輝きの名前は
第4話 それぞれの理由
深夜 住宅街上空
パリィィンッ!
音の無い響きが木霊した。
それは偽りの世界が砕け、元の姿に戻ろうとするもの。
本来ありえざる二重の世界とされていたものが一つへ。
しかし、作られた側の世界での変化はその世界が解かれると同時に無かったものとされる。
結界が解除される瞬間。
なのは達はそれを外から見ていた。
「……ダメだわ、結界解除に撹乱の効果を入れてる」
「視認も出来ない」
なのはの肩に乗る妖精形態のアリサ。
そして大人モードで戦闘形態になっている久遠。
1人が探すのはこの結界を構築した主。
先日戦った魔導師の少女と使い魔だ。
「……」
アリサと久遠が全力であの2人を探している中、なのははただ黙って崩れる結界を見ていた。
その瞳にはいつもの輝きはなく、戦うと決めた覇気も無い。
(……あの2人を見つけられないのは、今はいいかもしれないわね)
(なのは……)
そんな友を見て、アリサと久遠はあの2人が上手く撤収してくれた事に安堵すらしていた。
なのははジュエルシードの反応を感じ取った時、今まで通り迷い無く飛び出した。
その時は、アリサと久遠の心配など余計なものであったと思えた程だ。
しかし、現場に到着する直前、結界が展開されたのだ。
ジュエルシードを取り込むかたちで。
それは間違いなく先日のあの2人の仕業だった。
それが解った時、なのはの表情は曇った。
厳密に何を思っているのかは解らない。
先日の敗北の恐怖と考えるのが妥当だろう。
ただ、それも含めていたとしても複雑なものだ。
(間違いなく敵とはいえ、人との戦闘か……)
アリサは考える。
なのはには、もう無理なのではないかと。
他人の事を言えないが、なのははまだ子供で、この世界の常識からすれば戦いなどという行為の中にいるべき者ではない。
しかしそれでもと、なのはは今まで戦ってきた。
悪意の魔法であるジュエルシードと。
それはカタチが無く、生物でもなく、本当に悪でしかないものだ。
だから、なのはは戦えたのだろうと、アリサは思う。
(なのはは優しいから……)
自分を拾い匿って、更に一緒に戦ってくれる子である。
この2週間あまり一緒に居て、なのはがどんなに優しいかを理解しているつもりだ。
だから、なのはには人に力を、暴力を向ける事はできないのではないか、そう考えている。
(私がもっと強ければ……)
結界を張るだけで精一杯の自分。
今まではなのはと久遠が強いから、それでも十分だったかもしれない。
しかし、なのはは人と戦えない。
だが、なのはがいなければジュエルシードを封印できない。
だから、なのははどうしても必要なのだ。
故にアリサは悩む。
自分はどうするべきなのかを。
戦いに巻き込んだ事を改めて考え、今後どうする事が最善かを考える。
そしてそれは久遠も同様だった。
(この力は、破壊の為にしか使えないというの?)
親友を護れなかった。
これだけ強大な力を持ちながら、目の前で愛する人が傷つくのを止められなかった。
自分の力は何の為にあるのか、どうしても悪い方へと考えてしまう。
結界が解かれ、正常となった世界の夜の空で、3人の少女は想いを巡らせていた。
闇は、まだ深い
翌朝
昨晩は出動はあっても戦闘や封印はなかったので、肉体的にも精神的にも疲労は無い。
それは、戦闘によって疲労を加算されなかったというだけであるが。
ともかく、今日もなのははいつも通りに朝起きて、いつも通りに振舞う。
「おはよー」
「おはよう、なのは」
家族と朝の挨拶を交わして、朝食を摂る。
何一つ変わらぬ日常の風景だろう。
少なくとも、見ただけでは。
「おししょーは今日も外ですか」
「ええ、でも昨日は月村さんの所だって言ってたわよ。
一昨日は山に居たみたいだけど」
姉達が兄の話をしている。
先週くらいからずっと家を空け、しかし街の中でずっと何かを探している兄。
一般人では見つけられる筈の無いもの。
堕ちたる魔法の種、ジュエルシードに翻弄され続けている人。
(全部集まって、完全にジュエルシードの気配がなくなるまで続けるんだろうな……)
兄は既に2週間近くジュエルシードの気配に翻弄されている。
夜まで外に出る様になったのはまだ数日だが、その前から警戒し続けていただろう。
兄は強く、自己管理はちゃんとしているだろうから、無理をして倒れてしまう事は無いはずだ。
それはなのはでも十分解っている。
だが、だからこそ兄は全てが終わるまでこのままなのだ。
いっそ1度倒れてしまえば病院でゆっくり休めるかもしれないが、それは無いのだろう。
兄は、何かも解らず、見えない敵をずっと追い続ける事になる。
「なのは、恭也が心配?」
兄を想うなのはを見て、母桃子が訪ねてくる。
あまり表に出さない様にしていたつもりだったが、やはり解ってしまったのだろう。
なのはも隠しきれていないのがあるだろうが、それでもやはり気付けるのは母親だからだろうか。
「うん。
おにーちゃんご飯とかどうしてるのかな」
実際思っている疑問の1つを口に出して、一番の懸念だけは知られない様努めるなのは。
しかしそれもいつまでもつか、母に対してどこまで誤魔化せるか、最近少しなのはは自信がなかった。
「外で食べる事もあるみたいだけど、家から持っていったりしてるよね」
「はい。
うちらに連絡が入ってお弁当を頼まれる事があります」
「そうなの?」
だがとりあえずは、今明かされた事実に思考を傾けた。
たまに帰ってきているのは知っていたが、お弁当を持っていっているのは知らなかった。
因みに、お弁当は家に取りに来たり、夜の鍛錬の時美由希が持って行ったりと手渡す方法はまちまちだ。
尚、着替えや風呂などで割とちょくちょく帰ってきているのだが、大抵なのはが学校に行っている間なのでなのはは知らない。
「後は月村さんのところで食べたり」
「あ、それは知ってる。
たまに来るって、すずかちゃんも言ってたし」
すずかから聞く兄の話はいろいろ新鮮なものだった。
何故かすずかが話の途中ですごく困った顔をする事があるのが気になるが、しかしそれは嫌のものではない。
それが兄の悪戯であるのかどうかも判断できないが、きっと後から考えれば楽しいものと言える事なのだろう。
「家にも来る事あるよ。
でも、この前は恭也がご飯作ってた。
アイリーンが作らせたみたいだったけど」
次に述べたのはフィアッセ。
アイリーンこと、アイリーン・ノアはフィアッセのルームメイト。
同じソングスクールの人で幼馴染にして親友である人。
フィアッセ程ではないが、たまにこの家に来る、高町家にとっても馴染みの人だ。
「そういえば、おにーちゃん料理できるんだっけ」
「あ、うん、高町家で料理できないの私だけだし……」
なのはの言葉に落ち込む姉美由希。
因みになのははレン達と手伝ったり、お菓子作りに挑戦したりしている。
少し前まではなのはも美由希の味方だったのだが、今や本当にこの高町家で料理スキルがないのは美由希だけになっている。
「後はフィリスのところにも来るって。
まあ、診察も兼ねてだから場所は病院だけど」
「そういえば、フィリス先生が夜勤の時はよく差し入れ持って行ってるよね」
とりあえず姉の事はそっとしておく事にして、フィアッセとの会話が続く。
恭也とフィアッセの担当医であり、他にも高町家はお世話になる事が多いフィリス・矢沢医師。
若い女性の先生で、特に恭也とフィアッセにとっては医者と患者の関係を越えて仲がいい人だ。
「あ、俺薫さんと歩いてるの見ましたよ。
なんか連行されている感じでしたが」
「薫さんが? どうしてそうなったんだろう?」
次の情報は晶からだ。
相手は久遠の飼い主である神咲 那美の義姉、神咲 薫。
