輝きの名前は
第6話 それは新たな始まりを告げるモノ
深夜 繁華街
月の浮かぶ空に、ネオンが輝く街を見下ろす人影があった。
その数は3。
「外からの攻撃に対する防御力を強化してあるわね」
1人は妖精の姿をした少女。
「力ずくでも無理?」
もう1人は式服を着た狐の耳と尻尾を持つ女性。
「たぶん、わたしだと戦闘理論魔法と封印分の魔力は残せないし。
くーちゃんだと、結界破壊用に変換するとなると、力をほとんど全部つかっちゃうんじゃないかな」
そして、最後の1人は杖をもった少女。
3人は確かに眼下の繁華街の方に目を向けている。
しかし、3人が見ているのはそこにある街ではない。
「そうね。
バトルモードを使わなければ封印もいけるでしょうけど、あの子相手にそれは無理だわ。
久遠にもあの使い魔を抑えてもらわないといけないし……
前回と同じ手は通用しないでしょうから、それに更にこちらが消耗していては勝ち目がないわね」
「うん……」
「あの子達、強い」
あの少女達が展開している結界を前に、悲しげに現状の力量差を認める少女なのは。
妖精アリサも悔しげで、女性久遠も口惜しそうだ。
一応この目の前の結界を破らずとも、あの少女達と向かい合う方法はある。
それは、この結界を取り込む結界を展開し、相手が出てくるのを待つ事だ。
そうすれば、たとえ内部からの攻撃には弱いアリサの結界であれ、相手は無視する事はできない。
ただ、そうして向かい合えたとしても、戦闘になってしまうだろう。
例えなのは達がそれを望まなくとも。
そして、現状3人が認める通り、まともにやってはなのは達はあの少女達には勝てない。
前回は作戦を練って、現状アリサができる取って置きまで使ってやっと捕らえる事に成功したが、最早それは通用すまい。
「せめてジュエルシードの回収は先手をとってやっておきたかったけど……」
悔しさを隠せないアリサ。
なのはが最後のジュエルシードを封印し、回収したのはこれでも5つも前の話になる。
解っているだけでも現状あの少女達は7個のジュエルシードを回収してある筈だ。
対し、なのは側で回収したジュエルシードは5個。
数の上でも2個も差をつけられてしまっている状態だ。
セレネの目的は解らない以上、せめてジュエルシードだけでもと思ったが、それもできていない。
このまま残りも全て持っていかれたら最終的にどうなるのか。
現状では見当もつかないが、良くない様に思えてならない。
「……」
久遠は悩む。
前回、久遠は知略をもってあの使い魔を押さえた。
飛べない事を補って、自分の力をうまく使ったつもりだった。
しかし、まだ足りない。
戦闘力では一番の筈なのに、なのはとアリサをその点でカバーできているとは言えないのが現状だ。
確実に誰よりも強い力を持ちながら、大して役に立てていない、そう自分で判断し、久遠は考えていた。
パリィィンッ!
暫くして、結界が砕ける。
同時に周囲の知覚が乱され、中に居たはずの少女達の姿を捉える事ができない。
「く……やっぱり見つからない」
「それに早い」
戦えはしないが、姿すら捉えられない事を悔やむアリサ。
久遠は結界構築から解除まで、すなわち中での戦闘時間の短さを考えていた。
「……」
そんな中、なのはは無言で砕け散る結界を見る。
その中にいた筈の少女達の事を想いながら。
なのはは考えていた。
確実にあの少女はなのは達より強い。
現状それは揺るがない。
なのに、どうしてこうやって結界を強化してまで侵入を拒み、戦闘後は逃げる様に去っていくのだろうか。
恐らく、あの少女は主からなのはが持っているジュエルシードも回収するよう命じられている筈だ。
それは最初に戦った時から解る事。
しかし、現にあの少女達はなのはを可能な限り避けている。
前回侵入された事を踏まえ、今回は結界を破られない様に強化をしている。
前回まではなのは達が結界を破ってまで近づいてくるとは考えていなかったのだろう。
そして、向こうから来るとしたら、それはなのは達がジュエルシードと交戦中の時だけだ。
そう、そこにジュエルシードがあるから来ているのだ。
封印回収すべき対象がそこに在る限り。
なのはは想う。
あの少女の事を。
きっと今至った答えは解っていた事。
初めて向かい合った時から。
だから、そんな事は関係ないとすら言えるくらいに尚も想うのだ。
ちゃんとお話ができたらきっと―――
数分後 高町家 なのはの部屋
帰還したなのは達は作戦会議を開いていた。
話し合うのだ。
今後の戦闘に関して、自分達ができる事を。
「まあ、すべき事は変わらないわね。
ジュエルシードの封印。
これが最優先事項である事には変わりないわ」
「うん。
多分それはあの子も同じ筈。
封印自体を邪魔される事はないと思う」
「そうだね」
あの少女と向き合うなのはと、あの使い魔と向き合った久遠はそう判断した。
あの少女達もその事を違える事は無いと。
ならば尚更互いに戦うのは無意味にしか思えないのだが、それは今言う事ではないだろう。
そうなのはは考え、言葉を飲み込んだ。
大体、それはアリサも久遠も解りきっている事でもある。
「で、まああの子達だけど……
正直どうしたものかしら。
戦っても勝てない、話も聞いてもらえない。
そして、捕らえようとしても邪魔が入る」
八方塞と言ってもいい状況。
流石にアリサも表情が暗い。
「あいつ、かなり強い」
久遠もあまり明るくはない。
そもそもあの少女達だけでも手一杯だというのに、あの仮面の男まで相手にするなどできない。
第一、あの仮面の男はほぼ間違いなくなのは達3人よりも、あの少女達よりも強いと感じられている。
「……それでも、わたしは諦めたくない。
勝てないなら、今は勝てないでも良い。
聞いてくれないのなら、聞いてもらう。
捕まえてゆっくり話しができないなら、戦いながらでも話をする。
わたしは、そうしたいと思う」
大凡無茶苦茶だと言えることを口にするなのは。
しかし、その瞳に迷いは無く、強い意思を宿している。
「まあ、なのはならそう言うと思ったわ」
「うん」
そんななのはに笑みを浮かべるアリサと久遠。
「じゃあ、何時でも撤退できる様にしておいて、戦いながらでも話ましょうか」
「うん、私もできる限りおさえておくから」
そして、なのはがそうしたいのであれば、2人は可能な限り全てをしよう。
あの少女となのはの間に邪魔が入らぬ様に。
「うん。
アリサちゃん、くーちゃん、お願い」
信頼する友がそう言ってくれるのを喜ぶなのは。
2人がそう言ってくれるなら何よりも力強い事だ。
これで、なのはは安心してあの子の事だけに集中できる。
「さて、後は……」
そうして進む話の最後。
残る議題は1つ。
それは―――
「あの男、仮面の魔導師だけど……」
アリサの表情が険しくなっていく。
「くっ、あの男さえ現れなければ…………」
あの仮面の男に対して殺意すら湧いている様子だ。
その怒りはなのはと久遠にも解る。
「大体なんなのかしら、あの男は。
味方として数えていたわけじゃないけど、なのはを助けたかと思えば、こんどはあっちを助けたり……
何が目的なのよ!」
思わず叫ぶアリサ。
