闇の中のコタエ
プロローグ
某日 某時空
「皆、準備はいい?」
『いつでもいいわ、リンディ提督』
我が家の末妹の少女に問う。
そして、少女は準備万端、自信満々に答えた。
初任務で重大な役目だというのに、やる気十分の様だ。
それを聞いて少しだけ安心する。
『まだテストしかしていないデバイスだ。
くれぐれも無茶はするなよ』
『解ってるわよ、クロノ』
今、あの子が手にしているのは新型のデバイス。
別にこの為に組んだものではないが、今回の様な相手にも通用するだろう優秀なデバイスだ。
必ずや力となるだろう。
『逃げる準備はしておく事をお薦めしよう』
『……要らないわ、セレネ』
あの子は……『退路の確保』と言えばいいのに。
また挑発まがいな言い方をしている。
そのせいで妹に誤解されているのに。
―――いえ、あの子は誤解させている。
今回のこの仕事は一家総出での初仕事。
半ば職権乱用且つ部隊の私物化とすら思われるかもしれない部隊構成。
しかし、この重大な任務を完遂させる為に選び抜いた人選である。
だが、この今回の作戦自体に少し疑問があった。
「……セレネ、今回のこの作戦だけど」
意を決して尋ねる事にした。
家族であり、最も信頼する子に対してする様な問いではないと思うけれど。
しかし、自分が立案した事になっているが、本当の立案者である人に。
そもそも今回の作戦の要であって、対象の発見者たる者に。
愛しい家族である子に。
また、何かを背負おうとしているのではないかと。
『作戦中よ、リンディ提督。
……それに、もう遅いわ』
「セレネ?」
セレネの最後にポツリともらした言葉。
もう、確信した。
今回の作戦には裏があり、それによって、きっと―――
『皆、来ますよ!』
しかし、考えてる暇はなかった。
母艦にいる管制官から通信が入る。
そして、同時に巨大な魔力の鼓動を感じる。
自分の率いる巡航艦アースラで、一家という部隊構成。
一番下のあの子と共に4人揃って実施するのは初めてとなる任務。
対するは遺失文明の遺産、ロストロギア。
『来ました! ロストロギア、ジュエルシード!
数は特定できませんが、マスタープログラムの存在を確認!』
管制官の声と共に視認できたのは、幾つかの漆黒の宝石。
そして、その中央に浮かぶ漆黒の球体。
第一級捜索指定遺失物、ジュエルシードとそのマスタープログラム。
そう、相手は『第一級捜索指定遺失物』をかけられる程のものだ。
「了解、封時結界展開します。
シャニングソウル!」
『Yes ma'am』
カキィンッ!
首に下げていた碧の宝石を掲げ、その名を呼び杖へと変える。
インテリジェントデバイス『シャイニングソウル』。
今回あの子が持ってきた新型と同型にして、対とも言えるデバイス。
キィンッ!
魔力の集中と同時に背に二対の光の翼が展開する。
余剰魔力による光の翼で、姿勢制御にも使用している妖精の様な翼。
「この空間を切り離します!」
『Battle Field
Set up』
キィィィンッ!
自分が得意とし、特異なレベルと言われる結界魔法を展開する。
デバイスの力も借りて部隊4人がいる場所、そしてなによりジュエルシールドがいるこの空間。
その全てを外界から切り離す。
ちょっとした自慢だが、私は多少の次元震なら防げる結界魔導師だ。
相手がいかに遺失文明の遺産であろうと、そう易々と逃がす事はない。
『シールド破壊開始する』
ズバァァァンッ!!
結界に捕らえたところを、セレネが対象の張ったシールドを破壊する。
上手く破壊できているのがここからでも解る。
『やはり出てきたか、行くぞ!』
『Stinger Blade Execution Shift』
ズダダダダダダァァァァンッ!!
ジュエルシードから出現した黒い影の様なものに攻撃魔法を打ち込むクロノ。
防衛プログラムも、これで沈黙。
上手くいっている。
先までの心配がいらぬものだったかの様に。
けれど、
『レイジングハート、セットアップ!』
『Stand by ready
set up』
『封印すべきは忌まわしき器
―――封印!』
ズドォォォォンッ!
最後の工程、ジュエルシードを封印する為の砲撃が放たれる。
あの子の瞳の色と同じ碧の光が。
光は真っ直ぐにジュエルシードのマスタープログラムへ向かい―――直撃した。
それなのに、
バキィンッ!
「なっ?!」
全て上手くいったと思ったその時だった。
光が弾けた。
あの子の放った魔法の光が。
封印が失敗したのだ。
そして、事態はそれだけに留まらなかった。
『次元震動が発生しています!』
『シールドが再構築されている? 馬鹿な、早すぎる!?』
『防衛プログラムが多数再発生! これは抑えきれん!!』
矢次にくる悪い報せ。
そして、私が担当している結界までも、悲鳴を上げ始める。
「いけないわ、結界が破られる」
どんなに魔力を込めても、予想以上の干渉力により、もう全体にヒビが走っている状態。
もう数秒ももたない。
『そんな……』
あの子の声が聞こえる。
消沈した声、しかし、まだ諦めきっていない声。
『そんなの!』
キィィィンッ!
あの子は叫びながらもう1度魔力を杖に収束させる。
もう完全に失敗しているこの状況で。
先ほど最大魔力で魔法を打ち出したばかりなのに、同等かそれ以上の力を収束しようとしている。
「いけない、失敗よ、下がって!」
『防衛プログラムも動いている、無理だ!』
『次元震に巻き込まれちゃうよ!』
クロノと、管制官と一緒に説得する。
けれど、きっとそれはあの子には無茶な相談だろう。
あの子にとって、この相手だけは―――
『行けぇぇぇ!』
ズドォォォォォォンッ!!!
あの子が再び魔法を放った。
撃った後、自らの魔法の反動に耐えられず吹き飛びながらも。
オオオオオオオオンッ!
しかし、その時だ。
ジュエルシードが黒い光を放ったのは。
「これは……」
危険を感じ、この空間を隔離する事を諦め、現場に出ている全員にバリアを張る準備をした。
しかし、間に合わない。
『なに、これ!
きゃぁぁぁぁぁ!』
あの子の悲鳴と共に世界が震えた。
この次元が震えているのだ。
『中規模の次元震動が発生しています。
危険です、退避してください!』
『退避を!』
管制官の声と共にクロノが退避を促す。
防衛プログラムを倒し、退路を作りながら。
しかし、まだやる事がある。
「貴方達は先に下がって!
私は、被害をできるだけ食い止めます!」
任務失敗の責任は司令官である自分の責任。
ここで死ぬ気はないが、しかし、可能な事は全てしておきたい。
『無茶です! 提督も早く退避を。
クロノ君も皆も!
