神へと至る道
第14話 罪深き正義
街中をかなりのスピードで走りながら、祐一は難しい顔をしていた。
裏道を通っているためか、人に出くわすこともほとんどない。
だからか、彼は自分の思考に没頭している。
『魔獣使いを捕まえた』
先ほど送られてきたメールの内容は、一言で言うと、そういう内容のものだった。
「思ったよりも早いな。さすが舞、というべきか」
そのメールの送信者は、舞。
メールによれば、彼女が佐祐理と一緒に歩いていた時に、突然現れた魔獣に襲われたらしい。
そして、祐一に言われた通り、これを撃退した舞は、能力を利用して犯人を探索。
発見した後、佐祐理と共に捕まえた、ということらしい。
「さて……」
これからどうするか、などと考えながら、祐一は、舞の指定した場所……ものみの丘まで全力で駆けた。
ほどなくして、町の景色の向こうに、薄く白に染められた丘が見えてくる。
冬の間は、地元の人間でさえ、まず近づくこともない場所。
そこに今、舞と佐祐理が、事件の犯人と一緒に待っているのだ。
「舞と佐祐理に限って、遅れをとったりすることはないだろうけど……」
そう口にしつつも、彼女達が無傷で勝てたとは限らない、とも祐一は思っていた。
二人の無事を確信していたとしても、その目で確認するまでは、結論付けることはできないのだ。
可能性がある限り、あらゆる事象は、真実となり得る。
とにもかくにも、まずは二人の安全を確認したい。
また少し、祐一の走る速度が上がった。
「舞! 佐祐理!」
指定した場所に祐一が到着すると、そこでは、舞と佐祐理が何か話し合っていた。
何も問題がなかったことを察し、小さく息をつく祐一。
「あ、祐一さーん!」
祐一の声に反応して、振り返った佐祐理が、笑顔で祐一に手を振ってくる。
その隣で、舞も軽く手を上げて、祐一を迎えた。
祐一も、すぐにそこに合流する。
「よ。早かったな、意外に」
「そうですね、佐祐理もちょっと意外でした」
「……思ったより、手応えがなかった」
そんな風に三人が言葉を交し合う横で、木に縛られている男が、苦痛の声を漏らす。
男は二十代の前半くらいだろうか? 傍から見れば、どこにでもいる男にしか思えない。
だが、この男が魔狼を従え、街に危険を放ったのは、疑いようのない事実。
どんな能力なのか、何が目的なのか。
まずは、それを知らなければならない。
「……こいつが犯人か」
冷めた目で祐一がその男を見据える。
その目は、寮や学校では、決して見せないものだった。
男は、まだ苦しげにしている。
「そうです。佐祐理達に襲いかかってきたのも魔狼でした」
「……タイプPだった。ランクはBくらいの強さだと思う」
祐一の隣で、舞と佐祐理が淡々と報告する。
襲われたのは、栞の時と同様に、魔狼によるもの。
どうやら彼の能力は、予想どおり魔獣を従えるようなものなのだろう。
ともあれ、突然の襲撃にも、舞や佐祐理が後れを取ることはなかったらしい。
「タイプPか……逆に苦戦することはないな、舞なら」
「うん」
祐一が納得したように頷く。
それに対し、舞が少し得意げに返事をする。
自分の力に対する自信と、信頼されている確信が、そんな表情をさせたのかもしれない。
「……さて、と」
そこで二人との話を区切り、祐一が改めて犯人の男に向き直る。
その目は、穏やかならざる色を湛えていた。
見ればすぐにわかる……それは、敵を見る目。
一般人であるなら、この男は警察に引き渡す以外に選択肢などないだろう。
だが、祐一達は一般人ではない。
警察という選択肢など、始めから存在しないのだ。
祐一達は、自分達の意思のみにより動く。
常識から逸脱しているという点では、男と似た部分があると言えるかもしれない。
「ぐ……」
祐一の視線の先で、身じろぎしながら呻く男。
相当ダメージを負っているのだろう……その声にも力がない。