ここに結界が張っていなかったら家人が起きてきてしまうところだ。
まあ、その叫びもまたもっともな事。
ジュエルシードの問題だけでも大きいというのに、あの少女達の問題。
そこに更にあの正体不明、目的不明の謎の男が居る事になるのだから。
あの男と比べたら敵対宣言をしているセレネの方がまだ解り易いだろう。
「なのはとあの子の2人がジュエルシードを封印している事が目的とか?」
考えた久遠はそんな持論を出した。
それは、確かに今までの彼の行動に対して矛盾のないもの。
「確かに、それなら辻褄が合うわ」
「うん、わたしもそれは合ってると思う」
アリサも、そしてなのはもその部分は異論はない。
きっとそれは真実に限りなく近い事だろう。
しかしだ、その後に、だが、と続く。
「じゃあ、その後は。
2人が全てのジュエルシードを封印した後、あの男はどうするつもりなのかしら」
「ジュエルシードを全て封印する事自体が目的か。
もしくは―――全て横取り」
「ありえるわね……
とりあえず、現状あの男はジュエルシードを持っていないはずだけど―――」
「封印とかを押し付けて―――」
仮面の男について話合うアリサと久遠。
「……」
そんな中、なのははただ2人の話を聞くだけで、意見を述べようとはしていなかった。
今話している事は違うような気がしながら、しかし反論できる言葉を持たぬが故に。
なのはは、前回あの少女とちゃんと話せなかったのを残念に思いながら、それでもあの男へ怒りや憎しみといった思いを抱いてはいなかった。
何故か、それはなのは自身でも解らない。
ただ、あの男は何か考えて動いている、そう感じられていた。
翌朝
今日は休日。
しかし、休日こそ忙しい母達と、休日だからこそ鍛錬できる姉達の朝はいつも通りだ。
なのはも、それに合わせいつも通りの時間に起きて朝食の席を共にする。
「なのはは今日すずかちゃんと遊ぶの?」
「うん、翠屋に集まる事になってるの」
家族と日常的な会話、そこで出た今日の予定。
今日は休日なので、昼からすずかと会う事になっている。
翠屋で軽くお茶する予定だ。
「久遠ちゃんは?」
「久遠は狐だと翠屋に入れないし。
寮に戻って撫でられてくる」
「あ〜、すずかちゃんにはまだなんだっけ」
「うん」
すずかに少女形態を教えていない以上、流石に一緒には行けない。
余談だが、久遠はここ最近夜は必ずこちらに居る為、寮生の中には久遠禁断症状が出ている子がいるとかいないとか。
「それにしても翠屋に入れない、か……
まあ、さすがに家は兎も角店の方は他のお客さんがいるから狐では無理なのよね……
外にも席を作れればいいんだけど。
あ〜、人の姿でも子供だと同伴必須で、大人だとあんまり外出向きの服じゃないのよね〜」
前に久遠は翠屋で働く桃子とフィアッセの関係で、狐の姿では家に上がってはいけないという議論があった。
議論とはいっても、恭也が軽く注意したのが始まりで、結局桃子達がちゃんと意識してればOKという結論になった。
因みに、その時はそんな事を言い出した兄恭也が一方的に悪者扱いになってしまい、兄はちょっと納得いかなそうだったのをなのはは覚えている。
まあ、恭也も久遠と高町家の友好を考えての事だったので、気にしてはいないだろう。
話が逸れたが、前にそんな事があったので、久遠が不遇を受けると言う事に関して母桃子は少し敏感になっている様子。
「あ、そうだ」
と、そこでなのはは思い出す。
兄の事と久遠の事を。
「おにーちゃんがね、くーちゃん服脱げるから普通の服も着れるって言ってたよ」
兄から教えてもらった久遠に関する情報。
服を脱げる、と言うのはお風呂に入ったりする時に見ているのでなのはは知っていた。
だが、脱いだ後、他の服を着るというのはなのはもまだ試した事がない。
因みに、脱いだ服は久遠とリンクしているらしく、脱いだ状態で変身すると服も消えるのは実験済みだ。
久遠の服はなのはが戦闘時に着ているバリアジャケットと同じく、久遠の妖力で作り上げて形にしている物。
着脱が可能で、脱いでもある程度の距離までは実体化したままでいられるし、離れた場所から分解、再装着も可能だ。
「へー、そうなんだ。
久遠ちゃん、なのはの服着て出かけてみる?
というか、恭也から聞いたの? 久遠ちゃん本人でも神咲さんでもなく」
「うん、そうだけど?」
微妙に困った顔をする母。
そういえば、那美達にはその事に関して何も聞いた事がないのを思い出した。
「まあ、深く考える事じゃないわよね。
兎も角、じゃあ服の問題は大丈夫かしら。
あ〜でも耳と尻尾か………子供の姿の方なら飾りで済むからいっか。
で、久遠ちゃん、なのはの服着てなのはと一緒にいく?」
「くぅ〜ん、今日は撫でられに帰っておく」
「あらそう? でも人の姿で外に出歩きたくなったら何時でも言ってね」
「うん、ありがとう」
楽しそうに話す久遠と桃子。
その姿を見てなのはもうれしくて微笑む。
と、そう言えば、先程兄の事を思い出して少し思った事がある。
「そういえば、おにーちゃん、今日はどこにいるの?」
兄恭也は今日も外を見回っている。
兄にとって休日も平日も関係ない。
全て終わるまで兄は戦い続ける。
こちらから、安息の中に引き入れない限り。
「ん〜、昨日は山の辺りだったと思うけど。
今晩も山に居るらしいから、私会うつもりだけど、何か伝える事ある?」
「う〜ん、伝えることって程のものはないんだけど……」
そう思いながらなのはは考える。
だけど、なんだろうか。
それより、何故今兄の事が気になったのだろうか。
確かに戦い続けている兄は気になる。
しかし、つい先日直接呼び出したばかりの筈なのに。
考えても解らない。
頭ではまだ結びつかないのだ。
何かが―――何かがひっかかっている。
それから、部屋に戻ったなのはは出かける準備をした。
「じゃあ、行ってくるねアリサちゃん」
アリサのスペースに向かってそう言って部屋を出るなのは。
アリサからの返事はない。
今日もスペースに引きこもっているのだ。
今度もまた、何かの準備の為に。
(そう言えば、休む為だったり作戦の準備だったりで、アリサちゃんと一緒に遊びで外に出た事ないや)
朝食の席で久遠の外出の事を話したせいか思い出した。
今までアリサとは外に出る時はジュエルシードか魔法の修行の為であり、それ以外には無い。
(全部終わったら、皆にも紹介できるよね)
アリサは新しい友達だ。
ちゃんと皆に紹介したい気持ちはある。
家族にも、今の友達であるすずかにも。
それから皆で一緒に遊びたい。
(うん、全部終わったら、そうしよう)
絶対できる、そうする、と考えながら笑みを浮かべるなのは。
それにその時はもう1人皆に紹介できればよいとも考える。
(とりあえず、今日は翠屋のケーキをお土産に持って帰って来よう。
くーちゃん用って言えば多分大丈夫だよね)
そして希望と決意を胸に、今は魔法の空間から日常の世界へと戻るのだった。
「いってきまーす」
「はーい」
家に残っていたレンに出る事を伝えて家を出るなのは。
「あれ?」
と、玄関を出て、一歩外へ出た時だった。
家の前の道に人影があるのを見つける。
「赤星さん」
