【 always 】
駅前の道を慌てた様子で走る2人の少女。
とある名門女子校の清楚な制服を身に纏って町中を疾走するその姿は、ちぐはぐな感じを思わせると同時に、どこか微笑ましい雰囲気を醸し出していた。
「あ………」
突然、そのうちの片方の少女が足を止める。
「キラ?何やってんだ、遅刻するぞっ」
今のペースだとギリギリ間に合うくらいなのにっ……と。
日に透ける金色の髪を振り乱しながら、早く早くと急かす。
「ごめんカガリ、先に行ってて!」
「はぁ?!」
「その………課題、家に忘れて来ちゃった。机の上に置きっぱなしで………。今から取りに行ってくる」
「って、おまえなぁ〜っ。昨日あれ程ちゃんと鞄に入れておけって言ったじゃないか!」
「ご、ごめん………」
しょぼんとすまなそうに俯くキラ。
その姿はまるで、主人に叱られて耳を垂れる子犬のようで…………はっきりいって、ものすごく可愛い。
この時周囲では、偶然にもその姿を見てしまった男どもが何故かこぞって鼻の下を抑えるような仕草をしたのだけど─────もちろん偶然ではない。
当然それに気付いたカガリは、そんな周りをじろりとひと睨みすると、あーもうっと髪をがしがしと掻いて溜息をついた。
もっときつく叱り飛ばしたい気持ちもあったのだけど、カガリはこの可愛らしい双子の妹にものすごぉく弱い自覚があるのだ。
「はぁ……まったく、これだからキラは……。わかったよ。私は駅のところで待ってるから、早く取りに戻れ」
「え?駄目だよ、カガリは先に学校行ってて。僕はもう完全に遅刻覚悟だから」
「遅刻くらいなんだ。私も───」
「駄目。君は栄えある生徒会の副会長さんなんだから。下手な事するとまたバジルール先生にお小言もらっちゃうよ?」
「う……っ」
それを言われるとかなり痛い。
常日頃から問題行動を繰り返しがちのカガリは、風紀委員会顧問であるナタル・バジルール教諭からかなり目を付けられている。
しかも彼女の説教は長くて有名だ。
「だからほら。行った行った」
「うう………わかったよ……。でも、くれぐれも気をつけるんだぞ。最近この辺、痴漢が多いっていうからな。あ、携帯はちゃんと持ってきてるだろうな?何かあったらすぐ私に連絡を入れろ。どんな些細な事でも、だ。わかったな?」
「カガリ……僕、もうちっちゃな子供じゃないんだけど………」
…………いつものこととはいえ。
肩をがしっと掴まれた上に、これ以上ないくらい真剣な顔で諭す様に言われ、キラは思わずぼやいた。
確かにカガリは自分の姉だけど、年だって同じなわけ……。
しかし、キラがそれ以上何か言い出す前にカガリが口調を強めた。
「わ・か・っ・た・な?!」
「………はーい」
そしてまた、圧しに圧されて頷くいつものパターンに。
結局はキラも、いつも自分を心配して守ろうとしてくれるこの双子の姉には弱かったりするのだ。
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短い………そして続きます(汗)
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