「とりあえず、動機からはっきりさせとくか」
「はい、そうですね」
「……それがいい」
祐一の言葉に頷く舞と佐祐理。
それから、祐一はゆっくりと男に近づく。
「……と。佐祐理さん、回収はしたの?」
だがそこで、祐一が思い出したかのように佐祐理の方に向き直り、そう尋ねる。
問われた佐祐理はというと、表情を変えることもなく、手に持ったファイルを見せながら口を開く。
「ご心配なく。抜かりはありませんよ」
ファイルを掲げるようにする佐祐理。
彼女の手にあるのは、辞書くらいの大きさの、少し特殊な装丁をしているファイルだ。
表表紙にも裏表紙にも、不思議な紋様が描かれている。
あるいは、これは芸術作品だ、と言われたとしても頷けてしまえるような、そんなファイルだった。
それを確認し、祐一が納得したように小さく頷いた。
それから、すぐに佐祐理の目を見ながら口を開く。
「そっか。じゃ、今は“十”なの?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと“九”です」
「オッケー、なら安心だ」
「はい」
頷きあう祐一と佐祐理。
その確認を終えてから、今度こそ祐一が男の方に歩み寄って行った。
「さて、それじゃ、これから幾つか質問する。黙秘はお勧めできない。当然嘘も許さない」
「ぐ……な、何を……」
「黙秘したければしてもいいが……黙秘するごとに、指を一本ずつ切り落とすから、そのつもりで」
恐ろしいことを、眉一つ動かさずに告げる祐一。
感情を感じさせない言葉が、何よりも男の恐怖をかきたてる。
「あぁ、もちろん手の指だ。なくなったら手首、それから肘、肩といく。あと、嘘を言った場合は、お前の体に刀が生えることになる」
怒りも、喜びも、何もない……まるで夕食のメニューを告げるかのごとく。
どこまでも冷めた目と言葉に、男は震え上がる。
「わ、わかった……」
苦痛のため、男は喋ることも困難なはずだが、全力を振り絞って言葉を出す。
人間を動かす感情の中で、最も強いものは、恐怖。
恐怖を回避するためなら、人間は限界以上の力を引き出すことも不可能ではない。
「まずは確認だ。一月八日に、公園付近で少女に襲いかかった魔狼、そして今日、この二人にけしかけた魔狼……この二件はお前の仕業だな?」
「あ、あぁ……」
祐一の問いに、静かに頷く男。
もっとも、これは祐一達も既に理解していたことだ。
よって、これはあくまでも確認のためにした質問に過ぎない。
「では、次だ。一体何のためにそんな真似をした? 何を狙っていた? お前個人の意思によるものか? それとも、誰かに頼まれたのか?」
最後の問いかけで、祐一の目がすっと細められる。
祐一達からすれば、この男は初対面だが、もしこれが自分達のよく知る者達にけしかけられたとすれば、それは無視できない問題になってしまう。
まずはっきりさせるべきは、この男が如何なる理由で魔狼を街に放ったかだ。
「そ、それは……」
祐一の問いに、微かに言いよどむ男。
その反応を見て、祐一がちらりと舞の方を見る。
「……」
舞が無言で刀を差し出し、それを祐一が受け取る。
それを見て、男が顔色を変えて、叫ぶように言う。
「お、女の子を……」
ピク……と、三人が反応を示す。
全てを話してはいないものの、ここまで聞けば、男の目的など簡単に知れる。
どうやら、彼は自分の欲望のためだけに、今回の反抗に及んだらしい。
それさえ理解してしまえば、これ以上話を聞く理由も必要も意思も、祐一達にはなかった。
「もういい」
刀を突きつけながら、祐一が男の言葉を遮る。
その低い声で発せられた言葉に、男は、恐怖に引きつった顔のまま、口を噤ませる。
「……最悪ですね」
「……女の敵」
舞も佐祐理もまた、嫌悪の表情を隠さない。
「しかしまぁ、くだらない理由だな」