「あ、なのはちゃん」
そこに居たのは長身の美男子といえる青年。
名前を赤星 勇吾。
兄恭也の数少ない……というより同年代で絞ると唯一の男の友人。
草間一刀流剣道の使い手であり、兄恭也の母校では男子剣道部の部長を務めていた。
剣道の腕は全国大会ではベスト16を誇る凄い人だ。
剣道の腕もあり、また兄達の道に理解があるので、時折兄や姉と打ち合う事もある。
また、赤星の通う道場は晶の通う空手道場と同じビルにある関係で、晶とも親しい。
そんな事もあってか、赤星はその他の高町家全員と親しく、花見などの集いも一緒するくらい高町家と交流のある人だ。
因みに実家は寿司屋で宴会の席にはよく実家の寿司を持参してくれる。
尚、現在は親元を離れてここ海鳴市で独り暮らしをしているらしい。
「おにーちゃんに用ですか?」
見ると赤星は竹刀袋を持っていた。
持ち物がそれだけなので、稽古の帰りと言うわけではないと推測する。
そして、ならばそんなものを持ってここに居ると言う事は兄と打ち合うつもりだったから、という結論に達したのだ。
「ああ、まあそうなんだけどね。
高町は今日も見回りだろう?」
どうやら事情は知っているらしい。
残念そうな赤星。
因みに、赤星は恭也の事を『高町』と呼んでいる。
美由希やなのはなどはちゃん付けだ。
「はい。
もう1週間になります」
「そうか……」
どこか遠くを見る赤星。
兄を案じている、のだろうか。
その心の内はなのはには読みきる事ができなかった。
「兄に用でしたら連絡しますけど……って、携帯の番号知ってますよね?」
「ん? ああ、知ってるよ。
でも電話じゃ多分意味がないから」
そう言った赤星は少し悲しげだった。
言いたい事はなのはにも大体解る。
どんなに通信技術が進もうとも、直接会わなければならない事というのは在るのだから。
「じゃあ、またね」
「はい」
少し名残惜しそうにその場を立ち去る赤星。
その背中はどこか暗かった。
「あ……」
その背中が見えなくなった後、なのはは気付いた。
事情を知り、家に居ない事も解っているのに、何故竹刀袋をもっていたのだろうか。
―――いや、そもそも、兄と打ち合いに来る時は竹刀袋など持って来ていない筈だ。
2人は高町家の道場にある木刀を使っていた。
そう、そもそも2人が使うのは木刀だ。
なのに、何故赤星は竹刀袋など持っていたのだろうか。
いや、そもそもそれは竹刀を入れる為の袋なのか―――
数分後 翠屋前
赤星の事は気になったが、それは今夜兄に直接会いに行くと言う姉に伝言を頼むと決め、約束のある翠屋に来ていた。
海鳴商店街に入り、もう少しで目的地到着というところだった。
今日は休日と言う事もあり商店街は賑わっていた。
なのはの身長では人ごみでほとんど視界がなくなってしまうくらいに。
「あ……」
だが、その中に見知った者の姿を目にした。
兄恭也だ。
背中しか見えないが、それでも間違う筈はない。
「おにー……」
声をかけようとした。
少し距離はあったが、しかし届かぬ距離ではないと。
なにより兄が自分の事に気付かない筈は無い。
しかし、その時だ。
フッ
「―――え?」
なのはのすぐ脇を人が通り過ぎた。
赤橙色の髪を靡かせた女性の影が。
なのはは振り返るが、しかしそこに赤橙色の髪をした女性の姿はなかった。
更に、もう1度前を見た時、兄の姿もなくなっていた。
「……」
そして、2人が去った後に残るなのは。
時間は経っていない。
探せば居る筈だ。
しかし何故だろうか。
なのはには、どちらも見つけられる気がしなかった。
今は、まだ―――
それから、気持ちを切り替えなのはは翠屋に入った。
今は日常なのだと己に言い聞かせて。
友達が待っているのだから。
「いらっしゃいませ〜、ってあらなのは」
「こんにちは〜。
すずかちゃんいます?」
「奥の席よ」
フィアッセに案内され、奥の席へと移動するなのは。
そこではすずかと、ファリンが待っていた。
今日は2人ともお揃いとまではいかないが、同じ様なワンピースタイプの服を着ている。
「あ、なのはちゃん。
こんにちは」
「なのはお嬢様、こんにちは」
「すずかちゃん、ファリンさん、こんにちは」
ファリンが来る事は聞いていなかったので、それに少し驚き、とりあえず席に座る。
すずかとファリンとは向かいの席だ。
そうしてから、今気になった事を言っておく。
「えっと、あのファリンさん、外で私服の時にお嬢様はちょっと……」
「あ、そうでした。
申し訳ありません。
え〜では、なのはちゃんって呼んでよろしいですか?」
「あ、はい、それでいいですよ」
「はい、では外ではその様に」
何故かとても嬉しそうなファリン。
どうやらなのはを『ちゃん』で呼べるのが嬉しいらしい。
それは『お嬢様』で呼ぶのが嫌なのではなく、単純にそう呼んでみたいとも思っていただけだろう。
「ファリン、私も外では基本的にお嬢様は無しで」
「え? で、でもすずかお嬢様は私のお嬢様な訳で、お嬢様はお嬢様とお呼びしないと……」
今度はすずかも内外での言い分けを提案する。
しかし、ファリンは何故か慌てふためいて『お嬢様』を連呼する。
ノエルのメイドとしての仕込みがどうも変な方向に走っていると思われる。
「えっと、ファリンさん、ノエルさんも外では忍さんやおにーちゃんを呼ぶ時は『さん』で呼んでたりしますよ?」
そこでなのはは助け舟を出す。
何度かノエルと外を歩いた事があるなのはであるが、ノエルは忍の事を必ず『お嬢様』と呼んでいるわけではない。
それは兄恭也を呼ぶ時も同様であり、特に周囲に他人しか居ない場合で、呼びかける時は『さん』で呼んでいる。
それでも可能な限り『お嬢様』や『様』で呼んでいるのは確かであるが、必要に応じて言い分けているのも確かだ。
「そうなんですか?
外に出たことがなかったので知りませんでした」
それを聞いて安心するファリン。
しかし、同時に気になる発言もあった。
「外に出たことがない?」
確かになのはの記憶でファリンが外に居た記憶は無い。
すずかを迎えにバス停までならあったが、それだけだ。
車にも乗っている場面がなかった。
思い返せば、ファリンの私服姿というのも今日始めてみた事になる。
「あー、えっと、ファリンはこっちに着てからずっとノエルさんに仕事を教えてもらってて。
それで日本に着てからはまともに外に出たのは今日が始めてなの」
「ああ、なるほどー」
すずかの説明で納得するなのは。
ファリンがこちらにきたのは約2週間前。
それまでは屋敷内の仕事を覚えるのが大変だったのだろう。
屋敷は広いし、メイドとしてやらなくてはならない仕事も多々ある。
「は、はい、そうでして。
でもこれからはすずかお嬢様専属メイドとして、護衛の任にも就く事ができます」
何故かすずかの説明に対して慌てて相槌を打つファリン。
しかし、その後は誇らしげに告げる。
だがその内容、『付き添い』などではなく、『護衛』と。
「護衛?」
「はい。
エーディリヒ式は元々護衛用でもあるので、私はまだまだ未調整ですが……」
なのはの疑問の声に応えるファリンだが、またもやよくわからない単語が出てくる。
「ファリン!
