「ねぇお父さん、兄さんはまだ帰ってこないの?」
「お兄様は合格できますでしょうか、お父様」
朝食を止めて、セニアとモニカが質問してくる。
これこれ、口に物を入れたまま喋ってはいけないよ。
それにしても我が子ながら可愛いなぁ。
「何かトラブルがあったようだからね、まぁそれでもそろそろ到着する頃だろう」
兄であるフェイルを心配する愛娘たち。
いい子に育ってパパは嬉しいよ、うんうん。
でもね。
「2人とも、パパと呼んでくれないのかい?」
「何故でしょう? お父様はお父様ですよ?」
「私たちも、もうすぐ7歳になるんだから何時までも子供じゃないのよ」
モニカは分かっていないんだろうけど、セニアは分かって言ってるね。
このナイーブな親心を傷つけるなんて……。
セローヌ、私達の娘は不良になってしまったかもしれないよ。
「はっ! もしやこれが噂の反抗期? フェイルには無かったから油断していたよ」
「ん?」
「はぁ、何言ってるのよパパ。はい、これで良い?」
「うんうん、セニアは素直で良い子だねぇ」
やはり私達の娘は良い子だったよ。
モニカは疑問顔だけどね。
これで心穏やかに朝食を再開できると言うものだよ。
「陛下」
ノックの音に続いて呼び声がするね。
食後のお茶をしている時に何事かな?
娘達も何事かと視線を向ける。
ふむ、帰ってきたのかな?
「何だ?」
「はっ! フェイルロード殿下がお帰りになられました」
「やはりそうか。それで、何故ここに通さないのだ?」
「それが、地上人を1名お連れになられておられまして……」
「地上人?」
「はい。ソラティス神殿での事故で召喚された者だそうです。その為、REBが一時的に停止中との事」
「ああ。だから神殿との連絡が取れなかったのか」
それにしても召喚事故とは珍しい。
自然に迷い込んだわけじゃないとなると、ミサキ君以来かな?
「分かった。私が直接会おう」
「へ、陛下御自らでございますか?」
「うむ。謁見の間に通しておいてくれ、フェイルもな。それと、手隙の閣僚も謁見の間に呼んでおいてくれ」
「はっ!」
分厚い扉のお蔭で足音は分からないが、兵士は戻っただろう。
扉越しで悪いとは思うけど、さすがに家族の団欒を見せる必要もないよね。
「と言うわけだから、パパは謁見の間に行ってくるよ」
「私たちも行っちゃダメ?」
「……セニア」
ふぅ、そう言うと思ったよ。
逆にモニカは行きたくないようだね。
まぁ若干対人恐怖症気味なのだから仕方ないけど。
「ダメ。大人しくここかお部屋で待っていなさい。すぐに分かる事なんだから」
「は〜い。モニカ行こっ」
「ええ」
立ち上がると兵士が着た方と逆の扉から出て行く。
元気なのは良い事だ。
私もお茶を飲み干して移動を始めた。
外伝 地底世界
第2話
ラングラン王国
「ほー、中も立派なものだなぁ」
「お褒めに預かり光栄だ。まぁ王城がみすぼらしかったら権威に関わるしな」
「違いない」
お互い苦笑する。
今俺は兵士の先導で、フェイルと王城を進んでいる。
謁見の間なる場所に移動しているのだ。
何でもそこでこの国の王様とご対面するらしい。
「王様ってのは、つまりはお前の親父だよな?」
「貴様!」
いきなり前を行く兵士が振り向いた。
しかも持ってる槍を突きつけてくれる。
喉元数センチ。
もう少しでぶすりと逝っちゃうね。
そんなお馬鹿な事を考えてないと倒れこみそうだ。
「……っく」
細心の注意を払って、槍が突き刺さらないように生唾を飲み込む。
槍の向こうに見える兵士は、睨むなんて言葉ではすまないような視線を向けてきてる。
これがよく聞く殺気ってやつだろうか?
