外貨建てMMF

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外貨建てMMF
日本国内では超低金利が続くが、諸外国の金利はある程度まっとうである。
そしてまた、為替の上下に伴う、為替差益も魅力的だ。

ここで外国の外貨建てMMFに魅力が出てくる。

クーポンレートは、2007.4.16頃では
USドル: 4.658%
ユーロ: 3.143%
ポンド: 4.670%
AUドル: 5.609%
NZドル: 7.015%
カナダドル: 3.507%
となっている。

国内MMFが、0.20%程度であるから、20倍程度だ。

さて、では実際どのようなメリットとリスクがあるのだろうか。

為替レート(仲値)は、2007.4.27頃では
USドル: 119.41円
ユーロ: 162.43円
ポンド: 237.82円
AUドル: 98.64円
NZドル: 88.33円
となっている。(*1)

ここで、1000通貨単位で見てみよう。
買い付け価格は
USドル: 119.41円 x 1000 = 119410円
ユーロ: 162.43円 x 1000 = 162430円
ポンド: 237.82円 x 1000 = 237820円
AUドル: 98.64円 x 1000 = 98640円
NZドル: 88.33円 x 1000 = 88330円
となる。(*1.1)

1年間据え置いて、レートの変動が起きない場合は、受け取り利息は
USドル: 1000 x 4.658% x 0.8(税引き) = 37.264USドル
ユーロ: 1000 x 3.143% x 0.8(税引き) = 25.144ユーロ
ポンド: 1000 x 4.670% x 0.8(税引き) = 37.36ポンド
AUドル: 1000 x 5.609% x 0.8(税引き) = 44.872AUドル
NZドル: 1000 x 7.015% x 0.8(税引き) = 56.12NZドル
元利合計で
USドル: 1037.264USドル
ユーロ: 1025.144ユーロ
ポンド: 1037.36ポンド
AUドル: 1044.872AUドル
NZドル: 1056.12NZドル
となる。(*2)

売却時点で為替レートが同一であれば、
USドル: 1037.264 x 119.41 = 123859.69424円
ユーロ: 1025.144 x 162.43 = 166514.13992円
ポンド: 1037.36 x 237.82 = 246704.9552円
AUドル: 1044.872 x 98.64 = 103066.17408円
NZドル: 1056.12 x 88.33 = 93287.0796円
が受け取れる。(*1)(*1.1)

売却額 - 買い付け額で、実質下記の差益となる。
USドル: 123859.69424円 - 119410円 = 4449.69424円
ユーロ: 166514.13992円 - 162430円 = 4084.13992円
ポンド: 246704.9552円 - 237820円 = 8884.9552円
AUドル: 103066.17408円 - 98640円 = 4426.17408円
NZドル: 93287.0796円 - 88330円 = 4957.0796円
となる。

売却額 / 買い付け額で、実質下記の利回りとなる。
USドル: 123859.69424円 / 119410円 = 1.037264 = 3.7264%
ユーロ: 166514.13992円 / 162430円 = 1.025144 = 2.5144%
ポンド: 246704.9552円 / 237820円 = 1.03736= 3.736%
AUドル: 103066.17408円 / 98640円 = 1.044872 = 4.4872%
NZドル: 93287.0796円 / 88330円 = 1.05612 = 5.612%
となる。

TTSとTTBの手数料差もあるから、単に往復させてしまうと、元本を割る場合も生じる。

さて国内の一年定期のレートは0.30%程度である。
仮に、100000円を一年定期で運用すれば、
100000円 x 0.30% x 0.8 = 240円しか利息がつかない。ただ同然である。
レート換算すれば、0.24%である。
これに比べれば、極めて高レートが取れている。

さて、ここで問題なのは、為替レートである。
同一なら想定どおりだし、
円安外貨高となれば、日本円換算での額面割れは生じないばかりでなく為替差益の恩恵が受けられる。
が、円高外貨安となれば為替差損が生じ、日本円換算での戻りは減ってゆく。

