大日本帝国海軍の戦後処理〜海上保安庁、海上自衛隊の創生期
ここでは、終戦による大日本帝国海軍の解体から、戦後の海洋秩序維持の組織への変遷を追いかけてみたいと思います。
大きな流れとしては、
大日本帝国海軍の解体(復員)
海運体制の復活(水路業務、燈台業務の維持)
戦後処理(機雷掃海)
海洋警察組織の創生(海上保安庁)
海洋防衛力の整備(海上警備隊⇒海上自衛隊)
です。
- 昭和20.8.15 終戦
- 昭和20.9.2 連合軍最高司令部一般命令第一号
日本政府は連合軍の海軍代表の指示の下に掃海作業を実施することになる。
- 昭和20.9.中旬 掃海作業開始
横須賀、呉、佐世保各鎮守府及び大阪、大湊各警備府がそれぞれ現地米国海軍代表の指示に従って掃海作業を開始。
- 昭和20.10 下関海峡及び日本海方面の掃海を再興
- 昭和20.10? 海軍省軍務局内に掃海部を、地方に六つの地方掃海部と十七の地方掃海支部を設置
組織的な業務態勢を整備し、海防艦等十五隻、木造の駆特・哨特五十四隻その他徴用漁船等を含む艦艇三四八隻、海軍軍人約一万人の陣容で米軍残存機雷六千余個と日本海軍が敷設した五万五千個の防備用係維機雷の掃海作業に。
- 昭和20.11.20 GHQ 試航船隊編成を指示
東亜丸、栄昌丸、桑栄丸、若草丸(後に泰昭丸)の四隻が改装。「一万円で命買います」と乗員募集のニュースが新聞に掲載。
- 昭和20.11.30 海軍省 解体
- 昭和20.12.1
海軍省は第二復員省となる
鎮守府、警備府は地方復員局となる
海軍病院は、厚生省国立病院となる
水路部、燈台部は運輸省の外局として存続
- 昭和21.2 アメリカ沿岸警備隊 ミールス大佐来日
海上保安機構に付いて協議。
- 昭和21.6.15 第二復員省は、復員庁第二復員局となる
- 昭和21.7.1 運輸省に不法入国船舶監視本部設置
- 昭和21.8.17 主要海峡、重要港湾、水道、南西諸島に至る係維機雷の掃海を終了
- 昭和22.1.1?
復員庁第二復員局は、厚生省第二復員局残務処理部となる
運輸省海運総局掃海船管船部
- 昭和22.10.15? 復員庁閉庁
復員庁第二復員局は、総理庁第二復員局となる
復員庁 掃海監部 廃止
- 昭和22.12? 運輸省 海運総局(掃海部) 発足
掃海船艇は試航船二隻、駆特、哨特を含む総計五十一隻、人員千五百人。
- 昭和23.5.1
厚生省第二復員局残務処理部は、厚生省引揚援護庁復員局第二復員局残務処理部となる
運輸省海運総局掃海船管船部は、海上保安庁航路啓開部となる。
- 昭和23.5.1 海上保安庁発足
運輸省の外局として海上保安庁設置。
(本庁)
長官官房と保安局、水路局、燈台局。
保安局には、掃海課が置かれている。掃海船53隻。
(地方)
小樽、塩釜、横浜、名古屋、神戸、広島、門司、舞鶴、新潟、各海上保安本部設置。
- 昭和23.10.19 海上保安庁 神戸港外において掃海部隊の観閲式
観閲船栄昌丸と掃海艇十八隻が参加。観閲官大久保長官一行に対し掃海艇の陣形運動、掃海作業展示。
- 昭和24.6.1 海上保安庁 組織変更
(本庁)
次長が置かれる。
保安局は、警備救難部と、保安部に分割。
水路局、燈台局は、水路部、燈台部となる。
掃海課は、警備救難部に置かれている。
(地方)
第一管区〜第八管区、各海上保安本部設置。