あ、ちょっと、クロノ君、あの子が!』
管制官の声に視線を向ける。
そこには、先の魔力消費とこの震動で気を失い、流されるあの子がいた。
『アリサ!』
そんな中、妹の名を呼ぶあの子の声が響いた。
そして、そのほとんど直後に、自分も意識を失ったのだ。
「……ん……ここは?」
リンディが目を覚ました時、周囲に広がっていたのは森だった。
見知らぬ木々、知らない空気。
少なくとも、作戦を行っていた場所とは違う世界。
「次元震にまきこまれたの?」
運良く地上に投げ出されたのだろうか。
下手をしなくても虚数空間に堕ちて二度と出られぬという事になるところだったのに。
そういえば、最後に何か自分に魔法が掛かった気がする。
とても親しみのある、けれど強力な魔法が。
と、そこで思い出す。
最後に自分が使った魔法。
それを補助していた存在の事を。
「あ……シャイニングソウル?」
己のデバイスの名を呼ぶ。
しかし、返事は無い。
見れば待機状態、つまりは碧の丸い宝石に戻っているのだが―――光は、無かった。
自動修復が働いている様子は無く、応答も無い。
少なくとも、インテリジェント型のデバイスとしては死んでしまったのだろう。
「ごめんなさいね……」
最後に無茶をした上に次元震に巻き込まれたのだ。
原因はオーバーロードだろう。
「でも、私も……」
身体に力が入らない。
最後に魔力を使いすぎたのもあるだろう。
だがそれよりも、恐らくここは管理外異世界。
身体も魔力も、この世界にすぐには適応できない。
元々の魔力の高さと経験によって、多少は動けるが、とても力は使えない。
「どうなるか解らないし……
仕方ないわ……」
シュゥゥン
変身魔法を使い、自らの身体を縮め、妖精のサイズにしてしまう。
そうする事で魔力の消費を抑え、環境に適応すると共に回復を早める事ができる。
可能な限り早く全快して、仲間と合流しなければならない。
(皆は無事かしら?
クロノは多分艦にもどれたでしょうけど……あの子は……
それにセレネ、貴方は何を考えているの?)
もう1度意識を失うまで、最後にセレネの姿を思い出す。
何かを成した筈なのに、悲しげな瞳を見せた義妹の事を。
『戦う』とは何だろうか。
武器を持って殺し合う事をイメージする人がいるだろう。
生きること全てが戦いだと言う人もいるだろう。
だが、結局『戦う』という言葉に、どんな意味を持たせるかは、その人次第なのだろう。
俺はきっと、自分なりの『戦い』方を既に持っている。
そして、『戦う』理由も持っている。
だから俺は、きっとそれだけでいい。
朝7:00 高町家リビング
バタンッ!
「にゃっ!」
何かが落ちた音と、良く知る者の声が響いた。
朝のリビングに。
見れば、我が高町家の末妹『高町 なのは』がソファーとテーブルの間に落ちていた。
恐らく、寝ぼけてソファーから落ちたのだろう。
「あらら、なのは……なにしてるの?」
「新しい遊びか?」
一緒にいた我が家の長女にして妹である『高町 美由希』と共に傍による。
こちらを見上げてくる末妹は、ギリギリ彼女の横幅しかない場所に落ちてしまっている。
転がる事もできないこの状況で、なのはの運動能力を考えると、抜け出すのは困難だろう。
「助けは必要か?」
まだ、自分の状況把握で忙しいなのはに問う。
黙って手を貸す事も考えたが、一応了承を取る。
助け方を示さずに。
「うん、助けておにーちゃん」
助けがないと起き上がれないことを自覚したのだろう。
こちらを見て、助けを請うなのは。
「承知した」
なのはの求めを得て、俺は表面上無表情のまま。
しかし、心の中でニヤリと笑いながら、なのはの足を掴む。
正確には、ふくらはぎとアキレス腱の間くらいの場所だ。
「……にゃ?」
なのはが足を掴まれた事を疑問に思い、声を上げるが、もう遅い。
ブンッ!
タンッ
(ふむ、今日は白か)
俺は一瞬で見事なのはを助け起こす事に成功した。
途中、小学3年生の妹が相手では問題にならないだろう情報を入手しながら。
だが、こんな情報を得たと知ったら、本人はどう反応するかは、まだ試した事は無い。
試す気はないが。
「え? あれ?」
突然自分の視点が90°変わったので慌てふためくなのは。
三半規管が遅れて回転の衝撃を伝え、ややふらつく。
「恭ちゃん、またそんな事を」
「早いだろう?」
呆れ顔の美由希にしれっと俺は答える。
俺はなのはの足を掴み、なのはを逆さ吊りの状態にするように持ち上げつつ回転させたのだ。
なのはにはちょっとしたアクロバットを体験してもらった事になる。
これというのも、俺は普段妹であるなのはに構ってやれる機会が少ない。
俺なりのコミュニケーションなわけだが、やられている本人はいい迷惑だろうな。
全くもって不器用で嫌な性格に生まれついたものだ。
「はい、髪と服が少し乱れてるよ」
「ありがとう、おねーちゃん」
なのはの髪と服の乱れを直すもう1人の妹、美由希。
しかし、見れば直す本人も胸のリボンが曲っているのが見えた。
「お前もリボンが少し曲ってる」
「え? 嘘?」
俺は慌てる美由希のリボンを直す。
最近は幾分かましになったかと思ったが、まだまだ手の掛かる奴だ。
しかし、思えば俺、『高町 恭也』の兄妹は仲が良いと言えるだろう。
誰1人としてまともに血が繋がっていないというのにだ。
いや、血の繋がりによる関係を持ち出すなど、無粋であろう。
この家は特に。
「美由希、なのはー。
お弁当できたわよー」
そこへ現れたのは、お弁当の包みをもった、ここ高町家の母たる『高町 桃子』。
なのはの実母にして、一応、俺の養母である人だ。
「あ、ありがとう」
「ありがとー」
「卵とトマトのサンドイッチと……後は開けてからのおたのしみね」
妹達と明い笑顔を交わす母。
駅前の喫茶店『翠屋』の店長兼お菓子職人で料理の腕は申し分ない。
どちらかというと和食派である俺だが、高町母のサンドイッチならば聞くだけで食欲が出る。
だが、残念な事と今回俺の分の弁当は無い。
既に要らぬと連絡してあるのだ。
「恭也は今日は出かけるんだっけ?」
「忍のところに。
昼はノエルが用意するらしい」
去年まで通っていた風芽丘でのクラスメイトにして大切な友人、月村 忍。
なにやら来て欲しいと呼ばれたのは昨晩の事。
ここのところ工房に篭りっきりだったので、何かを完成させ、それを見せたいのかもしれない。
「なのちゃーん、そろそろ行こうぜー」
「美由希ちゃんも、そろそろ、ええ時間やでー」
更にリビングに集まってきたのは同居人の『城島 晶』と『鳳 蓮飛』。
通称は『晶』と『レン』。
我が家の料理番にして賑やかな家族だ。
「あ、桃子ー、お店から電話ー。
シナモンの在庫何処にありますか、って」
最後にやってきた綺麗な女性は『フィアッセ クリステラ』。
「あーもう切れちゃったか。
今から家からもっていくって伝えてー」
「はーいっ」
我が家とは古い馴染みで、翠屋のフロアチーフである女性。
そして、我が家の長女的存在でもある。
「お店、繁盛してますね」
「うん、最近モーニングのお客さんが増えてね。
そろそろ店員さんを増やさないとダメかなー、と思ってるの」
晶の言う様に最近翠屋は忙しい。
なにせ高町母が本当に泣いて電話をしてくるくらいだ。
フィアッセの代行として一時期入っていた忍まで時々狩り出される始末。
果ては、なのはに電話番をやってもらわねばならない事すらあった。
「フィアッセが戻ってきてからお客さん増えてるよね、絶対」
「フィアッセさん目当ての男の人も、多いですもんねー」
「看板娘ですね」
「あははー、そうだったら嬉しいな」
フィアッセの本業は『歌手』だ。
最近半年程コンサートツアーで日本を離れていていたが、この春、またこの街に戻ってきた。
これが家の、高町家の家族。
血の繋がりとは関係ない集まりであるが、そんなもの無粋とすら言える確かな家族。
