船の碇泊係留の色々

船が港に停泊、係留される方法には、よく見ると色々有ります。
幾つか紹介してみましょう。

出船、入船

出船、入船というものもある。

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さて、出船、入船だが。
言うまでも無く、港に入港してきたその向きのまま着桟するのが入船。
対して、向きを変えて着けるのが出船である。
出船にするためには、船首の向きを変える、すなわち、回頭しなければならないため、入港作業に手間と時間がかかる。
入港、下船等を急ぐ場合には、入船が好ましいが、出港時に回頭しなければならないため、出港作業に手間と時間がかかる。
逆に、出船にしておけば、直ぐに出港できるため、艦艇や警備用船舶には向いている。

日本の特定港湾では、タグボートの支援を仰ぐことが通例だが、タグボートの費用も馬鹿にならず、節約したい要素ではある。
為に、回頭作業にのみ支援を頼むということも間々ある。
入出港の時間によっては、割増料金や、扱い時間外ということもあろうから、タグを頼まずに入出港作業できる方法での着桟位置ということも要素である。
すなわち、入港時に出船にしておけば、離岸出港は容易であったりする。


右舷付け、左舷付け

船の接岸の形態として、右舷付け、左舷付けというものがある。
右舷付け、左舷付けどちらでもよいようなものだが、船によっては必然があったりする。

大昔の船は、舵が片舷に寄せて取り付けられていたために、舵を保護することから、反対側を岸につけることが多かった。ポート、スターボードというのがそれである。
その後の船では、どちらをつけても変わりはなくなっている。
が、最近の船では、設備や構造上、専用化が進んでいて、どちらの舷に特化するということがある。

例えば大型カーフェリーの場合、ランプウェイが左右両舷についていれば問題は無いが、大きな開口部構造であり、不必要に装備することは、船体性能や船価に影響するため、限定航路の場合は片舷で押さえられることも多い。
この場合、当然のことながら、ランプウェイがついている舷を岸につけないと、車輌の搭載が出来ない。
ただ、域外の港で、車輌の積み下ろしをしない場合は、ランプウェイがついている舷にこだわる必要が無い。

特定航路のRO/RO船などの場合、前述のランプウェイに準じて、船橋の、簡易操船装置が一方の舷にのみ備えられている場合が多い。
簡易操船装置は、入出港作業時のみに、機関やスラスターなどの操作が行える装置で、この装置がある舷が、この船にとって、通常、接岸させる舷である。
Dcim1044/DSC_0905. Dcim1044/DSC_0909. Dcim1047/DSC_4019.

航空母艦の場合、飛行甲板の都合から、艦橋が片舷に寄せられている。
ごく一部の艦を除いて、右舷側に艦橋がある。
従って、着岸作業が容易な右舷を岸につけることが多い。
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アメリカの海洋観測船などは、船尾甲板は作業甲板となっているが、円滑な作業が行えるように、格納庫などの配置が左右非対称となっている。
海洋観測作業も、その一方の舷で行われる。
着岸後の各種作業も、同じ舷の方がやりやすいことが多い。

燃料等搭載方法に依存する場合。
船舶は、接岸中に、各種物資や燃料を搭載する。
この搭載口がどちらに備わっているかも、要素である。
燃料等は小型の給油船で搭載することが多いが、その接舷がどちらの舷にされるかによって、必然的に反対舷を岸につける必要がある。

これらの要素を勘案すれば、多くの船の、着桟方法は想定が可能である。


係留索

Pict_1388a. Pict_1388b.

参考
船の碇泊係留の色々
船の動き方




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新規作成日:2003年6月25日/最終更新日:2009年1月2日