あ、そのね、ノエルさんもメイドとしての在り方の流派というか、そういうので。
ノエルさんもお姉ちゃんの護衛をしてるから、ファリンもそれに習おうとしてて」
何故かファリンの口を塞ぎながら慌てて説明するすずか。
何か嫌な汗もかいている様に見える。
「そうなんだ。
そう言えば、元々は女性2人で暮らしてたんだもんね」
「う、うん、そうなの。
見せてもらった事は無いけど、ノエルさんは強いらしくて」
「あ、少し見たことある。
とっても力が強いんだよね」
「うん、私もそれは少し見たことある。
凄いよね」
すずかの慌てた様子もだんだん薄くなり、和気藹々と話をする2人。
「ところで、すずかちゃん、それもう離してあげた方が……」
と、そこですずかのすぐ横を指すなのは。
「え? あ! ファリン〜」
そこにはずっと口を押さえつけられてぐったりしているファリンがいた。
「はう〜……」
それから、目をまわしたファリンが復帰するのに3分程かかった。
とまあ、ちょっとどたばたあったが全員の注文も揃い、ゆっくりとティータイムを楽しむ3人。
「あ、そういえばなのはちゃん、この間の先生の話。
将来の夢とか、もう考えてあるの?」
「あ〜、あの話か〜」
思い出される数日前の学校での事。
将来について考えるという話があった。
「すずかちゃんは?」
「私は、うん。
最近まで特に何も無かったんだけど、機械技術者になろうと思ってるの」
明るい笑顔で答えるすずか。
前にも1度似たような話があった時は特に夢らしいものは無かったとなのはは記憶している。
一般的な子供が描くケーキ屋さんやお花屋さんなど、そう言うものすら持っていなかった。
しかし、今は何か目標となるものができたのか、まだ鮮明でなくとも光が見え始めている。
「そっか」
親友がもうそう言うことを考えているのに感心し、どこか嬉しくもあるなのは。
「ファリンさんは、やっぱり立派なメイドさん?」
続けてなのはは、すずかの答えに目を輝かせていたファリンに問う。
既に仕事についてるが、何か将来に対して想う事もあるだろう。
「はい。
最近巷で流行の『メード』など遊びなのです! 私はお姉さまの下で立派な侍女、メイドになって見せます!」
席から立ち上がって力説するファリン。
何か背後に炎すら見える。
「とりあえずの目標は護衛用として完成する事と。
後、恭也様のお相手を任されればと思います」
更に、明確な次のステップまで掲げる。
なのはには微妙に良く解らない言い方であるが。
「おにーちゃんのお相手?」
「ファ、ファリン!」
それに対しハテナ顔のなのはと、慌ててファリンを座らせるすずか。
「と、ところで、なのはちゃんは?
何か夢とかはあるの?」
ファリンを座らせてから、こちらに話題を振るすずか。
何処か、話題を切り替えるためにも使われている気がするが、そうであっても元々聞きたいという気持ちはあっただろう。
「うん、わたしはやっぱりここ翠屋の二代目かな。
それが一番である事には変わりないよ」
「ああ、やっぱり?
うん、なのはちゃんならきっとなれるよ」
子供がよく夢に見るケーキ屋さんなどの夢。
それはなのはにとっては明確な目標の1つ。
母の仕事を誇りに想い、跡を継ぎたいと思う気持ちは強い。
因みに、最近少しその為の練習もしているところだ。
まだまだ上手くいかないが、いつかはきっと―――
「後は……」
だが―――そう、だがそれが、翠屋の跡継ぎが一番であることはほとんど絶対だ。
しかし、その前に何かがある。
頭によぎるのはアリサやあの子達の事。
その事が今後、なのはの将来にどう影響するかはまだ解らない。
ただ、それが必ず影響する事は間違いないと、最近思えている。
「後は?」
なのはの言葉の続きをまつすずかとファリン。
それに対し、なのはは少し慌てて考える。
今考えていた事は言える事ではないことだから。
だから、すぐに思いついたことを述べる。
「お嫁さんとか」
母もそうであるように、人を好きになって結婚する。
それには憧れの様な気持ちがある。
例えまだ『恋』というものすら知らなくとも、だ。
「お嫁さんか……なのはちゃん、誰か好きな人とかいるの?」
何故か、なのはの答えに若干ショックを受けつつも問を重ねるすずか。
「おにーちゃんとか」
ほぼ即答するなのは。
そう返ってくる事を予想していた訳ではないが、自分で口に出した言葉に対して考えていたのだ。
そして得られた答え、現在好意を持つ異性といえば、1人しかいなかった。
「恭也さんとは、兄妹だから結婚できないんじゃ……」
ちょっと複雑そうな顔をするすずか。
その複雑の中には、どこか安心した様な気配も見えるが、なのはは特に気にすることはなかった。
「えっと、わたしとおにーちゃんだと、複雑な戸籍の関係で結婚は可能だって言ってたよ」
「え?! そうなの!」
「あ、これ、あんまり人に言う事じゃなかったかな……」
なのはの言葉に驚くすずか。
そして、なのはも口に出してしまってから思い出す。
この事は相手が親友のすずかと言えども軽々しく口にできる話題ではなかったと。
「おねーちゃんに婚姻を結ぶなら早くしたほうが良いって言った方がいいかな……」
「大丈夫だと思いますよ?