少々風変わりな者達であるが、俺の大切なもの。
護りたいもの。
そう、護りたい。
だから、この話題の中、俺はフィアッセだけに聞こえる様に言う。
「最近は物騒だから気をつけるように」
忍のストーカーを処理したのは極最近の事。
身近といえてしまう事態としても、とんでもない美人であるフィアッセは気をつけなければいけない。
「大丈夫だと思うけど。
危なかったら恭也が護ってくれる?」
「ああ、当然だ。
だが、本当に気をつけてくれ、フィアッセは……」
だが、それ以上にフィアッセは『クリステラ』の姓を継ぐ者。
更には、フィアッセは『高機能性遺伝子障害』と呼ばれる病、通称『HGS』の患者だ。
それに関連した事件は半年前のコンサート開始と、更にはつい先日にあったばかりだ。
「解ってるよ、恭也」
コンサートの時は兎も角、先日の事件の結果は間一髪といったところだった。
病院でフィアッセを泣かせる事になったが、それでも何も失わず終った。
だから、今はフィアッセは笑みを見せてくれる。
この笑みが見れるなら、俺はどんな危険の中へでも飛び込み、そして生還してみせよう。
「そう言えば恭也。
フィリスが最近会ってないですね、って」
油断した。
フィアッセの笑顔に見とれている隙に、そんな話題を持ち出されてしまった。
『フィリス 矢沢』先生。
フィアッセの担当医であると同時に俺の担当医でもある人。
フィアッセは定期的に病院に行く為、俺がちゃんと行っていない事など筒抜けだ。
今までは、上手く逃れていたりしたのだが。
「あ、恭也また行ってないの?」
「恭ちゃん、ダメだよ、ちゃんと行かないと」
高町母と美由希の反応は早かった。
即座にフィアッセの陣営に付き、美由希は俺を逃がさんと退路を断っている。
「今日忍の用件が終ったら行く」
「よろしい」
俺の答えに、皆安心した様な顔をする。
俺の後ろにいるなのはも嬉しそうだ。
まあ、こんな事で家族を安心させられるなら、病院に行く事を宣言するのも悪くはない。
「あ、もうこんな時間」
「私もそろそろ出ないと……なのはも行こうか」
「うん、じゃあいってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」
時間の経過を忘れて話していた為、なのは達はやや慌てて家を出る。
平和な風景だ。
今日は一日平和に終るだろうか。
平和は良い。
家族の団欒など至福の時だ。
だが、もしその先に更なる幸いがあるならば、1度平和が崩れる事も良いとも思っている。
昼前 月村邸
「いらっしゃ〜い」
自転車で月村邸まで行き、いつも通りにノエルが出迎えてくれる。
そして、玄関では忍が待っていた。
「ああ、来たぞ」
俺を見て笑みを浮かべる忍。
俺も、自覚は無いが笑みを浮かべているのだろう。
「恭也君、こんにちは」
「さくらさん、こんにちは」
俺と同様に呼ばれたのかもしれない。
忍の叔母であるさくらさんも居る。
と、そこで、1度周囲を見渡すと、何故か大量の荷物がある事に気付いた。
「この荷物は?」
引越しでもするのかという―――いや、この家の物の量を考えれば少ないか。
だが、そうとも見える荷物、ダンボールの類が玄関に置かれていた。
「ああ、丁度今引越しの日だったのよ。
ギリギリだったわ〜」
改めて何かに安堵している様子の忍。
俺が持つ情報では何の事かはサッパリだ。
「引越しとは?」
「え? ああ、ごめん、何も言ってなかったけ?
今日からここに来る子がいるのよ。
私の従妹、月村 すずかがね。
伯父さん達が暫く海外に出なくちゃならないらしくてね、家で預かる事になったのよ。
一応名目上の保護者はさくらだけど」
「それで、これがその子の荷物。
今朝業者の人が置いていったのよ。
この子ったら寝てるものだから私が手続きしたけど」
「だって、ここのところ徹夜で、昨日やっと終って寝たんだから」
工房に篭ると徹夜はほぼ当たり前である忍なのだが―――昨日は寝たのか。
工房から出てきたにしては綺麗だと思った。
先ほどギリギリといっていたが、十分な睡眠と風呂に入る余裕はあったようだな。
俺を呼んでも、作業服で汚れたままで出てくるなどという事もよくあることだ。
それにしても、何を作っていたのやら。
忍は工房にいても、ノエルは表にいたのでノエル関係ではないのだろうが……
「俺を呼んだのはこの片付けの為か?」
ともあれ、呼ばれた理由として現在最も可能性が見えている事を問う。
忍の従妹というだけあり、やはり忍同様のお嬢―――同様かはともかく、お嬢様だろう。
僅か1人分の荷物でとんでもない量がある。
「ん〜、それは考えてなかった。
今日は、紹介したい人が2人いるのよ。
1人はさっき言ったすずか。
それで、もう1人、私が工房に篭ってた答え―――」
そこで一息いれる忍。
そして、こちらの様子をうかがう。
おそらくはさくらさんにも同様に。
横目でさくらさんの様子を見れば、さくらさんは何か知っている様だった。
「ファリン」
「はい」
忍が女性の名前を呼んだ。
そして、聞こえたのは少女の声。
玄関の奥、工房へと続く道から姿を現したのは1人の少女。
ノエルと同じ色の青く長い髪を下ろした、ノエルと同じ紅い瞳で、ノエルと同じ侍女服を着た少女。
ノエルより頭一つ分背が小さいが、それ以外はノエルと姉妹かの様に似た部分が多い。
「はじめまして。
ファリン・綺堂・エーアリヒカイトと申します。
どうぞ、お見知りおきを」
可愛らしい笑顔で、丁寧にお辞儀をするファリンと名乗った少女。
何処からどう見ても人間の少女だ。
しかし、彼女が名乗った『エーアリヒカイト』はノエルと同じ姓。
そして、ミドルネームの綺堂も同様だ。
それはノエルが姓として使っているもの。
人と見分けがつかぬという古のエーディリヒ式自動人形、ノエルと同じ姓なのだ。
「忍、この子はやはり」
「ええ、エーディリヒ式自動人形よ。
と言っても、9割は私の自作だけどね」
俺の疑問に答え、ちょっと誇らしげに胸を張る忍。
俺はよく知らないが、実際誇って良い事なのだろう。
既に失っている技術である自動人形を修理できるだけでも相当の事。
それを9割自作で復活させたとなれば、最早忍の才能を認めない者はいまい。
「この子がそうなのね。
すずかちゃんの家からでてきた完全なジャンクをよくここまで……
というか、原型留めてないわね」
さくらさんはもう賛美を通り越して呆れすらしている。
さくらさんがそこまで言うならやはり忍は凄いのだろう。
「大変だったわよ〜。
なんせ荷物を整理してたら見つかった、って言っていたのも大破したものだったし。
中枢中の中枢といえる機関以外は完全に死んじゃっててね、メインフレームもダメだったわ。
使える様にしたら本来の身長より頭一つ分小さくなっちゃったし。
それにノエルとイレインの予備パーツと、イレインレプリカの残骸を掛け合わせてなんとかできたのよ」
本当に大変だったのだろうが、それを楽しそうに語る。
それはきっと新たに自動人形を完成させた喜びや、ノエルに妹を作る事ができた喜び。
そんな沢山の幸いを得たからこそ、そこに至るまで通った苦労など笑いながら話せるのだろう。
しかし―――
「勿論エッチな事も可能よ。
身長にあわせてやや狭めで、締め付けなどを強化。
今なら人工処女膜付き。
お互いの同意の上でどうぞ〜」
この、付け加えがなければ良い話だったのだが。
そう言う用途も元々ついていたそうだが、そこにまで手を加えたのか。
言ってはなんだが、それをしなければ別に徹夜しなくても間に合っただろうに。
「忍……」
完全に呆れているさくらさん。
まあ無理も無い、俺も呆れている。
「あ、あの、お望みでしたら、いつでも……」
そして、顔を赤くし、恥じらいまで見せて申し出るファリン。
……恥じらい?