- 昭和25.3.13 海上保安庁 新造巡視船第一船あわじ就役
- 昭和25.6.1 海上保安庁 組織変更
(本庁)
警備救難監が置かれる。
長官官房は総務部に。
保安部が廃止となり、船舶技術部、海事検査部が置かれる。
掃海課は、航路警戒所に移行となる。
(地方)
各管区に航路啓開部設置。
(付属機関)
航路警戒所設置
- 昭和25.6.25 警察予備隊創設
- 昭和25.10.6 海上保安庁特別掃海隊 朝鮮水域の掃海へ出動
掃海船20隻、巡視船4隻、試行船1隻。
航路警戒本部長を総指揮官とし、4個掃海隊を編成。
- 昭和26.10 米国から日本沿岸海域の警備力強化に必要な武器・需品・艦艇の供与が決定
- 昭和26.10.31 Y委員会発足
- 昭和27.1.5 主要港湾航路の機雷掃海完了安全宣言
- 昭和27.1.18 韓国が海洋主権宣言
韓国大統領「李承晩」は、李ラインを設定。
- 昭和27.3.12 海上保安庁 新造設標船第一船ほくと就役
- 昭和27.4.26 海上保安庁 海上警備隊発足
(付属機関)
海上保安庁の付属機関として、海上警備隊設置。
定員6038名、予算30億円。
PF10隻, LSSL50隻の逐次受領を予定。
- 昭和27.6.16 海上警備隊 開庁式
- 昭和27.8.1 保安庁発足
一般警察力を補充し、国内の治安維持を任務とする。
海上保安庁の海上警備隊、航路啓開所は、保安庁へ移管となり、警備隊を組織。
警備隊船舶類別。警備船、掃海船、雑船(曳船、水船、重油船、軽質油船、運貨船、起重機船)。
- 昭和27.8.1 海上保安庁 組織変更
(地方)
各管区の航路啓開部は、保安庁警備隊へ移管となる。
(付属機関)
海上警備隊、航路啓開所は、保安庁警備隊へ移管となる。
- 昭和27.11.27 李ラインに対し、常時6-9隻の巡視船を哨戒配備。
- 昭和28.1.14 保安庁警備隊 日米船舶貸借協定に基づき第一回船舶引渡
PF型警備船6隻、LSSL型警備船4隻
- 昭和28.11.28 海上保安庁 アメリカから3吋砲などを借用
第一回分として、3吋砲10門、40ミリ砲9門、20ミリ機銃11門を受領。
- 昭和29.2.20 巡視船さど、韓国警備艇により拿捕
- 昭和29.3.1 李ラインに対し、第七管区海上保安本部に、拿捕事件対策本部を設置。
- 昭和29.7.1 防衛庁発足
直接侵略及び間接侵略に対する我が国の防衛を任務とする。
保安庁警備隊は、防衛庁海上自衛隊と改称。
艦種類別。自衛艦(警備艦、掃海艦、敷設艦、警備艇、掃海艇、駆潜艇)、雑船(救命艇、曳船、水船、重油船、軽質油船、運貨船、起重機船、交通船)。
- 昭和29.10.1 航路啓開隊が掃海隊となる。
- 昭和31.3.22 海上保安庁 双発飛行機初めて就役
- 昭和31.11.8 巡視船「宗谷」による南極観測業務開始
- 昭和32.3.12 海上保安庁 新造測量船第一船拓洋就役
- 昭和35.10.1 海上自衛隊 自衛艦艦種類別 改正
自衛艦を警備艦(機動艦艇、機雷艦艇、哨戒艦艇、揚陸艦艇)、特務艦(特務艦艇)。
機動艦艇(護衛艦、潜水艦)、機雷艦艇(掃海艦、掃海艇、掃海母艦、掃海母艇、敷設艦、敷設艇)、哨戒艦艇(駆潜艇、魚雷艇、哨戒艇)、揚陸艦艇(揚陸艦、揚陸艇)
⇒ 水路部の歴史と業務
⇒ 灯台部の歴史と業務
新規作成日:2002年5月14日/最終更新日:2002年5月20日