福祉サービスを必要としているにもかかわらず、相変わらず、高齢者、障害者などの分野別のサービス提供の仕組みとなっています。とりわけ配偶者からの暴力を受けて保護を求める女性は、このようなサービス提供方法では対応し切れないのではないでしょうか。こういう視点から、まず質問に入らせていただきます。
 さまざまな理由で行き場のない女性、特に子どもを伴った女性の受け皿として、現在では、女性というくくりで、女性相談センターなどに一時保護がされている状況にあります。年代では、二十代から五十代、六十代の方もいらっしゃいますが、ほぼ均等で、この一時保護の対象外に近いような、心身、体、そして心もともに障害を持つような方も含め、七〇%の方が、今この女性相談センターに一時保護をされているという状況がございます。
 この一時保護、基本的には二週間なんですが、現状では、東京都の女性相談センター二カ所、四十五名定員に対して平均四十五・三人、つまり、もう満杯というような状況にあるという十二年度の報告があります。東京都の女性相談センターは、原則として保護の必要がある女性であれば、原因や年齢を問わずにかなり幅広く受け入れている、このことは評価をするものであります。しかしながら、今、平成十二年度の実績、満杯状態と申し上げさせていただきました。
 この女性センターで保護した女性の中には、本来、本人の安全と自立のためには高齢者施設や障害者施設で保護すべきであるにもかかわらず、女性ということで、女性相談センターが受け入れている場合もあると伺っております。また、一たん女性相談センターで受け入れた場合でも、本人の状況がわかり次第、速やかにほかの専門施設に移す必要があるにもかかわらず、受け入れ先が見つからない場合もあるというふうに聞いています。
 そこで、福祉事務所から一時保護の依頼があった際に、女性相談センターが満杯で断った場合、福祉事務所はどのような対応をしているのか、また、都では、女性相談センター以外に一時保護の受け皿を持っているのか、お伺いいたします。
◯前川福祉局長 今お話がありましたが、夫からの暴力などさまざまな理由から緊急に保護を必要とする女性、こういった女性に対しましては、都と区市町村が連携協力をして、一時保護を初め、自立に向けての相談、援助等の支援を実施いたしております。
 一時保護につきましては、福祉事務所が第一次的な窓口となって対応しており、本人の置かれている状況や抱えている問題などを勘案しながら、都の女性センターへの一時保護を依頼したり、あるいは他の施設、センター以外の施設の活用を図るなど、所要の対応を実施いたしております。
 また、東京都では、外国人女性のために緊急一時保護を実施している民間団体に対しても、財政支援を行っております。
◯馬場委員 今お答えをいただきましたように、この一時保護については、現状では、区市の福祉事務所が第一次的な窓口になっているということで、今、私は、福祉事務所から依頼を受けて、都が満杯の場合という質問をさせていただいたんですが、お答えにありましたように、都が満杯であっても、区市の福祉事務所がその対応をしなければならないということをおっしゃっていたのかなというふうに私も思います。
 区市にとっては、一時保護は大変な問題ということであります。ここに資料があるんですが、二〇〇一年、ことしの三月に東京女性財団が出された配偶者等による暴力の被害女性と子どもへの支援に関する調査報告書の中でも、具体的なことで困ったことという、この調査対象は、各施設の職員さんを対象にとった報告書なんですが、大変なことで一番に挙げられていることが、緊急避難施設の紹介、さらに仕事探し、職業訓練、住居の確保、保育所等の施設入所、生活保護貸付金、心理ケア等、こうしたさまざまな問題が挙げられています。
 区市町村が独自に一時保護先を確保しなければならないという現状なんですが、こうした現状を都でも十分認識をしていらっしゃるのではないかなというふうに思いますが、都として、支援策は、それではどんなように考えていらっしゃるのでしょうか。
◯前川福祉局長 今お尋ねの支援策につきましては、大きく二つの点で実施をいたしております。
 一つは、平成十二年度から実施をしておりますが、ひとり親家庭総合支援事業の中で、緊急に一時保護を必要とする母子等に対し、区市町村が実施する母子緊急一時保護事業や、緊急一時保護ホテル宿泊費助成事業への財政支援を実施いたしております。
 またもう一点、一時保護の受け入れにつきましては、さまざまなケースが想定されるために、今お話もありましたが、都や区市町村等の関係機関が連携協力して、相互に情報の共有化とか意思疎通を図っていくことが重要であります。
 このため、都としては、区市の婦人相談員との連絡会の開催であるとか、相談員の研修とか、そういった対応を行っております。