また、為替レートは日々変動しており、これを換算した段階では、評価額は毎日上下もする。
考え方の問題だが、仮に評価損が発生していても、中途決算上の物であり、決済しなければ実損は生じないのである。
当初買い付けた外貨建てMMF自体も、金融商品であるから、金利もつき続ける。
更に、新しい外貨建て債券に、ここから買い付けることも可能なのである。
この場合、他の通貨に乗り換える場合は往復の手数料(外貨TTB/他の通貨TTS)が発生するのだが、同一通貨建てであれば、丸々額面が有効になる。

逆に、いつでも売却可能であるから、為替レートが高騰した段階で売却すれば、為替差益の恩恵を受けることが出来る。

国内金利はゼロに等しいから無視するとすれば、元本を割りさえしなければ良く、
為替レート x 買い付け額 / 売却額で、実質以下の為替レートを割らなければ利益となる。
USドル: 119.41円 x 119410円 / 123859.69424円 = 115.12016227305681099507936263092円
ユーロ: 162.43円 x 162430円 / 166514.13992円 = 158.44603294756639067292009707904円
ポンド: 237.82円 x 237820円 / 246704.9552円 = 229.25503200431865504742808668158円
AUドル: 98.64円 x 98640円 / 103066.17408円 = 94.403907847085576032279551945119円
NZドル: 88.33円 x 88330円 / 93287.0796円 = 8363.6329205014581676324660076506円
となる。

また、外国口座管理手数料も証券会社によっては不要なため、外国債券や、銀行の外貨預金などのように余分な経費がかかることもない。

ただ、銀行の外貨預金から比べると、かなり魅力的であるが、外貨預金と、外貨建てMMFとはリスクが異なっている。
外貨預金は、預金保険の対象ではないのだが、銀行が扱う「預金」であるから、銀行本体が破綻しない限り、銀行により元本を保証される。
これに対して、外貨建てMMFは、過去の実績は別にして、投資であるから元本を保証している性質のものではない。

尚、言うまでもないことだが、債券の案件ごとに、取引条件は細かく異なり、また、税制(*3)などの扱いも異なる。
ここの試算も、細かい条件は簡略化している。
公示されている数値に嘘はなくとも、実際の手取りで比較すれば大差ない場合も少なくない。
また、為替変動や国際情勢により、先のことはわからない。
リスクを含んでいることを前提に考える必要がある。

特に、外貨建てMMFの運用に期限が設けられた場合、その時点で清算する必要が生ずるため、為替差損が否応無しに確定してしまうリスクも潜在する。
実際、ファンド自体が残高の減少等によって解散(償還)となると、有無を言わさず決済となってしまう。
この場合は、他の外貨建て運用を行うか、外貨のまま受け取って回復を待つ道も残っている。


クーポンレート


(*1)
買い付け時の為替レートはTTSであり、売却時点での為替レートTTBで、手数料を含んでいるため、双方には差を持っている。
従って、この差分を超えるメリットがないと、そもそも往復で目減りする。
また、この値も、通貨種類や、取扱会社によってもさまざまである。

(*1.1)
ここでは仲値としているが、実際の買い付け時の為替レートはTTSであり、売却時点での為替レートTTBで、手数料を含んでいるため、双方には差を持っている。
従って、この差分を超えるメリットがないと、そもそも往復で目減りする。
また、この値も、通貨種類や、取扱会社によってもさまざまである。

(*2)
レートは毎週変動し、かつ毎月利払いが発生し、複利運用となるため、若干差異が生じてゆく。
あくまで市場金利に連動する性質のものであり、2006前後のフェーズにおいては、軒並み上昇傾向であるが、これが保証されているものではない。

(*3)
2006.8時点において、分配金は20%の源泉分離課税、為替差益は非課税となっている。
また、為替差損となった場合でも、総合課税による確定申告での損益通算はできない。

円相場/対米ドル(1988-2004)
Pict_0039.

各国政策金利の推移(2000-2006/1)
Pict_0412.

2005.4時点での計算例
外貨建てMMF.

InfoCode: O3



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新規作成日:2005年4月14日/最終更新日:2008年8月1日