(………退屈………)
壁に背を預けながら、彼女がそう胸中で呟いた。
前を通る大人二人に会釈し、二、三言、言葉を交わし、会釈して別れる。
そしてまた壁に背を預け、冷めた目で会場を見渡していた。
親戚一同が集まる親睦会。
彼女は、やむをえない事情によって欠席した両親の名代として出席していた。
(………まだ、戻れないよね)
会が始まって一時間ほど、今はまさに宴たけなわと言った時間である。
さすがにそんな時間に、退屈だからと言って退出するわけにはいかない。
だが会場に話し相手もいなかったため、彼女は退屈を欠伸と一緒に噛み殺しながら壁の花になっていた。
「………あっ」
無表情に会場を眺めていた彼女の表情が動いた。
視線の先には会場では珍しい箸と、それを持った少年の姿がある。
その顔には見覚えがあった。
「………あの人」
三日前、メイドに案内されて屋敷を歩いていた、父子の片割れ。
会ったのではなく、軽く会釈してすれ違っただけなので、挨拶もしていないが、顔は覚えていた。
皿一杯に食べ物を乗せた少年は――形式が立食パーティだった――さくらと同じように壁に背を預け、何故か金属音のする箸を付け始めた。
テンポ良く、次々と消えていく料理。
それを何気なく見ていた彼女はあることに気づいた。
野菜、肉、パン、魚。
彼や彼女ぐらいの年齢では食べたいものだけを取ってしまうことが普通なのだが、少年の取っている料理は食材のバランスが良いのである。
そして彼は皿一杯の料理を食べ切ると、手近なテーブルに行き、料理を補給、また壁際に戻った。
見事な箸使いでムニエルを取り分け、苦味の強い野菜を顔色一つ変えずに飲み込み、バターの塗られたパンを………
「ごほっ!!」
………喉に詰まらせていた。
実はそのパンは水分含有量の極端に少ないパンだったのだが、少年は知らずに食べてしまったらしい。
渇いた生地に喉の水分を奪われ、気管を塞がれた彼は、苦しそうに咳き込み続けている。
まだ料理が載っている皿を傾けないのは見事だが、それ以上のことは出来ていなかった。
「ぐぅ」
それでもなんとか移動しようと、ゆっくり壁から背を離した彼に
「………どうぞ」
彼女はグラスを差し出した。
一気に空けられるグラス、それを受け取り代わりを差し出す。
それを若干速度を落として、飲み切った彼はようやく顔を上げた。
「………助かった。ありがとうございました」
「どういたしまして」
礼を返し、空いたグラスをもう一個受け取る。
グラスを二個持った彼女と、片手に皿を持った彼は、そこで初めて真正面から向き合った。
「………確か、三日前に」
記憶は同様、三日前にすれ違った二人は、初めて
「不破恭也です」
「綺堂さくらです」
自己紹介を済ませた。
風芽丘異伝 外伝 狼少女と彼の約束 後編
不破恭也と綺堂さくら、この場における完全な異端者である少年と、主流とは言い難い少女は、並んで壁に背を預けていた。
「ドイツには行ったことがないな」
「今の時期は、日本より過ごしやすいですよ。こっちはかなり日差しがきつくて」
どちらかと言えば、寡黙な二人だが、話は意外にも弾んでいた。
「熊と、出会ったんですか」
「山で泊まってた時に。夏だったからそんなに気も荒くなくて助かった」
綺堂さくら、夜の一族、以上。
不破恭也、旅の剣士の子ども、以上。
二人が知っている互いのことは、そんなものである。
そしてさくらは剣について聞かず、恭也は一族について聞かない。
そんな距離感で、二人は話を続けていた。
「他に見たことがあると言えば鹿、狐、狸………でも狼を見たことはないな。ドイツにはいるって読んだことがあるんだが」
「………………はい。いる、みたいです」
「何か?」
「いえ、なんでもないです」
狼と聞いて複雑な表情を浮かべたさくらだったが、すぐに取り繕うことに成功していた。
恭也も追及せずに話を変える。
その距離の取り方に、話しやすい、さくらはそう感じていた。
「じゃあ、休みになると日本中を」
「父さんの知り合いが、散らばってるからな」
それに恭也の話は一般人とは言えないさくらにとっても、非日常だった。
装飾などほとんどされていないその話は、リアリティがあり………
「蛍を集めて、ライト代わりに?」
「手間はかかったが、集めたら結構明るかった」
「………でもさっき三日、迷ってたって………」