兄とは親しい知り合いなのだという認識しかなく、『連行』などという状況が上手く想像できない。
「それ、多分さざなみ寮に来た時。
恭也、ごはん食べてたよ」
それは久遠がたまたまさざなみ寮に戻っていた時に見かけたものだった。
なにやら薫と那美が恭也と話しており、その後食事をとっていた。
管理人兼料理番がいないので、食事は薫と那美によるものだったりした。
「なんだろ、薫さんにお説教でもされてたのかな?」
「無理に関してのお説教なら定期的にお願いしたいところだけど」
美由希と桃子はそんな予想を立てて少し笑っていた。
なのはもそうなのかー、程度には考えながら、今度聞いてみようとも思うのだった。
「まあ、この街に居る訳だし。
見回っているんだから毎日野宿している訳でもないでしょう。
とりあえず毎晩お店を閉める時には送り迎えしに来るから、その時何か言っておこうか?」
「あ、うん、いいよ。
用事がある訳じゃないから」
母の提案になのはは少し迷ってからそう応えた。
事実『用件』は無く、事情を知るが故に『がんばって』といえる訳はない。
「そう?」
母は特にその後何も言う事はなかった。
まだ、ギリギリ誤魔化せているのだろう、となのはは思う。
だが自覚している。
今自分が、ジュエルシードの事と日常を切り離せていない事を。
兄が外に出たのは良かったかもしれない。
今居る家族に対してでも既に危ういというに、一番鋭い兄には何か見抜かれてしまうかもしれないからだ。
現状、なのはにはジュエルシードの事を隠し通せる自信がない。
放課後
学校の帰り、なのはは月村邸に来ていた。
すずかがここに越してきた事もあるが、最近は毎日の様に来ている。
それも、すずかの方から積極的に誘ってくるのだ。
前まではあまり無かった事だ。
「それでね、お姉ちゃんが―――」
「そうなんだ」
しかも、思えばすずかの方から話題を振ってきて、ほとんどすずかが喋る様な事も多い気がする。
前までであると、すずかと2人だけである場合、静かにお茶だけを楽しんでいる事もあったというのに。
「お嬢様方、お茶のお代わりを……ひゃぁぁ!」
「ファ、ファリン!」
「ファリンさん!」
そして時々、というより後ろで控えている時以外、ころんだりするファリン。
それもまた、ファリン本人には悪いが場を和ませる要素の1つと言えた。
小さなことで笑いあえるこの場は、きっと幸せな時間であろう。
そんな時間が、1時間程過ぎた頃だった。
「……なのはちゃん、やっぱり忘れられない?
今悩んでる事」
「……え?」
話が途切れ静かになったところで、すずかはそう訪ねてきた。
その問いで、はじめてなのはは気づく事ができた。
最近すずかからの誘いが多いのも、すずかが積極的に話すのも、それ全てなのはへの気遣いであったと。
悩みを抱えながら、日常ではそれを出すまいとするなのはへの助けとなればと思っての事だ。
日常と切り離せていないと思ってはいたが、そんな事にも気付けない程であったと、やっと自覚できたのだ。
「ごめんね……」
思えば、学校でジュエルシードの事―――
いや、あの少女の事を考えてしまっている事は多かった。
だからすずかは気付き、日常ではその事を考えて悩まない様に手助けしてくれていたのだ。
しかしそれでも、こんな楽しい時間の中であっても、なのははあの少女の事を忘れられずにいた。
その事をすずかは気付いたのだ。
「やっぱり、言えない事?」
「うん……」
なのはは申し訳なさそうに応える。
せっかくこうして気を使ってくれているのに、何も話すことはできないのだ。
しかし、そこになのはは続ける。
「でもね、悩んでるのは話せない事に関する事なんだけど。
それ以前に、わたし、何で悩んでるのかが解らないの」
そう、これがなのはのここまで悩む理由である。
今悩みを抱えている。
しかし、それが何であるか、それが解らないのだ。
答えなど出よう筈もない。
そして、元より話せない事に関する事ではあるが、悩み事態が解らないという悩みであるが故に、話すことができないのだ。
「何で悩んでいるのかが?」
すずかは驚きながらも処か安心している様子だった。
それは、何かすずか自身が抱えていた問題が少し軽くなった様な、そんな感じだ。
「うん。
何に悩んでいるのか、どうして悩んでいるのか。
わたしは、自分が何をしたいのかが解らないの」
それはなのはが今まで出会ったことの無い壁だった。
解決方法が解らないならば、参考にできる事をさがせばいい。
しかし何を問題としているのかが解らないのでは、解決手段の見当すらつかないのだ。
それが無限ループの様になって、今なのはに圧し掛かっているのだ。
「それは難しいことなの?」
すずかは問う。
静かに。
そしておそらく、答えを知った上でだ。
「解らないの。
でも、簡単な事の筈なの」
何を問題としているかは解らない。
しかし、それだけは解る気がした。
きっと、答えは難しい事などない筈だ。
でも、解らないのだ。
だからこそ悩みが深くなり、余計に問題を難しくしている。
「それならきっと、答えは近くにあるよ」
すずかは優しく説いた。
身近に在る答え。
既に答えは出ているのかもしれない。
なのははそれを見落としているか、気付いていないのかもしれない。
「そうなのかな……」
すずかの言葉を考える。
そう、簡単な事と解っているのに、何故問題が見えていないのか。
それは、きっと今までは『考える』という行為を挟んでいなかった事。
「覚えてる? 私となのはちゃんが友達になった時のこと」
尚も考えてしまおうとしているなのはに、すずかはそんな話題を振った。
なのはとすずかの出会いの話。
3年前の春の話。
「うん、覚えてるよ」
忘れはしない。
あの時からすずかは、なのはにとって友達の中でも特別になった。
そして、それはすずかにとっても同じ事で。
いや、すずかにとってはもっと大きなこと。
「本当に些細な事だったけど、私にとっては大切な事で。
それを護ってくれた」
「わたしはただ、すずかちゃんが泣いていたから、困っていたから放っておけなかったんだよ。
ただ、それだけだったよ」
「うん。
なのはちゃんにとっては、きっとそれが当たり前なんだよね。
でも、あの時助けてくれたのなのはちゃんだけだったよ」
「わたしが一番に気付いただけだよ」
「そうかもしれない。
でも、私は助けてくれたのがなのはちゃんで良かった」
すずかはなのはを見る。
少し困っているなのはを。
その視線は憧れという感情を含み。
そして、同時に信頼を伝えるもの。
「……ありがとう。
なんだか、少し解った気がする」
そんなすずかと見詰め合って。
何か、今まで霧が掛かっていた心が晴れた気がした。
「そう。
それなら、私も嬉しいな」
すずかは微笑み。
それからもう少しだけ2人で話をした。
その日の夕方
帰宅したなのははリビングで1人考え事をしていた。
悩んでいる事に関してではあるが、今日のすずかと話した事で何かが見えかけている。
それがなんなのか、少し落ち着いて考えているのだ。
自室ではなくリビングである理由は、今部屋ではアリサが集中して何か作業している事がある。
それにきっと答えは魔法の中には無いと、あえて日常の中で考えているのだ。
「あれ、なのは。
なにしてるの?」
そこへやってきたのは姉美由希。
テレビもつけず、1人でぼうっとしているなのはを見て話しかけてきた。
「あ、うん、ちょっと考え事を」
その部分は誤魔化しても仕方ないので正直に答える。
ここで何を、と聞かれたら少し困るのだが。
「そう」
しかし姉は追求する事無く、ただなのはの隣に座る。
話をするでもなく、テレビをつけるでもなく。
なのはの隣に静かに座っているだけの姉。
(何か、気付いてるのかな?)