「随分完成された感情を持っているな。
それに表情も豊かだ」
俺が知るのはエーディリヒ式の自動人形はノエルのみだが。
しかし、一応同型というにはノエルと比べて随分とストレートに感情を表現する。
ノエルも十分に人らしい感情を持ち、いろいろな表情を見せてくれるが、ここまでのものは見た事がない。
「ええ。
ノエルの長年のノウハウとイレインのデータがあったからね。
本来のエーディリヒ式より初期から人に近い感情を持ってるわ。
この感情はこの子のだから、恥じらっているのは私がインプットしたものじゃないわよ」
ノエルを完成させてきた経験と完成された感情を持つイレインの参考データ。
その2つを持って完成されたのが、このファリンと言う事か。
因みに後々わかる事であるが、このときファリンが見せた恥じらい。
それは女性型として、裸を見せたり、そう言う行為が恥ずかしいと言う知識に基づて、というのもある。
だがそれよりも、自分はイレインやノエルと比べると幼い身体であること。
身長に見合った、スレンダーな身体になっている事を恥じたのだとか。
同型であり姉であるノエルとの比較ができる俺なら尚更とも言っていた。
「ともかく、これからよろしく、ファリン」
「はい、よろしくお願いいたします。
恭也様」
「一応さっき自己紹介したときに解ったと思うけど、ノエルの妹って事になってるから。
それで、今日から来るすずかの専属メイドね」
「ああ、解った」
忍達の秘密。
人とは少し違う『夜の一族』と呼ばれる者たちの事を知るのは、俺ともう1人、『神咲 那美』のみ。
それにノエル達自動人形であることも秘密である事も同様である。
故に、この家に来る機会のある俺の家族たちへの説明として。
それ以前にこの社会で存在する為に、そう言う設定が必要となる。
尤も、ノエルの妹というのは、聞けば誰も疑わないし、事実そういうものであろう。
「ノエル、妹ができた感想は?」
「そうですね……正直よく解りません。
今までに経験した事がない事ですので、どう表現したものか」
ノエルは恐らく幸いであるのだろうが、それを表す言葉に迷っていた。
だが、俺はノエルのその表情を見れば、それで十分だった。
「さて実はね、荷物がここにあるのって、ファリンの動作テストの為なのよ。
まだ簡単な動作テストしかしてなくて、丁度いいと思って。
一応パワーはノエルの8割、その代わり速度が1.1倍になっている筈よ」
「はい、8割とはいえ、自動人形です。
こんな大きな荷物も軽々です」
と、ファリンは箪笥を持ち上げる。
確かノエルは1トンくらいの過重に耐えられるのだから、ファリンは800kgは大丈夫と言う事になる。
箪笥はそこまで重くは無いだろうが、非力そうな見た目からは想像もできない力があることは解った。
だが、
「ただね……」
忍がそう呟いたときだ。
箪笥を持ち上げたファリンがふらふらと動き……
「あ、わっ!」
「むっ!」
倒れる、と思い、俺はすぐに助けに入った。
同時にノエルが動くのも見える。
ドンッ!
「いたたた……
申し訳ありません、転んでしまいました」
尻餅をつくファリン。
箪笥は俺とノエルで支えたのでファリンが押しつぶされる事もなかった。
「仕様でね、バランサーが少し問題があるの。
因みに、何も無い所でも転ぶから。
通称ドジっ娘回路って言うんだけど」
のたまう忍。
そこへ動いたのはさくらさんだった。
スパンッン!
見事なスリッパ捌きで忍にツッコミをいれるさくらさん。
「貴方は……どんな方向に才能をつかってるの!」
怒りというか呆れというか、困った顔のさくらさん。
それに対し、忍は叩かれた場所をおさえながら弁解する。
「冗談よ〜。
ほら、ファリンってもともとはノエルと同じ身長があるのよ。
でもメインフレームの関係上、頭一つ分身長を低くしたからバランサーが誤作動を起こすの。
バランサーの制御は移植した中枢機関でやっててね、私も調整したんだけど、どうも上手く書き換えられなくて。
こればっかりは、ノエルと同じ様にちょっと時間掛けて直さないといけないかも」
自動人形の事は解らないが、忍の説明はよくわかる。
いきなり重心位置が変われば、人は歩くことも困難になるだろう。
それと同じ事だ。
「そう言うのは始めからちゃんといいなさい」
「まあ、暫くはドジっ娘として通すわ」
その後、ファリンと共に荷物を運ぶことになる。
今日から一緒に暮らすと言う事で、こちらに来るまでに終らせなくてはならない。
ファリンのテストも兼ねているが、ファリンだけでは終りそうにないのだ。
「わっ!」
「きゃぁっ!」
「はわ〜っ!」
ガラガッシャンッ!
