輝きの名前は

第5話 分かれた道

 

 

 

 

 

 戦いから一夜明けた昼過ぎ

 

「ただいまー」

 

 日常の生活としての学校から帰ってきたなのは。

 帰りを告げる声が家に響くが、返事はない。

 それは大体いつもの事だ。

 学校から帰ってくる時間はなのはが一番早く、母は仕事なのだから。

 

 それも日常のひとつとして通過し、なのはは自室へと向かう。

 

「ただいま」

 

 そして自室の扉を開けたとき、日常とは切り替わる。

 部屋に満たされる魔力の香りをもって。

 

 香り、とはいったが正確には嗅覚で感じるものではなく、気配の様なものだ。

 しかし、この部屋に限れば感覚的にはそれが近い。

 最早なのはの部屋は魔法の世界と同じである。

 結界が構築されているという事実もそうであるが、ここでは魔法の事件、ジュエルシードの事を話し合う場所でもある。

 何より、ここには魔法の世界の友人の仮住まいがあるのだ。

 

 だが、

 

「アリサちゃん……」

 

 ぬいぐるみの並びに目を向けるなのは。

 そこは一見しただけではただぬいぐるみが並んでいるだけの場所だ。

 しかし、その奥にはアリサのスペースがあり、今アリサはそこにいる。

 

 昨晩の戦いから帰還した後、アリサは『少し1人で考えさせて』と言い残して引きこもってしまった。

 戦闘の中で新たに現れた人、あの人がアリサと共に交わした言葉からよく知った人である事は判る。

 更には、親しい人だったとすら推測できる。

 

 そんな人から受けたのは敵対の宣言と言っていいものだった。

 それに、なのはが気にしていたあの少女を『使い魔』だと告げた。

 自分がそのマスターであるとも。

 

 なのははアリサと出会ってまだ日が浅い。

 2人の関係もよくわからないし、今アリサが想っている事も把握できない。

 けれど、

 

「待ってるよ」

 

 なのははそう呟いて少しだけ笑みを見せた。

 信じている友達に向かって。

 

 

 それからなのはは着替え、部屋を出た。

 日常と魔法がまた切り替わる。

 だが、どちらにしろなのはは心は落ち着いていた。

 

 何故だろうか。

 気になる少女に対して重大な事実を告げられた筈なのに。

 その事が気にならない訳ではないのに。

 しかし、なのはは落ち着いていた。

 

 それは、きっとやるべきことは変わらないと、そう思っているから。

 

「さて、と……」

 

 部屋を出たのでなのははちゃんと気持ちを切り替える。

 少なくとも自室以外の家の中では日常のものへと。

 

「……あれ?」

 

 と、そこで下からなんとなく人の存在する気配を感じた。

 確か帰ってきた時は誰もいない筈で、姉達の帰宅にはまだ少し時間がある。

 

「おかーさんかな?」

 

 母桃子か、もしくはフィアッセが忘れ物でも取りにきたのだろうか。

 知っている人の気配であると思うので、特に警戒することなくリビングへと向かうなのは。

 そして、リビングに入ると。

 

「なのは、ただいま」

 

「おにーちゃん」

 

 兄、恭也が立っていた。

 なのはにとって大凡1週間ぶりの姿だった。

 

「悪いな、家を空けてばかりいて」

 

「仕方ないよ」

 

 謝罪の言葉と共になのはを撫でる恭也。

 なのははそれを喜んだ。

 

 しかし、と思う。

 何かの重大なイベントを外す事になったのなら兎も角、兄が家を空ける事をなのはに対しこうして謝罪するのは珍しい。

 いや、普段から気にしているのは知っている。

 兄は優しいから、いろいろな事情があるとはいえ妹を放って置いて平気な訳ではないのだ。

 兄の恭也と姉美由希、2人が行く道、御神流の道への誘いを受けるのがその表れだろうと思っている。

 後普段の悪戯などの困ったスキンシップもそうだ。

 

 だが、そういう事はあっても、こうして普通に優しくしてくれるはあまり無い事だった。

 

 何故だろうか。

 ジュエルシードを追っているから。

 未だ光見えぬ道を行くから―――

 

「また、すぐ行くの?」

 

「ああ。

 まあ、と言ってもこの街の中だ。

 何かあったら呼んでくれ」

 

「うん」

 

 撫でていた手を離し、恭也はなのはに背を向ける。

 ひと時の触れ合いだけを残し、再び戦いの場へと。

 

「すまない」

 

 最後にそう言い残し、恭也は家を出た。

 その背を見送るなのはは想う。

 

 何故、謝るのだろうか、と。

 だって、貴方達のしている事は正しい事の筈なのに。

 

 正しいと信じて進んでいるのに苦しむ兄に、なのははかける言葉を思いつけなかった。

 

 

 

 

 

 それから、なのはは八束神社のある山に来ていた。

 神社の裏側の少し進んだあたり。

 そこで、1人精神を集中する。

 

「……」

 

 キィィィン……

 

 胸の前にかざす両手の間に生まれる桃色の光。

 それは、なのはの魔力の光。

 

 今やっているのは普段なのはがやっている基礎修行の1つ。

 インテリジェントデバイス無しでも魔力を制御する訓練である。 

 本来ならこれをある程度できてから魔法を習得するのだが、なのはは完全に順序が逆になってしまっている。

 それができるのもインテリジェントデバイスであるレイジングハートのおかげだ。

 

 しかし、それに頼り切ってはいけないのだ。

 

 ジュエルシードは日に日に手ごわくなってきている気がする。

 願いのカタチは封印し辛くなってきているし、防衛機構の反応も早い。

 

 そしてなのはにとっては、あの子と会話をする為にも、あの子の攻撃をしのぐだけの力が必要だ。

 

 強くならなくてはならない。

 

「……」

 

 キィィィンッ

 

 綺麗な球形で安定する魔力。

 もしこの場にアリサがいたならば褒め称えているだろう。

 魔法を始めて2週間と少しの子が、これほど魔力を制御できているのは驚愕すべき事だ。

 才能もあるが、そこに強く願う想いがあるかこそなのだろう。

 

「ふぅ……」

 

 球形にした魔力を残したまま一息つくなのは。

 そこへ気配が近づいてきた。

 

「あ、くーちゃん」

 

 見れば、そこには見慣れた子狐がいる。

 そして、

 

 バシュンッ!

 

「なのは」

 

 なのはに名前を呼ばれた久遠はすぐに少女形態へと変身し、更に駆け寄ってくる。

 

「アリサは?」

 

「うん、まだみたい」

 

 もう1人の友を想う久遠。

 しかし心配の気持ちはあれど、信じているのだろう不安な様子は無い。

 なのはもちゃんと立ち上がってくると信じている。

 付き合いは短くとも、強い子である事は知っているから。

 

「それ、綺麗にできるようになったね」

 

「あ、うん。

 こんなに小さくて薄いのを1個だけだけどね」

 

 次に久遠が目を向けたのはなのはの手にある魔力球。

 久遠もほとんどの訓練を見てきたので、なのはの成長具合を知っている。

 しかし同時に、自分は成長していない事も自覚するのだ。

 

 久遠はまだ飛行ができていない。

 元々飛行能力など無い種族で、ほぼ特化してしまった力では浮遊はできてもそこから飛び行く事が難しい。

 今度いつ飛行能力を必要とする戦闘があるともしれないのに。

 いや、そもそもあの少女の使い魔は普通に飛行している。

 となれば、なのはとあの子の戦いなった時、あの使い魔を抑える為にも飛行能力は必須となるだろう。

 それに―――

 

「なのは、それ飛ばせる?」

 

「え?

