校庭から鳴り響く剣戟の音色。
その音色に、俺は心を奪われたかのように歩き出した。
夜の帳が下りた校庭には、殆ど明かりが無く、視界が良いとは言えない。
しかし、それは直ぐに発見できた。
紅い外套を身に纏い、陰陽一対の夫婦剣を持った男。
青い革鎧に、真紅の魔槍を構えた男。この二人が戦う、人外の舞踏を。
――――――ドクン
おかしい。
あの紅い外套の男を、一目見ただけで許せないと感じた。
生理的に合わない相手が居るとは聞くが、あの男がそうだというのだろうか?
「誰だ!!?」
紅い外套の男に対して、無意識の内に敵意を出してしまった所為で、息を潜めていたのがバレた。
一気に血の気が引き、脱兎の如く、全力で逃げ出す。
全力で、そして必死になって逃げた。だが、所詮は兎だ。狩人である相手は、
「此処までだな、坊主」
乱れていた呼吸が止まる。全身から嫌な汗が噴出し、歯の根からカチカチと音が鳴る。
恐れに支配されながらも、慌てて振り向けば、青い革鎧を纏った男だ。
面倒臭そうに此方を見ながら、やはりやる気の無さそうに真紅の槍を担いでいる。
「運が無かったな、坊主。
正直、同情も禁じえないが、これもマスターからの指示なんでな。恨みたかったら恨んでくれや」
神速とも云うべき速度で、真紅の槍が俺の心臓目掛けて直進する。
その時は、何も考えず、ただの生存本能に任せて何時の間にか持っていたモップで弾いた。
ガッ!
「……へぇ」
僅かな驚きの声。が、それだけだ。
既にモップは紙屑のように砕かれ、もう一度防ぐなんて真似は出来ない。
「鍛えれば良いところまでいきそうだな。けど残念だな…………お前に次はねぇ」
ドシュ!!
硬質な何かが肉を貫く音が、どこか遠く聞える。
胸にある違和感に眼を向ければ、男が持っている真紅の槍が心臓に突き刺さっていた。
理解した途端に視界が暗転する。
何も見えなくなった世界に、気持ち悪くなるほど朱が満ちる。
まともな思考など出来ない意識の中、誰かの声が聞えたような気がする……………。
Twin Kings
序話「出会い」
俺が憶えているのは其処までだ。
気が付けば血の海に倒れていたが、不可解なことに傷一つ無かった。
何故か、ぼんやりとする頭でノソノソと血を片付けた俺。
始末を終えると、血がベットリと付いた制服のままで家まで帰って来た。
誰かに見られでもしたら、間違いなく通報されただろう格好。
幸いにも誰にも見咎められることは無かった。後で胸をなでおろしたものだ。
――――――カランカラン
「そういえば、これが落ちてたなぁ」
左手に握られた紅い宝石。
見事な装飾を施された宝石からは、魔力の残滓が感じられた。
誰が、何の為にやったのかは不明だが、間違いなくコレの持ち主に助けられたのだろう。
衛宮 士郎 は。
――――――何かが 、
「だから、俺が死んだのだって本当だ」
――――――聞えた。
一度、死んだ時のことを思い出し、吐き気がした。
当然だ。死んだ時を思い出して、気分が良い人間なんて狂っている。
「けど、何で――――――ッ!!」
ドンッ!!
最早、回避というよりも、逃げ惑うような動きで畳の上を転がる。
勘なんかじゃない。頭の何処かで、警告音を捉えていたからだ。
「へぇ。やっぱお前、才能あるんじゃねぇか?