◯馬場委員 今お答えいただきました施策は、お答えの中にありませんでしたが、ひとり親家庭総合支援事業という大きな事業の中に組み込まれている事業なんですね。このことでもおわかりのように、まず、一時保護等が必要になった場合に──その前に、それぞれの状況で、子どもの虐待、それからDV、いろいろな事情がありますが、そうした場合に、まず離婚になる例が多い。そして、離婚からひとり親になっていく。そういう状況があるということを、都では認識していらっしゃるのではないかなと思います。
 そういう意味では、ひとり親家庭総合支援事業の中に組み込まれているという状況ではありますが、区市が苦慮しているこういう一時保護総合支援について、もっともっと都では力を入れていただきたいというふうに私は願うものでございます。
 次に、このたび、長年の女性たちの思いが実り、この十三年十月十三日から、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が施行されました。法施行後、早速、大阪等で保護命令が出されたなどの報道からも、DV被害者の深刻な問題が浮き彫りにされております。ドメスチックバイオレンスですが、DV被害者にとって、いかにこの法律の制定が待たれていたかということが推察されます。
 この法律の施行によって、DV被害者の一時保護の責務が女性相談センターに課されることになりました。すなわち、DV法による一時保護は、都道府県の責任により行うこととされておりまして、法施行前の一時保護とは違う重みがあるというふうに私は思っております。このことを都にぜひ認識をしていただきたい。
 ここに内閣府男女共同参画局のパンフレットがありますが、この中にもきちんと、一時保護、都道府県に各一カ所は設置されなければならない、そして一時保護業務は都道府県の責務であるということが書かれております。そういう意味でも、今まで一時保護が、さきの質問でも述べさせていただきましたように、区市町村の福祉事務所が大きく一次的に窓口になっていた、そういう状況から、このDV法につきましては、都が都道府県業務として責任を負わなければならない、こういうことがあります。
 都では、それでは、このようにDV法に基づく一時保護をどのように充実をさせていくお考えなのか、ご所見を伺います。
◯前川福祉局長 これまでも、東京都の女性相談センターは、保護や援助を求める女性に対しまして、緊急一時保護を初めとする幅広い女性保護施策を、区市町村と連携協力をしながら実施してきております。
 今お尋ねがありました、夫などからの暴力に対する被害者の保護につきましても、その中で的確に対応してきており、実態を見ますと、平成十二年度の女性相談センターにおける一時保護件数の四割は、夫などからの暴力によるものでございます。
 したがって、いわゆるDV法の施行後も、こうしたこれまでの実績の積み重ねを大事にしながら、区市町村などとの基本的な連携の枠組みを維持して、一時保護につきましても的確に対応していきたい、こう考えております。
◯馬場委員 今お答えをいただきましたように、平成十二年度の一時保護件数の四割は夫などからの暴力である。今お話ししましたように、DV法が施行され、今、各地で一斉に取り組みが始まっております。こうした中で、さらにこの数字は大きくなる。つまり、助けを求める女性がふえてくるというふうに思われます。
 また一方では、子どもの虐待との連鎖、このことも大きく今いわれております。DVと子どもの虐待の関係ということ、家族、家庭の問題ということで挙げさせていただければ、子どもへの虐待をしている六割は母親であり、そのうち、三割はひとり親の場合が多い。母子で暮らす中で虐待がふえ、またその母子で暮らすということの原因が、大きく夫からの暴力ということであるというふうに思っています。
 そういう意味では、これから東京が各区市と連携をして、それぞれの施策を充実をさせていかなければならないというふうに思っていますし、危機介入という意味では、一時保護というものが大変大きな役割を持っているというふうに思っています。
 この一時保護、またそれからの自立に向けては、それぞれのところでの役割、各施設での職員等も含めての役割が大変大きなものがあるんですが、現状では、母子相談員、児童相談員等、各地で一人勤務というところが多いというふうに聞いています。それぞれ大きな課題をしょって、こうした皆さんが勤務をする中で、先ほど述べましたように、大きく問題になっているのが、行政の縦割りということが述べられています。