「君、槍を下げてくれ」
「……はっ。殿下がそう仰られるのならば」
フェイルの声で槍を下ろす。
ちょっと今のは洒落にならん。
あのままフェイルが何も言わなかったら死んでたかも。
心臓がバクバク言ってるし。
「……何事?」
単語しか口から出せない。
現実の死の恐怖ってのはああいうものか……。
何とか震えだしそうな足を抑えるので精一杯だ。
「王族であらせられる殿下に対し、お前などと言ったからだ。殿下がお止めなさらなれば、不敬罪で殺していた」
「なっ」
「彼は私の友人だ。友ならあの程度の言葉遣いはするだろう?」
「しかし殿下はこのラングランの王子。何れは国王になられるお方が、そのような」
「王子には友を選ぶ自由もないと?」
「い、いえ……」
何事かフェイルと兵士が言い争っているが、そんなのは無視。
不敬……不敬か、王族ってのはそこまで偉いのか。
……むかつく。
フェイルは良いやつだが、この兵士の態度で決めた。
穏便に済まそうかと思ってたが、やはり無礼には無礼だな。
「すまないユウイチ。彼は王族の親衛隊故に、いささか行き過ぎた忠誠心を持っていてな」
「いや、俺も勉強になった」
後半は俺にだけ聞こえるように話すフェイルへ、俺も返事を返す。
俺の言葉に不思議そうな顔をしているが、それは後でわかる。
俺は震える手を握り締めて歩き出した。
ここが謁見の間か。
長い時間待たされるかと思えば、あっさり入れたな。
小説とかだと長時間の手続きがあったりするが、今回は特別なのか?
「ほぉ、あれが」
「まだ子供ではありませんか」
左右の壁には数人直立している。
声は小さくて聞き取れないが、多分俺の事を話してるんだろうな。
地上人は珍しいとフェイルも言ってたし。
「今いる人たちは何者?」
何となく声をひそめて聞いてみる。
向こうも小声で話してるし。
実は王以外は小声じゃないと話しちゃいけない場所だったりしたらやばいからな。
……さすがにそんな事はないだろうけど。
「一応文官と武官の偉い人間だ。正規の謁見じゃないから人数は少ないが、この王国に中枢と言ってもいい」
「うへ、お偉いさんって嫌いなんだよなぁ」
「右が文官、左が武官で並んでいるので、それだけは覚えておいてくれ」
「了解」
「王位継承権を得ていない私は、普段はこの場に参加できないのだが、今回は特殊なのでユウイチの隣に居る事になるだろう」
「助かる」
正直1人だと心細いのも事実。
持つべきものは王子の友達だな。
お。
王座脇のドアがあきやがった。
「陛下がご到着なされました」
先に入ってきた兵士らしき人間が喋り、そのまま扉の横に控える。
同時に双方の壁にいた人間が居住まいを正した。
いよいよ登場か。
数秒の後、兵士が控える扉から1人の男が入ってきた。
がっしりした体躯に、威厳のありそうな顔。
なるほど国王と言うのも頷ける容貌だ。
無駄に長い絨毯の先にある、数段高い位置の王座に腰をおろす。
「皆のもの
国王が渋みのある声で告げると、
ちなみに俺とフェイルは下げてない。
国王と目が合ったときにちょっと頭を下げた程度。
「さて、まずはフェイルに聞こう。魔力テストの結果はどうなった?」
「はい。召喚事故により、一時的にREBが使用不可能となったため、6日後に延期となりました」
「延期か。REBがそうでは、それも仕方ないか」
「御意に」
「しかしソラティス神殿はREBに頼りすぎているな、今回のようにREBがストップすると通信も途絶するのでは……」
国王とフェイルが話し合ってるが、他の面子は加わらんのか?
やはり王族に割ってはいるのは不敬罪とか……。
しかしソラティス神殿って、予想以上にやばいじゃないか。
REBがハッキングなり物理的消去なりされれば、一発で終わりだろ。
「その件はイブン大神官と相談という事に」
「REBが直ったら話し合いの場を設けねばらなんな」
「そうですね」
「では次にそちらの地上人の少年の件だ」
国王がそう言うと、場にいるフェイル以外の人間が一斉にこちらを向く。
あんたら怖すぎ。
好奇心がありありと見て取れる目が何か嫌だ。
その中で国王だけは真摯な視線なのは救われるけど。
「私はアルザール=グラン=ビルセイア。この神聖ラングラン王国の国王だ。宜しければ君の名を教えてくれないかね?」
……は?