「調味料の類と、水はあったから、砂糖水を作ってそれで」
「………でもそれって」
「まあ、何が言いたいのかは分かってるつもりだが、冗談だから安心してくれていい」
「………………………」
真面目な顔をした恭也に騙されたのは、話し始めてから四十分ほど経ってからだった。
珍しくも憮然とした表情になったさくらは、恭也の謝罪にも耳を貸さずに壁から離れる。
と言っても、恭也に背を向けた瞬間、口の端は緩んでいた。
「どうぞ」
そして戻ってきたさくらの両手には、またしても二つのグラスがあった。
一つを恭也に差し出し、一方に自分で口をつける。
グレープ色をした飲み物が、どんどん減っていった。
「飲まないんですか?」
「あ、ああ」
さくらのいきなりの行動に戸惑いを見せていた恭也だったが、礼を言ってグラスを傾け、
「ごほっ!!」
またしても盛大に咽ていた。
「あれ、どうかしたんですか?」
本当に不思議そうに問うさくらの目の前で、恭也が咽ながら、口を手で抑えていた。
そのために少し前のめりになったので、身長差のある恭也と真正面から目と目が合う。
その目に向かって、にっこりと、笑みを浮かべてみせた。
「美味しくありませんでしたか?」
そしてまたグラスに口をつけた。
中身の葡萄製の未成年お断り飲料が易々と飲み干されていく。
ようやくむせ終わった恭也は年相応の驚きの表情を浮かべ、さくらはそれを見て
「美味しかったですよ」
また笑ってみせた。
先ほどとは逆に憮然とした表情を取る恭也に、軽く謝罪するさくら。
それは、子ども同士の無邪気なじゃれ合い。
二人は結局、同時に笑みを見せ――
「こんなところにいたのか」
その声に、さくらの笑みは消え去った。
現れたのは、こちらもさくらの知っている三人だった。
年のころはさくらや恭也と同年代、さくらの父方の親戚である。
「こんなところにいたのか、さくら」
その声には、明らかに嘲りが込められていた。
夜崎貴士、夜の字を持つ、名門の一つである夜崎家の嫡男である。
「挨拶にも来ないなんて、失礼じゃないか」
背後で取り巻き二人が、相槌を打つ。
もう何度も見たやり取りである。
「夜崎家のご当主には挨拶を終えましたが」
「そういうことじゃないのは、分かってるだろ」
綺堂というよりも綺堂さくらと夜崎家は、血縁的にかなり近しいが、関係はというと悪いの一言だった。
より正確に言うと、夜崎貴士が綺堂さくらを嫌っている、否、見下している、そんな関係である。
「まあいいか。それでそっちは誰なんだい。見たことのない顔だけど」
「………………」
夜崎の身長は、その年代のものとしてはかなり高い。
自然と見下ろされる形になっている恭也は無言だった。
口を開くことなく、無表情で三人を眺めている。
その態度に不快気に眉を顰めた夜崎に、取り巻きが耳打ちした。
「ほう、あっちの人間の子どもか。ふん、親子揃って不遜だな」
子どもがするには不相応の物言い。
だが慣れているのだろう、その物言いはかなり似合っていた。
それがいいことか、どうかはともかくとして。
「まあ、牧羊犬と家畜、良いコンビじゃないか」
その言葉に取り巻きが更に追従する。
一方、明らかな侮辱を受けたさくらは、隣の恭也の顔を不安気に覗き込んだ。
しかし、その顔は予想に反して表情がほとんどない。
その中に僅かに見えたのは、不審に思う、そんな感情だった。
「なあ、さくら。一族の集まりにいるのに、偽っているのは大変失礼なことだと思わないか」
反応がないのが、面白くなかったのだろう。
夜崎は一歩、さくらに向かって踏み出した。
しかし当然開けられているべきその道は、
「何が言いたいのか、分からないが」
逆に閉ざされた。
「まともな用がないなら、ここにいる意味もないと思うが」
表情と同じくその声に怒りの色はなかった。
ただし敬意も怯えも、同様にない。
それは夜崎にとって、許されないことだった。
「人間ごときが!」
「それとも場所に用があるのか。だったら俺たちが動こう」
怒りの言葉も気にせず、恭也は淡々と言葉を続ける。
その態度が、更に火に油を供していく。
そのことが分からない恭也でもないだろうが………
「お前っ!!」
普段なら手を出すことを、下賎などと言って嫌っている夜崎だったが、今晩は飲んでいたアルコールの効果もあり、あっさり行動に移った。
――手を伸ばし、この無礼者を!!
