艦船写真の写し方(撮影データ)

撮影データは、一般論で言い切れるものではない。
その場の状況により千差万別である。
カメラのオート機能にお任せするのも一つの手であるが、ちょっと機能がついていれば、P(プログラム)モード、A(絞り優先)モード、S(シャッター速度優先)モードなどの選択がある。
色々な局面の撮影経験により、各自、好みのデータを積み重ねて行く事をお勧めする。

ここに、いくつかの例を紹介するが、あくまで、私の試行段階のものである。

基本は ASA100 A(絞り優先)モード +0.7 f8
A(絞り優先)モードとするのは、レンズ性能の限界たる開放絞りによる周辺光量不足を避ける為、2段絞りを確保する為である。
S(シャッター速度優先)モードとしておくと、シャッター速度確保の為、開放絞りまでf値が落ちてしまう事がある。
逆に、A(絞り優先)モードの場合、シャッター速度が犠牲となるので、手ぶれに注意する必要が有る。

ただしこれはフイルムカメラ時代のもので、デジカメの場合は性能上若干異なり、 D100 ASA200 +0.7、D70 ASA200 +0.3、D200 ASA200 +0.0、としている。

揺れている船上や、航空機撮影には、シャッター速度を確保したい。
その為には、ASA400などの高感度フィルムの出番でもある。

ただ、ヘリコプターを撮影する場合は、ローターの回転を止めない為に、1/125以下のシャッター速度としたい。
従って、
S(シャッター速度優先)モード +0.7 1/125 という設定を取る。
backback


被写界深度
絞りをあけて被写界深度を浅くし、ピントをどちらに合わせるかによって、訴えたいものが変わってくる。
逆に、出来るだけ絞って、近景から遠景まで、画面内のすべての被写体をシャープに写すパンフォーカスというものもある。
Dcim0747/DSC_2110. Dcim0747/DSC_2111.

夕暮れ時など、光量が不足する場合、シャッター速度を可能な限り押さえる事になる。
三脚や、ASA400などの高感度フィルムの出番でもある。
ASA800を超える高感度フィルムもあるが、画質が荒れてくる場合がある。
画像として確保しておきたいだけなのか、美しい画像を押さえたいかによって、判断が分かれる。

屋内撮影
ある程度明るい場合、そのまま撮影できる気になる。
しかし、窓の明かりや、一部照明による明るさが影響していて、目標の被写体が暗い場合も多々ある。
この時はストロボの補助光の出番だ。
ただ、完全にストロボに頼ってしまうと、室内の背景が暗くなったりする。
ひとつの対策は、通常の露出計算により、設定値を決定した上で、1/16発光などにより、補助光を与えるのである。


デジカメ(D100)の場合、
露出補正は 晴れ+0.7 〜 曇り+1.3
内蔵ストロボ使用時 A(絞り優先)モード +1.3〜+1.7


ストロボ撮影
TTLオート機能がつかえれば、お任せするのが無難だ。
連動していない場合は、ストロボのガイドナンバーによる計算で、設定値を決める必要が有る。この場合、M(マニュアル)モードとする。
背景と、手前の被写体を同時にという場合は工夫が必要だ。
背景にはストロボはとどかないので、シャッター速度を下げて対応する。

ストロボのガイドナンバーの計算
GN(ガイドナンバー) ÷ F値(絞り) = 距離(m)
GN(ガイドナンバー) ÷ 距離(m) = F値(絞り)
GN=40(ASA100) で、5mなら、40 ÷ 5 = f8 となる。
GN=40(ASA400) なら、2段あげて f16 となる。
GN=40(ASA100) で、10mなら、40 ÷ 10 = f4 となる。


詳細比較⇒艦船写真の写し方(ストロボ)


撮影モード

マニュアル式カメラの場合は、選択の余地はない。
しかし、最近のカメラは、P(プログラム)、A(絞り優先)、S(シャッター速度優先)、M(手動)などの選択が可能である。
P(プログラム)は、装着レンズの焦点距離により、絞りとシャッター速度を自動設定するものだが、馴れない人の手ぶれ防止を前提としているので、手ぶれは押さえられるが、絞りが浅くなりがちである。
A(絞り優先)は、開放から1,2段絞った状態で使用したい時に便利であり、標準で使用している。
ただ、28-70mm/F2.8-4.5 など、ズーミングによりF値が変動する場合には、注意が必要である。
S(シャッター速度優先)は、航空機の撮影等の時に向いている。ヘリのローターを止めないシャッター速度や、追従する時に手ぶれしない様にとかに効果的である。
M(手動)は、自動設定させず、強制的に設定できる。


また、カメラによっては、各種シチュエーションに応じた簡易撮影モードも用意されている。
ニコンデジカメ(D70)撮影モードの試行(2004.4.25)
オート ポートレート 風景 クローズアップ スポーツ 夜景 夜景ポートレート
Dcim0854/DSC_0327. Dcim0854/DSC_0321. Dcim0854/DSC_0322. Dcim0854/DSC_0323. Dcim0854/DSC_0324. Dcim0854/DSC_0325. Dcim0854/DSC_0326.
1/320秒
F9.0
EV0.0
オフ
標準
標準
1/2000秒
F2.8
EV0.0
オフ
ポートレート
Soft
1/200秒
F10.0
EV0.0
発光禁止
風景
Hard
1/320秒
F8.0
EV0.0
オフ
標準
標準
1/1600秒
F3.5
EV0.0
発光禁止
標準
Hard
1/200秒
F10.0
EV0.0
発光禁止
夜景
Soft
1/2500秒
F2.8
EV0.0
オフ
標準
Soft
撮影データは、露出時間、レンズF値、露光補正量、フラッシュ、シーン撮影タイプ、シャープネス。


露出補正

最近は自動露出に頼る事が多い。スナップ写真での失敗などほとんど発生しない。
しかし、その基本データは、艦船向けにはなっていない。
明るい空、海面反射のある海、そして中央に艦船。露出計算にとって困難極まりないものだろう。
一般に、明るすぎると判断され、アンダーとなる。それを補正するのが、露出補正機能である。
失敗をなくす為には、段階露出として、前後数枚を写しておけばベストだ。
下の例では、+1.0〜+3.0迄で試験している。
この例では、+2.0程度がちょうどのようだが、レンズ性能や、フィルム、各種設定や条件による相対的なものなので、一般に+2.0という事にはならない。
各自の経験値という事だ。
デジカメ(D100)にて撮影しており、一般のカメラの場合より、暗く写る傾向があるので、一般のカメラでは、+0.0〜+2.0と読み替えて差し支えないだろう。
私は、基本を+0.7、飛行中の航空機のみの場合+1.3を基準としている。
尚、+補正を大きくかけると、その分シャッター速度が遅くなるか、絞りが開く事になるので注意が必要である。
また、ネガの場合、プリントの際、今度はフィルムの明るさに対して自動補正がかかるので、暗目に写っているほうが返って綺麗にプリントされたりする事もある。

一般に、白いものを写すときは+補正、黒いものを写すときは−補正といわれる。
明るいほうが細部まで見えるのだが、暗めのほうが質感は増すようだ。

+1.0
DSC_0127
+1.3
DSC_0128
+1.7
DSC_0129
+2.0
DSC_0130
+2.3
DSC_0131
+2.7
DSC_0132
+3.0
DSC_0133
(2002.8.4 横須賀)




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新規作成日:2002年11月19日/最終更新日:2006年5月19日