結婚が可能だとしても、近しい異性として、家族としての好意が、恋心と区別できないだけでしょうから」
「そうかな? 私にはお兄さんがいないから解らないや。
でもファリン、どこでそんなの覚えてくるの?」
「えっと、それはお嬢様の本棚とか……」
なのはが自分の台詞について考えていると、すずかとファリンが内輪で話をしていた。
「すずかちゃ〜ん?」
何だろう、と声をかけるなのは。
特に2人の雰囲気から不快な感じはないが、流石に話に入れてもらえないと少し寂しい。
「あ、ごめんなのはちゃん、なんでもないから。
えっと、で将来の夢だよね。
お嫁さんと翠屋の二代目は両立できるよね〜」
「あ、うん。
お母さんもそうだったから」
「うん。
なのはちゃんも桃子さんみたいになるのかな〜」
「どうだろう? なれるかな〜」
それから、3人でまた和気藹々と会話を楽しむ。
穏やかな午後の一時。
未来の事について明るく話し合う静かで平和な時間。
ゆっくりと会話を楽しんだ後、別れの時間となった。
「じゃあなのはちゃんまた明日ね」
「うん」
「なのは様、ごきげんようなのです」
「ファリンさんもまたこんど」
ノエルに迎えの車をまわしてもらい、翠屋の前で別れる3人。
「あ、ファリン、テストは不合格だから」
「えっ?! そんな〜……」
最後にドアが閉まるとき、笑顔だけど笑顔じゃないすずかと泣きそうなファリンのやりとりが見えた。
「テストってなんだろう?」
が、それが何だったのかは、なのはは解らない。
「さて……」
それは兎も角、自分も家路につくなのは。
既にアリサと食べる為のケーキは持っている。
後は家に戻ってアリサが出てくるのを待つだけだ。
「夢、か……」
だがその帰り道、先程まで話していた話が頭を過ぎる。
今関わっている魔法の事件。
そしてアリサとあの子の事。
自分はこれから何ができるのだろうかと。
夕刻 なのはの部屋
翠屋からの帰り道で久遠と合流して家に戻ってきたなのは。
それからすぐ部屋に戻った時だった。
「と言う訳で、やっと完成したわ」
部屋に入るとアリサが自慢げにそう告げた。
「にゃ?」
「くぅん?」
アリサが自分のスペースから出てきている事すら知らなかった2人はただ疑問の声を上げるだけだった。
そもそも何をする為に引きこもっていたのかも知らないのだから。
「ついに完成したのよ、通信システムが。
ここのところバタバタしてて延び延びになってたけど」
通信システム。
アリサがこちらに来た当初はジュエルシードの影響でできないとされ、しかしある程度落ち着けば可能だったもの。
約1週間前にはもう少しでできるとのことだったが、その後大きな事が立て続けに起きて手を着けていなかったものだ。
「ああ、通信か。
これでアリサちゃんが皆と連絡が取れるんだね」
「忘れてた」
流石に2人もいろいろあって忘れていた様子。
久遠は正直にそう述べているが。
「ええ。
じゃ、やりましょうか」
「今から繋げるの?」
「そうよ〜」
キィィィィンッ
アリサの足元に碧の魔法陣が展開し、更に部屋に設置されていた魔法陣と連動する。
その連動の中心となるもの、部屋の中央の床に大きな魔法陣が展開し、その中心の宙にモニターの様なものが現れた。
ザ……ザザ……
既にアリサは通信回線を繋げようとしている。
しかし画面は壊れたテレビの様に乱れ、何も映らず、何も聞こえない。
「ん〜……」
ザザ……ザ……
「ん〜〜〜……」
ザザザ……
調整を繰り返すアリサだが、通信はなかなか繋がらない。
相変わらず画面に音も乱れたままだ。
「む〜。
これでっ!」
キィィィィィィンッ!
アリサの足元の魔法陣が大きくなり、輝きも増す。
なのはにはどういう原理かわからないが、それが単純に出力を増して無理矢理回線を繋がる行為だと解った。
割と大雑把らしい。
だが、
『……ザ……こ…………アース………………』
声らしきものが入った。
通信システムから。
「よし、繋がった!
こちらアリサ、アースラ聞こえる?」
『…………リサちゃ……………………っ!
最大出力〜!!
こちらアースラ、アリサちゃんね!』
どうやら向こうも感度を上げてたらしい。
しかし、最後に聞こえた呼び声は鮮明なもの。
感度を上げつつ、更に微調整をしたのだろう。
通信を通してでも相手が若い女性である事がわかる。
「エイミィ!
アースラは皆無事?!」
完全に繋がった事を確信したアリサはまず皆の安否を尋ねた。
今までずっと一番気になっていた事。
自分の失敗で次元震に巻き込み、下手をすれば全滅などというのも在り得たのだ。
『こっちは大丈夫よ。
そっちは大丈夫なの!』
「ええ。
リンディとクロノは?」
リンディとクロノ。
最初のアリサの話にも出てきた家族の名前。
最初の事件で出撃していた人の名前だ。
『クロノ君はあの時無事に帰還できたわ。
リンディ艦長は飛ばされちゃったけど、無事だって連絡も入ってるよ』
「そう、良かった…………」
心から安堵するアリサ。
そんな姿をなのはと久遠は後ろから静かに見ていた。
『今アリサちゃんはどうしてるの?
アースラはあの時の次元振動で一時航行不能になったけど、今ジュエルシードが飛んだ先だろう場所に向かってるわ。
まだ時間はかかりそうなんだけど、ちゃんと迎えにいくから』
「大丈夫よ。
ジュエルシードなら私達が集めているわ。
現地の人に協力してもらいながらだけど」
『現地の人?
そっちて管理外地区でしょ? 大丈夫なの?』
「ええ、大丈夫よ。
……あ、まずい魔力の残りが!」
力押しで繋げたせいか、ただの通信でも魔力を結構消費するらしい。
魔法陣の光が弱まっていく。
「エイミィ、調べて欲しいの。
何故かこの世界、管理外地区の筈で外からは入れない現状で、ここには魔導師がいる。
仮面をした20歳くらいの男で、両端だけが白い漆黒の棍使いで、AAA以上の魔導師。
私の結界をすり抜けて来るくらいの結界魔法が得意な奴。
変身魔法使ってるかもしれないから、外見は参考にないけど、調べて」
『何、敵なの?』
「多分。
後ね、私と同じくらいの年齢で、金髪で目が紅くて、AAAクラスの魔導師になりえた女の子。
そんな特徴が
近年の内のやつを」
『死亡記録? 何で?』
「あ〜、魔力が切れる。
ごめん、理由は今度話すから、調べておいて!」
『解ったわ、くれぐれも気をつけてねアリサちゃん』
「ええ」
ブチンッ!
