夢の集まる場所で
外伝之弐 姫湯
最終決戦後の花見から数時間。
ヨシノ邸にてちゃんとした食事を済ませた後の事だった。
「あ、そうだ、家の自慢の一つにお風呂、大浴場があるんだけど。
使う?」
祖母の趣味によって作られたヨシノ邸の大浴場。
その使用をサクラが提案した事から始まった。
その数分後、湯の用意は終わり、まず男性達から入る事となり。
彼らを知る女性達から見れば、若干長風呂だったかと思われる時間が過ぎた後。
男性達と入れ替わり、今度は女性達が風呂に入る番となった。
「あらあら、本当に東国仕様なのですね」
「すごいですねー」
「ん」
脱衣所に現れる女性達。
世界中をまわり、各国の文化に触れ、勿論東国の文化も知っているサユリ、マイが感嘆の声を上げる。
最初のアキコに関しては、彼女自身が東国の出身者だ。
この脱衣所だけでもどれほど精巧な造りか審査できよう。
「籠まであるわよ」
「本物ですね」
「良い感じです」
旅した中でも最も長く、最も濃い時間を過ごしたのは東国であるアヤカ、セリオ、セリカも感心する。
魔導師の館では、何処かしらに拘りをもっているものだが、これは良い趣味であるとも思う。
「うわ〜、広い、すご〜い」
1人、こう言った大浴場初体験のコトリは少しはしゃいでいた。
見るもの全てが珍しいのだ。
「普段少人数で入ると無駄に広いだけだけどね」
「温泉は地下から汲み上げたものですが、お湯も結構無駄にしますしね」
「お掃除もなかなか大変です。
でも、喜んでいただけて私はうれしいです」
サクラが言う様にこの大浴場はかなり広大だ。
軽く20人は入れてしまう様な広さで、籠もそれだけ用意されている。
客でも取る気かという設備だ。
まあ、全てサクラの祖母の趣味の産物である。
因みにだが、籠は普段人数分以外しまってある。
この屋敷の清掃は全てヨリコが行っているのだ、常に大人数用の設備を置いておくことはできない。
全て男性陣が入る前に倉庫から引っ張り出したのだ。
更に余談だが、この屋敷には魔法道具が多くあり、便利な掃除用魔法道具もある。
だからこそ、ヨリコ1人で管理できている。
「それじゃあはいろ〜。
あ、タオルとかはそこにあるよ。
シャンプーとかリンスの類はそっち」
「あら、いろいろありますね」
「至れり尽せりってやつですね」
用意されている品々を手にとる旅する女性達。
ちゃんとお風呂で手入れできる機会などほとんどない彼女達は、本当に嬉しそうに使う物を選ぶのだった。
その後、衣擦れと金属音が脱衣所に響いた。
服を脱ぎ終わった女性達は、タオルで漫然と裸を隠しつつ浴室へと向かう。
そして、扉を開けた先に開けた景色は―――
「あら」
「これは」
「すごい」
「良い感じね」
「美しいです」
「綺麗です」
「すご〜い」
ここに初めて入る7名は感嘆の声を上げた。
普段は異空間であるここは天上に空が映し出され、今は露天風呂風となっている。
そして、石という自然の素材を使った東国の美がここにある。
東国を知るメンバーは、下手な高級温泉旅館よりも素晴らしい風景だと感じた。
「凄いでしょ。
結構自慢。
どこかのコピーらしいんだけど、おばあちゃんの拘りが細部までいきわたってるよ。
因みに、温泉の効能は疲労回復に美肌とかがメインだよ」
少し胸を張って説明するサクラ。
ここを他人に見せるのも初めてだ。
だから、少し嬉しかった。
祖母の趣味が人に喜ばれて。
「素晴らしいです」
温泉の効能を聞いた女性達が発するのはただその一言だけ。
皆、それぞれに嬉しそう、楽しそうにしている。
だが、そんな中、少し浮かない顔をしている者がいた。
(……なんで、こんなに凄い美人ばかりなのかしら)
ネムは1人、此処にいる女性達を観察していた。
そう、この露天風呂の景色以上の絶景たる、正に百花繚乱のこの場の美女達を。
今まで気付かなかった、というか、そんな余裕な無かったが、此処に居る人は全員とんでもない美人揃いだ。
コトリに関しては前から知っていた事であるが―――
(……なんでこんなにスタイル抜群の人ばかりなの!)