どうやら、バランサーの問題と言うのはかなり大きいらしい。
忍が言ったとおり、何も無い所で見事なこけ方も見せてくれた。
そんな妹、ファリンを見たノエルは呟いた。
「この思いは、経験があります」
「ああ、那美さんか」
ノエルが整備中の時などに臨時でメイドをする那美さんは、注意力が散漫というか注意力の向け方が狭すぎるというか、何も無い所でもこけたりできる人だ。
実は、家の美由希も同様に何も無い所で転べるという特技があったりする。
彼女達も何らかの理由でバランサーがおかしいのだろうか、と考えてしまう。
ともあれ、それから昼食をはさみ、引越しの作業は続いた。
俺は相手が小学生とはいえ女性と言う事もあり、荷物を部屋の前まで移動させるだけだったが。
流石に部屋の中に入って荷物を出すわけにもいかない。
その作業は3時ごろまで続き、終了した。
「ふぅ、終ったわね。
間に合ってよかったわ」
「申し訳ありません」
時間が掛かったのはファリンの援護や後始末に掛かった為だ。
申し訳なさそうに頭を下げるファリン。
「仕方ないわ、貴方は起動したばかりだし。
これから調整していきましょう」
「はい、お願いいたします」
忍は、楽しそうだ。
ファリンの事も。
そして今は、片付け終わった部屋の主に関しての想いもあるだろう。
「そろそろかしら」
さくらさんが時計を見て呟く。
ノエルは先に迎えに出ている。
聖祥付属の生徒と言う話で、近くにバスが停まるのでバス停までだが。
「ただいま戻りました」
「こんにちは、おじゃまします」
玄関からノエルと、女の子の声が聞こえた。
「あ、きたきた」
嬉しそうな忍を先頭に、俺達は玄関に向かい出迎える事にする。
玄関まで来て、やってきた女の子と対面する。
忍と同じ髪の色、忍と同じ瞳の色。
丁度、忍をそのまま子供にした様な容姿の女の子がそこにいた。
忍の妹だと言えば、恐らく誰も疑うまい。
それくらい、外見は似ていた。
「いらっしゃい、すずか。
そして、今日からはおかえりなさい」
「あ、忍さん。
はい、今日からお世話になります」
礼儀正しく挨拶する月村 すずか嬢。
私立聖祥付属の生徒だと言う事は先ほど聞いたが。
はて、この制服にこの姿、そして名前……どこかで覚えがあるのだが……
「あ、さくらさんも、こんにちは」
「ええ、こんにちは」
「それで……そちらの方は?」
俺を見るすずか嬢。
まだ思い出せないが、少なくともこうして向かい合うのは初めての筈だ。
「高町 恭也と言う。
よろしく」
「マイダーリン。
誓いを立ててくれた人で、一般―――あ〜一般人じゃないか。
強いもんね〜」
俺が名を名乗ると、寄ってきてそんな付け加えをする忍。
一般とは、どう言う基準の一般の事を言っているのかは不明だ。
確かに戦闘力ととるならば、俺は一般的とはいえないだろうし、その他にも一般的とは言いがたい部分が多々思い当たる。
「え……あ、私は月村 すずかです。
よろしくお願いします」
何故か落ち着かない様子のすずか嬢。
俺を警戒している様子だが。
「ごめんなさいね、この子にはまだ誓いを立てて貰った人がいないから。
まあ、年齢上まだ仕方ないのだけれど」
「そうか、年齢か。
確かにそうなってしまうのか」
つまりは、自分達が『夜の一族』だと知っている人とどう接していいか解らなくて困っているのだろう。
まだそう言う人がいないのは、小学生では仕方ない。
秘密を打ち明けられそうな人は、小学生では同年代の友達と言う事になるだろう。
しかしこの年齢で同年代など、秘密を明かす対象としてはほぼ論外になるだろう。
よほどの人でない限り、子供では秘密を護り通すと信頼するのが難しい。
なのはならば、久遠のこともあるし、信頼を得られそうだが。
ん? なのは?
ああそうか、『月村 すずか』と言えば、なのはの友達の1人だ。
確か前になのはの口から名前を聞いたし、なのはをバス停まで送り迎えをした時に窓から見た事もある。
しかし、なのはは信頼できるからといって、そう言って良い物ではないだろう。
証拠である久遠も、夜の一族と同等の秘密事項だ。
忍は知っているが、親戚だからという理由で話すわけにもいかない。
「あ、そうそう、すずかに紹介する人がもう1人いるわ。
ファリン」
俺が少し考えている間に、忍はファリンを呼ぶ。
因みに、呼んで紹介する為に後ろで待機させているのだ。
俺の時もわざわざ待機させていたらしい。
「はい。
はじめまして、すずかお嬢様。
ファリン・綺堂・エーアリヒカイトと申します」
すずか嬢の前に立つファリン。
己の主人となる人の前に。
期待という表情を浮かべながら。
「え、あ、よろしく……
って、え? エーアリヒカイトって、ノエルさんと同じ……忍さん、この子まさか……」
「ええそうよ。
そしてこれは私から貴方への贈り物。
今日からファリンは貴方の専属メイドよ。
まあ、元々貴方の家のだけど」
「え、あ、あの……ありがとうございます」
少々混乱気味のすずか嬢。
見つかった時の状態というのは知らないが、忍の修復に驚いているのだろう。
それから、お茶を飲みながらファリンの説明をする忍。
すずか嬢はだんだん落ち着きながらも、忍の説明に今度は興奮している様だ。
「凄い! 可愛い〜」
ファリンの性能を聞いて驚き、ファリンがいかに人と変わらないかを頭を撫でたりして確かめる。
目が綺麗に輝いている。
ファリンは、主人となった人に誉められて嬉しそうだ。
「忍さん、本当にありがとうございます」
とりあえず落ち着いて、もう1度忍に頭を下げるすずか嬢。
「いいわよ、これからは家族なんだから」
妹の様な者ができ、忍も嬉しそうだ。
「まだ起動したばかりで、至らない点も多々あると思いますが。
これからよろしくお願いします」
「この子の至らない点は私が補います。
私の妹ですから」
ノエルも言葉からして妹が出来た事を実感し喜んでいる。
幸いな事だ。
「あ、そうだ。
すずか、家族になったんだから、その『忍さん』ってのはダメ」
忍は今のノエルの発言あたりで何かを思いついた様で、突然そんな事を言い出す。
俺ほどではないが、悪戯が好きだから何か言い出しそうだ。
「え?」
きょとんとするすずか嬢。
その反応を待ってから、忍は続けた。
「私の事は姉だと思ってくれないかしら」
外見上も姉妹で通るのだ。
そして家族となり、一緒の家で住むなら、そう言う考えもまた然り。
まあ、さくらさんの事を呼び捨てにする忍が、姉と呼ばせるのを強制する事は無いだろう。
半分は言ってみただけだと見える。
だが、
「あ、はい……では、その……忍お姉ちゃん」
「うんうん、なあに、すずか」
少し戸惑りつつも、すずか嬢は忍を姉と呼ぶ。
その呼び方に嬉しそうな忍。
一人っ子である忍は、どこかでそう言うのに憧れていたのかもしれないな。
さくらさんはこの家に住んでいる訳ではなかったし、こう言う関係の人ができるのは初めての経験だろう。
「あ、そういえば恭也さん。
恭也さんの苗字は高町でしたよね? もしかして……」
「ああ、高町 なのはは俺の妹だ」
先の自己紹介の時には気付かなかった様だが、落ち着いて思い出したのだろう。