一方の恭也は落ち着き払っていた。
――種割れした手品、子どもが持った危ない玩具、恐るるには――
「やめっ!!」
しかし夜崎の手は恭也の体に叩き込まれることもなく、宙を切ることもなく、綺堂さくらの手によって止められていた。
「ははっ!」
「………………」
腕を握られた夜崎は、しかし笑みを浮かべた。
その目の前では、不遜な人間が戸惑いの顔を見せており、さくらは――
「なかなか良い格好だな」
その爪は肉食動物のように鋭く尖り、頭頂部の脇からは、明らかに人間のものとは形状の違う耳が生えていた。
純血を尊ぶ夜崎が、さくらを見下す理由がこれである。
同じ夜の住人である人狼とのクォーター、それが綺堂さくらだった。
「どうした、人間。ずいぶん驚いているようだが」
その言葉にさくらが怯えを見せる。
その姿に夜崎は笑みを浮かべようとするが、その動きが止まった。
気付いたのは、さくらの後ろで予想通りの驚きを見せ、しかし驚いてしかいない人間の姿である。
「確かに驚いた。それでいいか」
「………えっ………」
「とりあえず下がってくれ」
肩を引かれるままに、さくらは恭也の後ろへと下がる。
前を見ると、恭也の肩の向こう側で、夜崎が激昂していた。
「お前、人間があのようなものを見て………」
しかし言葉はそれ以上続かない。
そんな彼に、恭也はむしろ不思議そうに問いかけた。
「だから驚いた。それ以上、何かあるのか」
ありえない。
無知な人は間違いなく驚愕や怯え、嫌悪を………
「それで用が終わりなら、俺たちは場所を変えるが」
そう言って恭也は、夜崎たちに半ば背を向けた。
取り合おうともしないその不遜な態度に、三人の頭に血が上る。
「人間如きが!!」
顔まで真っ赤にした夜崎は気付かなかった。
恭也が口の端に笑みを浮かべたことに。
「良い酒、揃ってるな」
片手に白ワイン、片手に赤ワイン、不破士郎は両手にグラスを持ってご満悦だった。
交互に杯を重ね、料理を摘み、また杯を重ねていく
「不破さん、まだありますから、そんなに焦らなくても」
「いいんだよ、食える時に食っとくのが主義だからな」
「………………」
マイペースに楽しんでいる士郎には、樋影と筑岡が付いていた。
立場上は賓客として招かれた士郎の護衛だが、会場で問題があった時のための処置でもある。
その一人が筑岡というのは問題がありそうだが、他に知っている者もいない上に
「おい、筑やん。そんな仏頂面してないで、飲め飲め」
「誰が筑やんだ! ふん、言われんでも飲む。お前に構って時間を潰すなど真っ平だからな」
関係はそれなりに改善していた。
「おっと、結構いけるクチだね。じゃあ、俺も。っとっとっと」
「ずいぶん軽い酒ばかりだな。まあ人間にはその程度のジュースがちょうどいいか」
「………言ってくれるじゃないか。注げ」
「………ええと、あまり飲み過ぎないようにしてくださいね」
彼らなりのあり方ではあるが。
イレイン・オプションを盗み出された例の一件。
あの自動人形はこの屋敷に置かれていたのだが、その日の警備責任者は、筑岡だったのである。
この会の開催のために人員を避けないという悪条件もあったのだが、失態は失態。
だからこそ己の手で取り戻そうと躍起になっていたところ、士郎に横取りされた形になったのである。
元々、戦闘畑の人間である筑岡に人間に対する蔑みは強くない。
日が経ち、冷静さを取り戻せした今、口は良くないが、不破士郎という強者を認めていた。
「………樋影さん」
飲み比べなどを始めた二人を見ていた樋影に、会場警備の一人が声をかけてきた。
何事かを耳元で報告し、そして樋影が顔色を変えた。
「不破さん」
「なんだ、飲むか」
「………恭也君が、夜崎家の子どもと悶着を起こしてしまっているようです」
始めは三人と一緒にいた恭也だったが、士郎に飲み過ぎないように釘を刺すと離れていた。
士郎曰く、飲まされるだろう酒から逃げるついでに、好奇心を満足させたいと思っていたらしい。
とりあえず会場の至るところに、樋影や筑岡の部下が張っているので、心配ないとの判断があったのだが………
一族の力そのものは、年齢とほとんど関係がない。
年齢を重ねるに連れて制御は上達するが、力そのものは純粋に生まれつきのものである。
そしてその力は、子どもの喧嘩には、過ぎたものだった。
「止めに入るのは、無理か」
名門、夜崎家、そこの嫡男相手に、樋影たちの部下となっている者たちが止めに入るのは厳しい。
それこそ、影の字を名字に持つ樋影ぐらいだろう、止められるのは。
樋影にしても、子どもの喧嘩に口を出すのかと言われれば、止めるのは難しいかもしれない。
「急いだほうがいいな。あそこのガキは加減を知らないからな」
まだ半分以上残っているグラスを置き、筑岡は動こうとする。
彼にとっては士郎と恭也の安全の確保が任務、立て続けに失態を犯すわけにはいかない。
そして三人目は
「ん、喧嘩か」
焦る二人とは対照的にやたらと楽しそうだった。
一気に杯を煽り、あっちかと問うてくる。
その方向は確かに聞いた通りの方向だった。
「じゃあ、行くか」
あくまで気楽な様子で歩き始める士郎。
その隣に早足で並んだ筑岡が叱責するように声を荒げる。