ネムは自分と比べてしまう。
戦いの日々を送りながら、そこで鍛えられた無駄の無い筋肉が生む完璧なスタイルと。
そして、思い出してしまった。
あの夜、あの男に言われた言葉―――
(うう……『貧相』か……確かにこんな人たち相手じゃ話にならないよ……)
服の上からでも解っていたし、今タオルで前を隠してはいてもラインは見えるのだ。
それがもう、自分のものとは比べ物にならないくらいハッキリとしていた。
ヨリコとコトリも含め、この中では女性らしい体つきではネムは最下位だろう。
唯一ネムでも勝てるのはサクラだが、サクラまでいくと逆にネムは半端なだけのダメの塊に思えてしまう。
(兄さんもやっぱりこんな人たちみたいな綺麗な人がいいよね……)
ネムは恋する乙女だ。
ここまで別格の美を見せ付けられてはネガティブにもなろう。
「ネムさん」
「は、はい?」
ネムは突然声をかけられ、驚いて声が裏返ってしまった。
考え事をしていた為気付かなかったが、何時の間にかすぐ隣にサユリが立っていた。
「お背中流しますよ」
「え、あ、い、け、結構です」
突然の申し出に何度も噛んでしまうネム。
「まあまあ、遠慮なさらずに」
「え、あ……」
だが、サユリは笑顔でネムを洗い場まで連行する。
そして、体術の応用で座らせてしまう。
その移動の間ネムが周りを見ると、他の者達も誰かと洗い合っていたりする。
だから、ここで断って逃げることは無理そうだ。
因みに、他の組み合わせはアキコとサクラ、マイとコトリ、アヤカとセリカ、ヨリコとセリオだ。
「ネムさんは良いですね、綺麗な肌で」
「……え?」
覚悟を決めてサユリに洗われるネム。
その途中、そんな事を囁かれた。
先までの思考もあり、それは思いもよらない言葉だった。
「私達は旅をしてますから。
その中でも人知れず行く道を。
だから、なかなか肌を手入れする暇がなくて、荒れ放題なんですよ」
サユリは笑いながら言う。
それは彼に着いていくと決めたから仕方の無い事であっても、女性としては泣きたくなるくらいの事だ。
だから、本当にサユリはネムのすべすべの肌を羨む程だった。
(これで荒れ放題なんて、磨いたらいったい……)
だが、ネムにはそう言うサユリの肌は十分綺麗だと思える。
自分と比べても傷など無いし、荒れている感じも見当たらない。
それはユウイチにも見えない所でやっている努力の賜物である。
そこいらの女性よりは良い肌をしているだろう。
「でも、私は魔導師ですからまだマシですけど、筋肉で硬いでしょう?
それに比べたらネムさんの身体は女性的な柔らかさを持っています。
ネムさんは、ネムさんにしかない魅力がありますよ」
「あ……ありがとうございます」
先ほどまでの視線と、落ち込み方で気付いていたのだろう。
サユリはネムの身体を洗いながら、穏やかに言った。
「か、かわります」
「はい、お願いします」
気恥ずかしさから、洗われると直ぐに立ち上がってサユリの背に回るネム。
そんなネムをサユリはただ微笑みながら見るのだった。
一方その頃、居間のユウイチ達
「……なあ、こう言うイベントの場合、覗きに行くのがお約束か?」
テーブルを囲んで和菓子を茶請けに茶を飲んでいる3人。
そんな中、ヒロユキはふと思い出したように問う。
「お約束っちゃ、お約束だな」
「そうだな」
それには2人とも同意はした。
異論は全く無い様子だ。
ただ―――
「行くか?」
問うのは同じくヒロユキ。
ただ、何気なく。
そこに性的好奇心は全く感じられない、気の無い問い。
「いや」
「命は惜しい」
ユウイチもジュンイチも同様に全く乗り気ではない。
それもその筈。
ジュンイチが言う様に今風呂に居るメンバーは大凡最高の女戦士と女魔導師の集団だ。
バレない様覗くなど至難の業だし、バレたなら命がいくつあっても足りやしない。
まあ、それを無視して覗きに行っても良いくらいにの花達ではあるが。
最大の問題は―――
「大体、背からも攻撃がくるしな」
「まったく」
「それはお互い様だろ」
そこには、此処に居る大凡最高の漢達が愛した女性達が混在しているのだ。
他の男に覗きなど、許そう筈もない。
「……微妙につまらんがな」
「まあな」
「それは仕方ない」
静かに茶を啜る3人。
ただ、それだけの会話だった。
戻って大浴場
その中のサクラとアキコ達がなにやら話をしていた。
「綺麗な髪ですね」
「そう?