 大きく女性問題、いろいろな分野にまたがり、特に自立に向けてはさまざまな分野へかかわっていくということが多い。そのためには、きょう、各局の局長初め責任者の皆さんがお集まりで、出席をなさっていらっしゃいますが、こうした各局の皆さんの連携ということが大変大切なことであるということが強く述べられています。
 私も、これからの都の事業は、まずDVにおいての対策、一時保護等の相談事業の対策とともに、広域性、そして各事業の連携、このことを図ることが、大きく解決に向かって大切なことだというふうに思いますので、ぜひこれからの十四年度の予算、さらに今後の福祉の中での女性施策について、充実を図られることを願って、次の質問に移ります。
 緊急地域雇用特別基金事業について
◯馬場委員 次は、緊急地域雇用特別基金事業について伺います。
 緊急地域雇用特別交付金事業は、現下の厳しい雇用、失業情勢の中で、中高年齢者の非自発的離職者や新規学卒未就職者を主な対象として、臨時応急的な雇用の場を確保することを目的として創設されたものであります。
 平成十一年度から平成十三年度までの三カ年の事業で、都は、この三カ年における新規雇用目標数を三万人としており、各年度においては、新規就職者延べ人員数を計画していらっしゃいます。そこで、新規雇用目標数と各年度における新規就業者延べ人員数をどのように算出していたか、お伺いをいたします。
<◯浪越産業労働局長 都の新規雇用目標数の設定については、国から都への交付額が交付金総額の九%であり、この数をもとにすると、全国の雇用目標数三十万人に対して、二万七千人となりますが、都における厳しい雇用情勢を考慮して、それを上回る三万人としました。
 また、各年度の目標については、事業計画ごとに見込まれる新規就業者数を積み上げて算出したものでございます。
<◯馬場委員 この緊急地域雇用特別交付金は、都の事業と区市町村の事業を合わせて、できるだけ多くの新規雇用を確保することを目的としております。
 当初、国から交付を受けた百八十二億五千百万円のうち、九十一億五千百万円を都の事業として、残りを区市町村の事業として実施することを計画してこられました。
 十一年夏から秋へかけての緊急対策として、短時間で計画しなければならなかった状況というものはありますが、十二年度予算では、都と区市町村合わせて九十億五千五百万円余りを計画していました。しかし、決算では、七十三億七千二百万円余りで、執行率は八〇%と低くなっております。これが新規雇用の実績に影響がなかったか、お伺いいたします。
◯浪越産業労働局長 交付金事業につきましては、これまで、各事業の円滑な実施と予算の効率的な執行に努めてきたところでございます。新規雇用の創出についても、着実な成果を上げていると考えております。
◯馬場委員 それでは、三年間での新規雇用目標三万人の達成見込みについて伺います。
◯浪越産業労働局長 平成十一年度及び十二年度の交付金事業の実施により、都と区市町村とを合わせて二万四千五百三人の新規雇用を創出しました。
 今後とも、目標が達成できるよう努めてまいります。
◯馬場委員 新規就業者の目標が達成されたとしても、その内容が重要であると考えます。先日、十一月四日付の朝日新聞では、緊急地域雇用特別交付金で実際に雇用された人たちが、失業者か非失業者かを把握していない自治体が多く、把握している自治体の中には、非失業者が多数雇用されていたという調査結果が報道されております。
 緊急地域雇用特別基金事業は、中高年齢者などの非自発的失業者や新規学卒者の未就職卒業者を主な対象として創設されました。そういう意味では、緊急地域雇用特別交付金事業の目的に照らしてみれば、委託事業者が失業者等を採用するように、都として指導をしていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◯浪越産業労働局長 都としては、各事業において、できるだけ多くの失業者が雇用されるよう、新規雇用者の人件費を総人件費の三割以上とすることといった、他県に例を見ない独自の目標を設定しております。これに基づいて委託事業者等を適切に指導しており、新規雇用に結びついているものと考えております。
◯馬場委員 国の基準では、新規雇用の割合が明確に定められていないという現状がありますが、平成十二年度において都が実施した事業は、各局合計して六十一事業あります。その中には、執行額に比べて新規雇用者数が少なかった事業も幾つか見られます。今後実施する事業については、できるだけ新規雇用につながるような事業の実施に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
<◯浪越産業労働局長 事業の実施に当たりましては、これまでも新規雇用につながるよう努めてきたところでありますが、新規雇用者数については、各事業ごとの性格や実施時期、地域特性などにより、違いが生じたものであると考えております。