殺されても生きている生き汚さといい、獣みたいな勘の良さといい」
ニィ、と口元を歪めて笑うのは、青い革鎧の男。
真紅の槍を畳に突き立て、此方を面白そうに見ている。
「まぁ無駄だろうけどな。お前は此処で死ぬ、今度は確実に殺す」
やっぱりそうだ。俺が生きている以上、奴はもう一度来る。
結果、その推察は正しくて、目の前に男が悠然と立っているのだから。
隙だらけだが、攻撃など出来ない。
自分如きでは、目の前の男に傷一つ付けられない事は、痛いほど理解できる。
「なぁ坊主、名は何て言うんだ?」
これから殺すと宣言しながらも、男はやはり気安げに、そして飄々とした態度で訊いてきた。
恐怖でカラカラになった喉だと、上手く言葉が出るか不安だったが、不思議なことに言葉は直ぐに出る。
「
衛宮 士郎 。……………何でそんなことを訊くんだよ」
驚いた。衛宮士郎は、思いのほか蛮勇だったようだ。
そして神経は、登山に使われるワイヤー並に太いに違いない。
でなければ、殺そうとしている相手に聞けるはずが無い。
「はっ、そんなの決まってんだろ? なんせ、同じ相手を二度も殺すなんて貴重な体験だからな」
クク、と喉を鳴らす男に、俺は何故か嫌悪感を抱けなかった。
あの時、紅い外套を纏った男には、嫌悪しか浮かばなかったのに…………。
「さてと、俺も暇じゃないんでな。そろそろ殺すぜ」
気軽に放たれた宣言と共に、音も無く真紅の槍が振るわれた。
今までの人生の中でも、最高の動きで真横に飛び退いて回避する。
だが、それでも遅いとばかりに、槍が腕を切り裂く。
「――――――ッ!!」
余りの痛みに視界が明滅する。今の一撃で左腕が半ばから切り裂かれた。
確認はしていないが、優に骨まで斬られているだろう。
しかし、そんな事は思考の隅に追いやる。今、重要なのは『どうやって生き残るか?』だ。
咄嗟に掴んだのは、紙。丸められた何かのポスター。
こんなものでは駄目だ。この強度では、槍の軌道を逸らすことさえ出来ない。
ならば、強度を『強化』すれば良い!!
「――――――
同調、開始 」
ガキン、という音と共に、脳裏で撃鉄が落ちる。
勿論、頭の中に撃鉄なんて無い。だから、これはイメージだ。
衛宮 士郎という人間が――――――ヒトデナシの魔術師になる為の。
ギィンッ!!
「ッ!! ハッ、そういうことか! まさか魔術師だったとはな!!」
鉄並みの強度を持たされたポスターは、自身が拉げると共に真紅の槍の軌道を逸らす。
本当に今日は運が良い。いや、殺される時点が運が悪いのかもしれないが………。
兎に角、成功率が一割を下回る『強化』が、一瞬で成功したのは僥倖というべきだろう。
「だが、余りにも貧弱すぎるぞ! 魔術師!!」
ドォン!!
坊主と呼ばず、魔術師と呼んだ男が槍を振るう。
狭い室内で振るわれる真紅の槍は、容易く俺を吹き飛ばした。
ガシャァァァァァァァン!!
盛大な音が鳴り、俺の体は一度も地面に付くことなく、庭の片隅に在る土蔵の外壁に叩き付けられる。
「ゴフッ………」
塊のような血を吐き出して、徐々に暗くなる視界で男を見る。
ゆっくりと此方に歩いてくる青い獣。
上手く動かない体を叱咤しながら、必死に土蔵の中へと逃げ込む。
「ほぅ、まだ諦めないか。良いねぇ、男はそうじゃねぇとな」
愉快そうに笑いながら、男は近づいてくる。
全力で土蔵へと向かっているのだが、その速度は歩いている男よりも遅い。
それでもミミズのように不様に這いずり、土蔵の中に転がり込んだ。
「オメェは良くやった。でもな、もう
王手 だ」
「………………」
血が喉で溜まり、言葉を発することも出来ない。
ただ朦朧とする意識の中で、目の前に立つ男を静かに見ていた。
「じゃあな、魔術師。もう蘇るんじゃねぇぞ」
――――――ドクン
――――――殺される。
――――――ドクンドクン
――――――死んでしまう。
――――――ドクンドクンドクン
――――――何も出来ないままで?
――――――ドクンドクンドクンドクン
――――――それは駄目だ。到底認められない。
――――――ドクンドクンドクンドクンドクン
――――――俺は生きなければならない。生きて、■■しなければならない。
――――――ドクンドクンドクンドクンドクンドクン
――――――ならば、生きるしかない。
――――――ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン
――――――俺では生き残れない。ならば生き残ることが出来るだけの存在を呼ぶまで!!