「お前、人の話を聞いてないのか。本当にあのガキは手加減を知らないぞ」
「安心しろ。うちの息子はちゃんと手加減を知ってるから」
そういう問題ではない。
問題は恭也ではなく、相手の見境のなさなのだが………
「夜崎の血はかなり濃いです。その血の力は舐めてかかれるものじゃ………」
「ああ、そういや言ってなかったか」
士郎の声はあくまで余裕だった。
二人が知るのは、一族についてと不破士郎の実力の一端。
後者の知識が、耳を傾けさせ、そしてすぐに耳を疑った。
「あの自動人形を斬ったのは俺だけど、連れてた男のほうを捕らえたのは、恭也だぞ」
確かに構えは堂に入っていた。
あの男の血はかなり薄く、生業は戦闘ではなく研究だった。
それでも………それでも彼ら、夜の一族の成人男性が、人間の子どもに負けたなどということは………
「さてさて、恭也の奴、どのくらい怒ってるかな」
周りの戸惑いを無視して、士郎は期待に胸を膨らませていた。
彼の息子は、自分に対する侮辱だけで目立つような真似は決してしない。
だとしたら、何か、自分以外のことがあったのだろう。
彼らが剣を振るうのは護るために、道を遮る邪魔モノを退かすために、そして自分で自分を認めるために。
「おっと、あそこか」
士郎が指差した先では、壁際にアーチが出来ている。
とある地点から一定距離を置いて群がっている集団をあっさり抜けていくと、かなり広めの空間があった。
「おお、やってるやってる」
「「なっ!?」」
士郎の楽しそうな声や、樋影と筑岡の驚愕の声が、空間の中心に向かう。
そこには、悠然と立っている恭也の姿がある。
その周りでは、一族の子どもがじゃれ付いていた。
「このぉ!!」
甲高い子どもの声が響く。
怒気は十分、しかしその技術はあまりにも稚拙だった。
大仰な動きで振りかぶった拳を叩きつけようとし、一歩動いただけの恭也にかわされる。
蹈鞴を踏んだ子どもは、息を切らして、包囲網に戻った。
「ほら、あの通りだろ」
言われた樋影と筑岡は返事を返すことなく、唖然としていた。
一方、笑みを浮かべながら見ている士郎は、恭也の周りに視線を戻す。
手も出さずに、ただざわついている連中によって描かれた半円の中にいるのは、五人。
恭也、じゃれ付く三人、そして少女が一人、そこにいた。
「………あの子か」
その少女は注目の中にいながら、その視線には全く気を払わずに、ただ恭也を見つめている。
その少女になんとなく覚えがあると思ったら、三日前にすれ違った少女だった。
ただし、その時には、頭に耳など付いていなかったが。
「あの子は?」
「綺堂さくら、ですね」
唖然としっぱなしの樋影の脇腹を突いて、少女について訊くと、答えは手短に返ってきた。
名前の後に、簡単なプロフィールと恭也に群がる連中との関係も付け加えて。
「………なるほどな」
細かい事情は分からないが、大まかな流れは予想が出来た。
連中が少女に絡み、そこに恭也が割り込んだのだろう。
そして戦闘が始まったものの、周りが予想以上の集まりを見せ、相手があまりにも稚拙だった故に、自分から手を出すのを躊躇っている。
そんなところで間違いはないだろう。
(………ったく)
まだまだ甘い息子に苦笑しながらも、士郎は別の意味で満足感を覚えていた。
(やるじゃないか、恭也。ずいぶん可愛くなってるぞ)
この場でそんな感心をしているのは、間違いなく士郎一人だろう。
そして、成長を見せた息子を解き放つべく、士郎は声を上げた。
「恭也!」
視線が士郎に集中する中、こちらを見ない数少ない顔に声を続ける。
「怒ってるか?」
返答は首肯、視線はほとんど動かさないまま、恭也の首は縦に振られた。
「だったら、好きにやれ」
筑岡に告げたように、彼の息子は手加減と言うものを知っている。
だからこそ、好きにやって構わない。
「………了解」
そして、恭也が動き始めた。
柔らかな絨毯に足を沈め、加速。
一瞬で正面に現れた恭也に驚き反射的に繰り出された拳に対し
「せっ!!」
手よりも確実に長い足を突き出す。
堅い爪先が、捻りを加えられながら、鳩尾へと突き刺さった。
火の神の名を持つ足技、本物の使い手が全力で放てば内臓、背骨まで文字通り貫き通すが、恭也では数センチほど減り込ませるぐらいが限界である。
まあ、その程度でもかなりの威力を持つことは、悶絶して絨毯を転がりまわっている彼が身を以って証明してくれていた。
一つ、撃破!
取り巻きは、相棒の悶絶するさまに足を止め、呆然としていた。
そのような隙を逃す筈もなく、彼が我に返った時には、恭也は既に零距離を取っている。
「ふぅぅ」
一撃目は掌、腹部に押し当てるように衝撃を送り込み、
「はっ!!」
二撃目も掌、猫のように指を折りたたみ、肩から一直線に突き出す。
先ほどの足技と同じく、士郎の知り合いから授けられた技。
彼らの流派で言う【徹】が最も打ち易いように型として確立されている技である。
まだ自在に徹すことが出来ない恭也でも、型はしっかりと叩き込んでいた。
そして型としか身に付けていない恭也が打っても、その威力は相当のものである。
証明は先ほどと同じように悶絶し、転がっている二人目で十分だろう。
二つ、撃破!