 うん、多分。

 あまり遠くへも、強くも飛ばせられないと思うけど」

 

「じゃあ……」

 

 シュバンッ!

 

 なのはの答えを聞いた久遠は更にもう一段階変身を行い、大人モードへと移行する。

 戦闘用といえるモードへ。

 

「ちょっと私に投げてみて」

 

 そして、なのはの魔力を受けるというのだ。

 今後の魔法の戦いの為に、魔力による攻撃に対抗する訓練として。

 

「え? いいけど……

 じゃあ、いくよ」

 

 ヒュンッ!

 

 久遠の望む通り、手に持っていた魔力球を投げるなのは。

 詠唱も魔法陣も必要としない純粋な魔力の塊である魔力球で、魔法にもなっていないもの。

 だから安全だろうと判断し、可能な限り全力を持って放った。

 

「ふっ!」

 

 バシュンッ!

 

 久遠はそれを少しだけ雷の力を込めた拳で砕く。

 

 しかしなのはの魔力球は綺麗には消えず、霧散するだけで欠片が残ってしまっていた。

 

「……あれ?」

 

 その瞬間、なのはは一瞬変な感じを覚えあたりを見回す。

 

「どうしたの?」

 

 なのはの様子に気付いた久遠は尋ねる。

 今の結果ではなく、周囲を見渡すなのはに。

 

「あ、うん、なんかちょっと変な感じが……

 う〜ん……気のせいかな?

 あ、どうする? もう1度やる?」

 

 見回しても何も無く、久遠は何も感じていないので気のせいだろうと意識をこちらに戻した。

 

「うん、もう1度お願い」

 

 久遠は少し今のなのはが気になりながらも、しかし今の結果の方が気になって次の球を求める。

 雷の力で完全に魔力の塊を相殺しようとして失敗してしまった。

 まだまだ魔法の力というのを見極められていない。

 今後何かあったときになのはを護れる様に、今できる限りの事はしておきたい。

 

「じゃあいくよ」

 

「うん」

 

 もう1度同じようにただの魔力球を作り出すなのは。

 訓練ならばレイジングハートを起動してディバインシューターを使う方が効率的にも良いのだろう。

 しかし、それでは例え魔力攻撃に設定していても危険だし、アリサがいない状況では何かあったときに対処できない。

 何か、とはジュエルシードやあの子の事も含めてだ。

 だから、あくまで単純な魔力だけで行う。

 久遠としても、まずは魔力というものに慣れる為にも良い事である。

 

 なのはと久遠は暫し、2人で訓練を続けた。

 またいずれすぐにあるだろう、次の戦いの為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日

 

 昨日はジュエルシードの反応も無く、しかしアリサが出てくる様子もなく1日が過ぎた。

 そんな中、なのはは日常を生きる。

 大切な日常の時間を。

 が、今日は日常の中でも少し特殊なイベントがある。

 

「今日は午後からお仕事だ」

 

 昨晩の夕食の席でも確認した事。

 なのはが持つ仕事。

 それを思い出して少し考える。

 

「……そーだ」

 

 それに日常の中の仕事。

 そしてそれは少し考えていた事と重なる。

 なのはは携帯電話をとりだし、アドレス帳からある番号を引き出す。

 こちらからは滅多に使わない番号を。

 

 

 

 

 

 それから暫くして、なのはは翠屋にいた。 

 

「はい。

 これが新メニューのいちごのミルクケーキとフルーツパイ」

 

 フィアッセがなのはの前に並べるのは来週からメニューに加わる新商品。

 

「はい。

 じゃあ、配置を……」

 

 用意されたメニューを最適の位置、見栄えを良くなる様に並べつつ。

 また、それを最も栄える角度を探す。

 そして、なのはが構えるのはカメラだ。

 

「おにーちゃん、照明……えーっと、このあたりから」

 

「心得た」

 

 そして、その傍らには照明用の反射板を持った恭也が居る。

 なのはが呼んだのだ。

 見回りをしているのを知りながら、それでも―――いや、だからこそ呼んだ。

 日常に帰る暇の無い兄を、戦いではない時間に呼び戻す為に。

 

 この仕事、翠屋でのメニュー用の撮影の際の照明係は兄の役割。

 光というのは食べ物をおいしく見せるのにも重要な役割であり、地味だろうが重要な仕事。

 翠屋関係である事には変わりないが、翠屋の内部スタッフとして以外で兄が持つ日常の中の普通のお仕事だ。

 だから、この仕事をしている限りは兄は日常にいる。

 

「……うーん、もうちょっと右、で微妙に上」

 

「……む」

 

「OK〜」

 

 日常に呼び戻す為というのも理由であるが、同時になのはにとって照明係は兄でなくてはならない。

 数をこなしているというも確かにあるが、それでも兄のこの手の作業の微調整はすごく上手い。

 なのはの指示を読み取り、最適に採光をしてくれる。

 そして、調整したら微動だにしない。

 母桃子などの一般人だけでなく、姉美由希ですらなのはの要望に応えきれないのだ。

 だから自分の仕事を完璧にする為にも兄は必要であった。

 

(そういえば、一昨日まではおにーちゃんと会うわけにはいかないと思ってたのに)

 

 兄の事を想いながら、ふと思い出す。

 一昨日までは自分が悩んでいた事を。

 親友に気遣ってもらっている事にすら気付けなかった事を。

 

 それがどうだ、いまや人を気遣う事ができている。

 もうほぼ完全になのはの心は落ち着いているのだ。

 ただ、あの少女と向き合うと決めただけで。

 

(少し、不思議)

 

 何で悩んでいたかも今では不思議なくらいだ。

 今はもう何も迷わない。

 あの少女は気になり続けているが、しかし日常は日常として分けられる。

 こうして、兄と一緒に日常の中の仕事ができる。

 

「はい……っと」

 

 納得いく状態となったので数枚カメラに収める。

 

「ふむふむ……」

 

 更に取れた画像を確認しながらまた数枚撮る。

 それをまた確認して、良しと判断する。

 

「セットメニューもとっちゃいますよね?」

 

「はいはい。

 コーヒーと紅茶、ホットとアイスでそれぞれ」 

 

「ケーキにはホットコーヒーで、パイには紅茶を……」

 

 フィアッセが用意したものを配置するなのは。

 新作メニューなのでセットにした時のイメージ画像もメニューに載せる。

 メニュー上はコーヒーと紅茶から選べるが、イメージ的に合うものと組み合わせて写真を撮る。

 より食べたいと思える配置を考えて、それを撮る角度も調整する。

 

「おにーちゃん、もうちょっとケーキ側に」

 

「……ん」

 

 兄と一緒に微調整を繰り返し、また写真を撮る。

 

 

 そして、必要な写真全てをカメラに納め終えた。

 

「はい、OKです」

 

「おつかれさま」

 

 後ろで見ていた母桃子がなのはの頭を撫でる。

 

