記憶装置の考察(2003)
記憶装置の考察(98)(掲載日 98.4.27)を書いてから5年、世の中の状況は大幅に変化した。
[経済性]
本体価格+媒体価格総額
媒体価格総額 = 1枚当りの媒体価格 × 必要数量 × 損失係数
必要数量 = 必要容量 ÷ 1枚当りの容量(切り上げ)
損失係数 = 1.0 〜 1.1 (CD-R等の失敗破棄の余裕を計上)
- フロッピー: 本体:\4000 媒体:\50 実容量:1.4MB \35/1MB
- ZIP: 本体:\16000 媒体:\1200 実容量:100MB? \12/1MB
- PD: 本体:\28800 媒体:\1300 実容量:600MB? \2.2/1MB (98時点)
- MO230MB: 本体:\20000 媒体:\300 実容量:207MB \1.45/1MB
- MO640MB: 本体:\25000 媒体:\700 実容量:605MB \1.16/1MB
- MO1.3GB: 本体:\35000 媒体:\1500 実容量:1210MB \1.24/1MB
- CD-R: 本体:\25000 媒体:\80 実容量:650-700MB \0.112/1MB
- CD-RW: 本体:\30000 媒体:\2000 実容量:650-700MB \2.9/1MB
- DVD: 本体:\50000? 媒体:\? 実容量:2GB?
- 内蔵HD40GB: 本体:\30000 実容量:40000MB \0.075/1MB
- HD160GB: 本体:\30000 実容量:160000MB \0.02/1MB
- PCカードリーダー: 本体:5000 媒体:\3000-80000 実容量:32MB-2GB \35/1MB前後
本体:ドライブ 媒体:記憶メディア
記載の金額は、一つの目安。
メーカーや性能、セール時期 その他諸々の条件で相当の価格差があります。
500MB程度なら ZIP = \16000 + \1200 × 5 = \22000 ですが
MO230MB = \20000 +\300 × 3 \20900 、
MO640MB = \25000 +\700 × 1 \25700 、
CD-R = \30000 + \100 × 1 = \30100 となります。
2000MBなら ZIP = \16000 + \1200 × 20 = \40000 ですが
MO230MB = \20000 +\300 × 10 \23000 、
MO640MB = \25000 +\700 × 4 \27800 、
CD-R = \30000 + \100 × 3 = \30300 となります。
10000MBなら ZIP = \16000 + \1200 × 100 = \136000 ですが
MO230MB = \20000 +\300 × 47 \52900 、
MO640MB = \25000 +\700 × 16 \36200 、
CD-R = \30000 + \100 × 16 = \31600 となります。
最近は本体価格が安くなっているので、媒体の単価や、容量比単位価格(\0.02/1MBなど)で比較するだけで十分かもしれない。
[特性]
- フロッピー: 基本的にすべてのパソコンについていたが、最近のには付いていないものも多い。
- ZIP: 本体価格が安く導入しやすいが、媒体価格が高めで、大量に使うなら不経済だった。
- MO: 比較的互換性に優れている=媒体価格が安め。媒体に230MBとか表示してあっても、若干実容量は少ない。ハードディスク同様に扱える。ハードディスクの代わりとして(ソフトをMOにインストールもできるし)最適。
長期保存に最適。
尚、125MB, 230MB, 540MBは、HDと同様の512セクタだが、640MB, 1.3GBなどは2048セクタなので、格納するものにより、容量が無駄に食われる場合がある。
すなわち、1kbでも2048kbでも、1つのセクタを食ってしまうわけで、小さいファイルばかりを格納すると、230MBのMOに納まっていたものが640MBのMOに入りきらない場合が発生する。
- CD-R: 書き出した後はCD-ROMと同じ。CD-ROMは、ほとんど すべてのパソコンについているので配布には最適。(旧式なCD-ROMでは読めない場合があった)
成功・失敗に関わらずWRITEは基本的に1度。方式により書き足しも可能だが、書き足し中に失敗すると、全滅の危険もある。
媒体価格が安く、長期保存に適している。
ただ、他の磁気媒体に比べて化学変化を利用している為、耐久性に不安要素はある。少なくとも直射日光下に1日野ざらししておくとデータは使えなくなる。
ハードディスクに最大750MBの容量を確保して処理すると、ベリファイが出来るので安心できる。
WRITEは「焼き込み処理」となるのでパソコン君に専念させる必要があるので、実際その間パソコンは使えず、他の媒体のような、読み書き自在とは行かない。
尚、WindowsXPでは、ライティングソフトを使用せずに、普通のファイルコピーのように書くこともできるようになった。
- CD-RW: CD-Rと基本的に同様だが、書き換えが可能である。ただ、やはり「焼き込み処理」なので、他の媒体のような、リアルタイムの随時読み書き自在とは行かない。尚、基本的にCD-R兼用の装置が多い。書き込み何倍速なんていうものも出始めているが、マシン総体の性能が確保されていないと、実際 等速の処理しか出来ない場合もあった。
尚、古いパソコンのCD-ROMでは読み込みができない場合もある。
- DVD: かなり普及し始めたが、メーカー互換が無いかもしれない。
- HD: もっとも信頼性が高い。
が、管理領域が不良を起こしたり、機構そのものが障害を起こすと全滅の危険がある。
特にウィルスによる破壊は直撃を食うことになる。(MOなどであれば、ローディングしていなければ紛失の恐れはあってもデータを壊されることはない)
- メモリカード: コンパクトフラッシュ、メモリスティックなど。
PCカードスロットがあればPCカードアダプタを介して使用し、なければPCカードリーダーを使用する。
石(半導体)の記憶装置(メモリ)であるから、高価では有るが、読み書きは高速。
大容量タイプは、相性によるトラブルの声がしばし聞かれる。
- マイクロドライブ: コンパクトフラッシュなどと同様の機能用途だが、回転体である以上、衝撃などへの弱さはある。
一応ハードディスクのため、FATによる制限があり、2GBを超える場合、カメラの機種によっては使用できなかったり、パーティションを切って2GBのみしかカメラ側では使用できなかったりと言う場合がある。
[選択の要素]
- 実際、どのくらいの容量を使うのか。
- 1つの装置だけで満足するのか、2つを組み合わせるか。
- 当面のセーブなど、書いて保存するだけなら、CD-Rが最適。
- 長期保存なら、MOが安心。
- 大量に作って配付するなら、CD-Rが最適。
- 大容量は、事故の場合全滅のリスク。
大容量ハードディスクなど、一括管理は便利だが、損傷等により一挙全滅のリスクがある。
- 容量は大きい方が 一括処理に向いている。1つのフォルダで200MBの場合、
CD-ROM や MOなら 1枚で済むが、ZIPなら分割しないといけないし、分割されると、同時に処理できなくなってしまうものがある。
- 自分だけで使うなら考える必要はないが、仲間とデータ交換を考えるなら、相手の環境を考慮しないと交換できない。
- 市場流通性: 普及しているものは、供給が安定しているが、マイナーなものは媒体の製造が中止されたりするとアウト。この場合、CD-ROM MO の残存性が最高。
また、ストックを抱えるなら別だが、身近なお店で扱っている事も要素。
- 接続法式: USBか SCSIか ATAPIか。
本体内蔵ならATAPI、Win98以降の外付けならUSB。
かつては高速処理向けは、SCSI接続法式が主流だった。
最近の高速処理には、IEEE何とかというものもできている。
⇒ SAVE(Backup)の運用のお話
新規作成日:2003年11月10日/最終更新日:2004年3月14日