俺は、最後まで尋ねられる前に答えておく。
「じゃ、じゃあ……」
俺の答えにすずか嬢は期待の眼差しを俺と忍に向けた。
―――いや、それは期待というよりも『すがる』というものに近い。
「残念だが、なのはは『夜の一族』の事は知らない。
ノエル達の事も含めてなにもな」
「そう……ですか……」
俺は、あえてキッパリと否定した。
そして、落胆するすずか嬢。
それを見た俺は、忍とさくらさんに視線で相談を持ちかける。
俺の意図する事がすぐに伝わったらしく、2人とも頷いてくれた。
「すずか。
なのはちゃんには貴方から打ち明けなさい」
「え?!」
「なのはちゃんの兄である恭也くんは受け入れているわ。
そう考えれば気が楽でしょう?」
「そ、そんな! 私……」
忍とさくらさんの言葉に強く反応する。
それは最後には恐怖という感情を見せ、俯いてしまう。
「お嬢さま……」
主の様子をおろおろとしながら見つめるファリン。
ノエルに止められて近づく事も許されない。
ノエルは解っている、今どうするべきなのかを。
「貴方の気持ちは解るわ。
でも、だからこそ貴方が決めるべきだわ。
私達は極力なのはちゃんには知られないようにする。
そして、もし知られても、私達の口から誓いを聞かないからそのつもりでね」
「はい……」
まだ俯いてはいるが、返事はきちんとしたすずか嬢。
今はまだ迷うだろう。
その気持ちは俺にも解る。
少なからず、一般の人とは違う俺は。
美由希も経験している事でもある。
だが―――そう、さくらさんも言う様にだからこそ、乗り越えなければならない。
自分で乗り越えてこそ、その先にはきっと輝くものがあるから。
と、その時だった。
玄関のチャイムがなった。
来客を知らせるチャイムだ。
「なのはちゃん?!」
迎えに出てみれば、そこに居たのはなのはだった。
久遠も居る様だ。
兎も角、これ以上ないタイミングの登場だ。
「あ、噂をすれば」
「それにしても狭いものだな、人と人との繋がりは」
「そうね」
とりあえず、俺達はすずか嬢となのはと俺達の関係についての感想を述べておく。
「ビックリしちゃったよ、住所よく見たら忍さん家の住所なんだもん」
「忍さんとなのはちゃんって知り合いだったんですか?」
すずか嬢は先ほどまでの表情が吹き飛んだ様に明るい笑顔でなのはと向かい合っていた。
先のような悩みはなのはの前では隠しているのだろう。
ああ、おそらくは常に隠しているのだろうから、慣れているのか。
とてもそうは見えないが。
「まあ、恭也の妹だからね。
でも、すずか、呼び方が違うわよ」
「あ、忍お姉ちゃん」
「うんうん。
……なんか、こう、良いわよね?」
「家族が増えるのはいい事だ」
忍のこれは先までの会話を隠す為というよりも素であろう。
まあ、実際家族が増えたのは幸いなのだろうが。
「それもあるけど、こう『お姉ちゃん』って呼ばれるの」
「……良くわからんな」
呼称にこだわりは無いので、そこの部分は理解できない。
まあ、俺の周りには普段からいろいろな呼称をする人がいるから、慣れてしまっているのもあるだろうか。
「あ〜、恭也には普通に妹が2人もいるから解らないか。
私は少しだけ、『妹萌え』なるものが解った気がするわ」
忍は更に俺のわからない言葉を使う。
『萌え』とはなんだろうか。
「ビックリしちゃったよ。
忍さ……忍お姉ちゃん達なのはちゃんの事を知ってて」
「わたしも。
忍さんには姉妹って居ない事は知ってたから」
仲良く話すなのはとすずか嬢。
この2人は今後どうなるだろうか。
まあ、俺は心配していないが。
「あ、そうそう、紹介しておかないと。
ファリン〜」
「は〜い」
本日三度目の紹介となる。
忍の呼びかけにファリンがやってくる。
が、
「おまたっせ、きゃ〜〜」
ズザァァァンッ!
今度は見事に登場時点で転んだ。
それはもう、どうやったらここまでと言うくらいの転び方だった。
忍が本当に『ドジっ娘回路』なるものを仕組んでいないかと疑うくらいに。
「仕方のない子ですね。
大丈夫ですか、ファリン」
「いたた……す、すみません」
「えっと、ファリン・綺堂・エーアリヒカイトと申します。
以後お見知り置きを」
「私の妹でございます。
まだまだ人前に出せる様な者ではありませんが、どうぞご容赦を」
ノエルに助け起こしてもらって、自己紹介をするファリン。
ちゃんと秘密を知らない人用である事も忘れない。
「高町 なのはです。
この家にはときどき遊びに来るのでよろしくおねがいします」
「はい、よろしくお願いいたします」
それから、またお茶をのみながらの雑談となる。
今度はなのはも交えて。
「これからは、なのはもここにくる事が多くなるだろうな」
「そうね」
元々なのはは忍とゲームで遊ぶ為にときどき訪れていた。
それが友人もここに住む事になったのだ、頻度は飛躍的に多くなるだろう。
心配なのは、それで忍達やノエル達の事でボロがでないかだ。
「まあ、なんとかなるわよ。
それに、例え何かあっても大丈夫でしょう」
「そうね、なのはちゃんは良い子だし」
「ええ、その点は特に心配してません」
なのはが居るので主語も動詞もろくにない会話。
だが、それだけで十分伝わるし、なのはにも変な会話と思われるほどではないだろう。
俺達は暫く、久遠も交えて仲の良い子供達をみていた。
「お、もうこんな時間か」
ふと、時計を見ると、時刻は17時になろうとしていた。
「何か用事?」
「ああ、今日は病院に行く事になっている」
「あら、そう。
送って行く?」
送るとは、ノエルの車での事だろう。
自転車できているが……
病院に寄って帰宅する時間を考えると、お言葉に甘えた方がよさそうだ。
「そうだな……
なのは、お前はどうする」
なのはは此処まで久遠とバスで来たのだろう。
久遠はバックの中にでも隠れてもらって。
久遠は見た目に反してこれ以上ないくらいの護衛にもなるが―――
カンが、なのは達を放っておいてはいけないと告げた。
「え?
うん、じゃあ一緒に」
「そう、またね、なのはちゃん」
「うん、またね」
友達と別れを告げて俺の方へとくるなのは。
「では、また。
ノエル、よろしく頼む」
「かしこまりました」
それからすぐ、ノエルの車で1度家へ、それから病院へと向かう。
だが、その途中だった。
「あ、ノエルさん、ここでいいです、ちょっと藤見台に寄りますから」
「そうですか、解りました」
なのはは、何か気になる事でもある様子で車を降りた。
「気をつけてな、夕飯までには帰るんだぞ」
「はーい」
藤見台に行くと言う事は父さんの墓に行くのだろう。
日もまだあるので、止める理由は無い。
無いのだが―――何故か、行かせるのはとても危険に思えた。
久遠も一緒だというのに、何故か―――
しかし、結果として俺はなのはを見送る事にした。
それから俺は、病院の前で車を降り、フィリス先生を尋ねた。
なのはの事がやや気がかりながら、こちらも済ませなければならない用事だ。
「お久しぶりですね、恭也くん」
笑顔で迎えてくれるフィリス先生。
いつもの対応だ。