「恭也もお疲れ様ー」

 

「……」

 

 桃子は恭也も撫でる。

 恭也は無言無表情だ。 

 だが嫌な訳ではなく、結構嬉しいのだとなのはは知っている。

 

「さて、この新作メニューどうする? 食べていく?」

 

 メニュー用とはいえちゃんと作っている商品だ。

 撮影専用の加工は若干してあっても、味に変化がでる様な事はしていない。

 まだ店に出すわけではないし、そもそもメニューに無いので注文もとれない。

 となると、まあ自分達で食べてしまう訳だが。

 

「あ、わたしこれからすずかちゃんの所に行く予定なんだけど」

 

 撮影機材をしまいながら、これからの予定を告げる。

 尚、機材といってもなのはが片付けているのはカメラと三脚だけだ。

 残りの照明器具などは恭也が片付けている。

 

「そう。

 じゃあ持っていく?」

 

「うん」

 

「じゃあボックスに入れるからちょっと待ってね」

 

 最初から狙った訳ではなかったが、これで月村家への良いお土産ができた。

 全部合わせると5人分より多めだが……

 

「あ、おにーちゃんも一緒に行く?」

 

「……そうだな」

 

 可能ならば兄も一緒に戦いとは無縁の場所へと、なのはは誘った。

 月村家ならば、兄にとっても安らげる場所の筈だから。

 

「今は家にいる筈だな。

 ノエルに迎えに来てもらおう」

 

「うん」

 

 そうして、なのはは兄恭也と月村家に行く事になった。

 それから、2人は家に撮影機材を置き、家まで来てくれたノエルと車で移動する。

 ちゃんと、お土産も持って。

 

 

 

 

 

「なのはちゃん、いらっしゃい」

 

「すずかちゃん」

 

「恭也もいらっしゃい」

 

「ああ」

 

 ファリンに案内され、ティーラウンジで挨拶を交わすなのは達。

 ノエルは現在着替え中である。

 それと、お土産を渡しているのでその準備もあるのだろう。

 

「翠屋の新作メニューを持ってきたぞ」

 

「あら、私を太らせてどうするの?」

 

「太る場所による」

 

「場所によっては運動がはかどるの?」

 

 なのはの横では、彼女に理解不能の会話が交わされていた。

 

「よく意味が分らないんだけど」

 

「う、うんそうだね」

 

 何故かすずかは少し慌てて相槌を打つ。

 顔が少し赤いのも謎である。

 

 

 それからみんなで新作メニューを食べて、のんびりとした時間が過ぎていく。

 平和で、静かな時間が。

 

「あ、そうだなのはちゃん。

 最近家来るけど私の相手はしてくれてないわよね〜」

 

 そんな中、忍がなのはにそんな事を言ってきた。

 

「にゃ?」

 

 最初は意味が分らなかったが、やがて思い出す。

 元々なのははよく月村家を訪れていた。

 それはここにあるゲームや本の数々、そしてゲームの場合は相手たる忍がいるからだ。

 

「そういえば、なのはちゃんゲーム強いよね。

 聞いたけどお姉ちゃんよりも強いんだっけ?」

 

「え? うーん、どうだろう」

 

 すずかはあまりゲームはしないので、なのはの実力の程をあまり知らない。

 それで少し興味があるようだ。

 自分のまだ知らないなのはに。

 

 なのはは忍より強いかと聞かれて少し思い出す。

 正確に戦績などは記憶していない。

 実際のところは、なのはが9で忍が1くらいの勝率だったりする。

 つまりは、確実になのはの方が強いのだ。

 

「久々にやろー」

 

「うん」

 

「私見てる」

 

 というわけで、忍の部屋に移動してパズルゲームなどに興じるなのは達。

 達といっても、なのはと忍がやっているのをすずか達が後ろから見ている、という状況である。

 

「カラーマジック、3、2、1……」

 

「わー! 間に合わない」

 

 ズドーンッ!

 

 スピーカーから流れる爆音。

 そして、なのは側に出るWINNERの文字。

 何度目かの対戦はなのはの勝利で終わった。

 

「すごねー。

 お姉ちゃんはものすごく計算して組んでるのに、なのはちゃんの方が更に上をいってる」

 

「たまたまだよー」

 

「またー、なのはちゃんたら謙遜を。

 なのはちゃんは私の知る限り最強のゲーマーよ〜」

 

 なのはの腕を褒め称えるすずかと忍。

 強いとほめられて悪い気はしないが、最強などと呼ばれるのはちょっと言いすぎとも思う。

 自分でもそれなりに強いという自信はあるが、それでもまだ上はいるだろうと。

 

 と、そこでなのはにとって強さの代名詞にもなっている兄を探した。

 が、

 

「あれ?

 そういえばおにーちゃんは?」

 

 今気付く。

 兄がこの部屋からいなくなっていることを。

 ゲームを始めるときには確かに居たはずなのに。

 

「恭也様は先程用事ができたとのことでお帰りになられました。

 皆様がゲームの途中でしたので、私が伝言をお預かりしました」

 

「あ、そうですか……」

 

 気付かなかった。

 ずっと楽しんでいた中、兄がまた戦いの場に戻っていく事に。

 

 なのははそれが少し悲しかった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕刻

 

 月村家で遊んだなのはは帰り道で久遠と合流して家に戻る。

 

 久遠は最近一緒に居すぎる為、理由がなければ少し離れる事にしている。

 那美からは傍に居るようにと言われていても、高町家の者達に変に思われる訳にはいかない。

 だがやはりジュエルシードのことを考えると、発動率の高い夜は一緒に居るべきだと合流している。

 

「ただいまー」

「ただいま」

 

 女の子モードの久遠と共にに部屋に入り、帰りを告げる。

 

「おかえりなさい」

 

 そして、それに返ってくる声があった。

 アリサだ。

 

「あ、アリサちゃん」

 

「アリサ」

 

 妖精の姿で部屋の中央に浮かぶアリサ。

 約2日の時間をもって1人だけの空間から出てきた友に笑顔を向ける2人。

 

「ごめんね、2日も引きこもって。

 もう大丈夫だから」

 

「うん」

 

「くぅん」

 

 まだ少し苦しいが笑顔を見せるアリサ。

 2日前の最後に見せた疲れ切った顔からは大分回復しているといえよう。

 

「話があるの。

 あの女……セレネについて」

 

 そして、口を開くのはあの時現れた女性の事。

 2日間考え、話すと決めた事。

 

 2人は黙って聞く体制をとる。

 分るのだ。

 アリサがどれほど考えてこの話をしようとしているのか。

 そして、どれだけこの話が重要であるかを。

 

「あの女、名前はセレネ・F・ハラオウン。

 私、アリサ・B・ハラオウンの血の繋がらない姉よ。

 私のミドルネーム、Bはバニングス。

 彼女のFはフレアロードという元の姓の頭文字なの。

 私の家、ハラオウンは、ちょうどこの高町家みたいに血の繋がらない家族が多い家なのよ」

 

「そうなんだ……」

 

 なのはは、今まで自分の家が少し変わっているというのは分っていた。

 だから、アリサも同じ様な家族を持っていると聞き、少しうれしい気がした。

 それはアリサも同じ事。

 アリサにとっても、なんとなく馴染める家だったのだ、この高町家は。

 