姉は兄同様に鋭い、最近自分の様子がおかしい事など気付いていない筈はないだろう。
それでも自分がこうして考えている姿を見ても何も言わないのは、気付いているからこそなのだろうか。
とりあえず、ジュエルシードの事まで解ってはいないだろう。
しかし、なのはの倍近くを生きて、しかも普通の人よりも戦いの場に近い生き方をしている人だ。
なのはの悩みと同様のものを過去に抱え、それ故に感づいている部分があるのかもしれない。
だから、姉からは何も言わないのだろう。
今なのはに何かを追求したり、自分の答えを曝するべきではないと判断して。
故に、姉は隣に座ったのだろう。
優しい姉が、自分にできる事を考えて。
ただ静かに、何をするでもないが、確かに見守ってくれている。
(わたしは、きっとすごく恵まれている)
悩みに気付き、その上で日常に迎えようとしてくる友がいる。
そして、悩みを理解した上で、敢えて手を出さずに見守ってくれる家族がいる。
これ程の幸せはそうは無いだろう。
たかが10年も生きていないなのはでも、そう思えてしまう。
(そうだ……)
なのははふと思う。
今の問題の答えを見つける上で、まだ見えぬ問題を見つける為に、それに繋がる人の経験を聞きたいと。
「ねぇ、おねーちゃん。
おねーちゃんはおにーちゃんと始めてあった時、どうしたの?」
「え?
私と恭ちゃん?」
少し唐突過ぎる質問だっただろうか。
しかし先日の恭也の語りにより、兄と姉は血が繋がらず姉にとって兄は後付けで兄になった筈だ。
だから、普通の兄妹にはない『出会い』というのが存在した筈だ。
なのはは、その時のことを聞きたかった。
「ごめんね、覚えてないの」
だが、姉は少し困った顔で言った。
「そうなの?」
「うん。
私は、ずっと恭ちゃんが血の繋がらない兄である事を自覚してたけど、その始まりは覚えてないの。
……自分の母親の事すら、最近まで忘れていたし」
「あ……」
なのはは気付いた。
あまりに迂闊な質問であったと。
恭也が美由希の兄になった日という事は、つまり父士郎に引き取られた日で。
それはつまり、母親から捨てられた日だ。
「今はね、いいんだよ。
ちゃんと思い出したから」
なのはが謝るより先に、姉は微笑んだ。
「うん、でも、ごめんね」
「いいよ」
なのははまだ知らないが、それは去年に解決した事。
全て、とはいかなくとも、少なくとも誤解は解けた。
そして、また進む事のできる事なのだ。
「じゃあ、おねーちゃんが晶ちゃんを始めて連れてきた時の事は?」
姉の様子から、なんとなく大丈夫だという事を悟り、話を続けるなのは。
訪ねるのはまた『出会い』の話。
「晶を?
う〜ん」
その問いに美由希は先とは違う意味の困った顔をする。
そして、ちょうどそこへやってくる者があった。
「何の話をしてるんです?」
「あ、晶ちゃん」
エプロンをつけた晶だ。
夕飯の支度の途中で手が空いて覗きに来たのだろう。
「あ、うん。
なのはが、私が晶と初めて会った時の事を聞きたいって」
「え!」
美由希の言葉に、驚き、そして困った顔する晶。
その困り方の種類は、味でいうなら『苦い』になるだろう。
「ダメ?」
聞いてはいけない事だったかと問うなのは。
流石に人の過去に無断で入るわけにもいかない。
先の美由希の事もあるから退こうとも考える。
「う〜ん、なんというか。
あの時の俺は今考えると自分で殴り倒したい思いが」
だが、晶は口を開いた。
あまり人に話したくない過去だろうに。
しかしだからこそ、なのはには話そうとも思えるのだろう。
「何も見えてなかったんだよな、あの時は。
全部嫌で」
「それを私が力でねじ伏せて無理やりここに連れてきたよね」
「あ〜、あの時は今思い出してもすごかったな。
あの時はホント馬鹿だったから、まさか女の子に負けるなんて考えもしなかったし」
当時の晶は拳の打ち方の1つを知っているだけの子であった。
しかし、それだけでも同年代同士の喧嘩ならばまず無敵。
それを止めたのが、当時まだ修行を開始したばかりの美由希だ。
美由希もそれなりの手傷を負ったが、それでも晶を叩きのめして、家に連れて帰った。
そうした始まりがあり、今晶は高町家にいる。
その過程にはまだまだいろいろな事があるが、今はおいておこう。
「そうなんだ」
なのはのあまり好かない『暴力』での解決ともいえるだろう。
しかし、その結果が今目の前にあるならば、それは決して間違った事とは言えない。
完全に正しかったとは言えないかもしれないが、それでも良と思える今がある。
「お馬鹿なのは今も変わらんやろ。
いや、美由希ちゃんに調教されてやっとおサルレベルに上がったんか?」
「なんだと!」
そこに現れたのはレン。
そしていつも通りにじゃれあおうとする。
「2人とも、喧嘩はいけません!」
「「は〜い」」
しかし、なのはの前なので最初の威嚇だけで終わらせる2人。
(そういえば、晶ちゃんとレンちゃんの出会いもバイオレンスだったよね)
レンと晶の出会いは互いを高町家に入った泥棒と間違えて一撃放ち合った時だ。
それを考えれば在る意味当然の今で。
しかし、この日々の喧嘩はスキンシップといえる様なもので、けっして悪いと一概には言えない。
暴力に始まり暴力が続いたとしても、ここには確かに幸せと思える今がある。
「じゃ、俺は夕飯を」
「うちもやったるわ。
おサルの手際の悪さは見てるとイライラするからな」
「手間隙かけてると言え!」
言い合いながらも揃って台所に移動する2人。
(仲良しさんなんだけどな〜)
なのはは少し複雑に思いながら2人を見送るのだった。
そして、また姉と2人になる。
が、そこで携帯電話の音がなる。
なのはのものではない。
「ん? あ、ちょっとごめんね」
どうやら姉のものだったらしく、ディスプレイを見て部屋を出て行ってしまう。
「はぁ……」
そうして、また1人になったなのは。
1人になったリビングで、天井を見上げて考える。
1人で、静かに―――
「わっ!」
「にゃぁぁぁぁ!!」
突然の背後からの声。
なのはは座っていたソファーから飛びあがった。
「お、おにーちゃ……じゃない、アイリーンさん」
落ち着いて振り向けばそこには長く美しい蒼の髪を靡かせた、ロック少年の様な服装の美女がいた。
この服装でいてエレガントな歌を歌う、『若き天才』の2つ名を持つ歌い手である、アイリーン・ノアだ。
「驚いた?
