平成16年 厚生委員会


 

2004年11月11日

馬場裕子


      一 動物の愛護と管理について
      

一 動物の愛護と管理について

◯馬場委員 私は、七年前にこの厚生委員会で質問をさせていただきました動物の愛護と管理についてというのをさせていただきます。
 その後、東京でも少子高齢化、核家族化が進み、さらに多くの動物が飼われている状況にあるというふうに思っておりますし、また、特にそれが人生のパートナーとして大きな位置を占めている。昨今のCMの中にも、クーちゃんというんでしょうか、かわいい犬が登場し、そしていなくなった後たくさんの子どもを連れて帰ってくるんですが、こういう状況が何をあらわしているのかというのはおいておきまして、こうした動物を飼うということがきちんと責任を伴うことだ、近隣も含めて、あんな状態で戻ってきてもらっては困るわけですから、その後のことも含めてルールをつくらなければいけないのではないかということを前にも述べさせていただきました。
 そのルールをつくるためには、まず、飼うこと等について正しい知識や動物への虐待、遺棄、そんなことが起こらないように、そういうことの結果として、地域猫、野良猫といわれるような飼い主のいない猫等の問題も発生をして、さらにトラブルを生ずる原因となっている、こんな状況がやはりまだまだ改善されていないというふうに思っています。
 このような人と動物を取り巻く社会環境の変化に対しまして、飼い主はもとより行政、地域社会ということで大きくルールをつくっていかなければならない。このことを提起しているこの間、平成十一年から十二年にかけまして、国の方の法律、そして都の条例等改正、施行がされました。
 さらに、東京では本年三月、東京都動物愛護推進総合基本計画、ハルスプランというふうにいわれておりますが、これが策定をされました。この計画は、行政と都民、民間の動物愛護団体等が手を携え、協力のもとに、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を図ることが目的とされています。
 その内容は、東京都が策定する動物愛護推進の総合基本計画であるとともに、動物愛護に取り組む都民を初め動物愛護団体などの共通指針としての性格を持つものであるというふうにされております。
 この基本計画のプランにもありますように、地域での動物愛護を推進する、つまり、それぞれの地域の特性がある中で、こうした問題を地域の課題として取り上げていく、このことについて、国の方、そして東京都の条例でも、動物愛護推進員を委嘱をし、地域の活動の担い手になることができるということになりました。
 この動物愛護推進員さんが動物にかかわるさまざまな地域の問題解決の重要な担い手ということでございますので、本日は、この動物愛護推進員という制度について、どのような役割と使命を持っていらっしゃるのか、まずお伺いをいたします。



◯小松感染症・環境安全担当部長 動物愛護推進員は、地域における動物の愛護や適正な飼い方の身近な相談員として、住民の相談に応じたり、動物の飼い方の助言を行うなど、動物愛護を推進する活動を行っています。この推進員の適切な活動を通じて地域の動物愛護を推進し、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指しております。
 なお、推進員は、お尋ねのとおり、動物の愛護及び管理に関する法律及び条例に基づき都知事が委嘱するもので、任期は三年でございます。



◯馬場委員 この広い東京で、どんな方が推進員になればいいのかというようなことも検討されたというふうに思いますが、それではどのような方がこの推進員として現在委嘱をされているのか。また、その手続、そして現在までの委嘱の状況はどのようになっているのでしょうか。



◯小松感染症・環境安全担当部長 推進員の条件といたしましては、都内在住の二十以上の方で、動物の愛護と適正な飼育について熱意と知識を有し、動物愛護の活動実績があり、行政の事業に協力できる方が対象となります。
 なお、委嘱に当たっては、事前に動物愛護団体等で構成する動物愛護推進協議会に諮っております。
 現在までの委嘱の状況につきましては、平成十五年度から当面三百名を目標に段階的に委嘱をしておりまして、本年度までに動物愛護団体等からの推薦のあった方を中心に、百九十五名の方に委嘱をしております。
 なお、平成十七年度は、さらに一般公募を含め、百名の方に委嘱をする予定でございます。



◯馬場委員 約三百名の推進員が十七年度から活動するということになると思います。
 それでは、この動物愛護推進員というのは具体的にどんな活動をするということでしょうか。