「それで、一応姉といえる人なんだけどね。

 姉とは名ばかりに、実は私彼女の事あまり知らないわ。

 私が物心ついた頃にはすでに彼女は時空管理局で戦ってて、一緒に居る時間なんてあまり無かったから」

 

 だが、次に出てきた言葉は少し悲しいものだった。

 しかし、同時にそれは自分も似ていると思うのだ。

 そう、ちょうど自分と兄恭也と同じ様なものではないかと。

 

「いろいろとよくない話を聞く人でね。

 捕獲対象者をいつも血まみれで回収してくるとか、管理局一冷酷な魔導師だとか、戦狂いだとか。

 まあ、そんな感じで。

 私自身も何度か血まみれになって戻って来る姿を見てるし……」

 

 声が暗くなるアリサ。

 だがその内容もまた、なのはは解るものがある。

 やはり兄恭也の事で。

 少し似ているという想いがあったから。

 

「そして、今回の事。

 ジュエルシードをどうする気かは知らないけど、人間の使い魔。

 こればかりはどう考えても犯罪だわ。

 どうあがいたところで庇えない重大な禁忌を犯している」

 

「……」

 

「……」

 

 先日使い魔の話を聞いたとき、少しだけでた話だ。

 人を使い魔とする事はできない。

 研究する事すら禁じられていると。

 

 しかし、同時にそこで疑問も生まれる。

 

「……そんな悪にしか見えないセレネだけどね。

 2日間考えたけど―――やはりおかしいわ」

 

 アリサの目つきが変わる。

 暗いものから、何かの意思を持った瞳へと。

 暗闇の中から何かを見つけ出し、それに向かおうとする強い輝きを。

 

「大体、半自立型使い魔って何?

 人間を使い魔にする方法って何?

 そんな技術を何処から手に入れたというの?

 少なくとも私の知りうる限り、本当に戦狂いとすら言えるあの仕事中毒者ワーカーホリックの何処にそんなものを研究する時間があったか。

 ―――在り得ないわ。

 絶対に何かが裏にある」

 

「うん」

 

 アリサの言葉に頷くなのは。

 あの少女の事も、おそらく単純ではない何かがある。

 それだけは確かなのだ。

 

「それに、どんなに悪い噂があったとしても、彼女は少なくとも私の家族達が信頼する家族の1人ですもの。

 単純に悪で敵なんてことは無いと思うの」

 

「うん。

 私もそんな気がする」

 

「何か、あるよ」

 

 なのはも久遠も、あの女性の事は良く知らない。

 だが、悪い人とは断言できない気がするのだ。

 誰かに似ているから。

 誰かと同じ気がするから。

 

「私の家族が事を複雑化しているみたいなんだけど。

 2人ともお願い、力を貸して」

 

「勿論」

 

「がんばるよ」

 

「ありがとう」

 

 きっと解りきった応え。

 しかし、アリサは笑みをもって礼を言う。

 それはきっと、こんな二人に出会えた事に対しての感謝の気持ちもあるだろう。

 

「さて、じゃあ今後の事だけど。

 正直、私も彼女のことは良く知らないの。

 あの時見せた『クリムゾンブレイカー』っていうシールド魔法を使った突撃が有名なんだけど。

 それ以外はどんな戦い方をするのか、話にも聞かないのよ。

 一応魔導師のランクとしてはAランクで私と同じ筈なのよ。

 でも彼女はアースラの戦闘要員の中ではトップに立つ人間だから、危険だわ。

 あの時の言葉からして、自分で出てくるよりあの『半自立型使い魔』とかいう子を出してくると思うけど。

 ハッキリ言って、本人が出てきたら逃げた方がいいわ」

 

「う〜ん……あの攻撃、見えもしなかったしね」

 

「うん、危ない」

 

 詳細はわからないが、あの時見た業『クリムゾンブレイカー』の危険性だけは解る。

 その割にはあの仮面の男が軽傷だったのも気になるが、おそらく今のなのはや久遠では太刀打ち不可能だろう。

 単純な魔力や攻撃力ならなのはや久遠も対抗できるが、圧倒的に戦闘経験が足りない。

 久遠の場合は飛べない事がネックとなるだろう。

 

「でね、そういうことだから今後も相手はあの子になると思うの。

 それで、なのはもあの子が気になるのよね?」

 

「うん。

 半自立型使い魔って事を除いても、お話がしたいな」

 

「うんうん。

 なら、いっそ捕まえちゃいましょう」

 

「……え?」

 

 爽やかなとすら言える笑みを浮かべながら平然と言うアリサ。

 それに対し、なのはは言葉を失ってしまった。

 

「不確定要素は、あの仮面の魔導師だけど……

 今までの行動から、まあ大丈夫でしょうね」

 

 1人で話を進め、1人納得するアリサ。

 まあ、その点に関してはなのはも特に反対する事ではなかった。

 

(大丈夫だよね?)

 

 自分でも考えてみるが、結局そういう結論に達する。

 何故かアッサリ片付けたアリサよりも、少し不安が残る感じではあったが。

 

「まあ、で、あの子だけど。

 謎の元である半自立型とかいう意味不明な人間の使い魔であるあの子から何か情報が聞ければ一番だわ。

 次あったら捕縛してしまいましょう。

 それで謎への鍵でもあり、なのはも話もできるし、良い感じじゃない」

 

「……そ、そうなるのかなぁ」

 

「どうだろう?」

 

 良い考えだと胸を張るアリサ。

 ちょっと疑問が残るなのは。

 久遠も少し考えてしまっている様だ。

 

「しかしまあ……半自立型、か。

 言葉から推測するに本来全て魔導師側に依存するものを使い魔側で自給していると思うんだけど。

 いったいどういう存在なのかしら……」

 

 普通なら、食事は摂っても存在すること自体全てを魔導師任せの使い魔。

 それを半分とはいえ自立する存在。

 そうである理由、そうでならなければならない理由。

 そこに加わる『人間の使い魔』という禁忌。

 

 深まる闇は、簡単には光をこぼしてはくれない様だ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、とある高層マンションの一室

 

「フェイト」

 

 紅い髪の女性セレネが、己の使い魔である少女フェイトに差し出すのはグラスにはいった紅い液体。

 

「……はい」

 

 それを受け取り、一瞬躊躇しながらも飲み込むフェイト。

 苦しそうではあるが、何とか全て飲み込む。

 

「……とりあえずは問題ないわね。

 あなたは人間の血があれば人の形は保てる」

 

「……はい」

 

 無表情で主である女性の言葉を肯定するフェイト。

 今も飲み、今まで毎日摂取してきたのは人の血を加工した薬。

 半自立型使い魔として、少女が己の肉体を保つ為に必要なものとしてセレネが与えているものだ。

 

「では行きなさい。

 そして、可能な限り速やかにジュエルシードを回収してきなさい」

 

「了解、マスター」

 

 主の言葉に無表情のまま従い、己自身の使い魔である燈色の獣と共に夜の街へと出る少女。

 その両者の瞳に、映る心はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝

 

「いってくるね」

 

 なのはは部屋でぬいぐるみを置いてあるスペースへ、アリサが今居る場所へと向かって言って部屋を出る。

 しかし、アリサからの返事は無い。

 今アリサは完全に自分のスペースに引きこもっているのだ。

 

