護衛艦 DDH143 しらね 型
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ヘリコプター搭載護衛艦
HELICOPTER DESTROYER
大型ヘリコプター3機を搭載する、対潜作戦の中枢艦
対潜作戦を最優先に設計された最強の対潜艦艇
護衛艦 DDH143 しらね (DDH143しらね型)
4次防で計画された、「はるな」に続く、ヘリコプター搭載護衛艦。大型ヘリコプター(HSS-2/SH3)3機を搭載する艦艇は、世界でも珍しい存在。
「はるな」型の運用実績を踏まえ、各部に改良が加えられた。特に、艦内スペースの効率化から、煙突が前後2本に分割されているのは、外観上の大きな相違点。
指揮管制システムを、完全にコンピュータ処理できる、システムを搭載し、システム艦と呼ばれている。
リンク11、リンク14など、西側最先端の、戦術データ交換システムを、海上自衛隊で初めて搭載した。
護衛艦隊の基本運用は、対戦作戦を中心としたものだが、当時躍進する対艦ミサイルへの脅威から、個艦防空システムがとりいれられている。
近距離での個艦防空も、海上自衛隊として初めて、CIWS(Closed In Weapon System)や、短SAM(シースパロー)を搭載する事により、当時の最先端の近接防御能力を有する艦となって、出現した。短SAM(シースパロー)のランチャーは、アスロック(ASROC)ランチャーを基本として、アメリカで開発された、初期の形式の物を搭載している。
5インチ砲を艦首に2基、背負式に搭載している艦は、今日では珍しく、威容を誇っている。
近距離対空ミサイル搭載の関係から、対空レーダーには、国産の3次元レーダー(OPS12)が搭載されている。
また、曳航式アレーソナーシステムTASS(Towed Array Sonar System)を装備している。
本艦計画時にも、護衛艦隊でのヘリの運用をめぐり、大型化ヘリ母艦の案もあったが、「はるな」型の運用思想を踏襲する形で建造された。
海上自衛隊の、艦載ヘリコプターは、ヘリコプター搭載艦個艦の所属機ではなく、陸上基地航空隊のもので、作戦時は、出港後、航空基地より各艦に派遣され、艦に着艦後、任務に当たる。従って、実際の艦艇ヘリ部隊の指揮は、各艦では行わず、護衛隊群として行っている。
艦名の「しらね」は、南アルプスの「白根山」に因んで命名されており、旧海軍以来初めての命名である。二番艦「くらま」は「鞍馬山」で、大正前期の戦艦の艦名にもあったもの。
現在、いわゆる八八艦隊の旗艦として、「はるな」型と共に各護衛隊群に1隻づつ配属されている。
「しらね」は、第一護衛隊群旗艦として、観艦式での観閲艦や、リムパックなど公式行事の参加が多い。
「くらま」は、2001年9月11日に発生した対米同時多発テロに対する情報収集任務により、2001年11月9日インド洋派遣部隊の第一陣として派遣されている。また、平成12年5月30日〜7月5日にハワイ周辺海域で実施されたリムパック2000に、第2護衛隊群司令の指揮の下「八八艦隊」を構成して参加した。
DDH とは Helicopter Destroyer の略号。
同型艦
護衛艦 DDH143 しらね 昭和55年3月17日 第1護衛隊群 直轄 横須賀 石播東京 S50
護衛艦 DDH144 くらま 昭和56年3月27日 第2護衛隊群 直轄 佐世保 石播東京 S51
基準排水量:5200t / 満載排水量:6800t
主要寸法 全長159m×幅17.5m×深さ11.0m×喫水5.3m
主機:蒸気タービン2基2軸, 出力:70000PS, 速力:約32kt
船型:長船首楼型, 乗員:約350名
主要装備:
5インチ54口径単装速射砲:2基
高性能20mm多銃身機関砲(CIWS):2基
短SAM シースパロー8連装発射機:1基
アスロック(ASROC)8連装発射機:1基
3連装短魚雷発射管:2基, 哨戒ヘリコプター:3機
電子装備:
OPS-28 対水上レーダー
OPS-20 航海レーダー
OPS-12 三次元レーダー
FCS-1 射撃指揮装置1型
FCS-2 射撃指揮装置2型12(SAM管制用)
NOLQ-1 電子戦装置(ESM/ECM)
ORN-6C TACAN
OE-82C 衛星通信アンテナ
スーパーバード衛星通信アンテナ
インマルサット衛星通信アンテナ
(新造時装備)
OPS-22 航海レーダー(着艦誘導用)
OPN-8 測高レーダー(着艦誘導用)
WM25(SAM管制用)
DDH143しらね 左舷機関配置
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DDH143 しらね(97.10.22事前訓練)
DDH144 くらま(97.10.22事前訓練)
参考
2007.12.14 護衛艦しらね火災
新規作成日:2001年11月27日/最終更新日:2002年6月18日