METAL GOD!!JUDAS!!!!


Judas作品の80年代と90年代を、ベスト盤である“Metal Works 73-93”と“Painkiller”で後追いしてみた。
メンバーは、
  
Vocal: Rob Halford
  Guitars: Glenn Tipton
  Guitar: K.K.Downing
  Base: Ian Hill

の、不動のメンバーだ。
ドラマーだけが交代を繰り返している。

Judasは変わったのか??
一通り聴いてみた感想は、Judasは何も変わっていないっ!!!
途中、3作目のSin Afer Sinと4作目Staindclassで、低音が抑えられてヌケの軽さが気になるが、中心となるリフとギターソロ、それにロブのボーカルはデビュー当時から変わらないのだ。
デビュー時からスタイルが完成されていたとも言える。
その攻撃的できらびやかなサウンドは、どんなに年月が経とうともしっかりとJudasの根幹を流れている。

そればかりか。。だっ!
79年発売のPreist In The Eastでの“Victim Of Changes”では、2ndのオリジナル(76年発売)を遥かに上回る仕上がりとなっているではないか。Judasは、この時点で既に進化を遂げていたのだ!!
レス・ビンクスのドラミングの技の多彩さ、確かさに乗って、ツインギターが縦横無尽に駆け巡るのはスリリングである。
「♪Once she was wanderful〜」と歌うパートで、イアン・ヒルらしいベースが聴けるのに、思わず微笑んでしまった。音階でいうと、ミシミ、レラレと弾いている。The Rageにも似たようなフレーズがある。これぞ、イアンフレーズ!!
セカンドアルバムの持つ叙情性を基調としながら、StaindclassからKilling Machineへと変化していった中で培われた、「より攻撃的」「より疾走」「より複雑」がプラスされて、最高の仕上がり具合になった。
Judasの目指す方向性が明確になっている。


叙情性が一番抑えられていた作品は、私が見放した“British Steel”だった。
そのあとの作品では、British Steelのリフの多い簡潔なメタルをやってはいるけれど、
ギターソロは長めになり、その中で劇的なフレーズを弾いているのだ!!

従って、アルバム単位で聴くのでは、リフが多く、曲の変化が乏しくて単調に受け止めてしまうが、ベストアルバムで、新旧の作品を散りばめて聴くと、何も違和感なく、むしろスピーディーで斬新なギターフレーズを感じて、メタル・ゴッドなJudasが気に入ってしまった!!
彼らは、確かに進化したのだ。
メタル・ゴッドと称されたのは、当然の結果である。


Painkiller
Judasのペインキラーは凄い!!(90年作品)

ドラマーに元レーサーXのスコット・トラヴィスを迎えて製作された。

何が凄いって、ボーカルのロブ・ハルフォードの5オクタープを駆使したシャウトが凄い!!
オープニングのPainkillerは、これまでにない、シャウトしっぱなし声を出していて、ホントにロブの声?10年も経つと、こんなにも変わるものかとびっくりした。
なにしろ、女性でもキツい思われる高音を、緊張感と暴力感の絶妙なバランスのもとにガンガン飛ばしまくり、その伊藤正則氏が評した鬼気迫る声は、のどが潰れないのか?大丈夫なのかと心配するくらいハイテンションでまくしたてているのだ!

ボーカルが凄ければ、ギターソロも凄い!!
KKのリフを従えて、グレンの高速フレーズが炸裂する。速いし攻撃的だ。なのにメロディもしっかりあり、実に聴き応えがある。ロブのボーカルに負けていない。
アルバム「Painkiller」には10曲が収録されているが、タイトルナンバーのPainkillerは完全に別格だ。
それぞれによく練られた佳曲揃いだが、中でもPainkillerは完全に一段高い所に存在している。



Ram It Down
意外かも知れないが、私は88年作品のRam It Downが大好きになった。
アルバムとしては、不評のようだが、なかなかどうして、タイトルナンバーは最高の出来である。
疾走感のあるリズム、POP感覚さえある中間部の展開、その後に繰り広げられるギターバトルが素晴らしい。
最初のロブの断末魔の叫びからして、事態は異常で、耳を傾けずにはいられない。
メロディ進行のはしばしで入る、ギターを引っ掻く音が攻撃的でたまらない。入るタイミングと派手めなフレーズがこれ以上ないアクセントとなっている。
何よりも、この曲を魅力的にしているのは、グレンとK.Kのギターの掛け合いだろう。
ライブのようなドライブ感があり、それぞれが弾くフレーズが微妙に違う(グレンがややメロディアス、K.Kはハーモニクスを使って攻撃的)ので、2倍というより4倍楽しめるのだ。
もう、ノリノリ。スタジオ録音でこのドライブ感が出せるとは、ものすごいテンションの高さだ。
ムダな部分は削ぎ落としてあるのかも知れないが、心ゆくまでギターソロを楽しませてくれて、必要な部分はすべて揃っている。
完璧だ。