ありがとう」
サクラの長いブロンドを少し羨ましそうに洗うアキコ。
既にアキコはサクラに全身を洗ってもらい、その女性らしい体を誉められている。
アキコを誘ったのはサクラの方からだった。
「ところで聞きたい事があるのですが」
「なに?」
何気ない風に、アキコはサクラに問いかけてきた。
しかし、そこには何気ない風でありながら、とても強い想いが在った。
こうなる事が解っていて。
サクラは自分からアキコに近づいた。
「どの様にして、あの人の―――
ユウイチさんの名前を知ったのですか?」
アキコの問い。
それは、最終決戦の前の晩にサクラが発した名について。
決して知りえぬ、彼の本当の名前。
アキコ達でもどうやったのかが全く解らない。
彼の情報、特に名前には神秘レベルのプロテクトが掛かっている。
それは、ジュンイチの夢をしても見れぬものとして証明されている。
アキコ達は、彼を過去から知っているから、身内しか居ない時だけは彼の名を呼べる。
だが、それ以外の者は、彼に直接告げられない限り名を知る術が無い筈なのだ。
それくらい、彼の名は重要なものだった。
その問いの言葉で、場の空気は変わった。
その変化は、一般人であるネムですら瞬時に気付いたほどのもの。
間違えれば、このハッピーエンドで終った筈の物語のエピローグの前で、死が舞い降りる事となる。
そう、これは避けえぬものだ。
そして、サクラは逃げる気など無かった。
むしろ、待っていたのだ。
このタイミングを。
大浴場の使用は、それを狙ったものではなかった。
しかし、本人が絶対にいない事。
本人が聞きえない、そして無言でも通じ合える男同士以外、つまりは女性が全て揃っているこの場。
絶好の場所だった。
だから、告げる。
この場をかりて、サクラが知った事実の一つ。
真実のほんの一欠けらを。
「ボクは、アイザワ夫妻に逢った。
アイザワ博士と、アイザワ教授に」
サクラが述べた言葉に出てくる名。
それはユウイチの姓を持つ夫妻。
そして、それはある分野に於いて―――いや、分野に関係無く全世界、全ての人にとって重要な姓の夫妻の事だった。
「アイザワって…………まさか『あの』!」
アヤカが立ち上がり叫んだ。
そして、他の者も。
サユリとマイ、更にはコトリでさえも立ち上がった。
唯一、それを知っていたアキコを除いて全員だ。
魔法関連には疎いネムも、これは知っている。
それくらい有名な夫妻。
「そう、あのアイザワ夫妻だよ。
生物学、あらゆる生物の生態や文化を研究していたアイザワ博士。
その妻で、主に無機物から『存在』とは何かを研究していたアイザワ教授。
彼は、その2人の1人息子だった」
その2人は研究者でありながら、多くの異種族間の交渉につき、理解と平和に貢献したとして有名だ。
一体この2人のお陰で、どれほどの異種族間戦争が防がれたか。
そして、サユリとマイが知らないのは、あまりに有名な2人であるが故に特別視と、それに伴う危険を避ける為に秘密とされていた為に知らされなかったのだ。
ユウイチ本人も、それを自慢する事はなかった。
何故なら―――
「まってください。
貴方はさっき2人と『逢った』と言いましたね。
でもその2人は……」
サユリは問うが、最後まで言えない。
そうだ、かの夫妻にしてユウイチの両親である人達は、10年以上前に死亡しているのだ。
街の外で、キメラに襲われて。
1人息子を生き延びさせて。
「死んでしまっている。
最早降霊すら出来ないほどの時間の彼方に。
でもね、ここの機能をフルに使うとできるの。
全ての人の夢が集まるこの場所なら」
夢、それは願いと同時に記憶も内包するもの。
例え失われた人であっても、全世界の記憶を持ってすれば。
そして、僅かでも本人の夢がここにあれば、それはここに再現される。
「っ! あの方達と仮想会話が可能だったんですね!?」
全てを聞かずとも、ネム以外は魔法の知識がある者達だ。
それを察した。
そして、それが事実ならば。
本当にかの夫婦と、彼の両親と話したのなら―――
「あの方達はなんと……」
聞きたかった。
アキコやマイ、サユリは勿論、此処に居る全員が。
あの人達が、あのユウイチの両親が何を語ったのかを―――
「話……といっても会話は成り立たなかった。
此処の機能は万全じゃなかったし、時間が経過しすぎていたから。
でもね、これだけはハッキリと聞こえた。
『あの子を、ユウイチを見てあげてね』って。
微笑んでた、2人とも」
サクラが告げる2人の願い。
それは『助けてあげて』とか、『仲間になって』とかそう言うものとは全く違うもの。
ただ『見る』事を願った。
この言葉にどれほどの意味が内包されているかは、まだ解らない。
しかし―――
「ええ……ええ見ています。
彼が何をしてきたか。
彼が何をしていくか。
これからも、ずっと……」
アキコが言葉にし、サユリ達が続き想いを馳せる。
彼の両親が、今の彼を知った上で言った言葉。
その願いを実行しながら、その言葉の意味を考えつづけよう。
「ごめんね。