吐き捨てるように言う祐一。
首を左右に振りながら、呆れたような表情を見せる。
「全くです。これだけの資質がありながら、やることがそれですか……」
「人間の屑」
舞の言葉の後、祐一が小さく息をつき、それから手に持っていた刀を男の首下から離す。
微かに安どの表情を見せる男に対し、祐一は態度を変えない。
「じゃあ、次の質問だ。同じ事を今までに何回やったんだ? あぁ言い忘れてたが、嘘は無駄だぞ。嘘を見破る能力があるからな」
「い……いや、まだ誰も成功してない……ほ、本当だ!」
祐一が佐祐理を、ちら、と見る。
佐祐理は小さく頷く。
どうやら嘘ではないらしい。
まぁ、それはわかっていたことだったが。
佐祐理が調べたデータベースに報告がなく、また、栞が襲われてから佐祐理達が襲われるまでの間に、類似の事件がなかったことは確実である。
「それにしても、目的が栞だったとはな……」
栞を目当てに魔狼をけしかけたが、制御できずにいたところに祐一が駆けつけた……そんなところだろう。
「まぁ、警戒しておいて正解だったわけだが」
もし今日襲われたのが、舞や佐祐理でなかったら……
そんなことを考えると、舞や佐祐理は、強い怒りを感じる。
同じ女性として、そんなことを許せるはずがない。
「それで、どうするんですか? 祐一さん」
佐祐理が祐一に尋ねた。
「その前に、もう一つ尋ねておこうか」
祐一が男を見ながら言葉を続ける。
「能力を用いないケースも含めて、今までにお前が女の子を襲ったことは?」
能力を用いてやろうとしたのなら、用いずにやった可能性もゼロではない。
こういった犯罪は、表沙汰になることは少ない。
被害者が口をつぐんでしまうからだ。
心も体も傷つけられて、泣き寝入りするケースも多い。
「な、ない……」
祐一が佐祐理を見る。
「嘘ですね」
佐祐理が告げる。
それを聞き、男が表情を変える前に、祐一の持った刀が閃く。
「ぐぁっ……!」
男の肩に、祐一の持っていた刀が深々と突き刺さっていた。
その太刀筋は、まさに電光石火。
さっきまで、刀を持った手を、だらんと下げていたのが、佐祐理の言葉の次の瞬間に、肩を貫かせていたのだ。
「嘘は無駄だ、と言ったのにな……バカなやつだ」
小さく息を吐く祐一。
刀を男の肩に深々と突き刺したまま、祐一は微動だにしない。
男は、苦痛に顔を歪めながら、先程とは異なる恐怖を感じていた。
嘘を見破る能力……それこそが嘘だ、と思っていたのが、そうではなかったのだから。
祐一が後ろをいちいち振り返っていたのも、騙しだろうと高を括っていたのが、実際に嘘を見破られた。
信じられなかった……あり得ないはずだった……彼女がそんな能力を使えることは。
なぜなら……
「あ、あんたの能力は、確か……」
男は、脳裏に浮かんだ疑問を、そのまま言葉にしようとする。
けれど、それが完全に形になる前に、祐一が黙らせようとするかのごとく、突き刺した刀を一気に引き抜く。
「うぁぁっ!」
瞬間、噴き出す鮮血……宙を舞うそれが、やがて雪原に降り注ぎ、それを紅く染めていく。
苦悶の表情で、絶叫を上げる男。
噴き出す血に連動するように、痛みが波のように彼の体をさらってゆく。
その痛みに、男の思考が停止させられてしまう。
「質問に対する答え以外の発言を許可した記憶はないが」
祐一は、再度、血に濡れた刀身を男の眼前に突きつける。
「じゃあ、答えてもらおうか。何をやった?」
「……と、友達と、二人で……ナンパ、した、女の子に……酒を、飲ませて……それで……」
観念したのか、男が激痛に耐えながら、息も絶え絶えに話す。
それを聞き、祐一は一つ頷くと、さらに言葉を続ける。
「友人ね。それで、その友人とやらの名前は?」
「……だ……」
苦痛に震えながらの男の言葉。
もはや思考しての発言ではなく、ほとんど反射のようなものなのだろう。