目だけが笑っていない事を除けば。
更に、トンと前に置かれたココアは匂いだけで激甘だと言う事が解る。
覚悟はしていたが、相当怒ってるな。
「ええ、お久しぶりです」
俺はいただいたココアを一気飲みする。
いれたてなので熱いが、味わえるものではない。
喉に触れるだけでもその甘味で眩暈がする。
どれだけの砂糖をいれたのやら。
「ぐ……ふぅ……」
なんとか飲み終える。
が、フィリス先生は今度はジト目で見てくる。
これくらいではまだまだ許してもらえないらしい。
「何時ぶりか、言ってみて下さい」
今度は懺悔を強制か。
まあ、仕方ない。
「そうですね、実に退院以来ですね」
前回の、フィアッセ関連での入院以来の来院。
その期間は実に1ヶ月。
本来ならそれがなくとも週一くらいで来る様に言われているのにだ。
事後処理などで忙しかったなどというのは言い訳にはなるまい。
見れば、フィリス先生は悲しげな顔をしていた。
「恭也くん、貴方は自分の身体の事を本当に理解していますか?」
「ええ、解っていますよ」
「そう……なら尚の事性質が悪いです」
フィリス先生は目を伏せた。
叫びたいのを堪えているのだろう。
いや、泣きたいのかもしれない。
どちらにしろ、原因の全ては俺だ。
俺にとって、去年の後半から今年の始めにかけては実に波乱万丈だった。
その詳細を人に語る事はできないが、入院沙汰4回。
半年の間に4回も入院しなければならない傷を負った。
ただ、入院といっても、どれも大した期間ではなかった。
1週間程度で退院というのが殆どだ。
だが、それが問題となった。
退院できてしまった事。
そこから更に無理を重ねてしまった事。
それが、俺の身体に重大な問題を発生させた。
「きっかけは、無茶な修行。
そこから立て続けての死闘。
それも、膝に問題を抱えたままで。
4回の入院の傷の合計では2回は死んでいる程のものです」
改めてフィリス先生は告げる。
そう、全てのきっかけは美沙斗さんに勝つ為にと、無茶な鍛錬をした上で彼女と戦った事だ。
それから立て続けに起きた事件に関わり、全て死にかける戦いがあった。
その結果が―――
「貴方の身体の傷は深くなりすぎて、一見健康に見えても中はボロボロなんです。
貴方が剣士として生きられるのは……後、5年。
それ以上無理をすれば、命は自乗比例して削られる事になります」
5年というタイムリミット。
いや、正確には違う。
そのリミットというのは正常に闘える時間。
その後も無理をすれば戦える。
100%とはいかなくとも、9割以上の力を発揮し、戦えてしまうらしい。
ただ、それをすれば寿命が縮まる、と言うだけの話だ。
後悔は無い。
全て、俺が選んだ道の結果だ。
何も失わず、幸いを得られた代償だ。
それならば、これくらい安いものだろう。
「普通に平穏に暮らせば、孫の顔を見ることは十分可能です。
戦うのも、後5年に留めれば、娘の花嫁姿を見るくらいはなんとかなります。
ですから……」
「フィリス」
俺は呼ぶ。
フィリスの名を。
俯きながら続ける言葉を止める為に。
「フィリス。
俺と貴方の付き合いは時間としては短い。
しかし、解っているだろう。
特にそちらは心も読めるのだから。
だが、そんな事をしなくても、俺がどうするかなど」
フィリスもフィアッセ同様のHGS患者である。
その『高機能性』たる由縁としてテレパス、心を読む事が可能な人だ。
尤も、常にそんな事をしている訳ではないが。
「恭也さん!」
フィリスが俺の呼び方を変えた。
医者と患者の時ではない呼び方に。
「ならせめて、ちゃんとここに来てください。
せめて、貴方の子が貴方の姿を覚えられる様に」
今にも泣き出しそうな顔のフィリス。
ああ、またやってしまった。
困った事だ。
この人の事を理解している筈なのに、どうしてもこんな事になるのを防げない。
「ええ、解っています。
此処の所は忙しかったんですよ。
本当にそれだけですから、次からはちゃんと来ます」
そう、ただ定期的に来ていれば良いのに。
例え気休めでも、彼女の気がすむまで診て貰えばいいだけなのに。
「ええ、お願いします」
立場的に強制などできないから、俺がそう答えればフィリスは微笑んでくれる。
そして、その言葉を実行している限り、フィリスは笑っていてくれる。
簡単なことの筈なのにな。
それにしても、フィリスは先から子供だの孫だのと言って表現する。
直接数字として言いたくないのだろうが。
だがそれでは、俺はいまいち実感できないのだ。
何故なら、
「孫、娘の花嫁姿……子供か……
俺はそれ以前に子供をつくるかどうか」
結婚していない、現状する予定がない男が子供の事なんて想像するのは難しい。
幸せな家庭ならば、高町家を思い浮かべればいい。
だがしかし、そこに父親の姿はないのだ。
本来そこに居るべき人は、もう居ないのだから。
そして、俺もおそらくは―――
「あら、欲しければ私が協力しますよ?」
俺の言葉に対して、そんな事を言ってくるフィリス。
俺の思考を読んだ上で、考えるのをやめさせる為だったのかもしれない。
「ここは産休もありますから、いつでもOKです。
とりあえず、何人くらい欲しいですか?」
笑顔で聞いてくるフィリス。
少しだけ想像する。
フィリスが子供に囲まれている風景を。
「貴方の子供なら、きっといい子でしょうね」
例え今は幼い所が残るフィリスでも、きっと立派に子供を育てるだろう。
どんな辛い過去があろうと、それすら強い力に変えて、どんな苦難にも負けない子に。
「ええ、恭也くんの子供なら、きっと強い子に育ちます。
頑固で、嘘つきでしょうけど、けれど真っ直ぐな強い子に」
「そうでしょうか」
「ええ、きっと」
明るい笑みを見せてくれるフィリス。
けれど、やはり俺は家庭の中で父親として在る自分が想像できなかった。
それから、フィリス先生の検査を受ける。
取り合えず新しい異常はなかった。
「はい、いいですよ」
「ありがとうございます」
立ち上がって服を着る。
新しい異常が無い事を嬉しそうにカルテをつけるフィリス先生。
「では、また」
「はい」
これで今日の予定は全て終った。
後は……
さて、何処へ行こうか―――
バシッ
診察室を出ようとしたその時だった。
いきなり腕を掴まれたのだ。
誰にかと言えば、フィリスしかいない。
「また……ちゃんときますよね?」
何故だろうか。
フィリスはどこか怯える様な感じがした。
俺が二度とこないとでも思えたかの様に。
ああ、今の俺の思考を変に読んでしまったのだろうか。
いや、フィリスも常に人の心を読んでいるわけではない。
そう考えるのは失礼か。
なら、俺の今の雰囲気から何か悪い方向に考えたのだろう。
ならば、問題はない。
「大丈夫だフィリス。
俺はこの街に居る。
何故なら俺が護りたいものはこの街に在るからだ。
だから、必ずまた来る。
もし遅れているなら、フィアッセでもレンでも誰にでもいってくれればいい。
俺はこの街の、あの家にいるから」
フィリスの柔らかい髪を撫でながら。
少し、子供にするように宥めた。
「……はい。
でも、言われる前に来てくださいね?
