火薬

炸薬とも言う。
弾頭に使用され対象を破壊する目的のものを爆薬、弾丸の発射用を装薬、ロケット等の固形燃料を発射薬、ともいう。


下瀬火薬

海軍技師、下瀬雅允が実用化した、ピクリン酸を主成分とする爆薬の一種。
大日本帝国海軍によって採用され、日露戦争における大戦果の一因とされた。
ピクリン酸は、1771年にドイツで染料として発明され、その100年後に爆発性が発見されたが、容易に金属と化学結合して変化してしまう性質を持つ為、鋭敏な化合物を維持する点で実用上の困難があったが、下瀬雅充は、弾体内壁に漆を塗り、さらに内壁とピクリン酸の間にワックスを注入することで解決した。
旧日本海軍は、1893年にこの火薬を採用し、下瀬火薬と名付け(後に下瀬爆薬と改称)、炸薬として砲弾、魚雷、機雷、爆雷に用いた。
日清戦争(1894-1895)には間に合わなかったが、日露戦争(1904-1905)で大いに活躍した。
特に明治28年5月27日の日本海海戦(1945年の敗戦まで海軍記念日)で、ロシアのバルチック艦隊を撃滅した要素の一つは、この下瀬火薬である。


ピクリン酸

不安定な物質であるため、より安定なトリニトロトルエン (TNT) にとって代わられた。

2,4,6-トリニトロフェノール
分子式: C6H3N3O7
構造式: C6H2(OH)(NO2)3
Pict_0775.

TNT

衝撃や熱に対してきわめて鈍感で、毒性が少なく、金属を腐食しない、など優れた特性を持つため、爆薬として広く用いられている。
現代では、火薬の代表として、核爆弾の威力を表す単位「TNT総量」にも使用されている。
TNT火薬は衝撃や熱に対し鈍感であるため、導火線では爆発しない為、爆発させる時はTNT本体に雷管を埋め込んで起爆させて爆発させる。
ピクリン酸に代って、火薬の主力となった。

トリニトロトルエン (Trinitrotoluene)
2,4,6-trinitrotoluene
分子式: C7H5N3O6
構造式: C6H2CH3(NO2)3
Pict_0776.

参考
日露戦争
弾火薬のいろいろ
実弾と訓練用弾
砲煩兵器
火薬


ベンゼン
芳香族で、TNTなどの化学組成の基であるが、直接的な破壊性は無い。
ベンゼン (benzene)
分子式: C6H6
Pict_0777. Pict_0777b.



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新規作成日:2007年1月5日/最終更新日:2007年1月5日