ボクは、それを叶えたかったから、彼を追い詰めかけた」
あの時のユウイチへの罪状陳列。
そして、最も心を抉ったあの事件の公表。
必要性はあった。
しかし、それでもユウイチの心を抉り、決意を汚しかけた。
彼への直接謝罪は逆効果となる。
だからサクラは今の話とともに、彼につき従う人達に過ちを謝った。
「ええ、アレは許せないことでした。
でも、ありがとう、サクラさん」
アキコは微笑み、そしてサクラを抱き締めた。
サクラがした事を認めて。
彼について行く者の代表として、サクラを抱擁する。
「えへへ。
さ、そろそろ湯に入ろうよ。
身体冷えちゃうよ」
人に抱き締めて貰う機会など、この孤島に住まうサクラには長らく無かった事。
それが嬉しくて、照れくさくて、そう言って。
でも、少しだけアキコの抱擁を、自分からも抱き返すのだった。
その頃、今のユウイチ達
「お前のあの鏡は、優秀だが、カウンター専用だな。
あらゆる攻撃はアレで『無かった』事にされるが、それだけだ。
概念的に味方のも無かった事になるし、使いどころが難しいな」
「それに、今回は敵が一体だったから良かったものの、お前のできるアレの展開可能範囲に収まらないくらいの数がいたりすると対処できんな。
今のお前じゃ同時複数展開は不可能だろう。
後、連続して起動し攻撃するようなモノだとそれが終るまで展開してないと全部消せないだろうしな」
ユウイチとヒロユキが上げるのはジュンイチの武装の弱点。
つまりは、それはこの反則兵器を打ち破る手段だ。
「別に、ものは使いようだ。
そもそも俺は1人ではないからな。
そういえば、勇者殿の『砕』もある程度距離とっておけば大丈夫だろうな。
あの移動方法にも限度距離がある。
後は、間に何かあると神速移動はできないだろ?
例えば、凍った桜の花びらが舞ってたりとか」
「というより、まだまだ未完成だからな。
相手を倒すのはともかく、自分が死にかけてるんだ。
偽者でも用意しておけば自爆するだけだ」
ジュンイチはしれっと応え。
そして今度はヒロユキの必殺技の弱点を指摘する。
あの無敵かと思われる技の攻略法をだ。
それにはユウイチも加わり、指摘する。
そう、一度見ているという事は、いくらでも対策が立てられるという事。
無敵の技など存在しない。
「偽者になんか騙されねぇよ。
それにな、半端なもんばら撒かれたって、砕いて進むだけだぜ?
そう言えばよう、ユウイチ。
お前、超広範囲攻撃に対する防御手段とか持ってるのか?」
「魔法使えないもんな。
まあ、その代わり魔法道具を反則級に持ち歩いてるけどよ」
ジュンイチ同様にしれっと返し、次はユウイチへと矛先が向く。
ユウイチとて人間であるから、儀式魔法級の極大範囲で高威力の魔法を受けたら、流石に死ぬ。
それを防ぐ手段というのは、普通に考えるとあまり少ない筈だ。
「俺も1人ではなく、友がいる。
まあ、他にも手段がなくもない。
とだけ言っておこう」
他の2人同様に、問いに関しては平然とした様子で返すだけ。
「……」
「……」
「……」
そして、暫しの沈黙。
殺伐とした話をして、互いに殺気立っている―――わけではない。
似た様な相手に出会ったときの対応策として。
今ある弱点を確かめ、次逢うときはそれを越える為。
その為の会話だ。
互いにもっと強くなる為に。
その頃女性達は、温泉に浸かってのんびりとした時間を過ごしていた。
あるものは泳ぎ、あるものは肩まで浸かり、あるものは足だけ湯につけて過ごす。
「はぁ〜……綺麗な月ですね」
「そうですね」
その中、足だけを湯につけて月を眺めるコトリとセリカ。
少しおかしな組み合わせであるが、自然と一緒に月を眺めていた。
ただ静かに。
だがそこへ、1人の少女がやってくる。
「シラカワさん」
コトリの事を姓で呼ぶもの。
この中で、唯一コトリの事を知るネムだ。
「あら、ネムさん」
ジュンイチを通じて知り合いである2人。
しかし暇が無かったし、重要な用件があったわけでもなく。
また、そういうタイミングもなかったので話をしていなかった。
「ちょっと聞きたい事が」
しかし、この場、このタイミングを逃すと二度と聞くことが出来ない事がある。
だから、ネムは近づいた。
今、ここにいるコトリに。
「なんですか?」
雰囲気的にネムの話がなんであるかなど解るコトリ。
テレパスなど必要無い。
「結局貴方は兄さんをどう想っていたんですか?」
何故なら、それは今までもされた問いであり、もう応えは出ているのだから。
だが、ネムにとっては重要な問いだ。
今までもコトリはジュンイチとは友達同士であり、それ以上の異性同士としての関係は否定してきた。
しかし、コトリとジュンイチの間には確かに友達以上の絆が存在していた。
それは、この島に来ても確認できた事だ。
「友達ですよ。
大切な、私の理解者で、親友で、助け合った仲です」
答えは、嘗てジュンイチ達にしたものと同じだ。
しかし、それには続きがある。
この島に来て、コトリが決めた応えにともない、完全となったものが。
「今なら解るよね?
