都議会レポート 平成14(2002)年7月
都民要望の実現に着実なる成果
山積の課題に真っ向勝負した1年間!
平成14年第2回定例会は6月26日に閉会しました。昨年6月24日の都議会議員選挙から1年が経ったことになります。この間、私たちは 都議会第2党としての責任をしっかりと受けとめ、都民の皆様の要望に応えるべく、活力ある都政の展開に努めてきました。今回は、この1年間の取り組みも含め、私たちの議会活動を報告いたします。今後とも、私たちは、都民のニーズに応えうる都政の実現に向け全力で取り組みます。
迷惑防止条例、修正し賛成
ピンクビラや盗撮行為などへの規制強化やストーカー規制法では取り締まることができない「つきまとい行為等」を規制するために、今定例会では迷惑防止条例の改正案が提案されました。
しかし、「つきまとい行為等」については、規定があまりにもあいまいで、対象が広範囲なことなどから、私たちは、濫用の危険性や冤罪の多発が危惧されると指摘。同規定などを削除する修正を加え、電話ボックスなどのピンクビラや盗撮行為などへの規制強化に賛成しました。
全国初!計画アセスを条例化
今定例会では、環境アセス条例改正案が提案され、事業の実施段階ではなく計画の立案段階で環境アセスの手続きをする計画アセス制度の創設が盛り込まれました。
一方で、手続きの合理化についても提案され、私たちは、インターネットの活用など運用上の工夫も含め、都民への周知や意見の反映の充実を求めました。また、規則改正でアセスの対象外となる高層建築物などについては、さまざまな施策を講じ、環境への影響を最小限に抑えるよう求めました。
改正案は、計画アセスを全国で初めて条例化するものであることなどから、原案に賛成しました。
雑居ビル対策で条例改正
50名近くの死傷者をだした新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災は昨年9月のことでした。これを教訓に私たちは屋外広告物条例の施行規則改正などに取り組んできましたが、今定例会では、火災予防条例と建築安全条例を改正し、避難に支障となるモノを置くことや階段に敷物を敷くことを禁止するとともに、風俗関連の用途を含む小規模ビルに対して避難場所設置を新たに義務づけることとしました。
私たちは、改正案に賛成するとともに、パトロール等の体制強化を図り、条例改正の実効を上げるよう強く主張したところです。
超党派で首都移転をストップ
超党派の東京都議会議員を中心に、「首都移転」反対の決起集会、示威行進、扇国土交通大臣、安倍官房副長官、倉田参議院議長、綿貫衆議院議長への反対要請などを行ってきましたが、5月24日、衆議院首都移転特別委員会の石原健太郎委員長は、5月末までの移転先候補地絞込みを断念、半年程度の延期方針を固めました。そして、衆議院議長の下、協議機関を設置し、選定作業の継続を合意しました。
事実上の首都移転凍結ですが、これを真に断念させるまで、引き続き首都移転反対の取り組みを進めていきます。
住基ネットの稼働凍結を!
住民基本台帳ネットワークシステムが、今年8月より稼働される予定となっています。
このシステム稼働の前提であった個人情報保護法案は、報道や表現の自由の侵害や不徹底な本人への通知義務等々の問題もあり、成立の見込みはありません。また、防衛庁が、情報公開を請求した個人に関する各種リストを作成するなど、政府機関の個人情報保護に対する意識はあまりにも低いと言わざるを得ません。
このような状況のもとで、同システムを稼働させることは、都民の個人情報漏洩、悪用という点からあまりにもリスクが大きすぎます。
私たちは、同システムの稼働凍結を強く求めていきます。
ドーする食の安全?