でも恭也じゃなくて残念」
明るく笑いながら問うアイリーン。
歌しか知らぬ人が見れば絶対に驚愕するだろう素顔がここにある。
しかし、それもまた綺麗だといえる軽やかな笑みだ。
純粋な瞳はそれだけでも人を魅了するだろう。
ただ今その純粋さは、悪戯に成功して喜ぶ少年の様な、と形容できる部類のものだが。
「家でこんな事するのおにーちゃんくらいかと思ってたのに」
最初に兄を呼ぼうとしたのはそう言う理由だ。
なのはではたとえ油断しなくとも無理であろうが、兄は暇と隙があればよくこういう悪戯をする。
最近は嘘つき関係だと忍とタッグを組む事もあり強力だ。
だからこういう時はまず兄を疑うのは癖の様なものだ。
「あはは、ごめんごめん。
でもどうしたの? 1人で。
あ、恭也いないから寂しい?
ごめんね、最近少し借りた。
なかなか料理もいけたよ〜。
そして今日はここに夕飯に呼ばれてるんだけど」
明るく話すアイリーン。
歌っている時のイメージとは違うアイリーン・ノア。
フィアッセ曰く、これが普通のアイリーンらしい。
そう、アイリーンはフィアッセの幼馴染で、親友である人だ。
「あ、そうだアイリーンさん」
「なに?」
「少し、聞きたいんですけど。
現在親友であるフィアッセさんと初めて会った時の事は覚えてますか?」
フィアッセには後で恭也や美由希との出会いなどを聞こうと思っていた。
だからついでという訳ではないが、ここで聞いておこうと思った。
知っているつもりではいるフィアッセ・クリステラという女性と、このアイリーン・ノアの出会いというものを。
「私とフィアッセの出会いって事?」
「はい」
「唐突ね〜」
明るく言うアイリーン。
しかし、雰囲気が少し変わる。
アイリーンは少しだけ遠くを見ている様で、そして少しだけ静かな感じになったのだ。
先の美由希と恭也の出会いと美由希と晶の出会い。
どちらもとても大きな出来事であった。
人生を左右する程に。
だから、今アイリーンに問うた出会いも同様のものだったであろうかと、なのはは思った。
また、あまり聞くべきではない事を聞いてしまったのかと。
「なのははフィアッセの翼の事知ってるんだよね」
口調が少し変わる。
静かな口調に。
しかし、それは重いものではない。
ただ、懐かしむが故の静かさだ。
そして、明るさも失ったわけではない。
「はい」
フィアッセ・クリステラの病、通称HGS。
所謂超能力が使える様になる遺伝子上の病気と言えるものだが、その病が起こす現象として『リアーフィン』という光の翼がある。
HGS患者は力を発動させると、その背中に翼を持つのだ。
さまざまな種類があるらしいが、天使の様な白い翼を持つ者や、金色の翼を持つ者もいる。
その中で、フィアッセのリアーフィンは嘗て―――漆黒の翼だった。
あたかも、堕天使の如く黒く染まった二枚の翼。
そんな翼を持つが故、フィアッセがどれほど苦しんだか。
周囲の目、声、心、その全てがフィアッセを追い詰めた。
そして不幸だったのは、なのはの父、高町 士郎が彼女を護り、死亡した事だ。
それにより、フィアッセは自身を呪われた存在だと思い、心を閉ざした時期があった。
なのはは、断片的にしかそれらを知らない。
しかし、フィアッセが黒い翼で苦しんでいた事だけは知っているつもりだ。
「ゆうひがいたからまだましになってたけどね」
アイリーンの語りに出る『ゆうひ』とは、フルネームで椎名 ゆうひ。
アイリーンやフィアッセと同じ音楽学校に通った女性である。
そして、フィアッセの閉ざされた心を開いた人だ。
「大変だったわよ〜、名前で呼び合うまでは」
確かにゆうひの存在により、フィアッセは心を開いていた。
しかし、自分の翼を呪いだと思う心が完全に氷解したわけではなかった。
だから、アイリーンは語る。
当時、まだ人と接する事に怯えていたフィアッセに近づいていった時の事を。
その話をなのはは静かに聴いていた。
「まあ、いろいろあったわ」
時間にして5分程度だっただろうか。
軽く、といえるくらいに要約した話であった。
しかし、その語りはまるで歌の様に心が伝わり、情景が思い浮かぶ程だった。
「ありがとうございます」
だから、なのはは心からお礼を述べた。
大切な思い出を話してくれた事に対して、心を持って礼を送る。
「いいわよ、そんな改まったりしなくても。
そうね〜、もう少し詳しく話すと……」
徐々に調子が普段どおりに戻ってくるアイリーンの声。
ここから語られるのは恐らく、今の幸せな時間の話なのだろう。
今はほとんど全てといっていい問題が解決している。
嘗て黒い翼だったフィアッセも、去年ある事件がきっかけで翼が変質し6翼の白い翼になったのだ。
その事件自体は悲しいものが原因であった。
だがしかし、それは兄によって護られ、フィアッセの力によって何も失う事はなかった。
だから、今は語れる。
過去の暗い時代の話も、今ここにある幸せの時間の過程として。
なのはは、既に聞きたいと思っていた部分を聞いたが、その話も聴きたいと思う。
と、そこへ人がやってくる。
「あら、何の話をしてるの?」
現れたのは夕食を食べに帰ってきたフィアッセと桃子だ。
なのはは、フィアッセとアイリーンを見比べて思う。
この2人にもいろいろな歴史があったのだと。
その歴史あってこそ、今ここの明るい親友同士の2人がいるのだと。
「ちょっとね、なのはちゃんがフィアッセの話が聞きたいって言うから」
「え? 私の?」
楽しそうに喋るアイリーン。
しかし、その目を見たときなのはは思った。
これは、悪戯するときの兄と同じ目だ、と。
「そうそう。
だからフィアッセがいつもどんな寝言を言ってるかを事細かに教えてあげたの」
「ア、アイリーン!」
アイリーンは、なのはに、ねぇ〜とか言いながら笑う。
どう返していいか解らないなのはは苦笑するだけだ。
その姿を冷静にみれば、ただの冗談だと解るだろうに、フィアッセは声を上げる。
そして、そんなフィアッセに更に言葉を続けるのだ。
「もう、すごいのよ、こう布団を抱きしめて『恭也〜』って」
「アイリーン! 子供になんて事を!」
「あら、子供には話せない様な夢なの?」
「違います! まだそこまでは……」
「へ〜、そこまでは?」
「アイリーン!」
そうして、2人はあまり広いとは言えない高町家のリビングで追いかけっこを始めてしまう。
フィアッセはちょっと怒っていて、アイリーンはそんなフィアッセを楽しそうに笑う。
きっとこれも、幸せな今だからできる事。
「仲良しさんなんだね」
だから、なのはは思った事を口にして微笑む。
親友である2人の今を見ながら。
「うんうん。
スルーする所はちゃんとスルーできててお母さんも嬉しいわ」
横に立つ母桃子は、なのはの呟きに対してそんな感想を漏らした。
だが、なのはにはその言葉の意味はよく解らなかった。
しかし、だからこその母は良いとしているのだろう。
これもまた幸せの時間の一部だろう。
夕食後
今日は恭也がいない代わりにアイリーンが来て、にぎやかな夕食となった。
食後も暫くアイリーンと話していた。
本当に楽しい日常の時間。
それからなのはは自室に戻る。
「おかえり」
出迎えるのは妖精ではなく、人の姿に戻ったアリサ。
「なのは、待ってた」
そして、大人モードの久遠。
ここからは、非日常の時間だ
「どうしたの? 2人とも」
まず、なのはは問う。
2人とも、わざわざ自身の万全たる姿をしている。
それは、ただその姿をしているだけでエネルギーを消耗する姿でもある。
「ええ、ちょっと話があるのよ」
「今後の話をしたい」
そして応える2人。
今後―――2人がこの姿でいるという事で、何を示すか察せないはのはではない。
そう、今後のジュエルシードとの戦いについての話だ。
「そう。
なら、わたしも丁度話たいことがある」
それは今日決めた事。
いや、正確に決まってはいない。
だが、どうしても2人には伝えようと思っていた事がある。
「……」
「……」
2人はなのはから話すよう目を向けた。
自分達の話というのを置いて、なのはの話を聞くという。
ならばと、なのははここに告げた。
「あの子。
あの女の子はわたしに任せてほしいの」
なのははどうしても気になっていた。
あの少女の事が。
ほとんど間違いなく敵である人の事が。
正直、まだどうすればいいか解らない。
だが、彼女の事は自分が何とかしたい、そう今日決意したのだ。
「1度負けてる相手よ?