アリサが魔力放出をカットし、切断される回線。
同時に設置されていた魔法陣も全て輝きを無くし、見えなくなる。
「ふぅ……
最低限の事は伝えられたから良かったわ」
「お疲れ様」
「おつかれさま」
汗を拭うアリサを労うなのはと久遠。
「ありがとう」
振り向くアリサは疲れている様だが清々しい顔だった。
最低限であるが、仲間の無事が解った事で肩の荷が大分減ったのだろう。
「さって、後はまた魔力の回復を待って通信をつなげて、エイミィの調査結果を待ちましょう。
あ、エイミィってね、私の所属する艦アースラの管制官で情報処理担当。
後、私が来るまでは執務官補佐も兼任だった人なの。
今も私が未熟だから、まだしばらくは兼任だけど」
「そうなんだ」
仲間の話を楽しそうにするアリサ。
今までできなかった事だ。
ずっと心配していたが故に。
そんな姿を見て、なのはもまたうれしい気持ちになる。
と、アリサの話が一段落したところで、通信内容で気になった事があるのを思い出すなのは。
「あ、そういえば、さっきあの子の特徴を伝える時に使い魔持ちって言ってなかったけど、何で?」
使い魔は持っているだけで魔導師としての評価対象になるくらいの存在だ。
故にどの様な使い魔を持っているかという情報はかなり貴重な筈。
しかし、先程アリサは通信でその特徴を伝えなかった。
「ああ。
だって、あの子自身が使い魔、つまり1度死んだ人間という事になるから。
そうなるとその人が持っていた使い魔ってその時点で消えている筈だわ。
だから、あの子が今持っている使い魔は生前からのものじゃないから、参考にならないわよ」
「ああ……確かにそうだね」
納得するなのは。
同時にアリサはあくまで
それでも、使い魔の素材となった存在は使い魔となるとそのいくつかは引き継ぐので無駄ではないのだ。
(じゃあ、あの人にあの子の事を聞いても、過去の事は解らないんだ)
あの人、なのはが気になるあの子の使い魔から何か話を聞こうかとも思った。
しかし、それは無駄にはならないだろうが、決定的なものは得られないだろう。
(でも……)
だが、それはあくまで過去の情報としてのこと。
あの子に起こっている真相の話。
今のあの子と話す上では関係無いとすら言える事だ。
だから、なのはは別に気にする事はなかった。
「さって、連絡できる事はしたし、後はこっちでできる事をしましょう。
やるべき事はジュエルシードの封印回収。
あの子にも、あの男にも渡さない。
あの子に出会ったら、撤退準備をしつつ会話ね」
「うん」
やるべきことは変わらない。
たとえ過去のどんな情報を得たとしても。
今と未来を変えるならば、それは参考資料でしかない。
「あ、そうだ、アリサちゃん、くーちゃんケーキ食べる?」
話が一段落したところで、翠屋から持ち帰ったケーキを差し出す。
丁度3つ用意してもらっているので1人1つにできる。
「え? ケーキ? うん食べる食べる」
「食べるよー」
それからやや遅いおやつを3人で楽しむ。
平和な時間の間にできる安らぎの一時。
「ああ、こういうのリンディ好きなのよね〜」
その中では家族の話題も出る。
「そうなんだ」
「ええ、もうすっごい甘党で……何にでも砂糖を入れるのは勘弁してほしいんだけどね。
普通に料理作らせれば普通に美味しいのに……」
微妙に苦い思いでもある様だが、それはそれで今は楽しく語れるものだ。
そしてのんびりと数十分おやつの時間を楽しんだ後は。
「さって、英気も養ったし。
ジュエルシードが現れるまでは訓練あるのみ、だね」
あの少女達に勝つのは今は無理でも、いつか『逃げながら』などという形にならない様、なのはは訓練に望む。
話をする為に、話を聞いてもらう為に力が必要だ。
暴力であってはならないが、しかし、想いの強さに比例するだけの力を持たねばならない。
障害を払ってでも伝え合う為に。
「うん。
行きましょう」
「たくさん、練習する」
アリサも久遠もやる気十分だ。
今日はもう遅いので、部屋の中でできるものに限られるが、明日は外で訓練をしよう。
3人はそれぞれの想いの下、同じ考えに至っていた。
一方 某所 高層マンションの最上階の一室
「フェイト〜、ただいま〜」
高級高層マンションの一室に入ってくる1人の女性。
赤橙色の髪を靡かせた露出度の高い服をきた、美女と呼んで相違ない18歳前後と思われる女性だ。
しかし、その頭には獣のものに似た耳があり、腰の下には尻尾が生えていた。
そのどちらも髪の色と同じ色で、更には狼のものと似た形状をしていた。
「おかえり、アルフ」
名を呼ばれてソファーから起き上がる少女。
金色の髪をツインテールにしている10歳前後の綺麗な紅い瞳をした、こちらも美少女と呼んで差し支えない子である。
髪を結うリボンは黒で、衣服も黒を基調としたワンピースタイプのものだ。
「あ、フェイト、寝てた?」
「少し横になっていただけだよ」
「そう……
身体は大丈夫?」
「ええ」
表情をコロコロと変えながら少女フェイトと話す使い魔の女性アルフ。
それに対し、フェイトは穏やな笑みを浮かべながら返す。
「あ、そうだ、ケーキ買ってきたんだ。
一緒に食べようよ」
そう言って差し出すのはケーキの箱。
その箱には『翠屋』とプリントされていた。
「街に行ってたの?」
「散歩と見回りを兼ねてね。
そしたら商店街で良い感じの店を見つけてね」
「そう」
楽しげに話すアルフ。
尚、アルフは外に出る時、耳と尻尾を隠し、完全に人間と変わらぬ姿で出ている。
因みに、ケーキを買ってきたお金だが、これはフェイトのマスターであるセレネからまとめて渡された物の1つだった。
一応半分以上は人間であるフェイトが、この場所を拠点として動くのに必要なものとして。
基本的にここにはいない彼女が何もしなくとも生きていけるだけの資金としてある。
それは食費を含む生活費から、場合によってはこの世界の機関を利用する為の資金だ。
ジュエルシードを回収する際に必要かもしれないものとして。
「無駄かもしれないけどさ、たまにはいいんじゃない?」
「そうだね」
余談だが、その資金はこの世界の者ではないセレネが言うには、正当なこの世界のお金らしい。
既にこのマンションのこの一室は買い取られており、それでもまだ9桁単位の資金がある。
だが2人はその中からこの世界の一般常識レベルのお金しか使わずに生活していた。
普段の食事も自炊である。
言われた訳でもなく、教えられた訳でもないのに常識として。
その自分達の行動に疑問すら抱く事なく。
「じゃあ、紅茶淹れるね〜。
フェイトはどれ食べる?」
「沢山買ってきたね」
箱を開けると10個のケーキが並んでいた。
どれも美味しそうに見える。
「こっちのお菓子は初めてだけど、親切な人がいてね〜。
一応、フェイトの好きそうなのを買ってきたけど」
アドバイスは貰ったものの、味は食べてみないと良く解らない。
だが知る限りのフェイトの好みの中から選んだものだ。
どれかはちゃんと当たるだろうと思っていた。
しかし―――
「え? アルフ、私のケーキの好み解るの?
私、今までこういうの食べた事ないけど……」
疑問の声が返ってきた。
フェイト自身でも自信の無い疑問が。
なぜなら、アルフの言う事は合っている思うから。
アルフが選んできたケーキの中には自分が好きだと思えるものがある。
だがしかし、食べた事が無いものの好みなど、何故存在するのだろうか―――
「え? だってリニスが作ってたので好きそうだったのは―――
あれ?」
アルフは応えながらも、しかし解らなくなる。
今自分が口にした言葉すら理解できない。
そう、解らない。
出てくる筈がないのだ。
何故なら―――
「リニスって……誰?」
言葉はフェイトのもの。
しかし、それは言った本人であるアルフも思った事。
同時にフェイトも何故かその名前が知らない筈なのに、思い出せない。
自然に口に出てくるのに、それが何であるか解らない。
だが、これだけは解る―――いや、感じたのだ
ナニカ、タイセツナコトヲワスレ―――
「騒がしいわね」
そこへ1人の女性が部屋に入ってきた。
真紅の髪に真紅の瞳の若い女性。
整った顔で紅い男性用のスーツを着ており、男装の麗人と表す事ができる。
その人の名はセレネ・フレアロード。
半自立型魔法生命体であるフェイトを使い魔とする、フェイトのマスターである人だ。
現れたセレネは一言そういうと場の空気が凍った。
そして、少女達を見るその瞳は冷たく、感情は感じられない。
「暇なら鍛錬を積みなさい。
ジュエルシードの反応もないのだから」
暖かだった憩いの時間が凍っていく。
それくらい投げられた言葉は冷め切っていた。
「了解しました」
それに対し、フェイトは先まで見せていた綺麗な笑顔を消し、無感情で応える。
それは女性の出現により心を封印してしまったかのような姿だった。
すぐに部屋を出て、こことは別の空間にあるトレーニングルームへと向かう。
「……」
対し、使い魔の女性はセレネへの敵意を隠さない。
しかし少女に従い、少女の後を歩いてついていく。
トレーニングルーム
ズダァァァァンッ!!
