また、地上5階地下1階という病棟には、介助なしでは移動することができない方も入所していますが、エレベーターは3基、そのうち車いすごと昇降できるものは1基、あとは障害のない大人でも利用が難しそうな避難用滑り台が1つ取り付けられているだけです。
現在の医療・福祉の水準にあった施設整備とともに、緊急時の安全確保にも配慮したものとして、立て替えを行うことは緊急性の高い課題であるとの認識を持ちました。
次に訪れた東大和療育センターも、府中療育センターと同様の重症心身障害児施設です。入所128人(ショートステイの28人を含む)、通所30人、他に外来診療や在宅支援などを行っています。 こちらは平成4年開設とあって、低層の建物となっており、病棟は一階にあるので、緊急時の避難について物理的な制約はクリアされています。通路や個室などは、成人サイズのベッドや車いす、医療機器の設置などには少々狭い感じもありますが、アメニティについては配慮されているとの印象を受けました。また、歯科をはじめとした外来診療の充実、遠方からくる家族の宿泊施設など多様な機能を備えています。 この施設は、東京都が設置した施設の運営を民間の社会福祉法人に委託しています。
近年の重症心身障害児(者)の年長化に伴いご家族の高齢化も進んでいます。また、現在は在宅で療育を続けている方でも、入所が必要だが待機中の方、将来的に入所が必要となるであろう方などがおり、ニーズをしっかりと把握した計画的な施設整備が必要です。また、在宅を希望される方や入所が必要でない方などには安心して在宅療育ができるよう在宅支援を確保していかなければなりません。濃厚な医療ケアとQOLの問題も今後当事者のご意見を聞きながら考えていかなければならない課題です。
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