◯馬場委員 先ほども申し上げましたが、数の目標達成は見込めるということですが、内容を実のあるものにするということが望ましい。そういう意味では、平成十二年度は、区市町村分として介護支援専門員受験対策講座、養成講座、また育児サービス提供介護員の養成、さらにケアマネジャー養成事業講座、NPO法人の設立運営に関する研修といった、講習や養成講座の事業が多く実施されております。講習や養成講座を受けた人が、スキルアップを図ることによって職につきやすくなるということを考えますと、雇用対策という点からは大きく有効であるというふうに考えます。
 緊急地域雇用特別基金事業の事業化に当たっては、こうした観点から事業化を図っていくことが重要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◯浪越産業労働局長 お話のような事業につきましては、区市町村と連携をして実施しているところでございまして、雇用就業の促進に効果があったと私どもは考えております。
◯馬場委員 現在もさらに厳しいという失業率の中での対策ということで、再登場したというふうに思えるものがあります。先日発表された政府の補正予算案では、新たなということで、緊急地域雇用特別基金事業を平成十三年から十六年まで、三千五百億円を盛り込んでの提案がされています。そして、その事業の八割以上を人件費とすることや、失業者の新規雇用の割合を四分の三以上とするなどの条件を課すということも含まれていると聞いています。
 しかし、数値的なことだけでなく、地域特性の事情を踏まえて、どのような事業を実施することがより有効な雇用対策になっているかを分析し、国に提言する、あるいは東京都独自で実施することで、本当に困っている失業者の雇用対策につながるよう努めてもらいたい。
 まだこれから審議をされるということですが、今まで申し述べました今やっている事業も含めて、都のこうした積極的な国への提言が必要というふうに考えますが、いかがでしょうか。
◯浪越産業労働局長 ただいまお話のありました国の新しい交付金事業につきましては、今後、国から示されるであろう事業要領等を踏まえ、新規雇用の創出を図る観点からも適切に対応してまいりたい、そのように考えております。
◯馬場委員 雇用対策、都でも本当に大きく取り扱っていかなければいけないというふうに思っていますが、国が出してくるいろいろな施策を受けてやらざるを得ない、そんな状況の中で、さらなる皆さんの努力を期待しているところでございます。
 この事業も、十一年から十三年とされたものが、今の案ですと、さらに十三年から十六年、通算して六年という緊急対策ということになります。そういう意味では、国の補助が出るとして、これを使って都がさらに雇用対策を有効にしていく、このことが各自治体に課せられた大きな役目だというふうに思っています。
 そういう意味では、このことの賛否はありますが、今行われている十三年までの事業を適切に執行され、国に向けて、このことの是非、そして実際に行う自治体が、有効であるかどうかということの提言を国にして、国としての有効な施策にしていただかなければならない、このことをぜひお願いをして、質問を終わります。
 ヒートアイランド現象について
◯馬場委員 次に、環境についてお伺いいたします。
 最近注目をされております、都市型の環境問題であるヒートアイランド現象に関して、何点かお伺いいたします。
 ヒートアイランド現象は、都市内において郊外よりも気温の高い地域が、都市を中心として局地的に形成される現象ということでございます。夏季における、夏場における夜間の熱帯夜、昼間の高温化がもたらされ、熱中症などの健康への影響の拡大が懸念されております。都市環境や都民生活に大変大きな影響を与える問題であると思っています。
 その原因の一つは、都市内の緑の減少であり、もう一つは、都市排熱の増大でありますが、そもそも都内では、近年、どのような要因で都市排熱が増加をしているのか、まず伺います。
◯赤星環境局長 東京での都市排熱の大きさを、エネルギー消費量によって部門別に見ますと、事務所ビルなどの業務部門と自動車などの運輸部門との割合が高く、この二部門で全体の約七割を占めております。
 特に近年増加が著しいのは、事務所ビルのエネルギー消費であり、平成二年からの八年間で六割近くふえております。
◯馬場委員 今お答えをいただきましたように、オフィスの排熱が大きく影響している。この人工排熱を抑えることが、まず大きく重要だというふうに思います。
 都は、環境確保条例で、延べ床面積一万平米を超える建物を対象に、建築物環境配慮制度を導入し、来年度からの施行を予定していると聞いております。具体的に、この制度の中で建築物にどのようなヒートアイランド対策の導入を求めていらっしゃるのか、伺います。