 だが、それは昨日まではとは違う。

 作戦の為の準備としてだ。

 引きこもる前、何故か妙に楽しげな顔をしていたのが印象的だった。

 

「ん〜、こんな場合、どういう顔をすればいいんだろう?」

 

「わからない」

 

 その楽しげな顔は、兄が悪戯をするときに見せるものに似ている気がした。

 何を考えての顔かを思うと、どう反応していいか複雑ななのは。

 久遠もコメントに困っている。

 

 

 それから朝食をとり、学校へ行くまでの時間、なのはは少し考える。

 昨晩アリサが提案した事。

 そして、アリサがやろうとしている事に関して。

 

「あら、なのは」

 

 そこへ、姉美由希がやってきて隣に座る。

 前回と同じ様に、なのはが悩んでいる事に対して何も聞かずに。

 

「あ、おねーちゃん……

 ああ、ちょうどいいや、おねーちゃん」

 

「何?」

 

 妹の問いに喜んで応えようとする姉美由希。

 だが、

 

「御神流……というよりおにーちゃんってトラップ使う?」

 

「……はい?」

 

 なのはの問いに思わず疑問の声で返してしまう美由希。

 一体なにがどうなったらそんな問いが出てくるのかと。

 

「えっとね、なんていうか、罠を利用する事ってしてるかな?」

 

「う、う〜ん……

 どこまでトラップと言うかにもよるけど……

 まあ、御神流としては無いけど、恭ちゃん自身は罠を仕掛けたりする事もできると思うよ。

 野宿で狩にも使うし」

 

「なるほどー

 なら大丈夫かな」

 

「何が?」

 

「あ、なんでもない」

 

 なのはの言葉にさすがに怪訝そうな顔をする美由希。

 しかし、それ以上は聞かない。

 

 こうやって、あえて何も言わない人達。

 やはり自分の周りは良い人ばかりだとなのはは再認識する。

 

「じゃあ、そろそろ行こうか」

 

「うん」

 

 バスの時間となり、2人でバス停に向かう。

 兄より幾分かマシといえる事もあるが、しかしあまり無い姉との時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の昼前 聖祥付属

 

 なのはは今学校で体育の時間。

 

「なのはちゃん、体育だよ、ドッヂボールだよ、ボーってしてるとあぶないよ」

 

「にゃっ!?

 ご、ごめんごめん」

 

 まだアリサの作戦について考えていたなのはは、すずかによって呼び起こされる。

 流石にドッヂボール中に考え事ができるほどなのはは器用ではない。

 それに、元々体育の成績は赤点を自称するほど悪いのだ。

 

「また考え事?」

 

「あ、うん、ごめんね」

 

「いいけど……」

 

 すずかは、なのはの悩みが先日までとは違うものになり、多分重荷ではなくなっていることも解っていた。

 だがそれでも悩んでいる事には変わりないし、時折見せる複雑そうな顔を見ると流石に気になる。

 

「ともかく、さがっててね」

 

「うん、ごめんね」

 

 ドッヂボールの試合。

 すずかは前衛に出る。

 大人しそうな顔と普段の性格からは想像できないが、実はすずかは体育の成績が良い。

 少なくともクラス1の運動神経を持っている。

 スポーツなどを一切やっていないのにだ。

 

(おにーちゃんや皆を普段見てるから、感覚がおかしくなっているけど、すずかちゃんもすごいなー)

 

 相手のボールを片手で受け止めるすずかを後ろで見ながら、そんな事を考えるなのは。

 

(それに、無駄のない動きで狙いを定めて投げているし。

 あんな一瞬でよく隙がある子を見つけられるなー)

 

 受け止めてからの流れるような動作に感服する。

 その全ての動きを後ろで眺めながら。

 

(私もあんな風に動けたらなー)

 

 よく思う。

 あの兄と姉を持ち、更に家族にも武術、スポーツに秀でた者を持ちながら、しかしなのは自身は体育の成績がよろしくない。

 そもそも兄や姉、そして母が話してくれる凄い剣士である父士郎の血を引きながら、何故自分は駄目なのか。

 体育の度に少し思ってしまう。

 

(おにーちゃんはよく御神流の道に誘ってくれるけど、わたしじゃ……)

 

「なのはちゃん、右!」

 

 考え事をするなのはに、前から声がした。

 すずかの声だ。

 それもかなり慌てている。 

 

(うにゃ?)

 

 右、と言われた気がしたので右を見る。

 すると、

 

 トクンッ

 

 一瞬、鼓動の音が聞こえた。

 その時、妙に感覚が冴えていくのを感じた。

 

 そこで、ボールが見えた。

 こちらに向かって飛んできている。

 反射的に手が動く。

 すずかがしていた様に、飛んでくるボールを横から掬い取る様に。

 

 パシッ!

 

 吸い込まれる様にボールが手に収まる。

 計算どおりの結果。

 そして、敵陣に目をやれば移動しようとしてか、隙を見せている子がいた。

 それも、近くに並んで。

 

 ヒュッ!

 

 投げた。

 すずかがしていた様に。

 

 ダダンッ! 

  

「わっ!」

 「きゃっ!」

 

 ボールは1人目に命中後、斜め後ろに並んでいたもう1人に当たり、地面に落ちる。

 そんな光景を、なのはは他人事の様に見ていた。

 

「わ……なのはちゃんすごい!」

 

「……え?

 あ、ま、まぐれだよ」

 

 すずかに声を掛けられるまで、自分がした事だという自覚がなかった。

 だが確かに腕はボールを受けた衝撃と、投げた時の感覚を残している。

 少し痛いくらいだ。

 

(おかしいな、戦闘理論魔法は起動してないのに……

 そもそも、レイジングハートは外してるし)

 

 今レイジングハートはロッカーの中だ。

 なのはの学校、聖祥付属はアクセサリーに関しての規制は無いに等しい。

 その為、ピアスをつけていようと目立たない位で、なのはもレイジングハートをペンダントとして持ち込んでいる。

 ただ今は体育中なので、流石に外してあるのだ。

 

(あの子の攻撃とか見てるからかな〜。

 あとはまぐれだよね)

 

 自分の中でそう結論付けるなのは。

 

「なのはちゃん、危ないよ」

 

「あ、うん」

 

 それにまだ試合中という事もあり、それに関する思考は中断された。

 そしてその時、視界の隅で光る小さなものが動いたのだが、なのははそれに気付く事はできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜

 

 キィィンッ!

 

「きたわね!

 丁度準備も終わったところよ!」

 

 ジュエルシードの反応に対し、スペースを飛び出して来たかと思うと、もの凄いやる気を見せるアリサ。

 

「うん、行こう!」

 

 アリサの事は兎も角、あの少女に会える可能性があるのだ。

 なのはも勇んで出る。

 

 

 

 

 

 そして、現場に到着する3人。

 場所は高町家からはやや遠い場所にある住宅街。

 それ故に到着も少し遅れた。

 

「今日は後手か……」

 

 その為に、その場所には既に結界が展開されていた。

 あの少女の結界だ。

 

「まあ、今回はむしろ好都合ね」

 

 キィィィンッ!

      ヴワァンッ!!