何故、私達がそれ以上の男女の仲にならなかったのか」
「……彼が居たから」
「ええ」
ネムにも解る、コトリがいかに彼、ユウイチを想っているか。
その理由はまでは解らないが、その形はジュンイチのそれとは違うと解る。
ただ、ネムが一つ間違っている。
嘗てコトリがジュンイチと男女の仲にならなかったのにはもう一つ理由がある。
それは、ジュンイチにも想う人がいたから。
そう、つまりはサクラ、そしてネムだ。
こ2二人の事がなく、もしジュンイチ側からコトリにアプローチしていたら。
もしかしたらコトリは靡いたかもしれない。
ユウイチと再会できる可能性など無いに等しかったから、半ば逃げる形であっても。
ジュンイチとの絆がある故に、そちらに傾いた可能性だってある。
まあ、それも全て、『もしも』の話だ。
「だから、彼の親友として言うよ。
ネムさん、サクラさんと一緒に彼をお願いね」
「え? お願いって……」
想わぬ反撃にたじろぐネム。
今まで敵だとすら想っていた人からのエール。
どう受け取って良いのか迷った。
「もう、そんなんじゃ私がとっちゃいますよ?
多分、私が押したら靡きますから、彼」
先の『もしも』は逆も言える事。
もし、コトリからジュンイチにアプローチしていたら。
これだけの関係に至っていたのだから、ジュンイチも靡いただろう。
それらが全て『もしも』で終っているからこその『今』であるが。
「だ、ダメです!」
「解ってますよ」
「もう……」
少し本気で拒否の意を示すネム。
それに対してただやんわり笑みを浮かべるコトリ。
半ば解っていたが、やはり冗談である事を知り、ネムは少し恥ずかしくて顔を紅くする。
そして、それを隠す様に湯に身体を浸けた。
「そう言えば、ヒロユキさんの事はどう想ってますか?」
そこで、想わぬ方向から声が聞こえた。
セリカの声だ。
大凡、関わりの無いだろう話をしているところにだ。
しかし、在る。
ヒロユキも十分にコトリを気にかけ、コトリからもヒロユキを気にしている節があったのだから。
セリカにとっては十分すぎる『関係』があった。
「素敵な人だと想いますよ。
どこまでもついていきたいと思う程に」
「彼が居なければ、ですか?」
「ええ、そうなります。
勇者さん一筋の貴方には悪いですけど」
「いえ、多くの人と出会い、その上で優先順位が出来てしまうのは当然の事です。
その上で、私はヒロユキさんが一番だったというだけですから」
それだけ会話を交わすと、また2人で静かに月を見上げた。
既に互いに解っていた事で。
ただの確認の意味しかない問いと応え。
でも、それが晴れたから、月が一段と美しく見える気がした。
「さて、私も少し移動しますね。
じゃあ、がんばってくださいね」
「え? な、なにを?」
「はい」
何を暗に秘めているのか、そんな事を言い捨ててその場を去るコトリ。
そして、残った2人は対照的な反応をするのだった。
ただ、想う事は同じ事で、表現の仕方が違うだけの2つの反応を。
その頃、男達は。
「茶、お代りいるか?」
「ああ」
「頼もう」
2人の応えを聞いて、キッチンに湯と茶を取りに向かう。
そして、出された茶は緑茶であり、なかなか良いものであった。
「淹れ方が手馴れているな」
「まあな」
ジュンイチの手際を素直に誉めるヒロユキ。
妹は料理系が壊滅的なので彼にとっては必須技能だ。
「茶葉も良い」
「それはばあさんと、それを受け継いだサクラの趣味」
のんびりと味わえる茶。
それを堪能する3人。
「ふぅ…………」
「ん…………」
「はぁ…………」
珍しく男性だけで、ただ静かな時間を過ごしていた。
セリカとネムと別れたコトリは人を探していた。
温泉をかき分けながら。
この浴場は本当に広く、岩などの装飾でパッと見渡しただけでは見えない部分もあるのだ。
そして、見つけたその人は、『何故?』と思ってしまうくらい、場の隅の方にいた。
この人は何事にも中央に立っているのが似合う人なのに。
「こんばんはっす、アヤカさん、セリオさん」
「あら、コトリ」
「こんばんは、コトリさん」
温泉の中に置かれている岩の影で、半身だけを湯に浸けて、のんびりと月を見上げていた2人。
ただ静かに。
2人だけで。
「何をしてたんですか?」
コトリは問う。
大凡こんな事をしているのが似合わない人に。
しかし、応えの解っている問いを。
それはテレパスではなく、同じ恋する乙女としてだ。
「気持ちの整理ってやつよ。
似合わないけど」
「似合いませんよね。
しかし必要かと」
苦笑気味に笑いながら答えるアヤカと。