◯赤星環境局長 建築物の環境配慮制度でございますけれども、地球温暖化防止やヒートアイランド対策を目的としたものでございまして、現在、平成十四年六月の施行に向けまして、準備を進めているところでございます。
 本制度におきましては、延べ床面積一万平方メートルを超える建築物の新築に際し、省エネルギーシステムの導入を初めといたしまして、屋上等への反射率の高い仕上げ材の使用や、敷地内の保水性舗装の採用などを通じまして、ヒートアイランド対策への取り組みを求めていく予定でございます。
◯馬場委員 このヒートアイランド現象は、環境への配慮を怠ってきたこれまでの都市づくりの結果として生じたものだというふうに思っております。先日、十月二十九日の第三分科会でも、我が会派の初鹿委員が指摘いたしました屋上緑化等、全庁で積極的に対策を講じてほしいと思っておりますが、それだけでは問題は解決しません。都内の道路や駐車場のすべてを保水性に変える、また風の道を配慮した都市計画を行うなど、環境局が中心となって、全庁的なヒートアイランド対策が進むよう努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
◯赤星環境局長 ヒートアイランド現象の進行を食いとめ、緩和していくためには、都市活動におきますエネルギー消費の抑制や、緑化の推進に加えまして、都市づくりのあり方自体を、従来以上に環境に配慮したものに変えていくことが必要でございます。
 現在、改定を進めております東京都環境基本計画の中で、総合的なヒートアイランド対策の方向性を示し、全庁的な取り組みを強化してまいります。
◯馬場委員 ありがとうございました。
 この環境の確保は、だれもが賛成をする課題ということでございますが、現状のような経済の状況の中では、思っていても、なかなかこれを積極的に取り入れるということをちゅうちょするという状況もあり得ると思います。具体的な施策一つ一つ、都民は大変大きく意識は高まり、環境について協力をしたいという気持ちはあります。そういう意味では、いろいろな面から、環境局が中心となって、お金だけでなく、さらに具体的な知恵も働かし、都民との協働の中で目標を達成していく、そして都民の生活を守る、環境を守るということをしていただきたい。このことを、環境局の頑張りを期待して、私の環境の質問を終わります。
 行政評価について
◯馬場委員 最後に、行政評価について伺います。
 次年度予算を編成する過程で、前年度の行政活動の成果を検証、評価すること、このことが重要であると思います。これまでは、決算審議がそのための重要なツールでありましたが、新たに導入された行政評価制度も、今後は大きな役割を担うことになります。
 都が全庁を挙げて行政評価制度の構築に取り組み、十三年度からの本格実施を実現したことは評価をしております。しかしながら、行政評価は、それを行うことが目的ではなく、あくまでも手段であります。したがって、制度は、それ自体が効果的で客観性があり、都民にもわかりやすく、事務事業の見直しや予算編成に有効に活用できるものとすべきであります。
 このような認識のもとで、都の行政評価制度を見てみますと、その努力は評価しつつも、なお制度の完成に向けて工夫する余地があると思われます。
 以下、よりよい制度とするために必要な問題提起を行ってまいります。
 まず最初に、評価を事業所管局の局長が行う一次評価と知事本部長が行う二次評価という二重構造にした理由、またねらいは何でしょうか、お伺いいたします。
◯田原知事本部長 まず、第一次評価につきましては、現に事業を実施している事業所管局が、自己点検の観点から、その立場で実施をしているものでございます。
 また、第二次評価は、できる限り客観的な評価とするとともに、都の施策全体の中における事業のあり方を検証するために、全庁的な立場から知事本部が実施しております。
 行政評価は、まず事業所管局がみずからの仕事を見詰め直すことが必要であろうということを考えておりまして、それに全庁的な視点による評価が必要なことから、このようなプロセスで実施をしております。
◯馬場委員 行政評価は、まずその事業所管局がみずからの仕事を見詰め直すこと、そしてさらに全庁的な視野も必要である、本当にこのことについては進めていただかなければならないというふうに思っていますが、ここに、十二年度の評価結果について、事業所管局の一次評価と二次評価者の評価とを対比した表があります。これを見ると、局の評価と二次評価の間には非常に大きな隔たりがあるものがあります。十二年度の対象事業四十八のうち、局は四十一事業にAまたはBという合格点をつけ、抜本的な見直しというDが一事業、事業廃止となるEはゼロという結果でした。しかし、二次評価では逆に、Aはゼロ、Bがわずかに二、Dが十七、廃止が六という結果になっております。