「アアアアアァァァァァァァァァッ!!!」
「なにっ!?」
瞬間、閃光が全てを灼いた。
喉に溜まっていた血を、強引に吐き出しながらの咆哮に、何が応えた。
「――――――問おう、貴方が私のマスターか?」
「――――――問うぞ、貴様が我 のマスターか?」
同時に問われた言葉に、俺は思わず無言。
この一瞬で、体中の痛みが意識の隅に追いやられ、ただただ目の前の少女達を見つめてしまった。
自分から見て左に立つのは銀の鎧を身に纏った少女。
上質の絹糸のような金髪は、結われて邪魔にならないようにしている。
意志の強そうな、至高ともいうべき碧色の眼で、此方を真っ直ぐに見ている。
対して右側に立つ少女は、銀とは対照的な金のプレートアーマーを着ている。
同じような金髪は、腰までストレートに流され、結わえるなどはしていない。
真紅の瞳は、どこまでも尊大な雰囲気で此方を見下した感じがした。
二人に共通して言えるのは、信じられないぐらいの美少女だということ。
思考の全てが焼き付き、何も考えられなくなる程、目の前に二人に心を奪われた。
そんな二人が同時に異変に気付き、『ん?』という疑問顔を作ると、二人の少女は互いに顔を見合わせて叫んだ。
「なっ!? アーチャーっ!?」
「なっ!? 騎士王っ!?」
叫びは同時。互いに驚愕を掛け合わせた表情で見詰め合う。
血が流れすぎた所為か、ボンヤリとしていく意識の中、二人の少女が剣を構えた。
「此処で会ったが100年目。丁度良い機会です、決着を付けましょう!!」
「ふん、愚かな。如何な騎士王だろうと、この
我 には勝てんということを教えてやろう!!」
え?
「10年前のように邪魔は入りません。ならば、私は敗北などしない!!」
「10年前? 何を意味の解らぬ事を…………。確かに貴様と戦った記憶はあるが………」
銀の鎧を纏った少女が、何かを構えて堂々と言い放つと、金の鎧を纏った少女は困惑気味に言葉を返す。
しかし、何方の圧力も些かも衰えなかった。
隙を見せた瞬間、本気で斬りかかるだろう………って、そんなのは駄目だ!!
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 何でいきなり戦おうとするんだ、あんたらは!!」
全てを忘れて、我武者羅になって二人の間に飛び出す。
すると二人が訝しげな表情を作る。
「何を言っているのですか、マスター。敵・サーヴァントは倒すのが定石です」
「む、何を言っている騎士王。こやつは
我 のマスターだぞ」
「貴女こそ何を言っているのですか? 彼は私のマスターです」
「何を勘違いしている! こやつは
我 のマスターだと言うのに!!」
「貴女こそ、何を血迷っているのですか! 彼は私のマスターです!!」
え…………っと、取り敢えず殺し合いは止めてくれたみたいだけど、何故か言い合いになっている。
マスターとか、サーヴァントとか、言っている意味はさっぱり解らないんだけど、俺のことを言ってるみたいだ。
「ならば、これを見なさい!!」
「ふん、お前こそ見るがいい!!」
小柄な二人の少女が、俺の左右の手を其々とって掲げる。
何かを無理矢理忘れていたような……………?
「「…………………」」
なにやら二人して固まってしまった。
俺の手には痣ぐらいしか無かった筈だけど? ……………あれ? 何だ刺青みたいなのが…………。
「「何だこれはぁーーっ!!」」
「――――――ッァ!!!」
二人が叫ぶと同時に、滅茶苦茶な握力で手首を握る。本気で痛い。情け無いけど、万力で締め付けられているようだ。
しかも、今まで無理に忘れていた腕の刺し切られた腕の傷に加え。
両手の甲に浮かび上がった刺青の、火傷のような痛みが一気に発露する。
この激痛には視界が明滅し、意識が本当にとびそうになった。
「何故、
令呪 が二つも出ているのですかマスター!?」
「そうだ!! 一体、何をやったのだ雑種!!」
物凄い剣幕で吼える二人に、情け無いことに本気で怯えてしまう。
言い訳をさせてもらえば、があーとばかりに吼え立てる二人は獅子のようだった。
何気に、金の鎧を纏った少女が俺の扱いを悪くしたような………。
「な、何って、そんなの俺にもよく分からないんだけど…………」
ビクビクしながら言う、情け無い俺。…………いや、ほんとに情け無いな。
しかし、その御蔭で失いそうだった意識をギリギリのところで繋ぎとめることが出来た。
