Rising
(虹を翔ける覇者)
 
Ranbow (1976年)


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レインボーのセカンドです。1976年の作品だから、な、なんと26年前のもの!!

今聴いても古臭さはありません。
当時は古いと酷評されていました。それは相変わらずのリッチー独特のフレーズと、クラシックを大幅に取り入れたサウンドが時代遅れだったからです。今ではシンフォロックともてはやされているのになぁ〜。
しかもプログレの要素を意識的盛り込んでいるのがわかります。
ファーストはelfというグループを土台にして作った急造品だったから、泥臭かったし荒っぽかったけれど、セカンドは一転して音の厚みに取り組んでいます。コージーはともかく、無名に近いおにぃ〜ちゃん達を起用し、リッチー大先生はやりたい放題、好き勝手にサウンドを作っています。
レインボーの初期の最高傑作であることに間違いありません。

それでは順に曲解説です。A面には、いきなりおやっと思わせるプログレ色豊かな「Trot Woman」で始まります。コージーの確実でダイナミックなバチさばきは、レインボーの今後を暗示する締まった響きになっています。
続く「Run With The Wolf」は、緊張感漂うギターで始まります。サビの落ちていくようなメロディは、リッチーが好きな中世音楽や黒魔術を思い起こさせます。
この曲が素晴らしいのは、ラストです。ロニーとリッチーが譲らずにそれぞれのパートを疾走します。リッチーのギターは狂気と紙一重と呼べるほどイッています。このフレーズがたまらないんだなぁ〜。音がフェードアウトしても止むことはありません。
「Starstruck」は、シンプルなロックンロールです。一番わかりやすい曲でしょう。
「Do You Close Your Eyes」はPOPです。コード進行がなじみやすく、覚えやすいです。
詩はロマンチックなんですが、ロニーが歌うと何だか下世話になっちゃうのはなじぇ〜〜。力いっぱい歌っているからかなぁ?

このアルバムの最大の魅力は、LPだったらB面に収められていた2曲でしょう。
A面が万人向けとしたら、B面はリッチーの個性が光った、思わずひれ伏す名作です。
「Stargazer」は、それこそシンフォロックです。元祖と呼べるでしょう。
シンフォロックは、シンフォニーXがロニーの歌い方に酷似していますが、私は彼らがこの「Stargazer」が好きだからと睨んでいます。(^^)
ロニーの小柄ながら全身を使って発声しているのではないかと思われる、魂を込めた歌い方は、自然に曲に入り込めてしまいます。
コージーのドラムは、音に広がりがあって、宇宙的な広がりさえ感じさせます。
リッチーの中間部のギターは、それこそ中世的なフレーズのオンパレードで、“この弾き方で文句あるか?”という凄みがあります。今聴いても新鮮です。っていうか、時代を感じさせない普遍性があるのです。具体的に言うと、マイルドで先行きが予想不可能なまとわりつくようなフレーズで、音階が中世的で独特なのです。
サビがやたらと長くてダレる点も無きにしもあらずですが、後半に加わってくるバイオリンがそれをカバーしています。
そのヴァイオリンをもっと前面に叙情的に出せたらなぁ〜。(massh的希望)
確かStargazerは、とあるお方によると、丸太をぶった切ってそれを調理している感じと評されました。
シンフォニックなシンセサイザーによって音の厚みがものすごいし、曲の作りも、1本の太い主流があって、それにメロディが乗っかっていて、枝流がそんなにないのです。うまい表現をするものです。
ミステリアスですが、暗い雰囲気はありません。あっけらかんとさえしています。それは突き抜けている勢いによるものでしょう。微塵の迷いがありません。

B面のもう1曲は「A Light In The Black」です。
これはKing Of The Hard Rockですよ〜。リッチーのギターが炸裂しています。
ここではいわゆるリッチー節がここぞとばかり登場します。低音の狭い音域で同じ音の繰り返しのように早弾きをまずします。それがだんだんと音が上がっていきます。でも、まだ決定的なフレーズは出てきません。もうリッチー、いつクライマックスになるのとじれてくると、突如として決定版をがびぃ〜〜んとぶち当ててくるのです。
それが実にカッコいいんだなぁ〜。きたぁ〜〜っ!!と狂喜します。
トニー・カレイのキーボードともクロスして、スピーディーでノリのいいRockをしています。
コージーのダブルバスドラは、めちゃくちゃ早くて(メロディック・ヘヴィ・メタのはしり?)ここで効果的に使われています。
そしてロニーの熱唱は天に突き抜けているようです。ベースもきちんと押さえる点を押さえています。
これらの要素がすべて絡み合って、極上のRockを紡ぎ出しているのです。このアルバムの顔と言える曲になっています。


その後のシンフォロックの隆盛を見ると、RainbowのRisingのもたらした影響がかなりあると思います。
テクニカルなシンフォロックはRushから、パワフルなシンフォロックはRainbowからと関連付けたくなってしまいます。
それほどの、凝縮された、その当時では異色のアルバムだと思うんです。