小さい声だったために聞きとりにくかったが、祐一は、その名前をしっかりと記憶した。
「最後だ。その男も能力者か?」
「……そ、そうだ……」
「どんな能力だ?」
「わ、わからない……俺も、詳しく、見たわけじゃないから……」
「……なるほどな」
そこで考え込む祐一。
その目は、今までの中で一番冷たい輝きを放っていた。
「さて、じゃあ最後に言い残す言葉があるんなら、一応聞いてやる。何かあるか?」
「な……!」
祐一の最後通牒に、男が驚愕の目を向ける。
「まさか、殺されない、と思ってたわけじゃないだろ?」
無感動に、そっけなく、そう聞く祐一。
そこには、自分の言動を疑っている様子など、微塵も見えない。
「……ま、待って、くれよ……こ、こんな、こと、で……殺、されて……」
「笑わせてくれるな、お前は。人を殺そうとするなら、逆に殺されるかもしれないってことを考えるのは、当たり前だろう?」
男の必死の訴えにも、祐一は全く聞く耳を持つつもりはないらしい。
むしろ哀れむような目を向ける祐一。
男は、そこにさらなる恐怖を見つけてしまう。
何でもない口調で語られる死……それが今、どこまでも恐ろしい。
「敵は殺す。それだけだよ。恨むんなら、バカなことを考えた自分と、俺達に関わってしまったことを恨むんだな」
そう言ってから、祐一が刀を掲げる。
微かに差し込む日差しを受けて煌くそれが、まるで死神の鎌のように見え、男が震えながら口を開く。
ただ、助かりたい一心で。
「ま、待て……お、俺を……殺し、たら……殺人犯、だぞ……?」
「それがどうした?」
男の最後の抵抗も、祐一のやはり何でもないような物言いの前にかき消される。
言葉よりも、祐一の目が語っていた……絶対の死が届けられることを。
「あぁ、お前の友人も後を追わせてやるから、安心しろ」
思い出したようにそう言う祐一。
その言葉の後に、手にある刀を大上段に構える。
能力者である男には簡単にわかる……祐一のエネルギーがすさまじい勢いで高まってきていることを。
その密度の高まりと同時に、男の世界から、全ての色が、全ての音が、消え去ってゆく。
真っ白で無音の世界の中、スローモーションのように、祐一の手の刀が、自分に迫ってくる。
「う……ぁ……」
声にならない悲鳴。
大きく見開かれた目。
顔に貼りついた恐怖の表情。
男の恐怖が最高潮に達した時に、最期の瞬間は訪れる。
すさまじい轟音が、静寂の森の中を響き渡り、木の上から雪が落ちてゆく。
それが終わった時、再び静寂が森を支配した。
「じゃあ、俺はそいつを片付けてくるよ」
全てを終えた後で、祐一が、佐祐理と舞にそう言った。
二人はそれに頷きを返す。
「わかりました。じゃあ、佐祐理は舞と一緒に帰りますね」
「……祐一、油断は禁物……」
「わかった。あと、舞。そんなに心配しなくても大丈夫だ」
「……念のため」
とても人を一人殺した後とは思えない、極めて自然な会話。
どこまでも自然で、それ故に不自然な、そんなやり取り。
変わらぬ表情のまま、祐一は舞から鞘を受け取り、刀をそこに納めた。
それから、改めて二人に向き直る。
「それじゃ、舞、終わったら家まで刀を届けるから」
「わかりました。じゃあお待ちしてますね」
「泊まっていったらいいのに……」
「そういうわけにはいかないって。寮住まいなんだから」
「残念」
やんわりと否定の言葉を口にする祐一と、残念そうな表情の舞。
そんな二人を見て、佐祐理が何かを思いついたように口を開く。
「あ、じゃあ、せめてお夕飯を一緒にどうですか?」
「祐一、それがいい」
その佐祐理の提案に、すかさず舞が乗った。
聞いた祐一は、少し考える仕草を見せる
「そうだな……それならいいか。秋子さんには、夕食はいらないって言えばいいし」
「はい。良かったね、舞」
