-
ねぇねぇ、倉田一弥って知ってる?
えぇ、知ってるわ。理事の弟さんでしょ?
え? そうだったの?
じゃあ、何で貴女は知ってるのよ……
だって、あの視覚補正ゴーグルで遠目でもわかるじゃない。
まぁ、そうね。でもそんなに悪い人じゃないよ?
あー、この子は……さすが本社の受付嬢……その手の人を平然と受け付けるだけあるわ……
話してみれば普通の人だって、むしろ憧れちゃうかも。
無理。だって、あの目で見詰められてみなさい? 怖くて動けなくなるわ。
そうかなぁ? 慣れれば面白いけど……
面白いで済む貴女が羨ましいわね……
でも凄く可愛いんだよ? この前なんか、途方にくれてたもの。
え? どうして?
役員がいつもの場所に居なくて、探してたんだけど、場所がわからなかったみたいでおろおろしてたの。
あの姿から思いつかないわね……
この前、お礼にってクッキーいただいたんだ。凄くおいしかったよ。
どこかのメーカー品? それとも有名お菓子屋とか?
どっちも違って、んー多分、手作りじゃないかな?
えー食べてみたいなぁ。
駄目、絶対にあげない。
ぶー、けち……。減るものじゃないでしょう?
いいえ、減ります。
|
神の居ないこの世界で−A5編− |
|