そんな主と共にあるセリオ。
「そうですか」
ただそれだけでも、コトリは答えを聞けてよかったと思う。
そして、アヤカならきっと良い答えを導き出すだろう。
だから、それだけで満足で、このまま立ち去ろうとした。
「そういえば、シラカワさん」
だが、そこでアヤカはコトリの呼んだ。
その姓でだ。
「ありがとう。
この島にオートマータの部品を持ってきてくれて。
お陰でセリオは死なずにすんだわ」
「私はマコとお姉ちゃん達を繋げただけですよ」
「それでも、十分よ」
シラカワ。
その名はオートマータの研究で有名な博士の姓。
そして、セリオやマルチの製造にも関わった者の姓であり、コトリの義父母と義姉の姓だ。
実はヒロユキ以外、セリカ達がコトリの姓を知ったのは一昨日の事だ。
それまで『コトリ』という名の情報しかなかったのだ。
そもそも、コトリの義姉や義父ならともかく、コトリと直接会ったことは一度しかなかった。
セリオはどこかで見たような気がするとしながら、情報が古すぎる為、成長したコトリと判別しきれなかった。
「では、また」
「ええ」
別れの言葉。
そして、簡単ながら再会を約束する言葉と共にコトリはこの場を去った。
まだ、気持ちの整理をするアヤカと、それを見守るセリオを残して。
それから数分。
でもまだまだのんびりと温泉を堪能する女性達。
だがそこで、アキコはちょうど泳いでいて近づいてきたサクラに告げた。
「そうそう、サクラさん。
部屋をお借りしておいてなんですが、今夜は部屋に近づかないでくださいね」
何気ない風でいて、宣戦布告にも似た意を持つ一言が放たれた。
その言葉に、場の空気が変わる。
「解ってるよ〜」
サクラはただ当然の答えを返すだけだが。
何時の間にかアキコとサクラの周囲に人が集まってきていた。
マイとサユリもだ。
「やっぱり3人同時なの?」
タイミングを見計らい、尋ねたのはアヤカだった。
皆が聞きたいと思っていることを率直に。
そして、視線は問われたアキコへと向いた。
「ええ。
ベッドでしてもらえるなど、滅多にない機会ですし」
アキコの答えにマイとサユリも頷く。
まともな状況での逢瀬など、どれくらいぶりかと、そう思いながらしみじみと。
「……予想はしてたけど、壮絶なのね」
ユウイチ達の生活を考えれば至極当然の事だ。
ユウイチ達は自分達の中で敵味方に別れて戦争の全てを監視する。
よって、まずユウイチの傍に居られないのだ。
半分以上の人物は。
そして、ユウイチが戦わない時期というのは極短時間で。
しかも、それには移動時間なども含まれるし、目立てないのでちゃんとした宿での休めることも稀なのだ。
「それだとさ、彼側につく人ってどうなの?
前だとアキコさんが傍に居たんだよね?」
サクラが問う。
サクラが調べた所、ユウイチ側にいる人物というのは偏っている。
演技力や役職がある為に平等などと言う事は不可能なのだ。
一番多いのはアキコだ。
オールマイティなのでいろいろな役職につけるのが大きい。
他のメンバーはアキコの半分の回数もユウイチ側についてはいない。
「そうですね……
例えば、サクラさん。
貴方がジュンイチさんがマインドコントロールされた状態ででも、抱かれて嬉しいと思うなら、私はきっと他の人よりも優遇されているのでしょうね」
笑みで答えるが、その声に明るさは無い。
ユウイチは常に演技状態で、傍に居る人も勿論演技状態だ。
そう、それは逢瀬と言う事があっても、変わらない。
例えばユウイチが女をただの道具だとしか思っていないキャラであるなら。
例え相手がアキコでもそれは反映される。
「そう……だね……」
勿論、場合によっては愛してもらえる事もある。
しかし、それでもそれは『ユウイチ』が『アキコ』を見ている訳ではないのだ。
だから、身体を重ねる事はあっても、それは―――
「彼から見て敵側について、捕虜になって彼に強姦されるなんて事もありましたね」
「ユウイチだからいいけど……」
付け加えるサユリとマイ。
演技中でも、一応本来の関係があるからこそできた事であった。
そう言う風にも利用される事なのだ。
ユウイチは、可能な限り無くそうとしているが。
「そう……彼だけじゃなく、貴方達も凄いのね」
辛い道を歩んでいるが、それを『辛い』などとは言って彼女達に同情したりはしない。
そんな道を行きながら、尚輝く彼女達は素晴らしいのだ。
だからそれを認め、その在り方に敬意を示す。
「ところで、無粋な事かもしれませんが……
あの人1人に対して3人がついていますが、お互いに嫉妬とかしないのですか?」