◯小松感染症・環境安全担当部長 推進員は、それぞれの地域で自主的、自発的に動物に関して専門性を生かしたり、または得意な分野でさまざまな活動をされていらっしゃいます。
 具体的な活動の事例といたしましては、区や市と連携して、地域の動物愛護セミナーの開催、犬のしつけ方教室の講師としての協力、また学校飼育動物について小学生を対象に動物愛護に関する普及啓発活動などがございます。また、行政では引き取らないフェレットやプレーリードッグの引き取り譲渡も行っている事例もございます。



◯馬場委員 私は、地域での活動の拠点に、また、かなめになるということで、この動物愛護推進員さんの活動というのに大変期待をしているんですが、実は先月、こうした動物愛護について問題意識を持っている地域の皆さんと懇談会を持ちました。その席で、地域の推進員さんの形、姿が見えない、見えにくい、どういうことをやっていらっしゃるのかわかりにくいというようなご意見がありました。
 そのときに、いろいろ推進員さんにご苦労かけているんだけれども、実は住所、それから氏名等の公表というのを、しているところもあるということですが、していないところもある。それは、やはりトラブル等を含めて、そこへ地域から集中をしてしまって大変苦慮をしているという状況があるので、住所、氏名等については公表をしていないところもあるというようなお話でした。
 そうなると、せっかく推進員さんがいらしても、その地域で、だれが、どこで、どういうふうにしているのかというようなこともなかなかわかりにくい。つまり活動が見えないということになるのではないかなというふうに思いました。
 法律では、推進員さんの活動の目的として、住民の求めに応じて助言や支援をするというふうになっております。この住民の求めというのを、じゃ、どこで、どう受けとめるのかというふうな問題もこれからあると思いますし、先ほど申し上げたトラブル等も含めて、この推進員さんの活動が本来の法や条例に基づいて実効性のあるものになっていく。そういうことをしていくためには、この推進員さんの活動というものを推進員さん自身、そして東京やそのような地域の中での連携、つまり、この推進員を委嘱するために、法では協議会が委嘱を担当するというふうになっているんですが、選ばれた推進員さんの共同の活動の場、そして支援というものがなければ実効性が担保されないのではないかというふうに思っています。
 また、その活動も、現在のところ完全ボランティア、つまり費用等も出ませんし、また、何か事故に遭ったときの災害に対しての補償も出ていないのではないかというふうに思います。そういう意味で実効性のある活動をさらにしていただくためにも、ボランティアの皆さんに保険をかけるとか、活動をもっとしやすくできるような、そんな支援が必要というふうに考えますが、いかがでしょうか。



◯小松感染症・環境安全担当部長 推進員への支援といたしましては、活動に必要なポスターやパンフレットの提供や、推進員の資質向上のための研修会、講習会の開催などを実施しております。また、活動中にトラブルが発生した場合などは、区市町村と愛護団体とが協力して対応することになっております。
 今後は、推進員同士の連絡会や活動事例報告会等を開催するなどして、推進員相互の連携、協働を進めていくとともに、ご指摘の推進員活動を行う中で安全面の方につきましては、動物愛護推進協議会で具体的な支援策を協議してまいります。