 一次評価と二次評価が極端に隔たっている事業を具体的に挙げますと、産業労働局所管の地域中小企業経営・技術相談と教育庁所管の総合教育相談の二事業ですが、この所管局の評価がAで、拡大実施が適当、こういう判断なのに対して、二次評価はDで、事業の抜本的な見直しが必要という厳しい評価となっております。
 一次評価を実施することで、局の自己責任を明確にするというねらいはわかりますが、同じ事業を評価しているのに、ここまで大きく食い違っているということでは、制度の実効性に疑問を感じざるを得ません。
 なぜこのような結果になったのか、まず評価の基準はどのように設定されているのか、伺います。一次評価と二次評価の基準は違うものなのでしょうか。
◯田原知事本部長 昨年の試行の際の事務事業評価の評価項目は、達成度、必要性、効率性及び公平性、この四つを設定いたしまして、これらの検証を踏まえて、事業の今後の方向性を示す総合評価を行っております。
 第一次評価、第二次評価ともに評価項目は同じでございます。
◯馬場委員 それでは、今ご説明がありました評価基準に基づいて、私が例に挙げた二事業について、各所管局長と二次評価者がどのような評価を行ったのか、またこの二事業について、所管局は二次評価をどのように受けとめていらっしゃるのか、またその後どのように対応しているのか、それぞれお考えを伺います。
◯田原知事本部長 第二次評価に当たりましての考え方でございますけれども、まず、地域中小企業経営・技術相談につきましては、中小企業支援法の施行を踏まえまして、効率性の観点から、民間事業者の専門能力を最大限に活用して、より効果的な運営形態を目指すことなどが必要であるとしたものでございます。
 また、総合教育相談につきましては、必要性はあるとしながらも、効率性の観点から、多摩教育研究所の教育相談室との統合をする必要や、蓄積されました相談事例から抽出された問題点を、学校の改革により一層役立てていくべきものとしたものでございます。
 これらのことから、二事業の今後の方向性として、抜本的な見直しが必要であると評価いたしました。
◯横山教育長 総合教育相談の行政評価についてでございますが、子どもたちのいじめや不登校、あるいは暴力行為等に関する相談事例は、近年、多様化、複雑化、深刻化しておりまして、子どもたちの心のケア、家庭の子育てなどを支援します相談事業への都民のニーズは高く、その充実が強く求められている状況でございます。
 そのため、総合的、一元的な相談体制を構築しまして、家庭教育相談の拡充や、きめ細かい相談体制の整備充実が必要であると考え、第一次評価を行ったものでございます。
 そこで、二次評価の受けとめ方とその後の対応でございますが、東京都といたしましては、二次評価を受けまして、多様化、複雑化、深刻化します相談に迅速、的確に対応するために、都立教育研究所と都立多摩教育研究所の相談事業を一元化しまして、平成十三年四月一日付で東京都教育相談センターを設置したところでございます。
 教育相談センターにおきましては、区市町村の教育相談機関との連携を強化、支援しますとともに、教職員研修センターと連携した研修、不登校の児童生徒等に対する相談の充実及び電子メールによる相談の受け付けの開始など、相談機能の一層の整備充実に努めているところでございます。
◯浪越産業労働局長 地域中小企業経営・技術相談事業につきましては、厳しい経済状況下における、経営技術上のさまざまな問題を抱える中小企業のニーズが拡大していることから、一層の充実強化に努める必要があります。
 また、中小企業者の身近なところで支援事業を行う必要性が高まっており、今後は、多摩地域への展開も含めた事業の拡充を図っていくべきであると考えます。
 二次評価は、このような事業の必要性を認めつつ、ただ効率性の観点から、運営主体について、民間活力の導入などの見直しが必要であるという指摘と私どもは理解をしております。
 局としては、この評価を真摯に受けとめ、本事業を東京都中小企業振興公社へ移管してまいります。
◯馬場委員 それぞれのお立場からご説明をいただきました。各局と二次評価者では、評価の視点が、初年度ということでしょうか、ずれているというより、それぞれの事業の目的が違うというところで、結果的に一次、二次がずれてきたのかなというふうに受け取りました。
 公表されている評価結果報告書の評価欄を読ませていただきましたが、ここでも同じことがいえます。