 

 既にそこに結界があるにも関わらず、アリサは結界を展開した。

 その結界ごと飲み込む結界を。

 既にあの少女達が張る結界を解析していたからできる事だ。

 それに、今回はその為の準備もしてきている。

 

「なのは」

 

「了解。

 レイジングハート!」

 

Shooting Mode

 Set up

  

 ガキンッ!

 

 アリサの呼びかけに即座に応え、ディバインバスターの体勢をとるなのは。

 そのなのはの肩にアリサが乗り、発射しようとするディバインバスターに手を加える。

 外から結界を破る為の力を。

 

「ディバインバスター、フィールドブレイクモード!

 シューーートッ!!」

 

 ズダァァァンッ!!

 

 レイジングハートより放たれる光の砲撃。

 攻撃用とも封印用とも違う能を持つ力の塊。

 それが、本来なら見えず、そして誰も触れられない結界の境界に触れる。

 

 パリィィンッ!

 

 そして響く破砕音。

 一瞬淡い黄色の半球が姿を見せると、ガラスが割れる様に崩れ去っていく。

 その崩れた先に現れるのはもう1つの世界。

 

 少女が張った結界の中央付近、やはりあの少女と少女の使い魔がいる。

 結界の破壊に気付き、なのは達の方を見上げている。

 今までとは逆の位置関係。

 

 少女の傍には男性が1人横たわっていた。

 それに、その周囲の地面が押しつぶされた様になっている。

 しかし少女達の結界の破壊に伴い、結界内の破壊は今の結界の世界にも反映されず、無かった事として切り替わる。

 

 そして考えるまでも無いが、これが今回のジュエルシードがカタチにした願いで、傍に倒れているの被害者。

 更に、そのジュエルシードは男性の上に浮いたいた。

 ナンバーは『]U』、既に封印は完了している様である。

 

「好都合!」

 

 それを確認したアリサは思わず声に出してしまう。

 そう、好都合だった。

 封印が既に済んでいるということは、ジュエルシードによって行動を妨げられる事はない。

 更には、なのはは封印魔法分の魔力を残して戦うという事をしなくて済むのだ。

 そして相手側が封印したという事は、少なくともその分の魔力は消耗しているという事。

 

 全て、今のなのは達にとっては有利に働く事だ。

 

「……そうだね」

 

 狙っていた訳ではないし、なのはとしてはあまり良い事とは思えない。

 だが、現状実力では勝る相手だ。

 今は仕方ない事と、なのはも始まったからには迷わない。

 

「じゃ、なのは、久遠」

 

「うん」

 

「いくよ」

 

 アリサの言葉と共に、なのはと久遠は動いた。

 久遠は浮遊状態から地上に降り、地上に立っている少女の使い魔へ走る。

 なのはは飛んだ状態のまま少女へと近づいていく。

 

 それに対し、少女達も動いた。

 少女はなのはが来るのに合わせ、距離を詰め、使い魔の方が久遠の接近に対し迎撃の準備を始める。

 

 だがそこで、なのはは一旦止まった。

 そして、

 

「わたしは戦う気はありません」

 

 言葉を投げかける。

 それは、前回と同じ言葉だった。

 

 既になのははバトルモードの魔法を起動している。

 だが戦闘理論が攻撃を提案するのを無視し、杖は持っていても構えない。

 

 下の久遠も接近を止め、使い魔の動きを警戒するだけだ。

 

「わたしには、貴方と戦う理由が無い。

 だから……」

 

「貴方になくとも、私にはある」

 

 続ける言葉を途中で遮って切り捨てる少女。

 その手に持つデバイスは既に攻撃の体勢をとっている。

 

「悪いけど、貴方達を倒し、ジュエルシードを貰う」

 

 フッ!

 

 言葉が終わると同時に少女の姿が消える。

 ブリッツアクションだ。

 

「っ!」

 

 ブリッツアクションは一瞬の加速による移動。

 突撃にも使えない事はないが、この距離ならば死角への移動だろう。

 

(回避……)

 

 2度の戦いによって学習している戦闘理論が回避行動を提案してくる。

 それに従い、なのはは一度下へと身を落とす様に捻る。

 見れば、その上を黒い影が通り過ぎていた。

 少女のデバイスだ。

 

「……」

 

 ブンッ!

 

 初撃を躱された事を気にする事なく、そこから連撃が来る。

 少女のデバイス、インテリジェントデバイス・バルディッシュは、接近戦ができるように作られている。

 サイズフォームの大鎌だけでなく、通常形態であるデバイスフォームでも、柄の長い戦斧の様にも使う事ができる。

 その『バルディッシュ』の名の通り、この世界で言うならばハルバートに近い用途ができる。

 攻撃力はサイズフォーム状態より劣るだろうが、連撃には向いている。

 

(回避……

 反撃……)

 

 距離をとりつつ回避するなのは。

 そんな中、戦闘理論は反撃を提案し続ける。

 勝つ為には反撃が必須である、と。

 しかし、そこでなのはは戦闘理論に対して入力を行った。

 

(作戦行動入力。

 目的―――捕縛)

 

 現在の状況と、既に行動として起こしている作戦を入力し、その成功を優先とさせる。

 完全に従うか、無視するかの二択だった使い方から新たな道としてその能力の範囲を広げる。

 

(回避……

 牽制……

 移動……)

 

 その入力に従い、戦闘理論は攻撃の順位を下げ、回避と移動を提案してくる様になった。

 敷いたトラップを有効に機能させる為の回避と移動だ。

 

「はっ!」

 

 ヒュンッ! 

   ブンッ! 

 ガキンッ!

 

 杖にして斧という長柄の得物でありながら、すばやい連続攻撃を繰り出す少女。

 

「くっ!」

 

 それに対しなのはは後退し、避け、受け流す。

 どれも戦闘理論が行う行動だ。

 

(やっぱり速い!)

 

 なのはは全て目で追うので精一杯だ。

 的確な攻撃はとても同年代の外見の子から放たれるものとは思えない程。

 恭也の戦闘理論がなかければ一撃目を凌いだとしても追撃によって倒されてしまうだろう。

 恭也の戦闘理論を持ってすれば、全て回避できるのだが、ここは空中。

 地上と違い急制動が利きにくく、動作一つ一つが大きくなってしまい、先程から受けなければいけない攻撃がでてきている。

 

(牽制……)

 

 それ故に、捕縛という作戦であるのに、攻撃の提案がでてくる。

 相手を下がらせる牽制の攻撃を。

 

(たとえ牽制でも……)

 

 しかし、なのははそれを良しとしなかった。

 相手の攻撃を防ぐ手段として魔法を使うのは兎も角、当てるつもりはなくともこちらからの攻撃はしないつもりなのだ。

 あくまで、なのはは話がしたいだけなのだから。

 

『Arc Saber』

 

 ヒュンゥッ!

 

 だが、少女の攻撃に隙も容赦もない。

 確実になのはを倒す為に攻撃を繰り出してくる。

 

「っ! レイジングハート!」

 

Protection

 

 迫る光の斬撃に対し、バリアを張りつつ更に後退する。

 だが、その側面からはあの少女が迫っているのが解る。

 

Magic Coat

 

 戦闘理論により杖の強化が提案され、実行する。

 そして、同時に戦闘理論は攻撃を受ける為に振り返り、構える。

 

 ガキンッ!