一瞬驚愕で向こう側に逝きかけたぞ。
もっと高圧的かと思ったら、随分と柔らかい感じの王様だなぁ。
え〜っと。
「私の名はユウイチ。ユウイチ・アイザワです陛下」
軽く頭を下げる。
しかし敬語はともかく、この一人称は慣れないなぁ。
「この度は意に沿わぬ召喚、
「いえ、別に構いません。帰れるなら、これも貴重な体験だと思いません?」
「そうだな」
ちょっとおどけて答えてみると、国王は軽く微笑んだ。
さすがフェイルの親父と言うか、中々話の分かる。
「貴様っ! 何だその口の利き方は!! 陛下に対して馴れ馴れしいぞ!」
しかしまぁ気に入らない人も当然いるようで。
見てみると右側文官列の王座に一番遠い位置で喚いている人間が。
あー、ありゃダメだな。
神経質そうな顔に眼鏡をかけて、体は細いと言うかガリガリ。
典型的な木っ端役人決定。
「聞いてるのか貴様! 何だその笑いは!」
一瞥し、鼻で笑ってやる。
おーおー、真っ赤になった真っ赤になった。
フェイルは隣で苦笑してるし。
周りの人間も迷惑そうだよなぁ。
武官側なんて露骨に嫌悪の表情だし。
仲悪いのか?
「あーまぁ、一応あんたに聞くけど」
「何だ!?」
「さっきの対応のどこが拙いわけ?」
「そんなの決まっているだろうが! 陛下はこの王国の国王、神聖にして不可侵の方。その陛下にあんな馴れ馴れしい」
「あほじゃねぇの」
はっ、とまた鼻で笑ってやる。
見る見る顔が赤くなる木っ端役人。
瞬間湯沸し機弐号・木っ端君と命名しよう。
ちなみに壱号は我が中学の数学教師。
「き―――」
「大体」
何事か叫ぶ前に遮ってやる。
そして周りを見回す。
これから言う言葉は、ある種死刑執行のサインかもしれない。
「大体俺はこの王国の人間じゃないんですよ、王族に敬意なんて払うわけが無い。払うのは精々年上の人間への当然の敬意だけです」
そう、先ほど殺されかけた時に決めた事だ。
大人しく尻尾振ってれば簡単に帰れただろうが、それでも言わなければならなかった。
俺は、両親が死んだあの日から、如何なるモノにも媚びないと誓ったのだから。
俺たちを守ってくれた、憧れた
見ず知らずの大人は簡単に信用しない事に決めてるしな。
「それに俺は被害者。謝ってもらいこそすれ、何故下手に出なければいけないんです?」
俺が言ってやると、木っ端君は絶句する。
やはり怒りが最高点を超えたのか、それともあきれ果てたのか?
国王は俺を見たまま微動だにしないし。
その視線はちょっと不安になるな。
あ、フェイルそんな心配そうな顔で見るなよ。
「それはそうですなぁ。その少年の言っている事は正しいですよ」
「なっ、カークス殿」
「いやいや、私もそう思います」
「ゼオルート殿まで」
見れば、武官の列の上位の方々が賛成してくれたようだ。
眠そうな人と、小さい丸眼鏡をかけた優しそうな人だ。
どちらも武官には見えないんだが、あの位置って事は偉いんだろうな。
「クク」
ん?
王座の国王の肩が震えてる。
……この展開は昨日もあったような。
「くくくく、はははははははは」
あぁやっぱり。
突然大笑いする国王。
「やはり親子か、お前と同じリアクションだぞ」
「あまり似てないつもりだったんだが、芯は似ていたようだな」
ちょっと呆れてフェイルを見る。
自分でも分かっていたのか、フェイルは苦笑する事しきりだ。
どうでも良いけど周りの人間唖然としてるぞ。
「ふぅ、こんなに笑ったのは久しぶりだな」
数十秒笑いまくって、何とか落ち着いたみたいだ。
家臣団も木っ端君以外苦笑してるし。
「で、ユウイチ君だったかな?」
「え、あ、はい」
いきなり喋り方替わった。
驚いてどもってしまったぞ。
好意的な眼差しも向けてくれてるし。
「私は君がとても気に入ったよ。普通この場であんな発言は出来ないからね」
うんうん頷く家臣の人々。
あ、木っ端君が泡吹いて倒れた。
国王の言葉がショックだったかな?
