安全・安心のまちづくりと
共生社会の実現で住みよい東京を!
平成16年度予算を審議する第一回定例会が3月30日に閉会しました。今定例会では、予算審議と同時に、食品安全条例の新設、港湾管理条例、青少年健全育成条例の改正等の審議及び新銀行創設に関する質疑等を通じて、都議会民主党は積極的な政策提言をしてきました。
都民の皆さまのご理解と、一層のご支援をお願いします。
東京発「金融改革」なるか?
新銀行東京準備会社設立へ
平成16年度予算案が可決され、新銀行東京の設立が本格化します。
新銀行は、東京都が出資するものの、経営陣もスタッフも民間人で経営される純民間銀行で、既存の金融機関が手を出さないミドルリスクを負う中小企業に信用金庫や信用組合などと連携して無担保融資を行うという、これまでの日本にはなかった銀行です。
いかに適切にリスクを管理して、中小企業の活性化に貢献できるか、これから真価が問われます。
平成十六年度予算案可決
景気回復・財政再建両立へ
平成16年度東京都予算案は、一般会計で5兆7,080億円。景気回復が見込まれるものの、政府税制改正による減収が加わり、前年度比0.4%減となりました。
厳しい財政状況ですが、治安回復、福祉・医療の充実、中小企業・雇用対策、都市と環境の再生などの課題に施策を厳選して、重点的に予算を配分しています。
私たちは、景気回復と財政再建を両立させるため、より一層の財政構造改革を進め、都民福祉を守っていきます。
官僚の言うがまま
小泉「三位一体」改革
各自治体が厳しい予算編成を余儀なくされている中にあって、国の怠慢は許されざるものです。小泉内閣の三位一体改革も、自治体には裁量の余地のない国庫負担金を削減し、財源措置は国が配分権を持つ移転財源で賄うとあっては、中央省庁の官僚の言うがままです。
しかも、現場無視の戦略なき場当たり的補助金削減が横行しており、自治体への悪影響は看過できません。国を変えなければ自治体も活きない、このことを肝に銘じなければなりません。
「あたりまえ」を実現へ
食品安全条例
今回新設された食品安全条例は、私たちがいち早く提案、要求したとおり、未然防止を基本とするもので、高く評価できます。健康被害を防止するという当たり前のことが今までは、行政の目的とされていなかったのです。
私たちの予算特別委員会、常任委員会の質疑に、東京都は、都民とのパートナーシップ構築、最新の科学的知見と、都民・事業者・都の相互理解による施策の推進を約束しました。
今後は、条例に基づき食の安全を確保できるよう、総合的な推進体制構築に取り組んでいきます。
礼金・更新料ゼロ運動
住宅価格を30%引き下げ
今議会で、石原知事は、賃貸住宅を退去する時の敷金精算の基本的な考え方などについて、宅建業者に説明義務を課す条例を提案するとともに、「礼金・更新料ゼロ運動」を打ち出しました。
私たちは、新規契約だけでなく、既存の契約の更新も含めて、こうしたルールの適用を求め、東京都も「既存の契約者についても条例の趣旨の理解が進むよう努める」と答えています。
また、私たちの質問に、石原知事は、「戸建て住宅を30%安く提供するよう研究中」とも答弁し、後日、東村山市で実証実験に取り組むことを発表しています。
北朝鮮船舶
入港禁止条例可決
欠陥船や無保険船をはじめ、テロや犯罪などに関与しているおそれが強い船舶について、港湾利用を規制する条例が成立しました。
私たちは、条例化の趣旨について評価し、東京港だけでなく、広く他の自治体との連携を図る一方で、条文の規定が不明確なことや立入検査などの手続きが定められていないことから、運用の適正化を求め、他会派に附帯決議を働きかけました。
附帯決議は他会派の賛同を得られませんでしたが、私たちは、引き続き、都民の安全を守る立場から、積極的に取り組んでいきます。
規制だけでなく、社会の見守りを
青少年健全育成条例改正
不健全指定図書の包装義務付けやカラオケボックス等への青少年の深夜立入制限等を内容とする条例改正を行いました。
青少年を取り巻く環境の悪化に歯止めをかけ、大人と子どもたちに警鐘を鳴らすために、今回の条例改正は意義があるものです。
しかし、同時に私たちは、青少年の「居場所」をどうするのか、教育の場でどう教えていくのか等、総合的な施策の展開を求めています。青少年の健全育成のためには、規制だけではなく、社会として、受け入れ、見守るという態度が必要です。
安全・安心のまちへ
都民と協働、防犯ネットワーク
安心感のあるまちづくりのためには、社会全体が犯罪行為に対して決して無関心ではないということを示すことが重要です。
私たちは、地域住民等が行う巡回活動や啓発運動を支援し、それぞれの活動のネットワーク化を進めていくことが必要だと主張しました。これに対し、警視庁は、より積極的な防犯活動のネットワーク化と情報の共有化の推進を約束しました。
都民のオーケストラを
持ち続けよう
東京都交響楽団に対し、東京都は昨年、全楽団員を一旦解雇し、2年ごとの有期雇用を提案。「世界的レベルの音をもつオーケストラの解体につながる」として、楽団員は強い反発を示していました。
私たちは、楽団員から直接話を聞いた上で、予算特別委員会に臨み、経営感覚が欠如した天下り経営者や都からの派遣職員によるマネジメントが問題であることを質しました。その結果、経営改革を先決とし、事実上解雇は見送りとなりました。
外国籍児童・生徒への
教育支援の充実を
夜間中学の日本語学級や「外国人児童・生徒指導員制度」など、東京都や各自治体で行なわれてきた外国籍児童・生徒、中国帰国者等への支援事業が財政難を理由に縮小される傾向にあります。これに対し、私たちは、東京都として自治体の事業を支援していくべきと主張しました。教育長は、今後とも区市町村と連携・協力して、外国人児童生徒の日本語指導等の充実に努めていくことを約束しました。
再び路上にかえらない支援を
ホームレス対策
東京都はホームレス対策として、生活相談から借り上げ住居の提供、さらには就労支援を行う施策を明らかにしました。厳しい財政状況の中、思い切った対策を実施することは、評価できます。
しかし、テント生活になる前の対策、そして東京都の支援を受けて自立した人が、その後も自立した暮らしを続けられるようにする継続した支援も必要です。
私たちは、予算特別委員会で追求し、しっかりとした体制を整備するとの答弁を得ました。
しごとセンター開設へ
労働行政のさらなる強化を
厳しい雇用情勢が続くなか、石原知事は今年の夏を頃までに「しごとセンター」を開設します。就職の相談、紹介、能力開発などをワンストップで行うもので、年間就職一万件を目指しています。
一方で、既存の「労政事務所」を「労働相談情報センター」として再編する方針を打ち出しています。私たちが、相談者が相談しやすい立地での設置や相談機能の強化を求めたのに対し、東京都は、「大胆に推進していく」「労働相談の専門性をさらに高めるとともに、情報の共有化を図り、体制を充実する」と、いずれも前向きな姿勢を示しています。