尤も、がるるる………と威嚇するように此方を見てくる二人を見ると、意識を手放したくなるのだが……。
って、あれ? まだ何か忘れているような気がするんだけど…………。
「あー、立て込んでいるところ悪いんだが…………」
突如聞えた声の先には、実にばつが悪そうに立っている男。
そうだった。ついさっきまで、コイツに殺されかけてたんだった。
二人のインパクトが強すぎて、本気で忘れてたな。
「念の為に訊いておくが………………二人ともセイバーか?」
「彼女は知りませんが、我が身はセイバーとして召喚されました」
「ふん、それは此方の台詞だ。
我 は間違いなくセイバーとして召喚されたのだからな」
再び睨み合う二人の少女。
凄い美人で、更に両手が
触れ合 っているにも関わらず、ドキドキしない。いや、違う意味でドキドキしてるんだけどね。…………猛獣の檻の中に放り込まれた時のような感じで。
「やはり何方が真のセイバーか、決着を付けねばならないようですね」
「ククク。気が合うな、
我 もそう思っていたところだ」
そういって双方が剣を構える。といっても、構えたのは金の鎧を纏った少女のみ。
何故か銀の鎧の少女は、無手のまま剣を構えように対峙した。
……………一つだけ言わせて貰えば、オイ、青い男よ。頼むからそんなに憐れんだ目で見ないでくれ。
「何方が先に、このランサーを倒すか。異論はありませんね?」
「は?」
「無論だ。さぁ、始めるが良い」
「ちょ、ちょっと待て!」
慌てふためく青い男を無視して、やはり会話は二人の間でのみ行なわれた。
ただ先程と違うのは、被害者が俺ではなく、あの青い男に変わり。傍観者が青い男から、俺に変わったということ。
頑張れ、青い男。今はお前の味方だぞ………………応援ぐらいしか出来ないが。
「ザ………セイッ!!」
「!? チィ!!」
ガギィィィィン!!
神速の踏み込みと共に、銀の鎧の少女が何かを振るう。
何も持っていないと思っていた手には、恐らく不可視の剣が握られており、それで青い男を切り払ったのだ。
余程、力が強かったのか、真紅の槍を盾にしても堪えることが出来ず、外へと吹き飛ばされていく。
それを追って飛び出していく銀の鎧の少女。
そして一連の動きを悠然と眺めながら、二人を追う金の鎧の少女。
「って、観戦してる場合じゃない!!」
自分の余りに間抜けな状態に、ツッコミを入れつつ、土蔵から慌てて飛び出す。
不思議と、全身から訴えられていた痛みを感じることは無かった。
ギィン! ガァン!!
シュィィィン! ドンッ!!
キキキン!! パキィンッ!
土蔵から出て見たのは、校庭で行なわれていた死の舞踏の再現だった。
少女が攻めて、男が防ぐ。
真紅の槍を己が手足のように扱い、そして少女は不可視の剣を風のように叩きつける。
戦況という名の天秤は、明らかに少女へと傾いていた。
「クッ! 卑怯者め、己が武器を隠すとは!!」
「ふっ。そういう貴方は分かりやすいな、ランサー」
男が大きく槍を振るい、間合いを開けると共に毒づいた。
随分奇妙な名前だが、あの青い男はランサーというらしい。
「悪いですが、私にも事情がある。ここで決着をつけます」
「ハッ、舐めるなよ。オメェみたいなふざけた奴に、殺られるか」
そういうとランサーと呼ばれた男は、真紅の魔槍を下段に構える。
――――――ドクン
特殊な構えに、少女は警戒し構え方を防御と回避に適したモノへと変える。
――――――ドクン
いや、駄目だ。
アレが俺の考えているとおりのものなら、防ぐことも躱すことも出来ない。
「だ「隙だらけだな、ランサー!!」
「ヒブッ!」 「なにぃ!?」
ゾプッ
驚愕の叫びを上げるランサーに、飛び上がった金の鎧の少女が眩い閃光のような槍を放った。
閃光のように光り輝く槍は、文字通り閃光のようにランサーの脇腹を抉る。
ちなみに、言葉は順に俺、金の鎧の少女、銀の鎧の少女、ランサーの順だ。
「グハッ!! ば、かな………ブリューナクだと!?」
ブリューナク。ケルト神話に謳われる太陽神ルーの持っている魔法の槍。
太陽神ルーが愛用し、これをもって邪眼の魔王バロールの目を射殺したとされる。
あれを持っているということは、彼女は太陽神ルーなのか?
「何でテメェがそれを持ってる!? それは、それは………!!」
「ふっ、はっきり言ったらどうだ? この槍は、父の槍だと」
「「!?」」
驚愕は二つ。一つはランサー。一つは地に伏した少女から。
ん? 地に伏した?