 

 なのはの杖に光の刃が衝突する。

 背後に回りこんだ少女の直接斬撃。

 

(後退……

 牽制攻撃……)

 

 提案される攻撃。

 しかし、それでもなのはは攻撃をしない。

 なぜなら、今も見ているから。

 

(貴方は……)

 

 衝突する2人の武器の先、交わされる瞳と瞳。

 

(どうして……)

 

 少女の攻撃に躊躇は無い。

 しかし、ならばどうして、となのは想わずにはいられない。

 

 どうして、そんな悲しみを瞳に宿しているのか、と。

 

 

 

 

 

 その頃、地上でも戦闘が繰り広げられていた。

 

「このっ! ちょこまかと!」

 

「こっち」

 

 ズダンッ!!

   ガキィンッ!!

 

 背後からの久遠の攻撃を、シールドを張って防御する使い魔。

 

「今度こそっ!」

 

 そして、既に準備はできていた拘束魔法チェーンバインドを展開しようとする。

 

「無理」

 

 フッ!

 

 だが使い魔が魔法陣を展開した瞬間、久遠はその場から大きく後退。

 更にここが住宅街である事を利用し、建物の影に隠れてしまう。

 

「くっ!」

 

 その瞬間、使い魔は飛行で空へ移動しようとする。

 しかし、

 

「それは、駄目」

 

「ちぃっ!」

 

 ズダンッ!

   ガキィンッ!

 

 

 真下から姿を現した久遠は、跳躍で使い魔を飛び越え、更に叩き落す様に打撃を加える。

 単純な力による打撃だ。

 

「またっ!」

 

 ズザザンッ!

 

 もう何度目か、強制的に地上に戻され、敵を見失う。

 

 使い魔は既に拘束魔法は完成させており、いつでも放てる状態であった。

 しかし、それを放つ事はできない。

 対象である久遠を見つけた瞬間には、久遠の攻撃がきている時だからだ。

 

 久遠の攻撃は単純な腕力による打撃だ。

 だがそれでもあまりに強力であるが故に、シールドを張って攻撃を防がなければならない。

 そして、そのシールドを張って防いでいる時点ではバインドはできない。

 自分のシールドを貫通するように別の魔法が使えるほど都合よくはできない。

 

 初めて相対した時の様に拳打に対して拳打を当て、そこからチェーンバインドができればいいのだが、それもできない。

 あれは、あくまで真正面から自発的に仕掛けたからできた事だ。

 この様な不意打ちを防ぐのにそんな事はできない。

 相手の打撃をとめるだけの拳打を放つにも、魔力を込めなければならないし、それにも時間がかかる。

 それをした場合、シールドが間に合わず、失敗すればアウトだ。

 

 それに、

 

「本気で倒す気があんの!」

 

 相手はこちらが移動しようとしない限りは隠れている。

 それはこちらの拘束魔法から逃れる為でもあるだろうが。

 

「ちっ!」

 

 主の様子を伺い、また飛行を試みる。

 だが、

 

「倒す気なんて無い。

 なのはもそう言ってる」

 

 ズダンッ!

 

 建物の窓を突き破って出てきた久遠により、また叩き落される。

 ぎりぎり耐えられるだけの手加減をされた打撃によって。

 

 ズザァァンッ!

 

「くそっ!」

 

 相手に倒す意思は無く、あくまで足止めに徹している。

 それ故に厄介だった。

 

 姿を完全に隠し、飛行を絶対に防いでいるのは、相手が魔法に対抗できず、飛行もできないという事は予測できる。

 しかし今この状況ではそれを突けない。

 いや、相手はそれを埋める知略を巡らせているのだ。

 最初相対した時には力は強力だが、それだけだと思っていたが、なんと言う化け物を相手にしてしまったのか。

 

 油断をしていたわけではない。

 しかし、相手の力を侮っていたのは事実の様だ。

 最早同じ手は食わない、そう考えつつも今はこの場を脱する方法を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 地上で久遠が使い魔を完全に抑えているなか、上空でなのはは逃げの一手だった。

 

『Photon Lancer』

 

 キィィンッ

   ズダダダダンッ!!

 

 少女の杖から放たれる光の弾丸。

 それをなのはは大きく旋回しながら回避する。

 少女の砲撃は数と速度が優れているが、1発はほとんど直線単発であり1度回避すれば消え行くだけだ。

 だからこうして飛行しているならば、回避してやり過ごす方を選択する。

 

「はっ!」

 

 だが相手は元々接近戦を得意とする魔導師。

 長距離からの射撃はそれ単発では終わらず、相手が回避運動を取っているなか、肉薄し、斬撃を放つ。

 

Protection

 

 キィィンッ!

 

 バリアをその場で展開し、それを残し、囮にする様に逃げ延びるなのは。

 戦闘開始以来、なのはがつかっているのは飛行のフライヤーフィン、防御のプロテクションと杖の為のマジックコートだけだ。

 一切攻撃魔法を使用せず、ただ攻撃を回避し続けることに集中している。

 

 なのはの目的上、攻撃は要らない。

 だが、こう相手の攻撃が苛烈では言葉を投げかける暇すらない。

 それに牽制の為の攻撃すら拒むなのはは、今徐々に追い詰めれつつある。

 防御と回避だけではこの少女の攻撃を凌ぎきる事は難しいのだ。

 

 現になのはのバリアジャケットはところどころ攻撃が掠めた跡があり、破れたり、焦げたりしている。

 そして、それを修復する余裕は無い。

 少女は、何もしてこないなのはを怪訝に思っているだろうが、それでも攻撃の手を緩めない。

 そして、何度目かの接近。

 

 ガキンッ!

 

「うっ」

 

 最早体力も残り少なく、封印魔法分の余裕があるとはいえバトルモードによる魔力消費も限界にきている。

 額に汗が流れる。

 しかも今回は真正面から相手の攻撃を受けてしまっている。

 受け流す事はできない。

 

「これでっ!」

 

 最早逃さぬと、少女は押し切ろうとする。

 そこへ、

 

「なのは!」

 

 声が響いた。

 なのはのもう1人のパートナー、アリサの声が。

 このなのはのピンチに。

 しかし、それはなのはの身を案じた声ではない。

 

「ごめんね」

 

 なのははそんな言葉を残し、力を抜く。

 相手の攻撃を受ける事をあきらめたかの様に。

 飛行魔法も相手の攻撃に対抗する為の力を解除し、そのまま押されるがままとなる。

 

 だが、それは全てを諦めた訳ではない。

 そして、その謝罪の言葉は目の前の少女に向けたものだ。

 

「え?」

 

 少女はその瞬間、一瞬で思考する。

 今までアリサが何処に居たのか。

 そして、何故なのはは自分に対してそんな言葉を投げかけたのか。

 が、気付くより先にそれは来た。

 

 ガキンッ!