 これは評価の基準が不明確とかあいまいとかということもありますが、一方、事業局としての施策の充実を図りたいということと、知事本部の効率性を重視するという点から、大きく見方、観点が違ってきているのかなというふうに私は受け取りました。
 それでは、この評価結果を有効活用する方法として、これから、例えば予算編成への反映ということは、大きく重要な観点だというふうに思います。さきに述べましたように、予算編成のためにも評価が必要ということから考えましても、この予算編成への反映ということが大きく課題にありますが、今のように一次と二次とで評価の結果が大きく隔たっているような状況では、的確な反映というものは難しいのではないか、私はそのように受け取りました。早急に評価基準というものを精査して、都民にとっても、客観性をより高めていく必要がある。十三年度の本格実施に当たって、この点でどのような改善がなされているのか、加えられているのか、お尋ねいたします。
◯田原知事本部長 十三年度の本格実施に当たりましては、これまでの試行結果を踏まえまして、事務事業評価における必要性、効率性などの個別の評価項目の検証に際して、具体的な設問を設定いたしました。
 さらに、各評価項目の検証結果と、総合評価が次にありますけれども、総合評価を結びつけるための手順を示す、事業点検フローと申しましょうか、これを策定いたしました。例えば必要性が高い場合でも、事業の仕組みなど効率性に問題がある場合には、これについては抜本的見直しが必要といった評価結果となるように、評価基準を明確にする改善を行ったところであります。
◯馬場委員 評価基準が明快で客観性があるものであり、評価ということの効果を高めるためにも、この制度の根幹にかかわる重要課題として、評価基準の明快で客観性のあるものについてのご検討をさらにお願いをしておきます。
 行政評価の結果を生かして真に効果のある改善を行うためには、実際にその事業を所管し、内容にも精通している当該局の自発的な創意工夫が必要であると思います。そのためには、まず、局の見解を求めることは当然でありますが、それを一つの固まった評価ととらえるのではなくて、二次評価者との議論の出発点と位置づけ、両者間で改善に向けての真摯な議論、検討を重ねていくべきなのではないでしょうか。
 途中の段階で意見が分かれ、活発な議論が行われるのは大いに結構ですが、結果として都民に示す評価は、都として一本化し、以後、所管局の納得のもとに積極的に改善を図っていくというのがあるべき制度であると思いますが、いかがでしょうか。
 十一年、十二年度は試行の段階であり、まだまだこれからというところだと思いますが、せっかく行った評価結果を建設的に生かしていくために、評価のしっ放しということでは何にもなりません。評価結果を有効に活用するための関連部署との連携、フォローアップは重要な課題であります。
 また、その際には、二次評価が頭ごなしに結論を押しつけるのではなく、所管局と十分議論し、双方が納得の上で、ともに改善に向けた取り組みが行われる必要があると考えます。
 知事本部は、試行期間中に得た教訓を踏まえ、評価結果の的確なフォローアップを行うための仕組みづくりに向けて、どのような工夫を行っていらっしゃるのでしょうか。
◯田原知事本部長 行政評価制度の実施に当たりましては、評価結果を事務事業の見直し、予算編成等に反映させていくことが、制度を有効に機能させる上で重要である、これはご指摘のとおりでございます。
 このため、事業所管局が評価結果を踏まえまして、その後、どのような見直し、改善を行ったのかを知事本部が調査をするなど、進行管理を実施する予定でございまして、この過程では、事業執行局と十分議論をしたいと思っています。また、その結果につきましても、公表することを考えております。
◯馬場委員 評価の結果については、都民にわかりやすい形でこれを公表していく必要があります。現在公表されている報告書は、膨大な事務事業評価表をもとにするものとなっています。都民の前になるべく多くの情報を提示して議論を深めるという趣旨は大いに結構であり、熱意はよくわかりますが、A4版で四百ページにもなる資料を、何人の都民がじっくり読み込んでくれますでしょうか。
 先日の委員会でも質疑がありましたが、昨年十一月十七日に平成十二年度行政評価制度の試行結果を公表してから、本年十月までのインターネットでのアクセス件数は六千六百四十一件。そのうち、アンケート回答件数というのでは、二十七件という状況が報告をされました。都民のための行政評価制度なのに、反応が少ないような気がいたします。やはり現在の公表のあり方は、必ずしも都民の立場に立ったものとはいいがたいのではないでしょうか。都民にわかりやすい制度とするためには、評価基準の設定や都民公表のあり方について、外部の専門家など第三者機関の意見を参考にすることも必要であると思います。