そして恭也は三人目に移った。
周囲に最早ざわめきはなく、響くのは先の二人の呻き声のみ。
静寂と言うには聞き苦しい音がする中、恭也と夜崎は向かい合った。
「………お前!」
夜崎は怒りと、そして怯えの目で恭也を睨みつける。
一方の恭也は、静かな目で夜崎を眺めていた。
その涼しげな態度に更に湧き上がった怒りを視線に込めるが、しかし睨み合いにはならない。
顔を見ようとしない恭也と睨みあう事は出来ない。
己を見ようとしない態度に怒りは最高点に達するが、その怒りが一つの思い付きを導き出した。
あの人間は魔眼を恐れている。
その思い付きは自尊心を補完しながら、絶対の真理となった。
「そうか。恐いのか」
目が赤に染まり、恭也を見詰める。
見られただけで人は操られ、顔を上げ――しかし、恭也は逆に顔を伏せた。
期待とは違う反応、だが自尊心を補完した夜崎の次の結論は早かった。
魔眼に怯えるあまり、下しか見ていない人間は先ほどのような動きなど出来るはずがない。
だから安心して、拳を振り上げ、殴りかかり――
「ぐはっ!」
カウンターが鼻面へ、ただし少々浅かったために鼻血程度で終わっていた。
恭也の鍛錬の中には、限定された視界で行うものもある。
そんな恭也にとって、素人相手ならば、足だけで見切ることは困難ではない。
ましてや先ほどまで散々動きを見た相手ならば、それはむしろ容易だった。
「終わりだな」
士郎の呟く先で、恭也が拳を握っている。
その拳の行く先と、結果をその場にいる誰もが脳裏に浮かべた。
「や、やめっ!!」
「いけ!!」
おそらく夜崎家、もしくはその関係者が静止の声を上げ、一方で士郎も声を上げる。
どちらに従うなど考えるまでもない。
拳は再び、夜崎の鼻面に打ち込まれた。
「げはっ!!」
大の字で倒れこみ、顔の脇の絨毯が赤く染まる。
ラスト、撃破!
そして三人をあっさり沈めた恭也は、率直な感想を漏らした。
「………この程度か」
完勝の感想としては、相応しいものだろう。
しかしその言葉を切欠に、静まり返っていた会場に喧騒が戻り始める。
そしてその一部は、怒気として恭也に向かった。
動きを見せるものはまだいないが、明らかに恭也に注がれる視線が鋭くなっていた。
それを一身に受けている恭也だったが、手振りで壁際にいるさくらに輪の外に出るように促した以外、動いてはいない。
下手な切欠は作らないためという理由があるにしろ、その年不相応の度胸は賞賛に値するものである。
そしてさくらもその申し出を拒絶して、中にい続けた。
「………私が間に入る。筑岡は士郎さんと恭也君と、あと綺堂さくらを会場から連れ出してくれ」
「分かった」
「ま、そのほうがいいか」
さすがに刀を持っていない今、道を切り開くのは士郎にも少々きつかった。
いざとなれば、恭也とあの少女を連れて脱出できないこともないが、折角やってくれるというのだから、その申し出を無碍にするのは勿体無い。
「………行くぞ」
状況が変わらないまま、緊張感だけが高まっていく。
それが弾ける予兆を感じ取った樋影が、動くべく二人に声をかけたところで、喧騒が方向を変えた。
中心に向かっていた喧騒が、外へと移り始める。
そして恭也の正面に自然を道が出来ていく。
その道を初老の男性が悠然と歩いてきた。
「………長」
日本に根を下ろした夜の一族たちの長、樋影たちの上司、士郎と恭也が三日前に会った老人。
その長は、ゆっくりと中心にいる恭也に歩み寄った。
寄られた恭也は僅かに身構える。
見た目は初老の男性だが、長が身にまとう雰囲気は独特のものだった。
攻撃的ではないのだが、束ねるものの大きさと積み重ねられた重さを、否応なしに感じさせる、そんな雰囲気である。
それは生半可な怒気よりも、遥かに圧倒されるものだった。
(マズイな)
咎めるつもりは全くないが、恭也が三人を叩きのめしたことは事実。
長である彼が一声かければ、会場中が敵に周るだろう。
いざとなったら、その長を人質にすることも考えなくてはいけないかもしれない。
剣呑な思考を巡らせながら、袖の鋼糸に確認し、士郎は飛び出す準備を整えた。
そして長が口を開く。
「見事だったね」
「………………」
一瞬、恭也はその言葉を理解できなかった。
頭を回して、巻き戻し、再生。
内容は………称賛だった。
「………………はぁ」
戸惑いの声を上げる恭也に微笑みかけると、長は視線を士郎のほうに向けた。
「不破士郎さん。少しお話があるのですが、よろしいですか」
丁寧な口調の誘いに、場が僅かにざわめく。
だが、渦中の士郎は至って落ち着きながら
「たっぷり飲み食いはさせてもらったし、構わない。っと恭也はどうだ?」
わざわざ不遜な物言いで答えてみせた。
これで怒りを少しでも見せるなら、恭也を連れて離脱する。
しかし長は怒りの欠片も見せず、恭也にどうですか、と問うていた。
それに対して恭也の返事も肯定、それに頷いた長は、また視線を動かす。