それに、話を聞いてくれないかもしれないわ」
「それでも」
アリサの問いに迷い無く告げる。
これは譲れない事であると。
例え戦いの中にあっても、ジュエルシードと戦いながらでも。
それでも彼女ともう1度向かい合う。
そう決めたのだ。
「そう……
なら、私たちから言う事は無いわ」
「うん、がんばって、なのは」
なのはの答えに満足そうに、そして嬉しそうに微笑む2人。
話そうとしていた事、心配していた事、その全てはここに消えた。
そして、同時に思う。
自分達は高町 なのはという人を少し甘くみていた様だと。
そう、知っていた筈だ。
なのははたとえ1度負けようとも。
暴力を向けられようとも、それで退く様な子ではない事を。
「じゃあ今後、私と久遠は結界維持とジュエルシード防衛機構。
そして、あの使い魔を相手にするわ」
「あの子とジュエルシードはお願いね」
「うん」
3人はここに改めて誓う。
3人でこの先戦っていく事を。
「じゃあ、彼女らと戦う事に決まった所で、使い魔について説明しておくわ。
……その前に姿戻すわよ」
「私も」
シュパンッ!
なのはの決意が聞けた事で、アリサと久遠は状態を戦闘モードから通常モードへと切り替えた。
そして、またいつもの様にアリサに魔法を教わる為に、アリサの前に座るなのはと久遠。
「え〜、まず使い魔とは、魔導師が作成し、使役する魔法生命体の事です。
といっても0から創り上げた生命体ではなく、元が存在します。
現在の魔法技術でも魔法生命体を0をから創り上げる事はできません。
魔法生命体の基となるのは、死亡直後もしくは直前の動物です。
そこに人造魂魄を憑依させることで、魔法生命体とし、使役することになります」
教科書の内容を読み上げる様に教えるアリサ。
教材が無い為に記憶を読み上げているという方が正しいのかもしれない。
「はい。
どうして死亡の直前か直後なんですか?」
学校の授業の様に、なのはは手を上げて質問する。
「はい、理論上は元気に生きている動物をそのまま魔法生命体にする事も可能だそうです。
しかし、魔法生命体に成るという事は、動物としては1度死ぬ事になります。
その為、人造魂魄を憑依させる時に抵抗がかかるので、上手くいきません。
尚、使い魔とした魔法生命体は、動物であった時の性質や記憶をある程度持ったまま生まれます。
だから、元気な状態の動物を使い魔にするという事は、使い魔とする為に殺された記憶を持つ訳です。
あまりいいものではないでしょうね」
「はい。
ということは、死んだ動物を生き返らせる行為にも似ているのですか?」
「ん〜、それは少し違います。
確かに死んだペットを使い魔にする魔導師もいるそうですが、そうするのはよほど魔力の高い魔導師でしょうね。
使い魔は存在させるだけで主の魔力を消費し続けます。
普通の生命体の様に、自立して存在できない魔法生命体の命を支える為です。
その為、使い魔は通常何か目的の為に製造し、使い魔と契約を交わし、目的を果たしたら契約を解除します」
「はい。
契約を解除する、という事は使い魔はどうなるのですか?」
「はい、簡単に言うと、消滅します。
なのは、そんな顔しないで」
アリサの説明に悲しそうな顔をするなのは。
だが、とアリサは続ける。
「まあ、元々死亡した動物ですからね。
それに契約の上での事ですから、悲しい事ではありません。
契約についてですが、拒否される事もあります。
目的が終わったら契約が解除され、つまりは使い魔として消滅する事になるので、絶対強制ではないのです。
因みに、契約の仕方によっては主人に従わない使い魔も出てきます。
契約は契約ですので、主側で一方的に解除する事は難しく、そこは主人の器量が問われます」
そこで、一息つくアリサ。
ここまでは、使い魔の製作に関わる知識。
次からは戦闘にも関係するものだ。
「さて、使い魔の性能ですが、これは最初の契約と目的、更に主人となる魔導師の魔力によって決まります。
当然高性能であればあるほど消費魔力は膨大なものになります。
先日姿を見せたあの狼の使い魔は、相当完成された人格を持っており、更に魔力も相当なものでした。
これは、かなりの高性能な使い魔です」
「はい。
気になったんですけど、あの狼さん、額に宝石の様なものがついてましたが、何ですか?」
なのはは思い出す。
あの時の使い魔の額には真紅の宝石の様なものがあったのを。
それは、使い魔や魔法に関連するものなのかと思い、今聞いてみる。
「いえ、あれはあの使い魔の基となった狼特有のものです。
細かい事は置いておくけど、まあ、角と同じ様なものだと思って」
「はい」
「因みに、人の姿への変身ですが、これは大抵の使い魔が持つ能力です。
人のパートナーとして存在する使い魔としては必須の能力でしょう。
使い魔は魔法生命体なので、己の姿形をある程度変える事ができます。
あの狼の使い魔の様に動物形態と人形態と複数の姿を持つのは一般的と言えます。
まあ、それは久遠がいる貴方には慣れ親しんだものでしょうけど」
アリサが久遠を見てあまり不思議に思わなかったのは、つまりそう言うことだ。
アリサの周りには使い魔を持つ魔導師は居ないが、見た事はあるし知識としてもある。
だから、珍しいものではなかったのだ。
「でもくーちゃん、この世界でもかなり特殊かも」
「うん、久遠と同じ人、見た事ない」
「あ〜、そうだったわね。
まあ、とりあえず置いといて、説明を続けます。
使い魔の強さは、主人の強さとも言えます。
使い魔を持つ魔導師はそれだけで評価対象なの。
あのレベルの使い魔をもっていて尚あの力。
あの子はAAA級の……私より2つ上のランクの魔導師とみて間違いないわ」
改めて、敵対する少女の強さを言葉にするアリサ。
魔導師のランク付けはさまざまな審査からなるものだが、この場合は戦闘力に換算した場合のみで見当をつけている。
なのはや久遠は魔導師というものをアリサ以外では後2名しかしらず、それも力の全てを見たわけではないので、あまり想像はできない。
ただ、アリサが就いている役職『執務官補佐』よりも2ランク上というのは世界でも有数の強さだろうという事だけは解る。
アリサはその話をした上で再びなのはを見る。
「……」
「……」
だが、互いに何も言わない。
最早その話は決まっているからだ。
「……後使い魔についての話は……ああ、使い魔の魔力供給だけど。