 こうした点も踏まえ、行政評価制度の確立に向け、今後、より一層の工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯田原知事本部長 インターネットに事業評価を公表いたしましたが、これは六千六百件を超えるアクセスがあった。これは、都民の関心が非常に高いものである証左であろうと思っております。それだけに、今年度の本格実施の報告書の作成に当たりましては、さらに内容をわかりやすくするなどの工夫をしているところであります。
 また、高度な専門性ですとか実践的な識見が必要な場合には、必要に応じて外部専門家の意見を聴取いたしまして、その内容も評価に生かしていきたいと思っております。
 今後とも、都民からいただいたご意見、議会でのご議論を踏まえながら、試行から本格実施になりましたので、より実効性の高い制度に改善をしてまいります。
◯馬場委員 いうまでもなく行政評価制度は、都の行政活動の目標と結果を都民にわかりやすい形で示すとともに、成果主義に立って都民サービスの向上を図っていくことに、その目的があります。現在、中期的にも税収の大幅な増収が見込めない中で、行政評価制度は、限られた財源を最も効率よく使って、真に必要な都民サービスを維持、向上させていくために必要不可欠なツールであると考えます。
 今回の一次、二次のそれぞれの立場からの意見を見るということも、私たちには大変参考になります。決算委員会においても、こうした評価の資料があるということは、また私たち議員にとっても、それぞれの事業を評価する上で大きく参考になるということを改めて感じました。本格実施に当たり、原点に立ち返って、真に都民のためになる制度の構築をさらに図っていただきたいと思います。
 次に、行政評価制度は東京都自身が行っているものでありますが、自治体には、行政の適正な運営を確保するために、監査委員制度が設けられております。監査委員の職務権限は、財務監査のみならず行政監査や工事監査など、広範囲に及びます。この監査制度につきましては、これまでも職務の独立性及び専門性の確保、実施体制の充実、透明性の確保などが指摘されてきております。
 東京都監査事務局も、昨年七月に検討委員会の報告書をまとめられ、監査手法の充実策を提言しております。今回の十二年度決算についても審査意見書を出されておりますが、都財政の巨大さや監査委員の職務権限の広さから見て、監査事務局の体制は十分なのでしょうか。
 知事部局との人事交流も一概には否定いたしませんが、それでも職務の独立性は保てるのでしょうか。疑問に思う点も少なくありませんが、現在の監査事務局の体制についてどのようにお考えか、事務局長のご見解を伺います。
◯中山監査事務局長 監査委員監査は、都の行財政の運営が適正になされているかを検証し、その結果を都民や都議会等に報告するものであり、独立性と専門性が保たれていることが不可欠であると考えております。
 このことから、事務局の職員に対しては、機会あるごとに、独立の立場で公正不偏な監査を実施することの重要性についての意識の涵養に努めております。また、専門性を高めるため、今年度から、企業会計に関する監査を専門に実施する体制を整えるとともに、各種研修を体系的に実施しております。さらに、監査の公正性、客観性の確保を図るため、実査マニュアルの充実に努めているところです。
 今後とも、独立性についての意識の涵養を図るとともに、研修の充実などを通して専門性の確保を図り、監査事務局の体制のより一層の充実に努めてまいります。
◯馬場委員 最後ですが、今述べました行政評価と監査委員の評価、このことが屋上屋を重ねない、大きく都民にとって必要な資料の提供になる、そのことが重要だと考えます。その意味で、都民が行政事務を評価する上で有意義だと思いますが、監査と情報提供についてどのようにお考えでしょうか、伺います。
◯中山監査事務局長 検討委員会報告で示しました事業評価手法による監査とは、事業の実施状況などについて現場調査をするなどの結果に基づいて、知事部局で実施している行政評価とは別に、監査委員が都の事業についての客観的な評価を行うものです。この監査は、独立した立場からの判断として評価を行うことにより意義を有するものでありまして、同時に、その結果が都民や都議会などへ報告され、都政についての有意義な情報となるものと考えております。
 今後、行政評価の実施結果も視野に入れながら、都民等から信頼される監査を行い、その結果を明確でわかりやすい情報として提供するよう努めてまいります。
 

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