「さくら、貴女もついて来なさい」
「………は、はい」
騒動の主要人物――他は悶絶、気絶中――を呼び集めた長は、最後に樋影と目を合わせた。
「樋影」
「分かっております」
それだけのやり取りを済ませると、未だ開けられたままの道を戻り始める。
それに付いていく三人、彼らの姿は会場から消えた。
そして彼らのいなくなった会場では、樋影が声を上げていた。
「長の御意思、皆様、お分かりですよね」
その言葉に苦い顔をしたのは、ようやく医務室に運ばれた三人と――正確にはその家と――近しい者たちだった。
彼らは原因、状況、一切無視で報復を考えていたのだが………
長は恭也を称賛した。
つまりそれは、恭也の行動を認めたと言うことである。
長の承認がある以上、少なくともこの場における報復は、叛意でしかない。
樋影はそのことをはっきりさせたのである。
「………だが、奴らには執念深い暇人がいるぞ」
樋影の言葉による動揺が収まる頃、筑岡は樋影にこう進言した。
確かにこの場でなければ、何をしようが長が知ることもないだろう。
だが
「それも心配はいらない。なにせ長は――」
耳打ちされた内容に、筑岡は驚き、のち、苦笑となった。
なるほど、確かにそうなれば、以降の心配もいらなくなる。
「親子共々、飛び抜けていたからな。相応しいと思わないか」
「いや、奴には過分すぎるな。どうせ、自覚はないんだろうがな」
そして二人は別れて、後片付けに散っていった。
長さとしては間違いなく過去最短。
しかし、過去最大の衝撃を残した会は、自然と終了へと向かっていった。
面白い。
目の前に座る二人を見ながら、長はその思いを反芻していた。
三日前、自動人形イレイン・オプションを追跡していた樋影より受けた報告は、無傷で撃破した剣士と遭遇した、というものだった。
その報告に久方ぶりに好奇心を刺激された長は、その剣士を呼び、そして面白いと思った。
不破士郎
飛び抜けながらも地に足が付いている人間。
人と同じ姿をしながら、人よりも遥かに長い時を過ごしてきた長でも、滅多に会うことの出来ない人物だった。
そしてその面白い不破士郎を、長は一族が集まる会に招いた。
停滞してきた一族に、少しでも刺激を与えられれば、と言う意図で。
刺激を与えると言う長の目論見は、予想以上に成功したと言って良い。
ただしその刺激を発したのは、不破士郎ではなく彼の息子だった。
不破恭也
この少年は招かれた身に関わらず、一族の子ども三人相手に立ち回り、完膚なきまでに叩きのめした。
初対面の時は物静かな印象だったのだが、その破天荒な行動は、確かに不破士郎との血の繋がりを感じさせる。
そしてその実力も。
不破士郎という希代の剣士によって磨がれている刃。
長からするとあまりにも幼く、まだまだ未熟だが、そうであるが故にその可能性は眩いものだった。
「さてと、一つ、聞きたいことがあるのだが、構わないか」
長の問いに、恭也が頷く。
まだ僅かに気圧されているようだったが、悟るのは難しいぐらいに持ち直している。
一族の者でも長の前に出ると、自然と気圧されると言うのに。
面白い。
そう思いながら、隣にいるさくらの頭に手を載せる。
その頭はまだ耳が出されたままだった。
「さくらを庇ってくれていたが、あれはどうしてだい?」
不破恭也は初対面のさくらのために、会場中を敵に回す危険性を冒した。
その行動は感情のままに行ったのか、何か考えがあって行ったのか、長はそれを問うている。
少し考え込んだ恭也は
「話の邪魔をされたので」
士郎と二人で放浪中だった恭也は、しばらく同年代と話をしていなかった。
寂しかった、などと言うつもりはないが、楽しくなかったか、と問われれば間違いなくさくらと話すのは楽しかったと答える。
その時間を邪魔した連中への怒りがあった。
「それに………」
「父の教えをしっかり守った、だろ」
「ほう、それは?」
「女の子を苛めるような輩に容赦はするな」
「それはとても、貴方らしいですね」
正直、それは言わないつもりだったのだが、士郎は実に楽しそうに代弁してくれた。
それは士郎が恭也に教えた、力の使いどころの一つ。
そして何よりも
「見過ごすのは、認められなかったので」
例え会場中を敵に回すとしても、あのまま言わせておく自分を、恭也は認められなかった。
だから止めさせた、それだけである。
「………なるほど」
答えを聞いた長は、実に楽しそうに手を叩いた。
(………嬉しそう)
隣に座る祖父は、珍しいぐらいに、上機嫌だった。
満足げに息子の頭をかき回す不破士郎と、士郎の手を退かそうとしている恭也を見ながら、はっきりとした笑みを浮かべている。
(………不破、恭也)
その名を持つ少年が浮かべているのは迷惑そうな表情、しかしその中に若干、別の色が見える。
それは、おそらく照れているのだろう。
(………でも)
さくらは思い出す。