食の安全・安心を揺るがす事件が相次ぐ中で、私たちは、大消費地である東京において、東京都が率先して安全・安心確保対策を実施すべきと指摘し、石原知事も「国の動きが鈍いならば、消費者を守るための措置を講じる」と前向きな姿勢を示しています。
消費者が求めている正確な情報の提供についても、私たちは、行政・企業・専門家・消費者の参加による「リスク・コミュニケシーョン」に取り組み、その結果を子どもや高齢者などのハイリスクグループにも分かりやすい形で公表することを求め、実施を約束させました。
市民ボンドが相次いで実現
99年知事選で私たちが提唱した市民ボンド(都民個人向けの都債)が、今年3月に群馬県で「愛県債」の名称で全国で初めて登場・完売したのに続いて、東京都でも今年9月、「東京再生都債」と銘打って、東京再生に向けた道路・公共交通網の整備事業に充当するために発行されることになりました。
私たちが提唱したのは、都財政の再建に都民自身にも参加してもらおうとの趣旨でしたが、今回は道路・公共交通網の整備に限定し、東京再生のための都市づくりに参画してもらうというものです。発行額は200億円、発行条件の詳細は8月下旬に発表される予定です。
NPO 熱心なのは民主党
NPO活動への支援は、都民に対する柔軟なサービスを提供できることや新たな雇用を創設できることなどからも、重要な課題です。
私たちの提案により、東京都は、都内のNPOに対して、経理や労務などの経験を持ったボランティアを紹介するNPOパートナーズ事業を創設し、この六月一日からスタートさせています。また、NPOへの寄付をしやすくするように、東京都としての新たな仕組みづくりを今年の秋頃までにまとめることとなっています。
私たちは、今後とも、NPOへの支援について積極的に取り組んでいきます。
患者中心の医療改革を
石原知事が進めている「365日24時間」の医療改革に対して、私たちも積極的に提言しています。
患者中心の医療実現のため、私たちが行ってきた数々の提案の中でも、「患者の声」窓口、都立病院の「患者の権利章典」やクリティカル・パスなど、試験的実施も含め、数多く実現しました。
都立病院の再編・整備に当たっても、地域医療を確保すること、特に不足している小児科医の確保対策について確約を得ました。
引き続き医療改革の行程を厳しく監視し、提言していきます。
都は福祉での役割を果たせ
東京都が進めている福祉改革に対して、私たちは、障害者施設の緊急整備、グループホーム・生活寮の重点的整備、現行の生活寮への支援充実など、高齢・障害福祉における自立支援体制の構築を強く主張してきました。
また、都立施設の民営化についても、コスト・パフォーマンスの悪さから、一定の分野は民間に任せることを提案してきており、実現の見込みです。
しかし、重度障害者の受け入れなどの不採算分野で東京都が果たすべき役割はなお重要です。
私たちは、引き続き東京都の福祉水準の向上に努力します。
育てよう!
次代を担う子どもたち
次代を担う子どもたちに対して、親と大人が責任を持って、体験・経験を通じて社会の基本的なルールを教え伝えていくことは重要な課題です。
特に、家庭、地域の教育力の向上が急がれることから、私たちは、一層の学校開放、学校と地域商店街が協力して児童・生徒が体験参加できる行事の実施を促すなど、具体策を提言してきました。
また一方で、会派内に「子どもの権利PT」を設置し、条例化も視野に入れて、子どもの権利の確立に向けて取り組んでいます。
観光振興で経済に活力を
東京都は、産業復興策の柱の一つに観光振興を掲げ、「千客万来の東京」をめざす事業展開を図っています。しかし、世界の人々に東京をアピールする絶好のチャンスであったサッカーのワールドカップ大会を有効に活かしきれたとは言えません。
私たちは、羽田空港の国際化をはじめ、それぞれの地元の歴史や文化に精通した地域観光ボランティアの開拓など、受け入れ体制の整備促進とともに、民間のノウハウも活用してコンベション誘致やシティーセールスを積極的に展開するよう、その実現まで提言し続けていきます。
ヒートアイランド対策を実施
ヒートアイランド現象の解消策として、私たちは、海からの風や河川沿いの風を利用して都市を冷やす「風の道」などを提案してきました。東京都は、「風の道」の活用に向け、今年度予算で、局地的な気候を明らかにするモニタリング調査を区部約100か所で実施することを決めています。また、都庁の隣にある都議会議事堂の屋上で、約800uを緑化したり、太陽光発電施設を設置したりするパイロット事業の工事が、今年8月から始まり、11月頃に完成する予定です。
京都議定書の目標達成を
温暖化対策に対する政府の取り組みは非常に遅れており、東京都が国に率先して温暖化対策を提起していくことが望まれています。
東京都は、すでに地球温暖化対策計画書制度を創設し、業務部門からの排出量の抑制を進めようとしていますが、私たちの主張に対して、大規模事業所などへのCO2排出削減義務化や「CO2削減証書」市場の創設、新築建築物への自然エネルギー利用の義務化などさらに効果的な施策についても検討すると答弁しています。
私たちは、引き続き温暖化対策に積極的に取り組みます。