主である魔導師は常に使い魔に魔力を供給して使い魔を維持しているわ。
その接続はすごい強力で、どちらかが死亡しない限り途切れる事はないらしいわ。
どちらかを時空的に隔離しても繋がったままなの」
「はい。
なんで、『らしい』、なの?」
なのは気になったのでそこで問いを入れる。
アリサの説明の中に、いくつか理論的なところなのに伝聞形が混じっているのだ。
確証が無いかの様な、そんな感じの説明だった。
「ええ、それがね、これに関してはサッパリ解らないの」
なのはの問いにあっけらかんと答えるアリサ。
それはもう清々しい程に。
「この使い魔のシステムはミッドチルダ、私達独自の技術なんだけど。
それ以前に基になっている技術があって、それは遺失文明のものなのよ。
だから完全に解明できてない部分があって。
まあ、使い魔への魔力供給を遮断する様な技術は、確立されたらいいものではないから、私も気にしてないけど」
「そうなんだ」
大体の使い魔の説明がこれで終わる。
アリサも講師モードとも言える雰囲気を解きつつある。
「あ、そうだ」
だがその最後、アリサは大切な事を思い出し、それを告げる。
「さっき、なのはは死んだ動物を生き返らせる、みたいな事言ってたけど。
人間の使い魔、というか人間の魔法生命体だけは作れないの。
これも、魔力供給同様に理由は不明確なんだけど。
まあ、研究する事も禁じられている事よ」
そう簡単に付け加えるアリサ。
特に意味も無いだろうと思いながら。
そしてなのはも、この時はこの情報を気にする事はなかった。
その日の夜
キィィンッ!
魔力の波動を感じる。
それはジュエルシードの起動の音だ。
「さっそくね」
「うん」
「くぅんっ!」
最早慣れたもので、即座に飛び起きて5秒程で飛び出すアリサ達。
そして、すぐになのははバリアジャケットに換装し、久遠は戦闘形態へ変化する。
ジュエルシードの事もあるが、あの少女の事もある。
飛び出しながら、すぐに戦闘の準備だけは済ませておく。
そして、それから10秒程。
高速飛行を持って到着したのは住宅街。
「!! アリサちゃん、すぐに結界を!」
「解ったわ」
キィィィンッ!
ヴワァンッ!!
到着してすぐだった。
なのはの言葉で、即座に結界を展開するアリサ。
まだジュエルシードの持ち主を視認していなかった。
だが、すぐ近くだったので場所は解っており、存在も認識できた。
それでなんとか結界に取り込める。
既に準備はしていたので、わずか2秒程で世界は切り替わり、狭い世界が展開した。
その直後だ。
ズドォォォォンッ!
民家の1つが崩れた。
いや、何かに中から壊されたのだ。
そこにあるのは間違いなくジュエルシードの反応だ。
「危なかったわ……
なのは、よく解ったわね」
「うん……」
まだ煙で正体は解らないが、間違いなくジュエルシードの力によるもの。
それにより民家が1つまるまる潰れたのだ。
現実世界で起きていれば騒ぎになるし、犠牲者も出ていたかもしれない。
「あれは……」
煙がはれた先に見えたのは、巨大な球体。
少しカタチが歪であるが、半透明の球体だった。
そして、その中央に人の姿が見える。
よく見えないが男性だろう。
「殻に閉じこもってる様な感じね」
「うん、とっても硬い感じがする」
「私でも砕けないかも」
それを見ただけで3人は判断する。
これは自らを外界の干渉から護る為にあるものだと。
そして、それが非常に強固であるとも。
「私が解けないかやってみるわね。
少し待ってて」
「お願い」
こなると下手な攻撃は避けた方がいいだろう。
そして、結界系はこの3名の中ならアリサが最も知識がある。
だから解くか、解くヒントを見つける為に、ここは一旦アリサに任せる。
だが、その時だ。
バリィィィンッ!!
音が響いた。
結界の破られる音が。
「来たわね」
「うん」
「……」
3人が見上げる先。
そこには、アリサのとは若干色違いであるが、結界特有の歪んだ空があり、そして破られた場所の中心に人の影がある。
影は2つ。
あの少女と、既に人型になっている赤橙の使い魔だ。
「アリサちゃん、くーちゃん、あの子は私が」
「OK」
「邪魔はさせないよ」
なのはは現れた少女の下へと飛ぶ。
ジュエルシードを見ている少女の下へ。
「とりあえず、私が調べてくるよ」
「ええ、お願い」
途中、向こう側でも会話があり、使い魔の女性がジュエルシードの下へと降りる。
使い魔はなのはを見もせず、通り過ぎていった。
なのはも、使い魔の行く先を気に留めない。
そして、少女と対峙する。
先日、敗れた少女。
レイジングハートを破壊しようとした相手。
ジュエルシードを持ち去った者。
その人と、もう1度向かい合う。
「……」
少女は静かに杖を構えた。
ただ静かに、その紅き瞳でなのはを見据えながら。
静かに相対し、なのはは杖を構えず言葉を発した。
「わたしは、貴方と戦う気はありません」
その言葉に、少女の瞳が一瞬だけ動くのをなのは見た。
「久遠、私はこれを調べるから、お願いね」
「解った」
地上に降り、ジュエルシードの側面に立つアリサと久遠。
アリサは妖精形態のままでジュエルシードに向かって手を向ける。
その上では、なのはを無視して、こちらに向かってくる使い魔が見える。
だが、その使い魔はアリサ達を見ている訳でもない。
あれは、ただジュエルシードだけを見ている。
こちらの事など相手にしないつもりだろう。
ああ、それは正しい。
乱入してきた少女達にしても、目的はジュエルシードだ。
ならば、今両者が争う理由は無い。
何故なら、現状ではジュエルシードには触れる事すらできないのだ。
争奪戦など出来る状況ではない。
それをちゃんと冷静に向こうも理解している。
それはつまり、そう言う部分でも手強い敵だという事だ。
「やっぱ理論立てて作られて無いわね〜、こりゃ骨が折れるわ」
上では、到着した使い魔が調査を開始している。
やはりアリサ達と戦う気は無い様だ。
そして、馴れ合う気も無い。
「……」
残った久遠はその姿を監視しながら、ジュエルシードの周囲全てを警戒していた。
空のなのはの事は気になる。
だが、見ない。
何かを決めようとしている今のなのはなら、きっと大丈夫だと信じている。
そして、なのはの事だけを考えている暇は無いのだ。
「ギャオォォォッ!」
フッ
ザシュッ!!
