物事に、勝ち負けは付き物である。 競争の場合、相手より早く、或いは遠くに移動した方が勝ちとか、 相手より多く点数を取れば勝ちとか言う事が普通である。 しかし、基本的に、ほとんど相手と同じ条件の下に、勝負をする事が普通である。 例えば、1チーム何人とか、使用する器具の規格とか、同じ条件になっている。 戦争の場合はどうであろうか。 競技のように、決められた場所で、同じ条件で戦うという事はありえない。 一般に、相手より多くの兵力を集め、打ち負かす。 相手により多くの損害を与えた方が勝ち、相手より広い領土を確保した方が勝ちと言うのが一般的な勝利判定となろう。 しかし、戦争と言うのは、それほど簡単な勝敗ばかりではない。 例えば、船団護衛など。 船団護衛する側にとっては、船団の全てを、無傷で護衛して当然であり、1隻でも損害を受ければ、失敗である。まして、大多数に損害を受ければ負けと呼ばれる。壊滅は明確な敗北である。逆に、襲撃部隊に大損害を与え、船団が無傷と言う状態でなければ、勝利とは呼ばれまい。 対する襲撃側は、船団に少しでも損害を与えれば、成功であり、大多数に損害を与えれば、大成功であり、壊滅させれば明確な勝利である。船団に損害を与える事なく撃滅された場合を除いて、敗北と呼ばれる事は少ない。 しかし、これは、現場の戦闘に限った事で、戦略的見地から見ると、必ずしも、この勝敗の感覚には限定されない。 船団護衛は、そもそも、このようなリスクを負ったものである。 されば、必要な輸送量に対して、損耗率を勘案し、船団の規模が増強される。 すなわち、必要な輸送量が、到達できたかどうだかが、勝敗の要件になる。 例えば、1発のミサイルのみでも運搬されてしまえば、その威力により壊滅的打撃を受けるような場合、船団全滅が勝利条件であり、護送側は、1発でも運搬に成功すれば、如何に損害を受け犠牲を払おうとも、勝利条件となる。 一般に、戦争と言うものは、国家同士のぶつかり合いであり、政府間で、戦争集結がなされる。 この時に、いかに良い条件で集結できるかが、勝利条件である。 ゲリラ戦の場合はどうであろうか。 ゲリラの側は、ヒットを与えられれば良い。 もちろん、最終的には、ターゲットとなる政権なりを転覆させる事が良いのだろうが、何らかの揺さ振りを掛けられれば、それで十分効果が上がっている場合が多い。 発煙筒を焚いたり、爆発や、異臭など、民衆へ不安を与えるだけでも、戦果である。 対ゲリラ部隊とすれば、これを完全に封じ込め、或いは掃討できなければ、勝利とは言えない。 実例 第一次大戦の英独のシュトランド海戦のように、双方に決定的損害がなくとも、以後ドイツが艦隊行動を取らなくなったりすると、イギリスとしては、ドイツの企図をくじいた事となり、勝利条件を構成する。⇒「戦争」とは
新規作成日:2001年9月25日/最終更新日:2001年9月25日