◯馬場委員 この協議会とそれから推進員さん、三百名でこの十七年度から活動していただけるわけですが、ここが連携をして地域の実情をきちんと受けとめて、トラブル等を解決できるような、そんなきちんとした仕組みをこれからつくっていかなければならないというふうに思っています。
 そういう意味では、さらに都としても、国のこの動物愛護推進協議会というところは、国の法で定められているところですが、東京では、国が定めている動物愛護推進員にさらに都の条例で活動を上乗せといったらいいんでしょうか、付加して推進員を委嘱しているという状況にあります。
 都は、協議会でなく、審議会を持っているというふうに条例に書かれております。こうした活動についてさまざまな課題をこれから、協議会は協議会、そしてできれば東京は審議会でその辺の活動をぜひ検討していただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 さらに、この中にもう一つ実はつけ加えさせていただきたいのは、動物への虐待です。学校での飼育動物の虐待が起きて、何度か問題になったことがありますが、地域でも、目立たないだけで、やはりいたずらからエスカレートして虐待になっているということを先日のその会議で伺いました。こうした虐待と思われるような状況を、地域の一般の方や、それから推進員さん等が解決をするというのは大変難しいことなんだというふうにお話がありました。
 一方で、今回の法改正で、三万円以上の罰金を百万円以下の罰金というような、そんな法もできているんですが、それが本当に実効性があるかどうかというところで問題があると思います。そういう意味では、動物の虐待、遺棄、そういう難しい問題についてぜひ警察等の対応を一緒にお願いをし、そこで必要なことは、推進員さんにできないことは警察にしていただく、そんなような解決方法をぜひこれから検討をしていただきたいというふうに思っております。
 これは、先ほどの何らかの国制度なり、都の審議会なりでぜひご検討いただきたいというふうに思います。
 今回も、どのぐらいの虐待というのが起こっていますかということをお尋ねしたところ、やはり都としては、虐待の実数、状況というのはなかなか把握されていないというようなことでしたので、これからはそういう意味では未然に防ぐということも含めて、ぜひ共同して、子どもの虐待とかDVとかと同じに扱っていただければありがたいかなというふうにも思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 もう一方で、飼い主のいない猫ということで、地域猫というふうにいわれておりますが、この地域猫についての苦情や被害、トラブルに対する対策ということで、東京では大変取り組みを進めていただいて、平成十一年三月に猫の適正飼育推進策について動物保護管理審議会の答申を受け、先進的な取り組みとして、飼い猫の室内飼育の推進、さらに飼い主のいない猫に対しては地域で問題解決を図る取り組みを支援するという方針を打ち出しておられます。
 中でも、平成十三年度からの飼い主のいない猫との共生モデルプランへの取り組みについては、地域から要望も多く、地域の合意を目指した活動の考え方が広まりつつあると聞いております。
 そこで、飼い主のいない猫との共生モデルプランについて、現在までの実施状況とハルスプランを踏まえた今後の展開について伺います。



◯小松感染症・環境安全担当部長 飼い主のいない猫との共生モデルプランの事業内容は、地域の合意のもとに猫の不妊去勢手術を実施し、えさやりの方法やふんの処理など猫の管理を適切に行っていく活動に取り組んでいる地域を、都と区市町村が連帯して支援するものでございます。
 平成十三年度から平成十五年度までの実施状況につきましては、三年間で十地区の計画でございましたが、地域からの要望も強いため二十地区をモデル地域に指定して取り組んでまいりました。
 この実施結果に基づき、具体的な解決策を取りまとめたガイドラインを作成し、区市町村、地域住民の皆様に提供いたしますとともに、都におきましては、区市町村と連携しながら、引き続き技術的、専門的支援を推進してまいります。



◯馬場委員 最後に、意見を申し上げさせていただきます。
 地域猫についても、決してほうっておいてはいけないという気持ちから、私財を投じてその生命を守っているというような状況の中で、避妊、去勢も含めての何らかの支援等を東京に求めていることについて、この推進員制度を含めてこれから対応をお願いしたいというふうに思っております。
 また、きょうは新潟県の中越地震被害者に対する支援についてということでご報告を受けました。これは人的支援だけでございましたが、きょうこの質問をするに当たり、ペット等の支援ということも、この地震の中で報道がありました。東京では三宅島の前例もございます。こうした問題も含めて、心のケアというお話もさっき質問で出ましたが、ペットは家族と同様という状況の中での対策、被害者対策ということで、これも事前に何らかの機関で地域の皆様と検討をぜひお願いしたいというふうに思っています。
 先ほども述べましたが、国でも、あり方検討委員会というところで、委員の皆さんが、この法、推進員制度等について、予算措置がされていなくて活動してほしいといっても大変無理ですね、ぜひ国としても予算措置が必要ですねというような、あり方検討委員会での発言もございました。
 東京でも同じような状況にあると思いますが、ぜひこの辺は国と共同して、推進員さんの安全、そしてこの活動がきちんとなし得るような支援策、それからこの推進員さんの四つ目の目的として、国や都の活動に推進員が支援をするという目的も入っております、そういう意味では、国や都、行政が一方的に推進員さんの支援をするということだけでなく、このことについて国や都もきちんと政策として取り組み、それについて推進員さんに手伝っていただくというような、そうした連携作業を進めていただくよう強く要望して、質問を終わります。

 


 

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