今度問うたのはネムだ。
最初は、ユウイチが3人を力で支配しているとも思った。
しかしそれは違い、確かな絆、『愛』によって結ばれている事は解っている。
ならば、その情が向けられるのが自分ひとりでない事をどう思っているのか。
同じ女として、ネムは聞きたかった。
「そうですね。
私だって人で、女です。
独占欲はありますし、嫉妬する事もありますよ。
私以上に特別な絆がある人ばかりですから」
「ええ、そうですね。
例えば、そこで得るものはないにしても。
アキコさんなんかはよく彼の隣に居られますから」
「ずるい」
微笑ながら3人は答える。
普通なら血の雨すら降りかねない事を平然と。
しかし―――そう、しかしと続ける。
「でも、例え彼を独占したくてもできないんですよ。
例え掻き集めても、手に一杯になっても、彼の目指すモノはそんな私の手で収まるほどの大きさじゃない」
「それに、今の状態。
現状5人の女性が彼の傍に居ますが、結局本当の意味で彼の隣に立つ事も、支える事もできてはいません」
「泣いてても、なにもできてない」
アキコ達は、よほどの大悪党か、仕方ない場合を除き人を殺めていない。
ユウイチの傍で悪役を務める者でさえだ。
ただの一回も、ユウイチがする様な悪役としての人殺しはしていないのだ。
それは、アキコがユウイチほど心まで演技に徹する事ができない事。
それに、ユウイチがそれをさせないからだ。
ユウイチは表では笑いながら、楽しむように人を傷つけ、殺めながらも心の奥の奥で絶叫を上げている。
そんなユウイチに対して、アキコ達、特に悪役として傍に居る者は、その痛みを和らげてあげることも、代わってあげる事もできていないのだ。
「独占できよう筈もありません。
私達はまだ誰1人として、彼と対等な位置に立ててはいませんから」
「まあ、例え対等になっても、彼の目指す場所の為に一緒に頑張ると思いますけどね」
「2人より3人、それよりもっと」
最後に3人そろって笑みを見せる。
それを見て、改めて他の者達はこの3人が凄いと思うのだ。
最後に彼女達は言った―――いや、宣言したのだ。
『まだ』立てては居ない。
つまりは、いつかは立つ、と。
今彼女達は、ユウイチと同じ事をする事で同じ位置に立つと言う事ができていない。
そして、それはきっとできないし、ユウイチも望まない事だ。
ならば。と、それ以外の何かで対等になる方法を模索し続けている。
闇の道にありながら、そんな前向きな姿勢を続け、輝き続けられる者達。
ユウイチだけでなく、この者達も人間にして、化物なのだろう。
「そうそう。
私達3人だけじゃないですよ、こう思っているのは。
後2人、今回は彼の友と共に居た人と、それとまだ、少なくとも2人居るんです、私達が知る限りでも。
この世界には、彼を愛して隣に立とうとする人が」
アキコは笑いながらそう告げた。
自分でも変わっていると思いながらも、笑いながら。
愛するユウイチに、彼を愛し、愛され、ついていこうという人がいる事を。
そう、自分と同じ人がまだまだいる事を幸いだと思いながら。
その頃、ある森の中。
夜の森を駆け抜ける2つの影があった。
「急ぎますよ、次移動する時までにできるだけ近くにいかなければ。
次の彼らの到達地点で合流できなければ、その次のチャンスは何時になるか解りません」
魔法で強化した脚で、とんでもない速さで駆け抜ける。
凄いスピードでありながら、しかし、静かに。
金色のゆるやかな三つ編みの髪を靡かせる影。
「そう言う割には出たの遅かったじゃない」
同じ様にしてその後ろに続くブラウンの髪を靡かせた影があった。
「引継ぎが必要だったのですから仕方ありません。
彼があの国でしたことを、これからも続け、尚上を目指す為に」
「後継者はギリギリだったよね」
「ええ。
さあ、後山を3つ越えなければなりませんよ」
「え〜そんなに〜」
ブラウンの髪の方は文句を言うが、仕方ない。
それは解っている。
そんな距離を急いでいるならば、飛竜を借りたり、飛行魔法を使えばいい。
しかし、可能な限り目立たず移動しなければならないのだ。
そして、そんな苦労をしてでも追いつかねばならない。
もう1年以上待たせている彼の下へ。
戻り、ヨシノ邸大浴場の脱衣所。
温泉を出た女性達が、タオル身体を拭きながら脱衣所に上がってくる。
「いい湯でした」
「お肌も大分良くなりましたよ」
「すべすべ」
アキコは満足そうに呟き、サユリは今まで痛んでいた肌や髪が大分よくなった事に満足する。