どこまでも冷たく、静かに夜崎たち三人を見据えた恭也を。
そして打ち倒した三人を、愉悦もなく、同情もなく見下ろした恭也を。
(………でも)
さくらは思い浮かべる。
喉にパンを詰まらせて、四苦八苦していた恭也を。
そして真顔で嘘をつき、仕返しに飲ませたワインで咽ていた恭也を。
(………それに)
さくらは胸に蘇らせる。
自分を庇って前に出た恭也を。
そして敵意の渦中から抜けるよう、手を振った恭也を。
「不破士郎さん」
その声に、さくらは我に返った。
隣で祖父が不破士郎に、話を切り出している。
それは間違いなく、盟友の話だろう。
盟友、それは夜の一族の一員となる誓約を立てた者と違い、一族の者と個人的に友誼を結んだ“人間”のことである。
だが、長の盟友という立場はこの国において絶大な効力を持つ。
それは名門である夜崎であっても、手が出せないほどに。
そして、いくばくかの話の後に、不破士郎は盟約を受け入れた。
と言っても、盟友の効力を知らない不破士郎が、庇護を求めて受け入れたのではないことは、さくらにも明確だったが。
「さてと。不破恭也くん」
「…はい」
新たな盟友と杯を酌み交わした祖父が、彼の息子に突然、声をかけた。
父に向かって、まだ飲むのか、と言いたげな顔をしていた恭也は驚いているが、祖父は気にせずに話を進めていく。
「私は君にも盟約を結んでもらいたいと思っているのだが」
そこで一度、言葉を切った祖父は、さくらの方を向いた。
合わせるように、士郎の視線もこちらに向く。
恭也は一人、別のところを見ていたのだが、士郎に首を捻られて、こちらを向かされていた。
首を強引に捻られて痛そうな恭也と、楽しそうな士郎に祖父。
前者二人ついては詳しいとはいえないが、祖父の性格についてはある程度、さくらは知っている。
命令ではなく、絶妙なバランスの取り方と威厳によって一族を統率する長。
そして、何よりその血による力は、一族屈指のものである。
故に、人に対して好意的な態度を示しても、純血主義の夜崎家なども長には逆らわない。
それが公としての祖父である。
ただし、さくらは知っていた。
その性格には破天荒とでも呼ぶべき部分があることを。
でなければ、個人的な面会の機会を設ければいい不破士郎を、パーティーに招いたりはしないだろう。
「さくら」
故にこう切り出されるのも予想できた。
要するに、恭也と盟友としての盟約を結ばないか、そういう提案である。
「………………………」
恭也と誼を結ぶのに否はない。
全くないのだが
『男と女の間には友情はあり得ない。情熱、敵意、崇拝、恋愛はある。しかし友情はない ――O・ワイルド』
昔目にした言葉が胸のうちで躍る。
心中、それなりに複雑だった。
綺堂さくらは、自分がかなり早熟なほうだと自覚している。
環境、生来の気性など、数多の原因が考えられるのだが………それはともかく、心中、複雑だった。
「こちらとしては、盟約じゃなくて婚約でも構わないけどな。お義父様………んん〜、良い響きだ」
「えっ!?」
一瞬にして、頬が過熱する。
手で抑えても収まるはずもなく、それどころか過去、現在、未来が頭を駆け巡っていく。
と言っても、過去と現在はほとんどないので、主に駆け巡ったのは未来である。
何故か詳細なヴィジョンが頭に浮かび、思わず己を疑ってしまうさくらだったが、しかしその間にも赤みは収まるどころか、強くなっていった。
そこに楽しそうに眺めている士郎から第二撃が――
「………父さん」
そこで恭也が口を挟んだ。
溜息を付きながら、父親を嗜める。
その仕草には既に熟練が感じられるのは、とても面白いのだが………
「うぅ、折角、恭也のために言ってるのに、分かってくれないなんて………父さん、悲しいなぁ」
「…父さん」
「将来が心配な恭ちゃんのために、必死に婚約交渉してるのになぁ」
「父さん」
「というわけで、お義父様、もしくはお義父さん。どっちでもいいから、さあどうぞ!」
「えっと、お――」
「と・う・さ・ん」
「甘い」
言葉と共に息子が放った裏拳は、あっさりと父に止められていた。
息子の手を握ったまま、高らかに士郎は声を上げる。
「甘いぞ、恭也」
「それは分かってるから。それよりも、いきなり何を言い出すかと思えば………さすが失礼だと思うぞ」
そこで顔を伏せたさくらを気遣うように見た恭也は、当事者でありながら、一人、現状把握ができていなかった。
あまりに懸念どおりの反応を見せた恭也に、士郎は深く溜息を付く。
「はぁ、これだからな。どこで育て方を間違ったんだか。この前も三村のところの小都ちゃんといい感じだったのに」
「だから何の話だ」
そうやって親子が言い争っているうちに、さくらの頬からは熱が引き始めていた。
しかし、代わりとばかりに心中が熱を帯びていく。
上げられた名前も、そして恭也の態度も、はっきり言ってとても気に食わなかった。
「くっくっく」
怒りに燃えるさくらの隣で、祖父が笑い声を上げる。
