-
船についている食堂。そこから喧嘩をする声が聞こえる。
「ぐす、泣かす! 絶対に泣かす! 泣かす泣かす泣かす!」
「うるさい! サラサが悪いんじゃない! 勝手に泣いて!」
「アリアの相対馬鹿!」
「サラサの絶対馬鹿!」
「うー!」
「むー!」
祐一は何事かとそこへと入り込む。
「アリア、サラサ……何が原因なんだ?」
二人はバツの悪そうに顔を背けた。
「「お父さん……」」
「何があったんだい?」
「「サラサ(アリア)がアリア(サラサ)の楽しみにしてたデザートを食べようとしたの!」」
「デザート?」
「「お父さんが昨日の晩に作ってくれたプリンだよ」」
「あぁ、俺が食べてなかったからか……」
「「そう! まだひとつ残ってたから……アリア(サラサ)が食べようと思ったの!」」
「それで……あっ」
祐一の視線がそこで止った。
表情があーあー、と言った感じになる。
表情の変化をおかしく思う2人。そして、2人は振り向いた。
「その言い難いのだが、その原因は秋弦が食べてるんだ」
視線の先には幸せそうにプリンを頬張る秋弦が。
祐一は、どうした物かと頬を掻く。
「「あ〜〜!」」
祐一に何か言われたと気が付いて、きょとんとした顔の秋弦。
秋弦は2人を見て微笑んだ。
「おいしーの」
いや、火に油を注ぎたかっただけなのかもしれない。
|
神の居ないこの世界で−A5編− |
|