 

 少女の周囲に魔法陣が展開する。

 それも、少女の体をつかむ様に少女を中心にだ。

 

「なっ! これは……」

 

 それは、拘束の魔法。

 それも設置型でトラップとして利用されるタイプのものだ。

 

 更に、それは少女だけでなかった。

 

「くっ! フェイト!」

 

 地上で声が響く。

 少女の使い魔の声だ。

 

「アルフ!」

 

 見れば、地上では使い魔が久遠に設置捕縛トラップ魔法に押し入れられ、拘束されたところだった。

 そう、両者はほぼ同時に何者かが仕掛けた設置型の拘束魔法によって捕らわれてしまったのだ。

 

「よし!」

 

 そして、姿を現すこの場に居たもう1人の少女アリサ。

 普段はなのはか久遠の傍にいる筈のアリサが今は単独でいた。

 それも、本来の姿である少女の姿に戻って。

 

 少女と使い魔を拘束するのは、アリサの設置型の魔法。

 アリサが得意とする魔法の1つだ。

 

 昨日この作戦を思いついてから、ずっと自分のスペースに篭っていたのは、この魔法を使うだけの魔力を溜める為だった。

 そして今、本来の力を少しだけ取り戻したアリサが、2人が戦闘に集中している中、拘束魔法を設置していたのだ。

 

「くっ!」

 

 キィィィンッ

 

 少女はすぐに拘束魔法に対する解除魔法を展開し始める。

 それもかなり高速で、強力なものだ。

 並の拘束ならすぐに解かれてしまうだろう。

 

 並、ならであるが。

 

「甘い!

 時空管理局執務官補佐を舐めるな!」

 

 ガキィンッ!

 

 アリサによって解除魔法はキャンセルされ、拘束魔法自体も強化される。

 

「う……」

 

 しかし、少女もまだ足掻く。

 諦める様子は無い。

 

「ごめんね。

 でも、これでお話ができる」

 

 そんな少女に、なのはは少し微笑みを向けて言葉をかけた。

 こんな手段を使わなければ言えなったが故、やや悲しみを宿しているが。

 それでも、こうして話ができるなら、と。

 

「私も、聞きたい事が山ほどあるわ!

 答えて貰うわよ」

 

 アリサの方は作戦の成功を喜んでいるのか、勝気な笑みを浮かべる。

 まだ本調子でない状態で2人を拘束し続けている為、苦しそうではあるが、それでも笑みを浮かべる。

 ここから全てを解いてやろうという意気込みを持って。

 

 

 だが、なのは達にとって、全てが上手くいったこの場に、飛来するものがあった。

 

 

 ゴゥンッ!

 

 それは黒い閃光の様に少女達の前を通過した。

 

 バリィィィンッ!

 

 そして、響く破砕音は2つ。

 それはアリサの拘束魔法が砕ける音。

 

「な……」

 

 一瞬何が起きたのか、その場の全員が解らなかった。

 しかし、地上で拘束されていた使い魔の傍に突き刺さる1本の黒い棒―――いや、それは漆黒の棍。

 そして、

 

「今は退け」

 

 戦場に響く男の声。

 見上げた先にいるのはあの仮面の男。

 

「……どう……して……」

 

 全く予測しなかった事態に、なのははその言葉を出すのでやっとだった。

 あまり良い方向へは考えていなかったが、それでもこんな事予測していなかった。

 

 そう、予測などできなかったのだ。

 仮面の男が少女と使い魔を助けるなど

 なのはがただ話そうとするのを止められるなんて事を。

 

「……」

 

 パチンッ!

   バリィィィィィンッ!!

 

 男が指を鳴らすと、巨大な破砕音が響いた。

 これもまた二重に。

 崩れるのはこの世界を包む結界。

 更にその外でも同じように結界が崩れていた。

 おそらくは男が展開した結界であり、この世界を男の意思で正常に崩す為のもの。

 更には、少女が使っていたものと同じ様に、結界の崩壊にかく乱の効果も加えられていた。

 

 

 元の世界に戻り、視界も全て戻った後、残されていたのはなのは達だけだった。

 

「どうして……」

 

 もう誰もいない空を見上げ、なのはは1人呟く。

 この、言葉を伝えてくれぬ闇に。

 返る事のない言葉を投げかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 某所

 

 どこかの空間に浮かぶ城の様な建造物。

 その中に、今少女フェイトと使い魔アルフは居た。

 

「あの男に助けられたみたいね」

 

 相対するのは紅の女性。

 少女のマスターである魔導師だ。

 

「……はい」

 

 静かに事実として敗北を認めるフェイト。

 その声にも瞳にも、感情は映っていない。

 

「まったく、あんな素人集団に負けるなんて……

 調整が不十分だったみたいね」

 

 キィィィンッ

 

 言葉と共に女性が手をかざすと、フェイトとアルフの足元に魔法陣が出現する。

 それは転移の魔法陣だ。

 

「あ、おい!」

 

 それに反応したのは使い魔の方だったが、それより先に魔法が発動した。

 

 キィンッ!

 

 そして2人が移動した先、それはこの建造物の中にある単純に広く頑丈に作られた空間。

 訓練用にしている場所だった。

 更に、2人の周囲に出現する巨大な動く鎧。

 その数は十数体。

 

 これは傀儡兵と呼ばれる魔導兵器であり、2人が何度も訓練の為に相手をしてきた相手だ。

 

 しかしこの傀儡兵、訓練用として用いながら、その攻撃は全て物理破壊。

 訓練用として調整は一切されていない。

 負ければ本当に死ぬ事になる。

 

「おい! 私達は今ジュエルシードを封印して帰ってきたところなんだぞ!」

 

 アルフが声を上げる。

 ジュエルシードの封印という魔力を使う行為。

 更にはその後に戦闘もしている為、今2人はかなり疲労している。

 とてもこんな数を相手にできる余裕は無い。

 

「……アルフ、集中して。

 生き延びる為に」

 

 しかし、フェイトは冷静に己の使い魔、アルフを宥める。

 そして、2人は構える。

 この場所から生きて出るには、この相手を全て倒さなければならない。

 もしこちらが倒れたなら、それは死を意味する。

 

 今までもそうであった様に。

 

「くっそぉぉぉ!!」

 

 怒りの声と共に敵に向かう赤橙の使い魔。

 そして、少女もそれに並び己のデバイスを持って走る。

 

 今はただ、生きる為に。

 

 

 

 

 

第6話へ

 

 

 

 

 

 後書き

 

 5話です。

 中盤戦開始な感じです。

 ジュエルシードを巡る戦いはヒートアップ。

 それぞれの想いも更に深く複雑化するのです。

 

 はてさて、中盤という事で終盤、ラストにむけた布石がちらほら。

 多分12話まで意味不明になるかと思われます。

 予測して楽しんでいてください。

 

 ん〜それにしても戦闘らしい戦闘がない……

 まあ、なのはが主人公である限り戦いってばかりいたら逆におかしいのですがね。

 とりあえず、ラストまで溜めておくか、色々と。

 

 それは兎も角、次回もよろしくどうぞ。








管理人の感想


 T-SAKA氏に第5話を投稿していただきました。



 なのはは優しいですねぇ。

 事によると甘いと言われそうですが、巷で『悪魔』だなんだと言われているとは思えないほど。

 後々はやっぱり『白い悪魔』とか言われる事になるんでしょうかね?


 いいところで邪魔をして去っていく仮面の男。

 棍を使ってますが、素性が気になります。

 仕入れた情報では、原作にはいなかったキャラクターですし。

 まぁそれはフェイトのマスターらしい紅い女性もそうみたいですが。

 疲れて帰ってきたのに死ぬ可能性のあるお仕置きとは……鬼か。



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