空間的にも隔離されたこの場所で、動くのは1人の少女と1人の女性。
そして、機械の鎧達。
その最後の一体が今倒れる。
「フェイト……」
横たわる機械の鎧。
その上に立つ少女の背にアルフは呼びかける。
何か言いたそうに。
しかし、言い切る事ができずにいる。
「いいんだよ、アルフ。
私はこれで。
あの人が、そう望むのだもの」
己の使い魔に背を向けたまま少女は応えた。
そして、もう1度トレーニングをしようと、この部屋のシステムに命令を送る。
自動で修復され、再び2人の前に立ちはだかる機械の鎧、傀儡兵達。
また始まる。
感情のない機械達と、感情を殺した少女と感情を隠せない女性の舞踏が。
部屋にはただ破砕音だけが響いていた。
翌朝
ジュエルシードの為の訓練もあるが、日常は日常としてある。
今日は平日なのでなのはは学校だった。
「いってきまーす」
「行ってらっしゃい」
姉に見送られ、バスにのるなのは。
「なのはちゃん」
「すずかちゃんおはよー」
いつもの席でいつもの友達。
いつもの時間だった。
だが、
「……あれ?」
ふと、窓から外を見たときだった。
「赤星さん……」
走るバスの窓の外、道路脇を歩く赤星の姿があった。
今日も竹刀袋を持って。
「なのはちゃん、知り合い?」
「あ、うん、おにーちゃんのお友達」
今日も赤星は兄を探している様子であった。
しかし、それで何故こんなところを歩いているのだろうか。
そして、何で竹刀袋なんて持ち歩いているのだろうか。
なのははその後、学校についてからもそれが気になっていた。
その日の夕刻
学校から帰ったなのはは家に戻り今朝の事をアリサに話していた。
「お兄さんの事をねぇ……
確かに気になるけど。
でもそのお兄さんには伝えたんでしょう?」
「うん、昨日おねーちゃんに伝言を頼んで、今朝聞いたらおねーちゃんはちゃんと伝えたって。
おねーちゃんが言うには、わたしの知らない時も時々居たらしくて、おねーちゃんも気になってたんだって」
「そうなんだ。
私は家には居ても寝てるから気付かないのよねぇ」
アリサは基本的になのはが居ない時は寝ている。
本来であればなのはの傍にいるべきなのだが、まだこの世界に身体も魔力も慣れていないのだ。
回復の為に寝ておかないと、結界を展開できなくなってしまう。
それでもこの世界に来て2週間が過ぎ、大分慣れてきたとの事だが、まだ本調子には程遠いらしい。
「ジュエルシードが周りに与える影響というのも、これまたデータ不足で。
何ともいえないわ。
ごめんね、役に立たなくて」
「そんな事無いよ、話を聞いてくれるだけで十分だよ」
「そう?」
元々あまりジュエルシードと絡める気は無かったのだが、しかし赤星が探しているのはジュエルシード第一の被害者たる兄恭也だ。
それもあってどうしてもジュエルシード絡みに思考がいきがちになっている。
赤星の悩みは日常の世界のものかもしれないのに、少し敏感になりすぎているかもしれない、となのはは考えていた。
兄も赤星を探している筈なのだから、直解決するだろう。
そう思っていた。
日常の中の1コマとして。
平和に、穏やかに―――
しかし
キィィン
それは来た。
ジュエルシードの起動を知らせる魔力波動。
「まさか……」
そう思いつつ、なのは達は出た。
場所は―――
藤見台
藤見台にある墓地から少し上がった場所。
そこにある草原。
訪れる人はなく、ただ風だけが吹き行くこの場所で、今は異変が起きていた。
「これは……」
「まさか……」
到着した3人。
同時にアリサと久遠が声を上げる。
「結界……あの子達のじゃない」
そこには結界が展開されていた。
外界から世界を隔離し、また外界からの侵入を拒む強力な結界が。
「読み取れない……
一体誰が……って、1人しかいないか」
アリサが解析できない結界。
そんなものを展開できる人物は、思い当たる中で1人しかいない。
「仮面の剣士さん」
「あの男が……」
全員が思い浮かべるのは1人の男。
敵か味方かも解らず、目的も不明。
そして、今までジュエルシードに直接関わることの無かった者。
それが、今になって―――
と、そこに近づいてくる影があった。
「あ、あの子達」
最初に気付いたのはなのは。
その声に気付いた久遠とアリサもそちらに目を向ける。
丁度、結界を挟んで反対側の空に現れた影、あの少女と使い魔の姿があった。
現れた2人は、展開されている結界に少し驚いた様子だった。
そして、1度なのは達に目を向けた。
「……」
「……」
一瞬だけ交差するなのはと少女の視線。
それからすぐ、少女は結界に眼を向ける。
更に使い魔に指示を出し、使い魔が動いた。
ヴォゥンッ
結界を囲む様に、この周囲に結界が展開した。
だが、それは今まで使ってきたタイプのものではない。
今までのアリサや少女達が使っていた結界は、その場とは位相の違う空間を、擬似的な世界をつくり出すもの。
その中に展開した場に存在していた一部のものを取り込むというものだ。
そうやって危険な戦いを違う世界で行い、行われた破壊を本物の世界では起きなかった事にできるもの。
だが今展開されたのは、この世界のこの場に、この場には何も起きていないという光や音をごまかす結界だ。
この場でなのは達が魔法を使っても、結界の外ではそれが見えない、聞こえない、感じられないという隠れるためだけの結界である。
同時に人払いの効果も入っている様だ。
この結界は侵入防止の効果はなく、入られたら全てが見え、聞こえてしまう。
展開する中に人が居ては意味がないし、人に近づかれても拙い。
今、この結果周辺に人がいないからこそできる結界。
何故今まで通りでは駄目かといえば、今展開されている結界が解析できないからだ。
結界の表面ならいざしらず、何が存在するかもわからない結界の中までは結界の範囲に入れる事ができない。
そう、取り込めないないのだ。
故に、なのはと少女が互いにやるような事はできない。
『Arc Saber』
ヒュンゥッ!
結界を展開した少女達は攻撃を始めた。
結界に対して。
いつも見るよりも大きなアークセイバーを放ち、結界にぶつける。
勿論本来は触れられない結界に対する結界破壊の魔法も込めている。
ガガガガガガッ!
結界を斬り裂かんとするアークセイバー。
だが、
バシュンッ
傷すらつける事もできず消えてしまう。
「ハッ!」
ダンッ
今度は使い魔の方が結界を破壊する魔法と叩き込む。
しかし、それでも結界はびくともしない。
「アリサちゃん、くーちゃん」
「ええ、それしかないわね」
「うん」
それに習い、なのは達も攻撃体勢をとった。
「レイジングハート!」
『Shooting Mode
Set up』
ガキンッ!
「ディバインバスター、フルパワー!」
『Divine Buster』
キィィィンッ!
ズドォォォォンッ!
「ああああっ!」
バチッ! バリリリリリッ!
雷
ズダァァァァァァァンッ!!
