2007.12.14 護衛艦しらね火災
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私的には発生も、話題にもなって欲しくない事案ですが。。。
詳細は今後の調査を待つとして。。。
2007.12.14 深夜(10:20?) 横須賀港の海上自衛隊横須賀基地桟橋に停泊中の護衛艦 しらね で火災が発生しました。
火元はCIC(戦闘指揮所)のようです。
ここには、艦に装備している全ての武器を管制するための電子機器が並んでいます。
ざっくりした責任の所在は。
機器そのものに問題があったのか。 --> 電機メーカー
機器の設置工事に問題があったのか。 --> 造船所
機器の運用管理に問題があったのか。 --> 海上自衛隊
本艦を建造したのはIHI東京工場ですが、既に建造して20年を経過しているので、建造所はあまり関係ないでしょう。
が、昨年、電子装備を大幅に更新する工事をIHI-MU(IHIマリンユナイテッド)横浜工場で行っています。
既に幾つか報道されてはいますが・・・
防衛機密に絡む要素もあり、自衛隊の発表が完全とはいえない部分もある。
発表を受けた報道が、その内容を十分に理解して伝えられない要素も多々ある。
CICを中央指揮所などと表記するレベルである。。。
- すぐに消せないようでは戦闘中に困るだろう
という指摘もあろうと思いますが、戦闘中には300名からの乗員が臨戦態勢を作っているので、直ちに消火対策されます。
今般、平時の停泊中で、残留乗員が少なく、結果的に発見の遅れを含めて対応が悪かったものと思われます。
- 当時、残っていたのは当直員約80人。
- 13日に定期的な修理を終えたばかりで、15日に訓練のために出航予定だった。
「定期的な修理」は、造船所の掌握するレベルではなく、部内レベルの「点検」と思われる。
15日に出港であれば、残留する要因が1/3程度と少なすぎる気がする。
- 地元消防への通報の遅れ?
原則的に、各艦で対応するのが原則で、戦闘中など、まず自分で消せないとお話にならない。
ただ、今回は停泊中で体勢は十分ではなく、想定外の火災でもあり、結果的に不十分な対応となったのは気の毒だ。
船舶火災は、一般の家屋の火災とは異なり、ただ延焼物に放水しても消えない。
消防船艇等が火災船体に放水する映像は、冷却放水のためであって、それで完全に消し止められる性質のものではない。
船内に消火班が突入し、火災現場を各個に消火する必要があり、一般の陸上消防班では危険を伴う。
その意味からも、艦艇自体の消火班が先行するのは正当である。
- 火災報知器は動作しないのか。
艦艇は、そもそも戦闘で損害が発生することが前提で、基本的に戦闘配置についていれば、火災報知器に寄らず、保安体制が取られている。
損害が発生すれば、いちいち警報が鳴ってもやかましいだけで、配置についている要員が対処すれば済む。
従来の艦艇では、無人区画を中心にしか警報装置はついていない可能性も。
- 艦橋
艦橋は、広義には、艦橋構造物全体を指す。
狭義には、航海艦橋、操舵室を言う。
艦橋構造物には、航海艦橋、CIC(戦闘指揮所)、艦長室、司令室、など、艦の中枢がある。
尚、最新の艦艇では、CIC(戦闘指揮所)は、艦橋構造物ではなく、船体内に設置されている。
- CIC
CIC: Combat Information Center: 戦闘情報中枢: 戦闘指揮所
中央指揮所は、CombatをCentralと勘違いしたもの。
- 第1護衛隊群の旗艦
指揮官座乗で「旗艦」となることもあるが、常設的な護衛隊群の旗艦ではない。
現在、常設的な旗艦は、護衛艦隊旗艦のみである。
2008.1.4 毎日新聞では「防衛省:火災の「しらね」除籍方針 修理に2年200億円で断念」との報道があった。
が、産経新聞の報道では100億円からであった。
今のDDは800億円くらいで、船体、機関が半分なので、機器兵器関係が約400億。
航海艦橋と、CICの機器以外の武器本体等は関係ないので、200億円は超えないんじゃないかと思うので、かかっても150億円前後か。。。
もう守屋君がマージン取らないわけだし。
直前の大掛かりな改装工事のコスト分はもっかい必要でしょうが。。。
工事期間は一年程度でも、搭載機器特注だから、積めるまでにも時間かかるし。
造船所も、船舶需要に忙しいので、あんまりかまっていられないから順番待ち。。。
まずは予算化が年度あけでしょうし。
その意味では、予算つけやすい時期ではあります。
簡単に除籍って言っても、、、
新DDHの三隻目就役まで、一個群欠隻ってわけにも。。。
このときのために、DDに二機積める様になっているとも。
ホントは、はるな以降のリタイアを二年程度ずつ遅らせれば大して問題はないんですがね。
「はるな」が古いって騒ぐ人いますが、「ひえい」も中身変わりませんし。
マニアライクにいえば、DDHはヘリが使えればいい訳で、ちょうど外した「たちかぜ」のCICの機器持ってけば、そこそこ使えます。 (除籍の段階で、既に壊しちゃったかもしれませんね。)
ま、一年あけてまで「しらせ」をきっちりリタイアさせてますからねぇ。。。
どうなることやら。
逆に、こういうケースを想定して、今後は除籍艦の装備品の陸揚げ保存てのもあるかもしれません。
2007.1.10の産経新聞の報道では、「はるな」の設備転用する方向で検討を始めたとのこと。
この場合の予算は数十億円で、かなり現実味を帯びてくる。
ただ、「はるな」の除籍までの期間は、「しらね」にとってはただの待機期間になってしまう。
2008.2.20 事故原因が解明されたようだ。
が、なんと、持ち込み禁止の保温庫が原因とか。
CIC内は飲食はいいのか?
あまりのお粗末さに言葉がない。
が、最終報告としては、特定には至らなかった模様。
⇒ 護衛艦 DDH143 しらね 型
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⇒ 船の指揮所(船橋)の変遷
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新規作成日:2007年12月16日/最終更新日:2008年2月21日