「……でしょうね」
「しかも怒りや自棄で言ったわけじゃなく、自分なりの信念に基づいて言った事も分かった」
「分かりますか?」
「伊達に国王なんてやっていないからね。その堅い意思に素直に感動したものさ」
感心したように頷く国王と、家臣団の方々も同じような顔で頷いている。
どうやらさっきの俺の発言は、好意的に受け取ってもらえたようだ。
もっと怒る人が出るかと思ったが、皆さん精神的に成熟してるんだなぁ。
国民性だろうか?
「フェイル、彼とはいい友人になれそうかい?」
「はい」
「うんうん。それじゃあ送還までの彼の相手はお前に任せよう」
「宜しいのですか?」
「同年代のお前と一緒の方がユウイチ君も落ち着くだろう。滞在する部屋は、お前の隣を使ってもらおうか」
「分かりました」
「じゃあ下がって良いよ」
「はい。ユウイチ、私の後についてきてくれ」
「了解」
踵を返すフェイルを追う前に、賛成してくれた2人に軽く頭を下げる。
ゼオルートと呼ばれた人は、ニコニコと笑って手を振ってくれた。
カークスなる人は、軽く頷いたようだ。
……眠さで頭が落ちただけかもしれないけど。
「ここが王族の居住区画。ユウイチは帰るまでここで生活する事になるな」
「さよか」
見れば大人が悠に5人は並んで歩ける廊下に扉が5つ。
外からの光が差し込む窓からは、白く長い塔が見えた。
扉は艶やかな光を放つ木材で出来てるみたいで、王宮らしい威厳がある。
フェイルによると、手前から数えて1、3、5の奇数番目の部屋が空きらしい。
「私の部屋は2つ目。妹たちの部屋が4つ目になっているんだ」
「妹がいるんだな」
「ああ。双子のね。それと王宮には住んでいないが、弟もいるよ」
「兄弟なのに王宮に住んでいないのか?」
「弟の母が病弱だからそちらの家にいるんだ。私とは異母弟になるから」
「……すまん」
「いや、勿論異母弟と言っても仲は良いよ。さ、ユウイチはこの部屋を使ってくれ」
廊下から一番手前、つまり1番目の部屋を示す。
フェイルの隣って言ってたからここしかないだろうな。
王女の隣の部屋に入れるわけにもいかないだろうし。
「ん?」
「どうかしたのか?」
「いや、ここ変じゃないか?」
扉の前の壁を指差す。
4メートル程外に突き出しているようだ。
他は一直線な廊下で窓が付いているのだが、俺の住むことになる部屋の前だけそうなっている。
窓も付いてないし、外観的に変だ。
「確かにそうだが、特に何かあるわけじゃないしな」
「まぁ気になっただけだが」
この話は終わりと、フェイルは扉に手をかける。
実際気になっただけで、問題も無いだろう。
「……今更だが良いのか?」
「何がかな?」
いや、ね。
俺は小市民なのだよ。
いざこんな最上級ホテルのスイートもかくやって部屋に住んで良いものかと……。
すいません、ぶっちゃけビビってます。
正面には豪華なテーブルとイスとソファ、後はテレビそのものの形をした機械。
それだけなら良いんだが、部屋のサイズが桁違いだ。
普通の家ならリビングにあたるだろう場所は、多分40畳は確実にある。
天井も3メートルはあるだろうし、ご多分に漏れずシャンデリア。
寝室に行ってみれば、天蓋つきのベッド。
トイレと風呂が完備されているのは嬉しいが、広すぎて逆に落ち着かない。
「広すぎ」
「そうか? 私はそう思わないが」
それは君たちが慣れているからだ。
昔からこんな環境で生活してたら違和感なんか無いだろうよ。
俺からすればこの広さは気後れする。
つくづく小市民だと実感。
むしろ小市民が良い。
「これは何だ?」
パシパシと、テレビのような機械を叩く。
50インチくらいのでかさの画面なんて普通見ないよなぁ。
しかし見れば見るほどテレビだ。
「それはクリスタルビジョンと言うものだ。色々な映像を映す事が出来る装置なんだ」
「ますますテレビ……まさか電波で映るとか?」
「電波? いや、これはエーテル波で映すものなんだが」
「ふぅん」
エーテル波ねぇ、全く何の事かわからん。
まぁ形といい用途といい、結構地上とシンクロしてるんだな。
テレビと違って全体的に湾曲的だが。
「良いデザインだな」
「そうでしょ!!」
「うぉ!」
「セ、セニア……」
な、何故いきなり後ろから大声が……。
2人ともクリスタルビジョンの方を向いてたから、後ろからの接近に気付かなかったのが敗因なのか?