放たれるなのはの魔法と久遠の雷。
今はこの結界に対し空間を隔離する結界を張っていない。
それはつまり結界が破壊されると、結界内部での破壊がそのままこの世界に反映する恐れがあるという事だ。
だがそれでも少女達も、なのはも攻撃を行った。
ジュエルシードを自分達の手で封印する為に。
何故この世界に破壊が起きる様な事をしてまでそうしたのか。
それはジュエルシードをこれ以上持っていかれない為、というのもあった。
しかしそれ以上に、なのははこの先に進まなければならない様な気がしたのだ。
結界に2人の攻撃が直撃する。
しかし、結界はまったくの無傷だった。
「なんて頑丈な結界なの!」
それに対し、アリサは驚愕の声を上げる。
なのはと久遠、そしてあの少女達の4人の攻撃をもってしても傷一つつかない結界。
なのはの攻撃力も久遠の攻撃力も、あの少女たちのそうだが、全て一級品と言って良いのにだ。
とても個人が張る結界では考えられない強度だった。
「もう1度……」
再び杖を構えるなのは。
しかし、既に息切れしている。
今の攻撃はフルパワーの名の通り、本当に全力で放たれたものだったのだから。
「はぁ……はぁ……」
久遠もかなり消耗してしまっている。
だが、それでも攻撃を体勢をとった。
「駄目よ、これ以上撃ったら封印もできなくなってしまうわ」
「……うん。
でも……」
アリサの説得に攻撃は止めるなのは。
しかし、どうすればいいのか。
ふと見れば、あの少女達も困っている様子。
と、その時だった。
キィィィィンッ
目の前の結界が解かれていく。
正常な展開者本人からの解除だ。
「っ!」
全員身構えた。
結界が正常な手順で解除されたと言う事は、中での用件は済んだという事になる。
つまりそれは、一緒に取り込まれていたジュエルシードは―――
「……」
結界が解かれた先、展開されていた結界のほぼ中央に立っているのは、やはりあの仮面の魔導師。
その手にはジュエルシードが握られていた。
手に握られているせいでナンバーまでは解らないが、そこに存在しているのは解るのだ。
そして、その足元には、
「赤星さん!」
倒れていたのは赤星。
彼が今回のジュエルシードの被害者だったのは間違いない。
「……」
結界が解かれた後、仮面の男はただ黙って立っていた。
やがて、なのは達に背を向ける。
「あ、待ちなさい!」
アリサが叫んだ時にはもう遅かった。
まるで始めからそこには存在していなかったかの様に消えてしまったのだ。
「……」
なのはは、その消えた場所を見つめていた。
何を言っていいかも、自分がどう思っているかも解らずに。
いつの間にかあの少女達も立ち去っており、彼女達の展開した結界も効力が切れる。
気付けば、日は沈み、夜の闇が辺りを支配し始める。
光を覆う闇は、まだその深さを増すのだった。
某所 高級高層マンションの一室
「そう、あの男がね」
少女からの報告を聞き、ただそれだけの感想を述べる女性。
ジュエルシードを奪われたと言うのにも関わらず、焦りも怒りも感じられない。
本当に最初から感情がないかの様に。
そして、それと同様に女性は少女フェイトに命を下す。
「やることは変わらない。
ジュエルシードの封印回収を最優先とする。
邪魔があるなら排除し、ジュエルシードを持つものがあるならば奪いなさい」
単純にして冷酷な命令。
前と変わる事のない、冷たい言葉。
「あいつ、AAAどころかSクラスの魔導師の可能性があるぞ」
それに反論したのは少女の使い魔アルフ。
何も言わぬ主人に変わって。
「そうね。
今のお前達には荷が重いでしょう。
でも別にいいわ、ジュエルシードがあの男に奪われるのは。
第一、どの道ジュエルシードは一箇所に集まる事になるのだから。
あの男も最終的には全て揃えるつもりの筈。
だからいくつ別の場所にあろうと、最後に揃えばいい」
フェイトとアルフの知らなかった事が告げられた。
さも当然の様に。
「今あの男に勝てないのはいいとしましょう。
だが可能な限り戦い、奪いなさい。
そう、実力で勝てないのなら、別の手を駆使してでも」
そこで女性は少女フェイトの身体を見る。
半自立型魔法生命体の少女の身体。
「相手は男だというなら、尽くせる手はあるでしょう。
お前の身体は生物としてこそ出来損ないでも、元は人間であり、身体のつくりは人間の女と完全に同じよ。
そして、例えお前が『女』として機能しなくとも、男にとっては関係ない事」
淡々と告げる女性。
直接的にはまだ言われていないが、その内容はつまり―――
「色仕掛けでもしろってのかい?」
嫌悪を隠さずに言うアルフ。
しかし、それに対しても女性は何の感情も見せず続けた。
「あのバリアジャケットのデザインはそう言う意味も含んでいるわ」
少女の黒を基調とし、黄色い三角形のプレートと紅いベルトで彩られたバリアジャケット。
マントを羽織り、両手をグローブで覆い、脚はブーツとニーソックスで素足を覆って防御としている。
だが、肝心の身体はレオタード程の範囲と厚さでしか覆われていない。
更には胸の上下には赤く細いベルトが巻かれており、胸を強調しているとしか思えない。
腰周りにはミニスカート程の布が巻かれ、前部は前掛けの様な物があり、大切な部分の強度補強としているが、側面と後ろは本当にミニスカート程にしか意味がない。
それは、高速を誇る少女の戦闘スタイルを活かす為もあるが、しかし、考えようによっては、全て
元々少女自身が愛らしい美少女と表せる程なのだから尚更だ。
「成長もできず子供としか言いようの無い身体でも、物好きなら有効でしょう」
「お前……」
女性の言葉に怒りの声を上げるアルフ。
しかし、女性の言葉はあくまで淡々としていて、そこは卑しむ心も蔑む心もない。
だが、それ故に恐ろしく、憎いと使い魔は感じていた。
それは、つまり少女を生物としてすら見ていないのではないかと―――
後書き
中盤戦に入り、また展開が変わる〜。
そして物語的にも折り返し地点な感じです。
新展開で張り切っていきましょう。
それにしても今回なのはは戦闘なし〜。
砲撃魔法が飛び交う様になるのはもうちょっと先なのです。
ま、なのはなので、砲撃魔法をバンバン撃てる様になってもなのはらしくしか戦いませんが。
それでも次から戦闘は激化します。
ええ、物語的に。
次で丁度半分なのですよ。
前中後で分けるならまだまだ中ですけどね。
ともあれ次回もよろしくどうぞ〜。
管理人の感想
T-SAKA氏に第6話を投稿していただきました。
今回はインターミッション的な話でしたね。
敵対者に対する傾向と対策?
フェイト側もやっかいですが、仮面の男は何を考えているか見えない分更にやっかいそうで。
前から不穏当な感じがする赤星君でしたが、今回ついに被害者に。
あいにくと詳細は不明でしたが何があったのか。
まぁなのは達は戦わなくて救われたかも、ですが。
美由希とも一定条件ではいい勝負が出来る赤星がジュエルシードの力で強化されるんでしょうからねぇ、まだなのは達では荷が重かったかも?
なのはは何やら恭也にも不安を感じているみたいですが、果たして。
で、今回も紅い女性は……鬼でしたな。
感想はBBSかメール(ts.ver5@gmail.com)まで。(ウイルス対策につき、@全角)