そして笑みの含んだ声のまま
「士郎さん、その話はまた今度と言うことで」
「そうするか」
一族の者が聞いたら、目くじらを立てること間違いなしの言葉遣いだったが、祖父は気にする気配は全くなかった。
そのまま笑みを納め、さくらとしっかり向き合う。
祖父のその態度だけで、部屋に厳粛な雰囲気が漂ってくる。
祖父が長として、問いを発した。
「さくら、お前の意思は?」
問われたさくらは、間を置かずに返答した。
もちろん、否はない。
そして不破恭也と綺堂さくらは、盟約を結んだ。
ただ意思と言葉だけで交わされた約束。
これからの友情と、また会おうという他愛もない約束。
それから、さくらは、年に数回訪れる友人を心待ちにするようになった。
土産は、変わった話と各地の名物。
外国のものも含まれたそれらは、さくらを本当に楽しませた。
だが、訪問はあることを境に、途絶えることとなった。
――不破士郎の死――
それ以降、恭也がさくらの元を訪れることはなく、また不破恭也との連絡も取れなくなった。
そして時は流れ――
綺堂さくらは、高校に進学していた。
私立風芽丘、選んだ理由は特にないが、敢えて言うならなんとなく惹かれた、というのが理由かもしれない。
ただ何が起こるでもなく、平穏に新入生としての生活は進んでいき、もうそろそろ一月が終わろうとしている。
そんな五月の足音が間近に迫っていた日に、彼女は図書室にいた。
「さくらちゃん、それでこの本なんだけど」
「あっ、この本だったら、読んだことあります」
同席しているのは、私立風芽丘の一年先輩、野々村小鳥である。
彼女たちが知り合ったのは、一週間ほど前、裏庭で野良猫の世話をしていたことが切欠だった。
裏庭で野良猫に餌をあげていると、鳴き声に引かれて現れた年下に見えた少女、それが小鳥である。
年上だったことには驚いたのだが、話してみると意気投合、すぐに親しくなった。
そして今日はその小鳥に誘われて、図書館に来たというわけである。
「あっ、高町君?」
本についての歓談がひと段落し、互いに文字に目を通していると、小鳥が声を上げた。
呼びかけは、自分の背後へと、どうやら知り合いを見つけたらしい。
自分にはあまり関係ないことと、本に戻ろうとしたその時――
「…野々村さん」
――ページを捲っていた指が凍りつき、本が音を立てて閉じた。
「高町君ってよく来てるの?」
「足を運ばないわけではないが、今日は妹に頼まれての代理だ」
「妹さんって、あの眼鏡をかけた?」
「ああ」
耳に入るのは口調と声だけ、全く内容は理解していない。
しかし、それだけで十分だった。
知っている声、知っている口調、知っている雰囲気。
「どうかしたの、さくらちゃん?」
その問いに答える余裕もなく、綺堂さくらは振り向いた。
そこには――
「……不破さん?」
「綺堂、さくら?」
――約束の相手が、立っていた。
おまけ
後書き
風芽丘異伝 外伝 さくら編 後編です。
予定通り一週間後に投稿することが出来ました。
書いた感想ですが、最後まで不破士郎さんに引っ張られました。
書いている後ろで、修正を加えられ、ついでに出番も増やされた感じです。
一応、恭也とさくらの出番も残しておいてくれましたが………
それと話中で夜の一族について書いていますが、異伝オリジナルが多々ありますので、公式設定と違う点はご容赦ください。
次に本格的に一族が登場するのはしばらく先になりますので、あまり使うものでもありませんし。
異伝外伝、次話は同一位のもう一人になります。
内容は決まっていますが、タイトルの少女の部分はまだ未定です。
何か良いアイディアがあれば、教えていただけると幸いです。
メールやBBSで本編の再開のご要望を頂きましたが、この外伝で本編とは違う立ち位置にいる人たちの立場を、自分が確認したいのでもう少しお付き合いください。
それではまた次話で
では〜
追伸:今回もいくつか技、人名を他作品から持ってきましたが、広い心で読んでいただけると幸いです。
管理人の感想
希翠さんから後編を投稿していただきました。
私の方がごたごたした所為で、アップに10日もかかってしまいすいません。
恭也とさくらのファーストコンタクト。
こうして彼らは婚約者同士になったんですか。(違う
士郎の出番が多かった事に対してはいいと思いました。
故人を偲ぶには過去を語るのが一番ですし、本編に出られない人間は外伝で活躍しておかないと。(笑
長はなかなか良いキャラでしたね。
老人っぽさが足りないおじい様でしたけど。
あるいは本編の恭也の方が老人度は上かな?(爆
同率1位の彼女は、少女ではなく女性のような気が……。
感想は次の作品への原動力なので、送っていただけると作者の方も喜ばれると思いますよー。
感想はBBSかメール(kisui_zauberkunst@yahoo.co.jp)まで。(ウイルス対策につき、@全角)