大声を出したのは、この紫色の短い髪の少女だろう。
可愛くないなんていう人間はいないだろうが……どことなく顔の造りがフェイルに似てるな、妹か?
「このクリスタル画面の艶といい、どことなく柔らかなフォルムなんて設計した人のセンスを感じるわぁ」
頬擦りしそうな勢いでクリスタルビジョンを見てる。
……特殊な趣味なのかね。
見たところまだナユキと同じくらいなのに。
フェイルを見れば、頭抱えてるし。
「彼女は?」
「私の…………妹だ」
なんか後半言い難そうだったな。
肩に手を置いてやろう。
あ、肩が落ちた。
「それで貴方」
「俺?」
「そうそう」
人を指差したらあかんよ。
……ラングランだと良いのか?
「セニア、人に向けて指を差してはいけないと普段から」
「あ、ごめん兄さん」
やはりダメなのか。
一般常識は俺のところと同じなんだな。
「で、貴方」
「何だ嬢ちゃん」
「貴方このデザインの良さが分かるなんてセンスあるわ! 誇って良いわよ」
「それはどうも」
思わず笑いがこぼれる。
発言自体は結構高飛車だが、嫌味に聞こえないところはこの子の人徳かな。
「それで……」
「ん?」
「……貴方誰?」
今更かい。
こらフェイル、爆笑するな。
「ふー」
ベッドにダイブ。
ぽふっと軽い音と伴に、体を包み込む柔らかい感じがいい。
さすが王宮のベッド。
「しかし食いすぎた」
昼抜いたし、昨日も何だかんだで量を食ってなかったからな。
しかも王族用の食事だから美味いし。
あー、暇だし回想しようかな。
俺の部屋でフェイルが爆笑した後、彼女と互いに自己紹介し、扉から中を窺っていたモニカとも自己紹介した。
セニア王女と呼んだら嫌な顔したのはフェイルと一緒だったな。
モニカは人見知りするのか、終始フェイルかセニアの後ろに隠れていたけど。
その後、さすがに疲れていたのかベッドに横になったら、夕方まで寝続けてたのは驚いた。
フェイルが起こしに来なかったら未だに寝てたんじゃないか?
呼びにきたフェイルに連れられるまま移動したら、そこには国王−プライベートではアルザールさんと呼んで良いらしい−が居てまた驚いた。
そのままなし崩し的に夕飯に突入。
家族だけで食べるのが好きらしく、俺以外は4人だけだった。
フェイルのお袋さんは亡くなってるんだな。
つーかそんなとこに俺が居て良いのかって聞いたら、気に入ったから良いと仰った。
国王にしておくのは勿体無い程大らかで気の良いおっさんである。
「良い人ばかりでよかったなぁ」
声に出してみたが、全くその通りだ。
基本的に温厚で気の良い人ばかりで、地上とは雲泥の差。
謁見の間の発言で処刑されるのもやむなし、と思ってたのは秘密だ。
俺の方は何とかなりそうだが、地上はどうなっているだろう?
アキコとマコトはどうしてるか。
処刑されてたらあいつらにももう会えなかったんだな。
少し軽率すぎたか……せめて寝るまであいつらの事を考えていよう。
To Be Continued......
後書き
2話でした。
若さからなのか、ユウイチ君は向こう見ずなようです。
まぁ青いって事ですが。
今回は王家の人間が3人登場。
ちょい役ですが、原作に出たお方も2人。
セニアがちょっと暴走してましたが、彼女はあんなもんでしょう。
国王は親ばかのおっさんですし。
一応彼らは今後も割と中核をなすキャラクターです。
カークスとゼオルートはあまり絡みませんけどね。
正直この話読まれてるか疑問です。
あまり反響がないもので。
意欲も失せ気味なんですよね……。
ご意見ご感想があればBBSかメール(chaos_y@csc.jp)にでも。(ウイルス対策につき、@全角)