マイも無表情のままだが、今晩の事を考えると幸いだろう。
「そうね〜、いい感じ」
「人工皮膚も馴染みます」
「良い感じです」
アヤカも普段はそれほど気にした素振りは見せなくとも女だ。
温泉も効果が既に出ていることを喜ぶ。
セリオも、ここへ来て何度も傷ついた人工皮膚のなじみ具合を確かめて喜び。
セリカも、良くなった髪や皮膚を確かめて笑みを浮かべる。
「少しのぼせちゃいました」
長く湯に浸かるような習慣の無かったコトリは少し顔が赤い。
それが、色っぽくも見える。
「私もです」
「飲み物もあるよ〜」
「皆さんなにがよろしいですか?」
ネムもこんな大人数で風呂に入ったことはないので、少しのぼせていた。
サクラはそれを聞いて飲み物も提供しようと考え。
そしてヨリコがタオルを巻いただけの姿で用意を始める。
「あ、私これ」
「お風呂上りにはこれですよね〜」
用意された飲み物の中から、それぞれ好きなものを取ってゆく。
すると―――
「やっぱこれよね」
「ええ」
「そう」
「そうですよね〜」
「私は解らないのでアヤカさんとおそろいで」
「…………」
アヤカ、サユリ、マイ、コトリ、セリオは普通の牛乳を。
何故か無言のアキコも牛乳だ。
「え〜、これだよ」
「これですね」
「私もこれで」
サクラ、ネム、ヨリコはフルーツ牛乳を。
「私はこれで」
セリカは一人、コーヒー牛乳を手にしていた。
多様な飲み物がある中、何故か乳製品だけを取る面々。
そして、何故か、己とは違う物をとった者達を『間違っている』という目で見ていた。
ただ1人、アキコを除いては。
(もしかして、私の祖国の文化は間違って伝わっているのでは?)
アキコは単純に気分で、たまたま牛乳を手にした。
確かに、風呂上りに乳製品を飲む人は多かった気もする。
しかし、それがこんな形で勘違いされて伝わっている事に、アキコは頭を抱えたい気分だった。
「さて、何にする?」
飲み物に対する意見は兎も角、アヤカはこの場で飲み交わすモノを尋ねる。
そう、皆で何かを飲むときは、その飲み物だけを飲むのではないのだから。
「そうだね〜
花見の時はアレだったか」
「せっかく女性だけですし」
「はい」
何を言うかはもう決まっていた。
だから、皆飲み物を掲げる。
そして、告げるのは宣誓の言葉。
「互いに、良い人に巡り合いました。
けれど―――いえ、だからこそ道は険しいでしょう。
形は違えど、やはりあの人達ははるか先を目指す人」
「ボク達は、その隣に立ち、もはや付き従うだけでなく、引っ張るでもなく。
共にその先を目指そう」
「その為に、互いにがんばりましょう」
まず、アキコとサクラとセリカが謡い。
そして―――
『明日の夢に』
掲げる言葉は一つ。
話し合うまでもなくここに心は一つとなり。
そして、またそれぞれ違う形でそれを目指すだろう。
「はぁ〜、やっぱ風呂上りの一杯はいいわ」
「そうですね」
「ええ」
そして、皆己の飲み物を飲み干す。
笑いあいながら。
「さあ、待っているでしょうからそろそろ出ましょう」
「うん、そうだね」
「ええ」
急ぎはせず、キッチリと着替えとセットを済ませて脱衣所を出る女性達。
向かう先は、己を待ってくれている人の下
そこから更なる先へ行くのに
共に歩む為に
後書
外伝その2、姫湯でした〜
実に二ヶ月近い間を空けましたね〜
本編忘れてしまっている事でしょう。
いや〜、4月に嘘予告集なんてやらなきゃ、とっくに3も書き終えてましたけどね。
正直、あの時の反応の薄さは嘘予告集は失敗したかと思いましたけど。
まあ、嘘予告を書くのは楽しかったからそれで良し。
私は我が道を行くのです。
因みに、次の外伝3も少し時間が空くでしょう。
なんせ新連載始めてますし。
読者の方は少々お待ちを。
しかし、またシリアスになったな〜。
ギャグ分補充という目的は何処へ消えたのやら……
管理人の感想
T-SAKAさんから外伝2話目を頂きました。
残す外伝は3話のみ。
今回は姫湯。
女性陣の内面が結構語られていました。
色々思うところがある面子ですので、こういった話し合いが出来たのはいい事でしょう。
まぁ間違いなくネムが一番色々考えていたでしょうけど。(笑
恋する乙女ってのは大変だなぁ。(爆
個人的には、この後のユウイチ達の部屋が気になりますが。
他の面子(男女とも)に確実に影響与えるでしょうしね。
次回で外伝も最後。
さてさて次はどんな内容になるのでしょうかね?
感想はBBSかメール(ts.ver5@gmail.com)まで。(ウイルス対策につき、@全角)