闇の獣人が出現した。
が、その直後、久遠の一撃によって消滅する。
「ギャオォォンッ」
「ギャオオッ!」
「ギャオオオンッ!」
次々に出現するジュエルシードの防衛プログラム。
前回は現れなかったが、今回は今までより更に数が増えている。
「邪魔はさせない」
その撃破に、久遠は全力を注いだ。
「わたしは、高町 なのは」
戦う意思を見せず、なのはは己の名を名乗った。
先日、ほとんど問答無用で襲ってきた相手にだ。
「……」
なのはは、名前の交換の意味をもって己の名前を名乗った。
それは、多分この少女も解っている。
だが、少女は何も応えない。
それどころか、不可解だという視線を向ける。
「わたしは、この世界の住人です。
わたしは、アリサちゃんと協力し、この世界を壊してしまうかもしれないジュエルシードを集めています。
全てのジュエルシードを封印する事が、今のわたし達の目的です。
貴方は、何故戦うの?」
「……」
なのはは自分の事情、戦う理由をここに語った。
そして、同じようにジュエルシードを封印している少女に問う。
目的が同じならば協力できないかと考えて。
協力できるなら、先日の襲撃の事など考えない。
だが、少女はやはり何も応えない。
「……」
「……」
暫し、見詰め合う2人。
下からは久遠が戦っている音が聞こえる。
時間が経過しているが、アリサからもあの使い魔からも、ジュエルシードに対する調査の進展が連絡されない。
その事が気掛かりでない訳は無い。
しかし、それでもなのはは少女の言葉を待った。
「……問答に意味は無いわ」
だが、返ってきた言葉は拒絶の言葉。
ただただ冷たい、感情のない音だけの様な言葉だった。
しかし、その瞳の奥には―――
ガキンッ!
「障害になり得るならば、排除する」
少女の杖に魔力が込められた。
そして、
「バルディッシュ」
『Photon lancer』
キィィンッ
ズダダダダンッ!!
少女の魔法の杖から放たれる光の弾丸。
その数、連射により4発。
フォトンランサーという魔法は高速直射魔法だ。
なのはのディバインシューターの様な誘導はできないが、その代わり弾速は速い。
今のなのはと少女の距離は10mほど。
この距離では、今のなのはの身体能力で回避する事は難しいだろう。
「レイジングハート」
『Divine Shooter』
キィィンッ
攻撃に対し、なのはは動いた。
構えもしていなかったが、レイジングハートもすぐ反応し、即座に発射台たるディバインスフィアが生成される。
その数2つ。
キンッ!
なのはの左右に生成されたディバインスフィアから魔弾が発射される。
発射台1基より2発ずつ。
合計4発だ。
ババババシュンッ!
そして、なのはと少女のほぼ中央付近で魔力の衝突が起きる。
少女のフォトンランサーと、なのはのディバインシューターが衝突、相殺したのだ。
敵の魔弾に自分の魔弾を衝突させる。
しかも、相手は直線的にしか動かないとはいえ、10mという距離から撃たれた高速射撃魔法だ。
ディバインシューターの操作は全てなのはが行っている。
つまり、相手の4連射に対し全てこちらの弾を当てたのはなのはの能力だ。
恭也のデータより、相手の動きを先読みする手段の基本情報を得ていた。
それでも、それを魔法射撃に対応させたのはなのはだ。
だが、何故そんな高等技能を用いてまでこんな防ぎ方をしたのか。
フォトンランサー4発程度であれば、なのはのバリアであれば防げるのはなのはも解っている。
しかし、それをしない。
それは、この相手は高速機動の接近戦を得意とするからだ。
そう、バリアを展開すると動きが止まってしまう、そこへ連撃が来る事で対応できなくなる可能性があるのだ。
戦闘理論魔法は使っている。
だが、その判断を下したのはなのはの意思だ。
なのはは、対人戦2度目にして、そんな事をやってのけた。
補助はあるにしても、この相手は、なのはをそうさせたのだ。
戦闘は続いている。
なのはの正面は、2つの魔法の衝突相殺の光で、視界が失わていた。
『Scythe form
Setup』
ガキィンッ!
ヴォウンッ!
しかし、すぐ近くで音が響いた。
相手は動いているのだ。
『Magic Coat』
それに対し、なのはは接近戦の用意をした。
フッ!
そして現れるのは、光の刃をもった大鎌を振り上げた少女。
それに対し、なのはも杖を振るう。
ガキンッ!
杖と杖がぶつかる。
なのはは己の杖で、相手の大鎌の刃の根元にあたる部分をおさえて止める。
「……」
「……」
戦闘の中、触れ合う距離で見詰め合う2人。
「どうして、戦うの?」
再度問うなのは。
「……」
しかし、少女は応えない。
だがその瞳には、何かの想いが映し出されていた。
ガキンッ!
少女の方から1度距離をとった。
なのははそれを目で追いながら杖を構える。
攻撃する為ではなく、相手を止める為に。
「……」
少女は大きく杖を振りかぶった。
その体勢、おそらくは先日も受けたアークセイバー。
「何故?」
再三の問い。
しかし、問いながらもなのはも構え直す。
この攻撃は防げない。
完全に回避するか、受け流すかしなければならない。
どちらにしろ、この一撃でこの戦闘は動く。
だがその時、下で異変が起きていた。
「なのは!」
「フェイト!」
仲間の声がした、2人は気付いた。
自分の下、ジュエルシードの異変を。
半透明だった球体が黒という色に染まりつつあるのだ。
そして、周囲に現れる防衛プログラムの数が増えている。
「これは……」
「……」
2人は身構える。
だが、何が起きているか判断のつけようがない。
「なのは、ダメだわ、この状況じゃ解析できない」
「フェイト、ダメかも」
久遠とアリサ、そして少女の使い魔も防衛プログラムの相手で手一杯になっている。
とても、このジュエルシードを解析できる余裕はなさそうだ。
そして、ジュエルシードの変化。
すくなくとも、これは良いものではないだろう。
「……」
なのはは杖をジュエルシードに向ける。
ディバインバスターでのバリア突破と強制浄化を考える。
だが、こんなバリアの塊を突破できるかも解らない。
そして、それをした事でジュエルシードの持ち手にどんな影響が出るかも解らない。
しかし、久遠達も長くもたないかもしれない。
ジュエルシードの持ち手も、長引かせると取り返しのつかない事になる。
ならば、やる事は1つだろう。
なのははやるべき事を決めた。
しかし、それと同時に新たな動きがあった。
ズダダダダンッ!