「アーチャー!! 騎士の頭を足蹴にするとは何事ですか!!」
「ふん、丁度良い踏み台があったから踏んだだけだ。それの何処が悪い」
うわ、少しも悪びれた様子が無い。然も当然だ、とばかりに言ってるな。
銀の鎧の少女は………………怖っ!! 視線で人が殺せたら、あの子は大量殺戮者になってたな…………。
「くそっ! 一体、どうなってやがる!!」
吐き棄てるように毒づくと、ランサーはこの場から逃げ出そうとする。
当然か、あの傷は相当深いからな。ハァ……………何とかこれで終わっ……………。
「ふっ、逃げられると思っているのか?」
「クソッ! やっぱ、逃がしちゃくれねぇか!!」
え? まさか本気で殺すつもりなのか!?
「ばっ……やめろぉ!!」
「なっ!?」
後ろから金の鎧の少女を抱きしめ、無理矢理取り押さえる。
俺のこの行為に、全員が目を白黒して動きを止めてしまう。
「馬鹿野朗!! さっさと逃げろ!! 死にたいのか!?」
「…………意味が分からねぇが。取り敢えず、感謝するぞシロウ」
俺のことを初めて名で呼んだ男は、怪我をしているとは思えない速さで逃走していった。
「放せ! 雑種!!」
僅かな安堵も束の間。
小柄な少女からは想像もつかない力で、無理矢理引き剥がし、投げ捨てる。
不様に地面を転がり、土塗れになりながら漸く止まる。
「ぶ、無礼者っ!! 王たる我が身に気安く、だ、抱きつくなど極刑ものだぞ!!」
あぁ…………今の一言で痛みとか、彼女に対する反感とか全部吹っ飛んだ。
寧ろ、女の子らしい恥じらいに、そういう趣味は無くても頬が緩んでしまう。
「な、何を笑っている!! わ、
我 を侮っておるのか!!」
光の塊のような槍、光槍「ブリューナク」を構える…………って、振り被った振り被った!!
「うわぁ!! 危ない! 危ないって!!」
「えぇい、避けるな、逃げるな、そこに直れ!! 貴様のような輩は此処で息の根を止めてくれる!!」
ひぃぃぃぃ!!? 掠った!? 掠ったよ、今!!
キィン!
「そこまでです、アーチャー! 私のマスターに手を出さないで貰いましょう」
颯爽と躍り出る少女。一瞬にして視界が銀の鎧で埋まり、金の鎧が見えなくなった。
うぅ、イザという時は助けてくれると信じ…………。
「これで貴女を斬るのに正当な理由が…………いえいえ、そんな先程のことを根に持っている訳では」
土で煤けた顔を、なにやら怪しく歪める少女を見て………俺は涙を零していた。
はは………こんなこったろうと思ったよ、コンチクショー!
「ねぇ、アーチャー。あいつ等に私たちを気付かせるにはどうしたら良いと思う?」
「そうだな、偽・螺旋剣でも射ち込んでみるか?」
そんな物騒な会話が、何故か聞えたような気がする……………。
後書き
ふはははははは……王様マンセー!! などと言ってみる放たれし獣です。
時代の波に乗り「Fate」です。そして女性化です。(ぉ
シリアスばかりを書いている私が、ギャグの多い話を…………でも、これは「ほのぼの」だと主張します。(爆
さて、ここで話せば長くなりますが、誕生秘話などを。
え〜っとですね。士郎の性格を変えた再構成を書いてたら、電波を受信して誕生したのがコレです。
………………あれ? 思ったよりも短い。(核爆
まぁ、この電波の方が面白そうだなぁと思いまして、せっせと書いてみたりなんかして。
以上、誕生秘話でした。では、今回はこの辺で。では、で〜は〜。
管理人の感想
新作です。
しかもFateですねぇ。
私も途中までやりましたが、チキンなのでラストのシナリオだけダメでした。(苦笑
士郎が同時に「セイバー」を『2人』召喚。
彼も主人公の必須スキル『女難』を得ているようですね。
銀色の彼女は大丈夫かもしれませんが、金色の彼女は色々とやばそうです。
果たして彼は生き残れるか。
そして彼のための『剣』を御しきれるだろうか、それは放たれし獣さんのみが知っている……かも。
感想は次の作品への原動力なので、送っていただけると作者の方も喜ばれると思います。
感想はBBSかメール(isi-131620@blue.ocn.ne.jp)で。(ウイルス対策につき、@全角)