それと、あまり遅い様だったら乗り込みますから」
落ち着いたのか、微笑んでくれる。
ここにある、俺の大切なものの1つ。
だが、現状泣かせる一番の理由が俺なのが問題だな。
「ええ、肝に銘じておきます」
だから俺も、多分少しだけ笑って、その場から去った。
少しでも安心させられるように。
それから、俺は藤見台に来ていた。
なのはが行くと言ったからかもしれないが、自然と足が向いていた。
あの時はなのはの事が妙に気になったが、今はもうそんな感じはしない。
あの感じはなんだったのかは謎のままだ。
尚、この寄り道で夕飯には遅れてしまうが、もう連絡済みだ。
ともあれ、せっかくここへ来たのだから挨拶は済ませよう。
「……父さん」
海鳴と風芽丘の全てが見渡せるこの場所に眠る父。
俺は父とともに街を眺めるように声をかけた。
「皆は元気だ。
母さんも、美由希も、なのはも、フィアッセも、レンも、晶も。
周りに居る人も皆、元気だよ。
それに、美沙斗さんももうすぐこの街に来るそうだ」
美沙斗さんが抱える問題。
御神と不破の一族の仇である『龍』の問題はまだ解決していない。
だが、美沙斗さんが抱えていた心の問題は解決しつつある。
「フィアッセはティオレさんとのコンサートができた。
美由希も母親と再会できた。
レンの手術は成功し、晶も進む道を見つけた。
忍は新たな家族を得て、最近では友達も増えている。
那美さんは久遠の問題が解決して、今も仲良くやっている。
そして、母さんは今日も忙しく働いて、明るく笑っている」
自分の周りに居る人。
去年まではいろいろな問題を抱えていた人達。
それが今では解決して、それぞれ新たな道を歩んでいる。
「美由希の修行はもうすぐ完成する。
美沙斗さんもいるから、もう俺が教える事は無いといってもいい」
既に龍鱗の継承は済ませている。
まだまだ美由希に負けることは無いが、『教える』事は無くなりつつある。
「そう……
俺がやるべき事は全て終えた。
俺は、もう必要な存在ではないのだろう」
美由希や母さんやフィアッセには、俺が俺として必要な時期があった。
しかし、それも最早解決したといってよく、俺が居なくても問題ないだろう。
「後は、理不尽な暴力から護るだけ。
ああ、それだけでいい」
もう、俺が皆に何かをしてやれる事といえば、暴力から俺の力を持って護る事。
それだけだった。
ああ、だがただ1つ。
1つだけ心に残る事がある。
「なのはには……まだ何もしてやれていないな」
生まれる前に父親を亡くし、母は喫茶店の経営で忙しかった。
そして、兄である俺と美由希は修行に明け暮れ、ろくにかまう時間も無い。
それでも歪む事無く真っ直ぐに成長し、明るく元気でいる。
なのはが抱えている問題は、父が居ない事くらいであろう。
そして、それは解決しようの無い事。
「そういえば、最近は父さんに会いたいと思っている様だ。
俺達が話をしているからな」
今日もここに来るくらいだ。
アルバムの中、写真でしか知らない父。
会う事の叶わない人。
「せめて、俺が父さんの生きた道をみせてやれればいいんだが」
父である『高町 士郎』の生きた道を教えるのには、やはり御神流を通して教える方が良いだろう。
俺が父として知っているのは御神の剣士としてという部分がほとんどだ。
だが、今のところなのはに御神流を会得する気は無い。
父さんの血を引いている割には運動がダメらしい。
俺は例え才能が無くても教える気はあるが、本人の強い意志で望んでくれなければ半端に終ってしまう。
それだけはできない。
時々なのはは俺達の鍛錬を見に来ているが、その中へ入れない事への、なのはなりの代償行為だろうか。
「後は仕事がいかなるものかを知れば良いのだが……
それは更に難しいな……」
父さんの生きた道と言うのは既に話せる限りは話している。
後は言葉以上の情報。
つまりは実体験となるが、御神流を教える以外となるとそう言う現場を見ると言う事になる。
だが、そんな事はできない。
いや、やろうと思ってできる事ではない。
「どうしたものだろうか」
現状でできる事。
俺がなのはにしてやれる事。
鍛錬、特に組み手などの見学を勧めてみるというのもあるが。
「とりあえず、もう1度御神の剣の道に誘ってみるか。
……父さんなら、どうした?
やはり静馬さんや美沙斗さんと同じ様に選ばせただろうか」
多分、そうだろう。
俺にも強制はしなかったのだから。
自分の在り方を示し、その上で選ばせただろう。
既になのはは俺が戦い、護っている事を知っている。
去年からの事件で、隠しきれない程の戦いがあり、その結果として今がある。
なのはは、あまり直接尋ねてくる事はないが、多分解っているのだろう。
「となるとやはり、鍛錬風景を見せてもう1度誘う、と言うことになるか」
運動音痴な事など関係ないともう1度説き、誘おう。
それでもしやる気があれば、可能な限り俺が教えて行こう。
まだ、俺の身体が自由である内に。
できる事は全てやっておきたい。
「まあ、そんな感じだ」
俺は、今まで独り言として行っていた事を全て報告とする。
ここへ来て、考えがまとまってよかった。
「では、また来る」
俺は父に告げ、その場を後にした。
もう日が沈みきろうかという藤見台を。
まさに昼と夜が切り替わる、そんな瞬間―――
キィンッ!
その時だ。
俺の視界の隅に光るなにかが映った。
「ん? なんだ」
気になって近づいてみると、そこには黒い石があった。
宝石かもしれない。
その類の知識は無いが、黒く輝く菱形の石だった。
「誰かの落し物だろうか?」
俺はそれを拾い上げる。
触ってみると、手に吸い付く様な感じがした。
「……」
俺はその石をポケットに入れ、家路についた。
既に夕飯の時間は過ぎているが、残しておいてある筈だ。
俺が食わねば洗物が片付かないだろう。
俺は今からでもと、帰宅を急いだ。
この時、俺はこの石を宝石と思いながらも、落し物かもしれないと考えながらも、何故か交番に届けるという発想をしなかった。
「ダメ、その石を持っては……」
どんな時でも周囲に気を配っている筈の俺が、声を聞き逃すなど。
普段なら、在り得ない筈だった。
その後、俺は家について、夕食を済ませ軽めの夜の鍛錬を終え、眠りについた。
その間、1度も黒い石を手放す事無く。
そして深夜。
ヴォウンッ!!
「なんだ!」
突然、周囲の環境が一変したかのような感覚を覚え、俺は飛び起きた。
そして、立ち上がり、身構えると。
そこには―――
それが、この事件の始まりだった。
俺が影から関わるこの石にまつわる戦い。
ジュエルシードとの戦いの初戦となる。
後書き
新連載作品の裏側プロローグ〜。
はてさて、この話はなのは編の裏にして、恭也の物語。
私と、掲載サイト管理人様にとってはメインの物語だったりする話。
でも、連載開始当初は隠してますけど。
さて、正式掲載の前にここを見つけた方へ。
まず、注意しておきますが、隠しているにはそれ相応の意味があります。
ここ裏の物語では今後表に影響する情報が多々描かれます。
その為、まずなのは編が終了するのを待ってから読むことをお薦めします。
多少のネタバレなんて気にしない方はどうぞ。
追伸
ここを正式掲載前に見つけた方は、掲示板等にここの情報を載せない様お願いします。
ほのめかすのも無しです。
もし、感想をいただけるならメールでお願いします。
しっかし、強者揃いのこのサイトの読者だと大抵は見つけられてるんでしょうね〜
管理人の感想
管理人です。
T-SAKA氏に新連載・裏を投稿していただきました。
表の物語であるなのは編の裏を綴る物語。
そして私にとってはまさしくメインのお話。
原作より洒落にならない状態の恭也。
果たして彼はジュエルシードを巡る戦いでどうなっていくのか。
しかしフィリスとの仲が怪しいですよね彼。
他の女性陣(フィアッセや忍等)を含めた恋愛関係も気になるところです。
そういえば、この時点でフィリスって実際年齢は8歳なんだよなぁ……なのはより年下。
さて、上でT-SAKAさんが仰られていますが、このSSについては時期がくるまでオフレコでお願いします。
もしBBSに情報が載ったりした場合、警告なしで記事を削除するかと。
あるいは、この恭也編自体をなのは編終了時までネット上から退避させるかもしれません。
ゆめゆめお気をつけください。
感想はBBSかメール(ts.ver5@gmail.com)まで。(ウイルス対策につき、@全角)