「なに!」
「あれは……」
上空から見ていたなのはと少女が声を上げる。
地上に現れていた防衛プログラムが次々に消滅していくのだ。
何かに貫かれ、あるいは潰れ、抉られて。
中には首だけ切断されて消えてゆくのもある。
そして、その正体はすぐに見つかった。
ジュエルシードの傍に今まで居なかった人影がある。
「仮面の……」
「あの時の」
なのは達からでは後姿しか見えない。
しかし、その黒いマントを靡かせた姿は、間違いなくあの仮面の男だった。
そして、ジュエルシードに手をかざす男。
同時に、男の魔力が変化したようになのはは感じた。
「解くぞ! 封印の準備をしろ!」
男の声がなのはに―――いや、なのはと少女の2人に向けられた。
どうやってか知らないが、男はこのジュエルシードの球体のバリアを解除する気らしい。
男の足元に翠色の魔法陣が展開する。
「あ、はい」
なのははその声に従い、封印の準備をしようとする。
何故だか解らないが、信用して良いと思えたから。
だが、次の瞬間だ。
ヒュッ
風が、通り過ぎた。
紅い風が。
ズダァァァァァァァァンッ!!!
「な、なに?!」
「っ!!」
突然の爆音。
なのは達は全員動きを止めた。
風が吹いたと思った。
紅い一陣の風が。
それが、なのは達の足元を。
久遠達の真横を。
紅い風が通り過ぎた。
ただ、そう感じた。
そう、ただそれだけの情報を残し、周囲が一片した。
周囲の建物が倒壊し、残っていた防衛プログラムは消し飛び。
ただ、血の様な紅い色の残滓が風と共に流れ。
ジュエルシードの前に居たはずの男が消えていた。
そして、そこに今居るのは、紅い髪を靡かせた女性だった。
紅い軽装の装甲服を身に纏い、翼に見える紅い魔力の残滓を背に持つ女性。
何が起きたか解らなかった。
なのはと久遠には。
そして、少女達も驚愕の表情を見せている。
その中、
「クリムゾンブレイカー……」
今起きた現象の名を知る者が居る。
久遠の肩にのる妖精、アリサ・B・ハラオウンだ。
「……ふっ!」
女性は、周囲を気にする事なく、拳を振り上げた。
ジュエルシードが展開する球体に向かって。
そして、
「はっ!」
ズダンッ!!
バキィィィィンッ!!!
振り下ろされた拳によって、球体が砕け散る。
まるで、ガラス球を割るように粉々になり、中心にいた男性が露出する。
当然であるが、それは拳打で壊したのではない。
バリア魔法を破壊するバリアブレイクの魔法だ。
相手のバリアの生成プログラムに割り込み、破壊するもの。
アリサと少女の使い魔がやろうとしていた事と同じことだ。
だが、それを今現れた者が即座に行い、完全に砕いた。
少なくとも2分は解析していたアリサと少女の使い魔をしても解けなかったものを。
遺失文明が創り上げた魔法の種が展開した、男性の護りの願いをだ。
「フェイト!」
砕いてすぐ、女性は名を呼んだ。
少女の名を。
行動を指示する意味で。
「了解、
そして、少女は応えた。
女性を
『Sealing form
Set up』
ガキンッ!
少女の意思に応え、姿を変える杖。
「封印!」
『Sealing』
ズダァァァンッ!!
そして放たれる封印の魔法。
その光は男の手に握られていたジュエルシードに降り注ぎ、浄化封印する。
程なく、男の手か離れ、黒き宝石は『\』の白い文字を浮かべていた。
パシッ
その黒き宝石を掴んだのは、現れた紅い髪の女性。
だが掴んだその瞬間、女性は身体を捻った。
ヒュンッ!
そして、先まで身体があった場所には棒が存在していた。
両端だけが白い黒の棍が。
先の女性の何かで吹き飛ばされていたのだろう、仮面の男の一撃だ。
見れば、男の服は少し破損していた。
しかしあの爆音で、今まで復帰に掛かっていながら傷らしいものは見当たらない。
「……」
「……」
ジュエルシードを手にした女性と、棍を放った男。
2人は暫し睨みあった。
見れば、女性も棍を躱しきれなかったのか、服が破れている。
タンッ!
数秒睨みあっただろうか。
女と男は互いに引き、距離をとる。
そして、女性は少女の方へと下がり、少女と少女の使い魔を1度視線を送り、指示としている。
「なんで……」
もう、何も解らず、動けずにいたなのは達。
その中、アリサの声が響いた。
「なんでよ! セレネ!」
その叫びに応えるように女性が振り向く。
そして少女とならび、感情の無い目をアリサに向けた。
「なんで? それは貴方には解らない事よ、アリサ。
手を引きなさい。
ジュエルシードは私が集めるわ。
私の使い魔が」
そう言って、アリサがセレネと呼んだ女性は少女を示し、紹介するように告げた。
「半自立型魔法生命体『フェイト』。
私の使い魔よ。
素材は、言わなくても解るわね?」
セレネは言った。
今この目の前にいる少女の事を指し、使い魔であると。
だが、その少女は確かに人間の筈なのだ。
それは、どういう事か。
「何を……」
理解できた。
が、したくはなかった。
アリサが言葉を失う。
それ以上の考える事を心が拒絶する。
一応としか言えなかったかもれないが、家族であった、姉であった筈の女性が今、何を言ったのかを。
「行くわよ」
「はい、マスター」
「……」
パリィィンッ!
結界が砕けた。
そして、その衝撃をジャミングとし、少女と、少女の使い魔と女性が姿を消す。
同時に、仮面の男も居なくなっていた。
残されたのは動く事すらできなかった少女達。
「何で……」
それは誰の言葉だったか。
3人はただ空を見上げていた。
月の無い暗闇の空。
闇はまだ深い
某所 とある高層マンションの一室
戦闘を終え帰還した3名。
その中、紅の女性だけが1人前に出る。
そして、残る2人、少女と少女の使い魔に背を向けたまま告げた。
「今後、あれ等と遭遇する限り倒してジュエルシードを奪いなさい」
何の感情も込められない言葉。
「了解しました」
そして、同様に何も想わず、ただそう答える少女。
「……」
少女の使い魔はただただそんな2人を見る。
この静かで、静か過ぎる何も無い空間にいる2人を。
ここは高層マンションの屋上の一室。
窓からは夜景が見える。
街の光だ。
しかし、この部屋には闇しかない。
使い魔の女性にはそう感じられた。
後書き
第4話です。
大体これで序盤終了というところです。
次から中盤ですかね〜。
まあ、それはさておき、今回のメインは少女フェイトの秘密。
原作の設定を噛み砕いたオリジナルな設定をしきました。
今後どうなるかは……まあ続きでという事で。
前話でも述べましたが、ハッピーエンド主義なのでダークな事はないですよ。
エンドはね。
それにしても戦闘らしい戦闘を書いてないな〜
これの前の連載が毎回派手な戦闘書いてたせいで物足りなく感じてしまう……
とりあえず、次もよろしくどうぞ。
管理人の感想
T-SAKA氏に第4話を投稿していただきました。
エンドにダークな事がないなら、つまりそれまではあると?
これからの展開次第では暗い話になってしまうんでしょうかねぇ。
まぁハッピーエンド主義なら、最後は大団円になると期待したいところですが。
今回のメインはセレネ嬢?
棍使いの仮面の男もいい登場したのですが、横から出番を掻っ攫われましたし。
彼女は何を思って行動を起こしているのでしょうかね。
仮面の男の正体といい、謎は深まるばかりです。
セレネ嬢はオリキャラですし、男の方もオリって可能性もありますからね。
感想はBBSかメール(ts.ver5@gmail.com)まで。(ウイルス対策につき、@全角)