「うん」
そんな言葉のやり取りが終わると、祐一が二人に背を向ける。
背中越しに二人を見ながら、祐一が口を開く。
「じゃ、後でな」
「はい、お待ちしてますね」
「待ってるから」
そのままその場で二人と別れ、祐一は駆け出す。
あっという間に加速し、その姿が丘から消える。
見送った二人は、夕食の準備のために、商店街に向かって歩き出した。
夕食の献立などを相談しながら、二人は道を歩く。
傍から見れば、それはきっと、仲のいいごく普通の友人同士にしか見えなかったことだろう。
沈み始めた夕日を背に、彼女達の姿が、ゆっくりと姿を消していった。
その後、二人の行方不明者を知らせる記事が新聞に小さく載ったが、それで何かが起こることはなかった。
正確には、その記事を見て動き出す者がいなかった、というだけだが。
つまり、その記事を見て、思うところがあった者がいなかったわけではない、ということだ。
少しずつ、少しずつ……日常に現れた歪みが、その形を変えてゆく。
白のキャンパスに落とした黒の滴を消すことが出来ないように。
現れてしまった小さな歪みは、僅かずつ日常を侵食し、いつしか崩壊へと追いやる。
学園の武闘会に向けて汗を流す者も。
それを、ハラハラしながら見守る者も、暖かい眼差しで見守る者も。
目の前に当たり前のように存在する、当たり前のように浸っている日常というものが、その実、極めて繊細で壊れやすいものだ、と気付いているだろうか?
もっとも、気付いていようといまいと、それを止めることなど出来ないのだが。
昨日が確かにあったのと同様に、今日が確かにあり、そして明日がきてくれる、と信じて疑わぬ者にとって、それは余りにも残酷な現実。
明日が保障されていないことを知る者にとって、それは恨まずにはいられない恐怖の瞬間。
全ての運命が交錯する、武闘会の日は……日常の崩壊の瞬間は、もう、すぐそこまで来ていた。
あらゆる準備は完了した。
あとは、本番を待つのみ。
役者達は、自分の出番を見据え、静かに牙を研ぐ。
舞台は、既に開幕のベルを待つのみとなっている。
願わくば、そこに救いがあらんことを……
続く
後書き
久しぶりの投稿です。
まだ家のネット環境は整ってないんですが、実家に帰る用事がありまして。
いつになったら、きちんと定期的に投稿できるようになるかは、未だ見当つかず。
もうしばらくお付き合いくださいませ。
とりあえず、男の能力については下に書いておきます。
それではこれにて。
能力のタイプ : タイプS
能力名 :
博愛主義者か暴君か
効果 : 自身の特殊な生命エネルギーにより、獣や魔獣を従えることが可能となる能力。
従えるための条件は、次の二つのうち、どちらかを達成すればいい。
@従えたいものが満足するまで、餌を与える。
A一人で闘って勝つ。
@の方法では、満腹感が消えた途端に、能力が解除されてしまう。
Aの方法では、@と異なり、永続的に従えることが出来る。
@の方法は、簡単に達成できる反面、信頼度が低く、使い道には乏しい。
だがAの方法ならば、闘いで勝てばどんな魔獣でも従えられるため、利用価値は高い。
従えた魔獣は、基本的にこちらに忠実であり、どんな命令にも従う。
しかし、その魔獣が元々できなかったことができるようになったりすることはない。
そのため、その魔獣に不可能な命令は、下しても無意味である。
また、この能力では、従えることの出来る数に限りがあり、最大で三体までである。
三体を超えて従えようとした場合、その中の一体は、自然に帰さなければならない。
加えて、従えた魔獣の面倒は、当然本人が全面的に見ることになる。
そのため、後先を考えずに従えさせると、様々な問題が起こり得る。
この辺りの問題は、現実のペット問題と共通とも言える。
無計画に魔獣を従えるのは止めた方が賢明だろう。